波長の乱れ

HesoOtoko

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第七話 〜トンネル〜

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◇トンネル◇
いつも通る道。そこには、百数メートルのトンネルがある。そこをくぐると、何故か快感を得ることができるのだ。気持ちがいい。湿った空洞を通過する快感はどうしてもやめられない。小島は、原付で毎日そのトンネルをくぐっている。雨の日も、風の日も、照り返しの強い快晴の日も、誘い込まれるようにくぐるのだ。しかし、事件が起きた。定期点検のため、数日間通行止になったのだ。看板を見て発狂する。警備員を威圧しながら迂回路や通行止期間について詳しく問いただした。

◇ヒーロー◇
ある程度情報を集めきった小島は、すぐに近隣に住む知り合いに片っ端から連絡をする。「おかしい、誰からも返事がない。」タイムラインに既読がついているのに。それから一週間、毎日トンネルの通行止の件を連絡し続けた。こんなに親切に連絡を続ける自分はまるでヒーローのように思えてきた。通行止と知りながら、いつまで通行止かも知りながらも、毎日トンネルの入り口まで足を運ぶ。それすらもとても楽しかった。

◇発信◇
通行止が解除されると、フルスロットルでトンネルを駆け抜けた。久々の暗く湿った空間は最高に気持ちが良い。ヨイトマケの唄を大声で口ずさんで、トンネルを駆け抜ける。 “みなさん、遂に通行止が解除されました!” 構ってくれる人がいるうちは、幸せを噛み締めて好きなだけ自分を出すことが許される。彼はそれを知っているのだろう。
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