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仲間の卵 冒険の終わり
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ユウヤがゲートをくぐると、そこは小高い緑の丘だった。
日の暖かさ、新緑の匂いを載せた風が心地よい。
視線の前方には小さな村が見えた。ここが最初の村であろう。
(まずは情報収集に行くか)
ユウヤが1歩踏み出した時だった。
「あのー。」
後方から遠慮がちに声が聞こえた。
「勇者の卵の方ですか?」
振り向くとそこには少し控えめそうな女性と、興味深そうにこちらを眺めている少女がいた。
「はい。そうですが。」
ユウヤはゴッドセイバーを光らせ、低音ボイスで答える。
「やっぱり!私賢者の卵のセリスと申します。勇者様と出会えて光栄です!」
セリスの不安そうだった表情がパーと華やいだ。
「あたしは、リルだよっ!聖拳士の卵!よろしくね!」
(華奢で小柄な体格だが武道家か。)ユウヤは驚いたがそれを表には出すまいと挨拶の言葉を連ねる。
「ユウヤです。よろしくお願いします。他にも転生された方がいるのですね。」
「そうですね。神様の説明のとおりですね。」
セリスは綻んだ表情のまま、ずっとオレを見る。
「ああ。そうでしたね。」
(やばい聞いてなかった)ユウヤは内心焦る。
「まあ、とりあえずあそこに見える村に一緒に向かいましょう!」
聞いてなかったことを誤魔化すため、ユウヤは話題を変えた。
(最初から結構パーティー揃った…)
パーティーは徐々にとイメージしていたユウヤだが、異世界に踏み出した途端に2人も仲間が増えたことは嬉しい誤算だった。
ユウヤはこれからはじまる冒険に心躍らせた。
(これはイージーモードだな。楽勝楽勝)
そんなフラグっぽいことを考えていると、急にユウヤ達の周りに黒い霧が立ち込める。
「何これ…」
セリスがユウヤへと体を寄せる。
黴たような匂いが鼻をつき、わいたようにひとりの男がユウヤ達の前に浮かんでいた。
霧と黒いローブのため、全身が捉えられないが、ローブの奥には濁ったような赤い目がユウヤを舐めるように見つめていた。
「はっ??なんでこんな強そうな…」
「我が名、魔王軍アンデッド軍団長 ゲルファ。」
「嘘だろ…。」
「勇者の卵達。冒険は、はじまらない。ここで終わるから。」
日の暖かさ、新緑の匂いを載せた風が心地よい。
視線の前方には小さな村が見えた。ここが最初の村であろう。
(まずは情報収集に行くか)
ユウヤが1歩踏み出した時だった。
「あのー。」
後方から遠慮がちに声が聞こえた。
「勇者の卵の方ですか?」
振り向くとそこには少し控えめそうな女性と、興味深そうにこちらを眺めている少女がいた。
「はい。そうですが。」
ユウヤはゴッドセイバーを光らせ、低音ボイスで答える。
「やっぱり!私賢者の卵のセリスと申します。勇者様と出会えて光栄です!」
セリスの不安そうだった表情がパーと華やいだ。
「あたしは、リルだよっ!聖拳士の卵!よろしくね!」
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「ユウヤです。よろしくお願いします。他にも転生された方がいるのですね。」
「そうですね。神様の説明のとおりですね。」
セリスは綻んだ表情のまま、ずっとオレを見る。
「ああ。そうでしたね。」
(やばい聞いてなかった)ユウヤは内心焦る。
「まあ、とりあえずあそこに見える村に一緒に向かいましょう!」
聞いてなかったことを誤魔化すため、ユウヤは話題を変えた。
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パーティーは徐々にとイメージしていたユウヤだが、異世界に踏み出した途端に2人も仲間が増えたことは嬉しい誤算だった。
ユウヤはこれからはじまる冒険に心躍らせた。
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そんなフラグっぽいことを考えていると、急にユウヤ達の周りに黒い霧が立ち込める。
「何これ…」
セリスがユウヤへと体を寄せる。
黴たような匂いが鼻をつき、わいたようにひとりの男がユウヤ達の前に浮かんでいた。
霧と黒いローブのため、全身が捉えられないが、ローブの奥には濁ったような赤い目がユウヤを舐めるように見つめていた。
「はっ??なんでこんな強そうな…」
「我が名、魔王軍アンデッド軍団長 ゲルファ。」
「嘘だろ…。」
「勇者の卵達。冒険は、はじまらない。ここで終わるから。」
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