最速レベルアップはダンジョン飯バフで!~ハズレスキル《料理強化》が実は経験値取得量増加のバフが可能な最強スキルでした!~

ある中管理職

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18話 共同作業とインフレ料理

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 逃げるようにキッチンへ向かった葵。
 その歩き方は探索者試験から随分と時間の経った今でもぎこちない。

「……。あの人間、あなたの幼馴染は脚が悪いの? それで探索者になれないとか?」
「それは、まぁ……」
「ふーん。でも、なんか違和感があるっていうかなんというか……。まぁいいわ。早く料理作って頂戴」
「ダンジョンで結構食ったのに、凄いな」
「そう? 同族の中じゃ小食な方なんだけど。ほら、獣人族にしては華奢でしょ」

 そう言って際どい服装のせいで強調されている胸を揺らすミーク。
 ついついそれに目を奪われるが、遠くから葵のじとっとした視線が向けられていることに気づき、俺は慌ててイグニールの心臓を手に取った。

するといつものように身体は勝手に動き、キッチンに向かう。

 ダンジョンにいた時と違って、ここには調理器具も調味料もふんだんに揃っている。
 そんなことまでこのスキルは分かっているようだ。

「――それで、陽一は何を作るの? それに合わせてこっちも考えようかなって思ってるんだけど」
「ミークがお腹空いてるみたいだからがっつり、ちょっと脂っこいものは想像してるんだけど……。このスキル、何ができるのかは分からなくて」
「なら簡単に酢の物でも作るかぁ。それにしても凄いね、スキルって。それ全部勝手にやってくれてるんだ」

 大き目のボウルにイグニールの心臓を入れ、塩水を使って薄皮や脂を取り除く。
その後に冷水にさらして、今度は流水で洗う。

 ダンジョンでは行えなかった下ごしらえが淡々と行われていく様子を感心した様子で葵は覗き込む。
 
 そして何かを察したように玉ねぎ、それにニンジン、ピーマン、ニンニクをそれに使うにはあまりに多すぎる量を切っていく。

「多分そのスキルってその場にあるというか準備されている食材を使うものでしょ? ならこうやって他も用意してあげれば……」
「あ、本当だ……」

 イグニールの心臓を一口サイズに捌き終わると、葵の用意してくれた野菜を俺の手は勝手に自分の側に寄せた。

 スキルへの深い理解とその早さ。
 自分では隠しているつもりなんだろうけど、葵の読んでる本はラノベだけ。
なんだかんだ亜人への視線には熱いものを感じるし、コミケの日は絶対に休み申請をしてる。
察するに葵はオタクなんだと思う。

「……。共同作業。阿吽の呼吸。……。幼馴染、ねえ」

 何故かふくれっ面でこっちを見てくるミーク。
 お腹が空き過ぎて期限が悪くなってるのか?

「ミーク、もう少しでできるからもうちょっと我慢な」
「はーい」
「陽一が鍋を振ってるぞ、母さん」
「焦げ臭くない……。信じられないわね」
「いくらなんでもその感想は失礼だろ……」

 多めのごま油でニンニクのみじん切りを炒める。
 続けてイグニールの心臓をしっかり炒めて野菜と親父特製の中華だし、豆板醤などを加える。

 普通だと汁気が多くなりがちな調理工程だが、そこは『料理強化』でカバーされてるようで、見栄えは満点だ。

 それに火が通るのも、イグニールの心臓の下ごしらえの際、水気が切れるのも早かった……ちょっとしたコツとか手間を覚える必要がないのはありがたすぎる。

「あとは人数分皿に盛って――」
「こっちもゆず大根できてるよ。……。見た目はおいしそうだけど」

 食卓にさっと作ったにしては豪華な食事が並ぶ。
 親父も母さんは喜んでいいのか、驚いていいのか分からないって感じの表情。

 ちなみに俺はこの料理の効果にかなり驚いてる。
 流石30万円の食材。葵に今から売りに行けって言われないように、その売却額を伏せておいてよかった。
――――――――――
【料理】
イグニール(心臓)のスタミナ炒め【B+】
【モンスター別バフ効果】
煉獄の炎(永続)
【選択バフ(共通)】
不可
【取得可能経験値】
3000(6000→18000→36000)
――――――――――
「……。テイムの効果も足すと経験値54000、か。インフレ始まったな」
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