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第2章 試練と成長
第18話 疑惑の網
しおりを挟む倉庫から持ち帰った書類は、騎士団内に静かな波紋を広げていた。
マリアンヌは団長から「慎重に動け」と言われたものの、騎士たちの視線や態度が微妙に変化しているのを感じ取っていた。
(誰が敵で、誰が味方なの――?)
疑念が募るなか、マリアンヌは剣の手入れをしながら深く息を吐いた。
訓練場ではリナが焦った様子でマリアンヌに駆け寄ってきた。
「マリアンヌさん、大変です!」
「どうしたの?」
「カインさんが……団長に呼ばれたみたいで……。」
「カインが?」
マリアンヌは立ち上がった。
(まさか、カインが疑われている?)
焦る気持ちを抑えながら、団長室へと向かう足を速めた。
団長室の扉を開けると、カインは机の前で硬い表情を浮かべていた。
エリック団長は厳しい目を向けながら書類を手にしている。
「マリアンヌか。丁度いい、入れ。」
マリアンヌはカインを見つめたが、彼は目を合わせようとしなかった。
「団長、何が――」
「この書類について聞かせてくれ。」
エリックが差し出したのは、倉庫で見つかったものと同じ紋章が記された別の文書だった。
「カイン、お前はこの印に見覚えがあるか?」
カインは唇を噛み締めた。
「知りません……。」
その言葉にエリックは深くため息をついた。
団長室を出ると、カインは足を止めてマリアンヌに低く言った。
「俺は……何もしてない。」
マリアンヌはその言葉を信じたい気持ちで頷いた。
「信じてる。でも、注意はして。」
そのとき――通路の向こうからシリウスが現れた。
「面白いことになってるな。」
「またあなた?」
マリアンヌは苛立ちを隠さずに声を上げた。
シリウスは笑いながら歩み寄る。
「内部の誰かが動いてるって話、もう耳に入ってるんじゃないか?」
「どういう意味?」
「言っただろう。疑心は網のように広がるって。」
マリアンヌは剣に手を添えながら言い返した。
「あなたは何を知ってるの?」
「俺が知ってるのは――この件がまだ終わらないってことさ。」
シリウスは不敵な笑みを浮かべたまま背を向けた。
マリアンヌは彼の背中を見送りながら、胸に渦巻く疑念を振り払えずにいた。
(この網に絡め取られる前に、真実を掴まなければ――。)
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