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~個性ってゲームのパラメーター⁈~
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月日が経つのは速いもので、気が付けば月が替わって桃の節句であるひな祭りの日を迎えていた。
この日の生物部のお茶会はひな祭り仕様で、三角フラスコには桃の花や菜の花が飾られ、薬紙を敷いたシャーレには雛あられが盛り付けられていた。
「今日は甘酒もあるからね」
香奈子が用意した甘酒は、ご丁寧に大型ビーカーの中に甘酒が入ったお銚子が湯煎してあり、冷めないようにとアルコールランプで温められていた。
「甘酒ってお酒じゃ?」
学校内で飲んではマズいのではと心配になった渉が香奈子に訊く。
「甘酒は米麹飲料だから学校で飲んでも問題ないわよ」
「——へ? 夜間行軍で平安神宮で飲んだ甘酒にはアルコールが少し入っていた様な気が…」
夜間行軍の時に平安神宮の屋台で飲んだ甘酒は、少しアルコールの味を感じたし、たっぷりのすりおろし生姜の味がしていた。熱々のそれを飲むと身体の芯まで冷え切っていたのが、体の中から温まった事を思い出して渉が首を傾げる。
「ああ、甘酒にはアルコールが入っているのと、ノンアルコールの二種類があるの」
そう言って香奈子は甘酒の違いを説明する。
作る時に酒粕を使用した甘酒にはアルコールが含まれていて、米麹を使用したものはノンアルコールなのだと言う。平安神宮の屋台で飲んだのは酒粕を使ったものだったので、少しアルコールを感じたのはそのせいだったらしい。
「へぇ、そうだったんですね」
飲み食い専門で自分で作る事がほとんどない渉は、香奈子の説明に関心をする。
「桃の節句には本来は白酒に桃の花を浮かべて飲むらしいんだけど、白酒は本みりんや焼酎に米麹を入れて一週間ぐらい発酵させたものだから、かなりアルコールが高いんで学校じゃまず飲めないわね」と言って香奈子は笑う。
「ひな祭りって、うち女兄弟がいないから、俺よく知らないんっすよ」
渉が体験したお雛祭りのイベントのと言えば、幼稚園でのお雛祭りに園内に飾られた雛飾りや、おやつの時間に雛あられを食べたぐらいだった。
「確かに女兄弟がいないとそうなっちゃうかもね」
そう言って香奈子が苦笑いしていると、古谷と優子が生物室にやって来た。
「なんや、今日のお茶会はいつもと違ってなんか和風やん」
そう言いながら古谷が適当な椅子を見繕って腰を下ろす。
「今日は桃の節句だもんね――忘れてたわ」
書類が数枚入ったクリアファイルを実験台の上に置きながら優子が笑う。
「静香さんとあおいちゃんは今日来るかな?」
今日はまだ生物室に顔を見せていない女子二人が気になったのか、香奈子が訊ねる。
「どうかしら? 古谷君とは生徒会室で一緒になったから一緒に来たけど、あの二人の事はちょっとわかんないわ」
「生徒会室で何やってたんですか?」
生徒会室とは全く無縁なので、そこでの用事が想像できない渉が訊く。
「古谷君は卒業式の送辞の打ち合わせ。私は卒業式後の茶話会の相談役をちょっとね…」
送辞は次期三年生になる首席が務める事になっているので、常に学年トップの成績の古谷が呼ばれたのは判るが、優子が生徒会の相談役というのがよくわからない。
「以前、生徒会の会長選の時に、優子先輩が立候補演説で生徒会の運営批判をしたって噂は聞きましたけど…その優子先輩が相談役ってどういう事ですか?」
それを聞いた優子が苦笑いを浮かべる。
「どこでそんな話を聞いたんだか…。あのね、私の対立候補だった子も私と同意見で生徒会長に立候補した子だったから、私の批判演説が終わった後、その対立候補から壇上で拍手を貰ったぐらいで仲は悪くないの――前生徒会執行部はその対立候補が生徒会長になったし、今の生徒会執行部はその流れの子達だから今でもちょくちょく相談を受けてるってだけ」
「昨日の敵は今日の友って事ですか?」
「敵ってのはちょっと違うんだけど…」
そう言って優子は笑う。
「公平で正常な組織運営をしたいなら、忖度意見は要らないって事よ」
イエスマンばかりでは、まともな組織運営は出来ないというのが優子の考えらしかった。
「組織運営なんて俺には無縁だし、関係が無い世界の話ですね」と無邪気に笑う渉に古谷が「おいおい…」と待ったをかけた。
「自分、次の生物部部長やで…全く関係ない話とちゃうって」
「え…」
古谷の言葉が思ってもいなかったのか、渉の表情が驚きに変わる。
「新学年になったら、生物部の部長は渉君なんだから、新一年生なんかの部員勧誘とか、生徒会とクラブ予算の交渉とかやる事いっぱいなんだからね」
「ちょっ…何で俺なんです? あおいちゃんもいるじゃないですか!」
抗議する渉に「あおいちゃんは留年決定したから次も一年生」と一同口を揃える。
「あ…そうか…」
渉はようやく自分が置かれた立場に気が付いたらしい。
いつまでも最下級生で先輩たちの指示に従っていればいいという楽な立場でいられないのだと思うと、何だか気が重くなる渉であった。
「藤木先輩は猪突猛進のミリタリーオタだったし、優子先輩は変人部長で校内でも有名人だったしなぁ…」
先輩たちから次期生物部部長と指名された渉は悩んでいた。
歴代個性的な人物が部長を務めていた生物部。そんなクラブの部長に自分が部長を務めて本当に大丈夫なのか…と。
他の部員たちを見回してもユニークな人材揃いで、三年生の岡部は普段、藤木と一緒にいる事が多い為あまり目立つ事がなく、いつものらりくらりとした昼行燈の様なキャラであったが、実は空手の有段者で全国大会で上位の成績を収めた事もあるらしいし、華は文武両道の元生徒会長。洋司先輩は超お金持ちの温和なお坊ちゃん。二年生の古谷は秀才で爬虫類オタク。香奈子は料理上手で世話焼きな生物部のお母さん的存在。静香は個性的美人でちょっと癖が強いが、意外に面倒見がいい姉御的存在。渉と同学年のあおいはいつも元気な食いしん坊勤労少女——無個性と自認している渉は個性的な彼らに対して劣等感の様なものを密かに抱いていた。
考えれば考えるほど無個性な自分が生物部の部長としてふさわしくないと思えてくる。
「やっぱ、生物部の部長たるもの、個性派でないとな…」
何を馬鹿な事を…と、他人が聞けば笑われそうな事であったが、渉はいたって真剣であった。
「俺が人様に自慢できるのはスキーぐらいだけど、冬の雪山限定特技だから個性と結びつけるのは無理があるしなぁ」
渉は一人ぶつぶつと呟きながら頭を悩ませる。
「特技がダメなら好きな事…」
自分の好きな事を思い浮かべるが、ゲームや漫画は好きだけれど、ただ好きと言うだけで、上手という訳ででは無かったし、人に自慢できるほどの知識がある訳でもなかった。
漫画の様なヒーローに憧れるが、無個性の自分にはその他大勢の役割ぐらいしか出来そうにない。
「やっぱ、俺が部長なんて無理だよな…」
いっそ生物部を退部してしまえば、劣等感に苛まれて悩む事も無くなるかもしれないと、そんな思いが渉の脳裏をチラチラとかすめ始めていた。
「富士は晴れたり日本晴れ――卒業式という門出が晴天とは、やはり日ごろの行いが良いからだな!」
卒業式の後、生物室に顔を出した藤木がそう言って笑顔を見せる。
「卒業式に桜の花が満開になるなんて異常気象よねぇ――入学式の頃には葉桜になってるだろうから、新入生たちが可哀想だわ」
藤木の言葉に応じる訳でもなく、静香がそう言って苦笑いを浮かべた。
生物室では先輩たちの送別会をしようと、香奈子がいつも以上の気合の入った料理を作り、学校に持参していた。
「香奈子さんの手料理を食べるのもこれが最後かと思うと、ちょっと寂しいわね」
実験台の上に並べられた香奈子の手料理を前に、華が感慨深げに呟きをもらす。
「ちらし寿司に唐揚げ、サラダにピザって、ちょっとしたパーティーですね」
大皿に盛りつけられた料理を見てあおいが目を丸くして香奈子を見る。
「先輩たちの追い出し会だから、お菓子以外のモノも食べて欲しくって」と香奈子がはにかみながら微笑んだ。
「女子の手料理なんてなかなか食べられないから、いつもありがとうな」
岡部がそう言って香奈子に礼を口にする。
生物部の部員が揃い、送別会の準備が整ったところで優子が乾杯の音頭を取る為に立ち上がった。
「御卒業おめでとうございます! 先輩たちの門出を祝して乾杯です!」
優子の言葉に合わせて、部員たちはジュースが入ったグラスを手に打ち鳴らして送別会が始まった。
「先輩たち、みんな制服の全部のボタン残ってますね~」
ピザを頬張りながらあおいがそう言って、欲しがる女子はいなかったのかと笑う。
「ボタンはお前たちの為に残しておいたんだ」
さらっとそんな事を言う藤木の言葉にあおいは爆笑して、静香は飲んでいた紅茶を吹き出した。
「ボタンは要らないんで、その白いコサージュなら貰ってあげてもいいですよ~」
優子が笑いながら卒業生の男子の胸に付けられたコサージュを指さす。
「これ? …おう、いいぞ」
そう言いながら藤木がコサージュのピンを外して差し出す。
「あ、いいな。私もコサージュ欲しい」
そう言いながら静香が洋司にコサージュを要求する。
「こんなのでいいならどうぞ」
洋司が笑いながらコサージュを手渡してると、岡部が「女の子って花好きだよな」と言うのを聞いて香奈子が「私は花より団子ですけど」と笑う。
「私もお団子の方がいいなぁ」
予想通りあおいも花より団子派だったので古谷が噴き出した。
和やかないつものメンツのいつものやり取りを聞いていた藤木が「お前たちなら、安心して後を任せられる」と感慨深そうに呟きを漏らす。
「次の部長は渉君がいるし、その後はあおいが引き継いでくれるだろうから、とりあえずは生物部は安泰です」と笑う優子の言葉を聞いた渉が、言いにくそうに「その事なんですけど…」とおもむろに口を開いた。
「?」
注目が集まる中渉は言葉を続ける。
「俺、生物部辞めようと思ってるんです」
「…え?」
予想もつかなかった渉の言葉に和やかだった場が一瞬にして凍り付く。
「何か嫌な事でもあった?」
心配そうに尋ねる優子に渉は「俺に部長は無理っす」と答えた。
「それが退部希望理由?」
戸惑うように優子が訊くと渉は黙って頷いた。
優子は少し考えた後、渉に「生物部に対する不満は?」と尋ねると渉は首を左右に振ってから、「部長なんて俺、やった事がないし…」と言葉を絞り出す。
「そんな事を気にしていたのか! 部長なんて誰にでも出来る事だぞ!」
「あんたはもうOBなんだから、ちょっと黙ってなさい」
藤木が不安を口にした渉に意見を言おうとしたのを静香が横から藤木を止めに入った。
「誰だって何でも初めての事だらけよ? 最初から何でもできる人なんていないと私は思うんだけど…」
幼い子供に言い聞かすように香奈子が渉を見る。
「それは判ってるんですけど…俺、無個性だから自信がないっす…」
その言葉を聞いて、一同顔を見合わせる。
「…えと、生物部の部長になるのは無理って話と、無個性だから自信が無いって話って別問題じゃない? 部長の仕事に関してやり方はちゃんと私が引き継ぎをして教えるし、そんなに難しい事ではないから藤木先輩の言葉じゃないけれど心配ないはずなんだけど」
いったん優子はそこで言葉を切ってから渉を見る。
「渉君は自分が無個性だから自信がないって言ってるけど、私の目の前にいるあなたは誰な訳? 鏡渉君じゃないの?」
「…」
「君は鏡渉っていうちゃんとした個性を持っているのに、どうして無個性だなんて思い込んでる訳?」
「俺に…個性?」
優子の意外な発言に渉は戸惑いの表情を浮かべた。
「私が認識している鏡渉君って人物は、ちょっとシャイで不器用なところもあるけど、正直で他人の話にちゃんと耳を傾けることが出来る思いやりのある男の子なんだけどな」
誰も自分の事など気にもかけてくれていないと思っていた渉であったが、優子が自分の事をちゃんと見ていてくれて好評価してくれた事に驚く。そんな渉の微妙な驚きの表情を読み取ったのか静香が「君、すごい勘違いしてない?」と言う。
「勘違い?」
「君が考えてる個性って、君の基準で人より変わっていたり、何かに秀でていて目立つ存在とかじゃない?」
静香の指摘通りだったので渉は黙って頷く。それを見て静香は「やっぱり…」と呟くと、「それが大きな勘違い」と言って苦笑いを浮かべた。
「生き物はみんな個性を持っているの――見た目も性格も癖もみんな違うでしょ? その違いが個性なんだけど、君が思っている個性ってのは、タンポポとひまわりを比べているようなもの」
――人間という大きなくくりでは同じかもしれないけれど、生まれた環境や経験が違うんだから、違って当たり前で、それを同列で比べるって事自体がおかしい事に気が付かなきゃと言って笑う。
「タンポポから見ればひまわりって同じ黄色い花を咲かせるけれど、自分より背も高くて花も大きくて目立つからいいなって思うかもしれないけれど、そのひまわりもひまわり畑の中にいればただのひまわりの一本でしかないし、森の中なら大木が立ち並ぶ所に生えるちっぽけな存在でしかないじゃない。視点や環境次第で相対的評価なんて変わるんだから、自分は自分なんだって開き直りが大切だと私は思ううんだけど?」
そんな静香の例えが判りにくいと思ったのか、優子が「個性ってさ、自分という人物の育成ゲームをしてるんだって考えたら、もっと自分のキャラに愛着が持てるようになるんじゃないかな?」と渉に言った。
「育成ゲーム?」
不思議そうに渉が首を傾げると、古谷が「ああ、個性ってのはゲームのパラメーターの違いみたいなもんやな」手を打った。
「パラメーター?」
「そや、RPGやシュミレーションなんかのゲームでHPとかMP、知力とかの数値を割り振れるやつや――最初はみんな決められた数値の中から好きなように数字を割り振って始めるけど、経験とかでどんどん違いが出てくるやん」
成長していくうちに体力特化タイプ、魔法特化タイプ、バランスタイプの様に違が出てくるが、その違い自体に良いも悪いもない。
「なるほど…私はお料理特化型。渉君はバランスタイプで今のところ特化能力が無いだけの話だけだから、その気になればこれから特化タイプに育成していく事も可能って訳ね」
香奈子の言葉を聞いて、渉は持ち続けていた劣等感は自分自身が作り出した狭い考えだった事を理解した。
「…なんか、ありがとうございます」
心の中のわだかまりの様なものがすっと無くなった様な気がして渉は頭を下げる。そんな渉をそれまで黙って話を聞いていたあおいが「じゃあ、もう退部したいって話は無しにするんですね」といってニコニコ顔になる。
「あ…はい、退部希望取り下げます」
渉が少しバツが悪そうな顔でそう言うと、全員から拍手が起こった。
「んじゃ、これからもよろしくね」
優子が笑顔で渉に手を差し出す。
その手を渉は握り返して優子と握手しながら、未熟な自分の悩みにも真剣に向き合ってくれる生物部の仲間達と出会って本当に良かったと、心の底から思う渉であった。
この日の生物部のお茶会はひな祭り仕様で、三角フラスコには桃の花や菜の花が飾られ、薬紙を敷いたシャーレには雛あられが盛り付けられていた。
「今日は甘酒もあるからね」
香奈子が用意した甘酒は、ご丁寧に大型ビーカーの中に甘酒が入ったお銚子が湯煎してあり、冷めないようにとアルコールランプで温められていた。
「甘酒ってお酒じゃ?」
学校内で飲んではマズいのではと心配になった渉が香奈子に訊く。
「甘酒は米麹飲料だから学校で飲んでも問題ないわよ」
「——へ? 夜間行軍で平安神宮で飲んだ甘酒にはアルコールが少し入っていた様な気が…」
夜間行軍の時に平安神宮の屋台で飲んだ甘酒は、少しアルコールの味を感じたし、たっぷりのすりおろし生姜の味がしていた。熱々のそれを飲むと身体の芯まで冷え切っていたのが、体の中から温まった事を思い出して渉が首を傾げる。
「ああ、甘酒にはアルコールが入っているのと、ノンアルコールの二種類があるの」
そう言って香奈子は甘酒の違いを説明する。
作る時に酒粕を使用した甘酒にはアルコールが含まれていて、米麹を使用したものはノンアルコールなのだと言う。平安神宮の屋台で飲んだのは酒粕を使ったものだったので、少しアルコールを感じたのはそのせいだったらしい。
「へぇ、そうだったんですね」
飲み食い専門で自分で作る事がほとんどない渉は、香奈子の説明に関心をする。
「桃の節句には本来は白酒に桃の花を浮かべて飲むらしいんだけど、白酒は本みりんや焼酎に米麹を入れて一週間ぐらい発酵させたものだから、かなりアルコールが高いんで学校じゃまず飲めないわね」と言って香奈子は笑う。
「ひな祭りって、うち女兄弟がいないから、俺よく知らないんっすよ」
渉が体験したお雛祭りのイベントのと言えば、幼稚園でのお雛祭りに園内に飾られた雛飾りや、おやつの時間に雛あられを食べたぐらいだった。
「確かに女兄弟がいないとそうなっちゃうかもね」
そう言って香奈子が苦笑いしていると、古谷と優子が生物室にやって来た。
「なんや、今日のお茶会はいつもと違ってなんか和風やん」
そう言いながら古谷が適当な椅子を見繕って腰を下ろす。
「今日は桃の節句だもんね――忘れてたわ」
書類が数枚入ったクリアファイルを実験台の上に置きながら優子が笑う。
「静香さんとあおいちゃんは今日来るかな?」
今日はまだ生物室に顔を見せていない女子二人が気になったのか、香奈子が訊ねる。
「どうかしら? 古谷君とは生徒会室で一緒になったから一緒に来たけど、あの二人の事はちょっとわかんないわ」
「生徒会室で何やってたんですか?」
生徒会室とは全く無縁なので、そこでの用事が想像できない渉が訊く。
「古谷君は卒業式の送辞の打ち合わせ。私は卒業式後の茶話会の相談役をちょっとね…」
送辞は次期三年生になる首席が務める事になっているので、常に学年トップの成績の古谷が呼ばれたのは判るが、優子が生徒会の相談役というのがよくわからない。
「以前、生徒会の会長選の時に、優子先輩が立候補演説で生徒会の運営批判をしたって噂は聞きましたけど…その優子先輩が相談役ってどういう事ですか?」
それを聞いた優子が苦笑いを浮かべる。
「どこでそんな話を聞いたんだか…。あのね、私の対立候補だった子も私と同意見で生徒会長に立候補した子だったから、私の批判演説が終わった後、その対立候補から壇上で拍手を貰ったぐらいで仲は悪くないの――前生徒会執行部はその対立候補が生徒会長になったし、今の生徒会執行部はその流れの子達だから今でもちょくちょく相談を受けてるってだけ」
「昨日の敵は今日の友って事ですか?」
「敵ってのはちょっと違うんだけど…」
そう言って優子は笑う。
「公平で正常な組織運営をしたいなら、忖度意見は要らないって事よ」
イエスマンばかりでは、まともな組織運営は出来ないというのが優子の考えらしかった。
「組織運営なんて俺には無縁だし、関係が無い世界の話ですね」と無邪気に笑う渉に古谷が「おいおい…」と待ったをかけた。
「自分、次の生物部部長やで…全く関係ない話とちゃうって」
「え…」
古谷の言葉が思ってもいなかったのか、渉の表情が驚きに変わる。
「新学年になったら、生物部の部長は渉君なんだから、新一年生なんかの部員勧誘とか、生徒会とクラブ予算の交渉とかやる事いっぱいなんだからね」
「ちょっ…何で俺なんです? あおいちゃんもいるじゃないですか!」
抗議する渉に「あおいちゃんは留年決定したから次も一年生」と一同口を揃える。
「あ…そうか…」
渉はようやく自分が置かれた立場に気が付いたらしい。
いつまでも最下級生で先輩たちの指示に従っていればいいという楽な立場でいられないのだと思うと、何だか気が重くなる渉であった。
「藤木先輩は猪突猛進のミリタリーオタだったし、優子先輩は変人部長で校内でも有名人だったしなぁ…」
先輩たちから次期生物部部長と指名された渉は悩んでいた。
歴代個性的な人物が部長を務めていた生物部。そんなクラブの部長に自分が部長を務めて本当に大丈夫なのか…と。
他の部員たちを見回してもユニークな人材揃いで、三年生の岡部は普段、藤木と一緒にいる事が多い為あまり目立つ事がなく、いつものらりくらりとした昼行燈の様なキャラであったが、実は空手の有段者で全国大会で上位の成績を収めた事もあるらしいし、華は文武両道の元生徒会長。洋司先輩は超お金持ちの温和なお坊ちゃん。二年生の古谷は秀才で爬虫類オタク。香奈子は料理上手で世話焼きな生物部のお母さん的存在。静香は個性的美人でちょっと癖が強いが、意外に面倒見がいい姉御的存在。渉と同学年のあおいはいつも元気な食いしん坊勤労少女——無個性と自認している渉は個性的な彼らに対して劣等感の様なものを密かに抱いていた。
考えれば考えるほど無個性な自分が生物部の部長としてふさわしくないと思えてくる。
「やっぱ、生物部の部長たるもの、個性派でないとな…」
何を馬鹿な事を…と、他人が聞けば笑われそうな事であったが、渉はいたって真剣であった。
「俺が人様に自慢できるのはスキーぐらいだけど、冬の雪山限定特技だから個性と結びつけるのは無理があるしなぁ」
渉は一人ぶつぶつと呟きながら頭を悩ませる。
「特技がダメなら好きな事…」
自分の好きな事を思い浮かべるが、ゲームや漫画は好きだけれど、ただ好きと言うだけで、上手という訳ででは無かったし、人に自慢できるほどの知識がある訳でもなかった。
漫画の様なヒーローに憧れるが、無個性の自分にはその他大勢の役割ぐらいしか出来そうにない。
「やっぱ、俺が部長なんて無理だよな…」
いっそ生物部を退部してしまえば、劣等感に苛まれて悩む事も無くなるかもしれないと、そんな思いが渉の脳裏をチラチラとかすめ始めていた。
「富士は晴れたり日本晴れ――卒業式という門出が晴天とは、やはり日ごろの行いが良いからだな!」
卒業式の後、生物室に顔を出した藤木がそう言って笑顔を見せる。
「卒業式に桜の花が満開になるなんて異常気象よねぇ――入学式の頃には葉桜になってるだろうから、新入生たちが可哀想だわ」
藤木の言葉に応じる訳でもなく、静香がそう言って苦笑いを浮かべた。
生物室では先輩たちの送別会をしようと、香奈子がいつも以上の気合の入った料理を作り、学校に持参していた。
「香奈子さんの手料理を食べるのもこれが最後かと思うと、ちょっと寂しいわね」
実験台の上に並べられた香奈子の手料理を前に、華が感慨深げに呟きをもらす。
「ちらし寿司に唐揚げ、サラダにピザって、ちょっとしたパーティーですね」
大皿に盛りつけられた料理を見てあおいが目を丸くして香奈子を見る。
「先輩たちの追い出し会だから、お菓子以外のモノも食べて欲しくって」と香奈子がはにかみながら微笑んだ。
「女子の手料理なんてなかなか食べられないから、いつもありがとうな」
岡部がそう言って香奈子に礼を口にする。
生物部の部員が揃い、送別会の準備が整ったところで優子が乾杯の音頭を取る為に立ち上がった。
「御卒業おめでとうございます! 先輩たちの門出を祝して乾杯です!」
優子の言葉に合わせて、部員たちはジュースが入ったグラスを手に打ち鳴らして送別会が始まった。
「先輩たち、みんな制服の全部のボタン残ってますね~」
ピザを頬張りながらあおいがそう言って、欲しがる女子はいなかったのかと笑う。
「ボタンはお前たちの為に残しておいたんだ」
さらっとそんな事を言う藤木の言葉にあおいは爆笑して、静香は飲んでいた紅茶を吹き出した。
「ボタンは要らないんで、その白いコサージュなら貰ってあげてもいいですよ~」
優子が笑いながら卒業生の男子の胸に付けられたコサージュを指さす。
「これ? …おう、いいぞ」
そう言いながら藤木がコサージュのピンを外して差し出す。
「あ、いいな。私もコサージュ欲しい」
そう言いながら静香が洋司にコサージュを要求する。
「こんなのでいいならどうぞ」
洋司が笑いながらコサージュを手渡してると、岡部が「女の子って花好きだよな」と言うのを聞いて香奈子が「私は花より団子ですけど」と笑う。
「私もお団子の方がいいなぁ」
予想通りあおいも花より団子派だったので古谷が噴き出した。
和やかないつものメンツのいつものやり取りを聞いていた藤木が「お前たちなら、安心して後を任せられる」と感慨深そうに呟きを漏らす。
「次の部長は渉君がいるし、その後はあおいが引き継いでくれるだろうから、とりあえずは生物部は安泰です」と笑う優子の言葉を聞いた渉が、言いにくそうに「その事なんですけど…」とおもむろに口を開いた。
「?」
注目が集まる中渉は言葉を続ける。
「俺、生物部辞めようと思ってるんです」
「…え?」
予想もつかなかった渉の言葉に和やかだった場が一瞬にして凍り付く。
「何か嫌な事でもあった?」
心配そうに尋ねる優子に渉は「俺に部長は無理っす」と答えた。
「それが退部希望理由?」
戸惑うように優子が訊くと渉は黙って頷いた。
優子は少し考えた後、渉に「生物部に対する不満は?」と尋ねると渉は首を左右に振ってから、「部長なんて俺、やった事がないし…」と言葉を絞り出す。
「そんな事を気にしていたのか! 部長なんて誰にでも出来る事だぞ!」
「あんたはもうOBなんだから、ちょっと黙ってなさい」
藤木が不安を口にした渉に意見を言おうとしたのを静香が横から藤木を止めに入った。
「誰だって何でも初めての事だらけよ? 最初から何でもできる人なんていないと私は思うんだけど…」
幼い子供に言い聞かすように香奈子が渉を見る。
「それは判ってるんですけど…俺、無個性だから自信がないっす…」
その言葉を聞いて、一同顔を見合わせる。
「…えと、生物部の部長になるのは無理って話と、無個性だから自信が無いって話って別問題じゃない? 部長の仕事に関してやり方はちゃんと私が引き継ぎをして教えるし、そんなに難しい事ではないから藤木先輩の言葉じゃないけれど心配ないはずなんだけど」
いったん優子はそこで言葉を切ってから渉を見る。
「渉君は自分が無個性だから自信がないって言ってるけど、私の目の前にいるあなたは誰な訳? 鏡渉君じゃないの?」
「…」
「君は鏡渉っていうちゃんとした個性を持っているのに、どうして無個性だなんて思い込んでる訳?」
「俺に…個性?」
優子の意外な発言に渉は戸惑いの表情を浮かべた。
「私が認識している鏡渉君って人物は、ちょっとシャイで不器用なところもあるけど、正直で他人の話にちゃんと耳を傾けることが出来る思いやりのある男の子なんだけどな」
誰も自分の事など気にもかけてくれていないと思っていた渉であったが、優子が自分の事をちゃんと見ていてくれて好評価してくれた事に驚く。そんな渉の微妙な驚きの表情を読み取ったのか静香が「君、すごい勘違いしてない?」と言う。
「勘違い?」
「君が考えてる個性って、君の基準で人より変わっていたり、何かに秀でていて目立つ存在とかじゃない?」
静香の指摘通りだったので渉は黙って頷く。それを見て静香は「やっぱり…」と呟くと、「それが大きな勘違い」と言って苦笑いを浮かべた。
「生き物はみんな個性を持っているの――見た目も性格も癖もみんな違うでしょ? その違いが個性なんだけど、君が思っている個性ってのは、タンポポとひまわりを比べているようなもの」
――人間という大きなくくりでは同じかもしれないけれど、生まれた環境や経験が違うんだから、違って当たり前で、それを同列で比べるって事自体がおかしい事に気が付かなきゃと言って笑う。
「タンポポから見ればひまわりって同じ黄色い花を咲かせるけれど、自分より背も高くて花も大きくて目立つからいいなって思うかもしれないけれど、そのひまわりもひまわり畑の中にいればただのひまわりの一本でしかないし、森の中なら大木が立ち並ぶ所に生えるちっぽけな存在でしかないじゃない。視点や環境次第で相対的評価なんて変わるんだから、自分は自分なんだって開き直りが大切だと私は思ううんだけど?」
そんな静香の例えが判りにくいと思ったのか、優子が「個性ってさ、自分という人物の育成ゲームをしてるんだって考えたら、もっと自分のキャラに愛着が持てるようになるんじゃないかな?」と渉に言った。
「育成ゲーム?」
不思議そうに渉が首を傾げると、古谷が「ああ、個性ってのはゲームのパラメーターの違いみたいなもんやな」手を打った。
「パラメーター?」
「そや、RPGやシュミレーションなんかのゲームでHPとかMP、知力とかの数値を割り振れるやつや――最初はみんな決められた数値の中から好きなように数字を割り振って始めるけど、経験とかでどんどん違いが出てくるやん」
成長していくうちに体力特化タイプ、魔法特化タイプ、バランスタイプの様に違が出てくるが、その違い自体に良いも悪いもない。
「なるほど…私はお料理特化型。渉君はバランスタイプで今のところ特化能力が無いだけの話だけだから、その気になればこれから特化タイプに育成していく事も可能って訳ね」
香奈子の言葉を聞いて、渉は持ち続けていた劣等感は自分自身が作り出した狭い考えだった事を理解した。
「…なんか、ありがとうございます」
心の中のわだかまりの様なものがすっと無くなった様な気がして渉は頭を下げる。そんな渉をそれまで黙って話を聞いていたあおいが「じゃあ、もう退部したいって話は無しにするんですね」といってニコニコ顔になる。
「あ…はい、退部希望取り下げます」
渉が少しバツが悪そうな顔でそう言うと、全員から拍手が起こった。
「んじゃ、これからもよろしくね」
優子が笑顔で渉に手を差し出す。
その手を渉は握り返して優子と握手しながら、未熟な自分の悩みにも真剣に向き合ってくれる生物部の仲間達と出会って本当に良かったと、心の底から思う渉であった。
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しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
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