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第3章 生きるために稼ぐ
第23話 経営の危機と向き合う
しおりを挟む「汚れを落とせ奇跡の水流 家庭魔法 キャン・アントバクテリア(ジョイ)!!!」
店の大皿に強烈な水流が襲いかかり、その真ん中に綺麗な穴が開く。
「全ての食材の鮮度を保て、家庭魔法 アイスルーム(冷凍庫)!!」
食材が氷柱で覆われる。厚さ50cmの氷は人の手で壊せそうにない。
「家庭に蔓延る悪しき埃よ、立ち去るがいい。ノーチェンジバキューム(ダイソン)!!!」
店の中の備品がすべて浮いている。テーブル。椅子。etc… 。そしてそれが回転し、あっ。ガラスを突き破って全部外に出て行った。
「こんな感じよ!」
「どんな感じだ!」
ヨーコはドヤ顔でふんぞり返っている。マスターさんの言っていたことが良くわかる。彼女の魔法は家庭魔法の限界を多分超えているんだ。全ての魔法の火力が大きすぎる。
「それ、調整できないのか?火の魔法の時みたいに」
ショウは凄惨な部屋の掃除を始める。この際大掃除をするしかない。
「無理よ。火の家庭魔法は何年も使い続けてやっと調整効くようになったのに。全然使った事のない家庭魔法なんて調整できるわけがないでしょ?」
「当たり前のように言うなよ。出来ないなら努力しとけよ!」
「うーん。火の魔法だけでも、なんどこの店が炎上しかけたか分かんないんだけど。その度に借金も増えて・・・でもショウが言うなら他の魔法も練習してみようかな」
「今後店で火の魔法以外使用禁止な」
「ショウってマスターみたいな事言うのね。さすが私の旦那様♪」
多分マスターも同じことが起きて、同じように魔法を禁止したんだろう。
「あぁ家中ぐちゃぐちゃね。もう今日は仕事辞めてセッ〇スに勤しみますか」
多分マスターも同じような事を言われ続けて、逃げ出したんだろう。
「しないよ!掃除する。これを機に大掃除するの。ほらっヨーコも手伝う!」
「えぇぇ面倒くさいよぉぉぉぉ。快楽におぼれたいよおぉぉぉ!」
無視して部屋を掃除していく。僕が家庭魔法を使えるようになれば一番なのだが、魔法を覚えるという事は、もって生まれた才能におおきく左右されるらしい。帰ってきた日のことを思いだす。
討伐したゴブリンは32体。その内魂は29体分手に入れた。成果は7340イエンで上々だった。
ゴブリンの巣発見と駆除に伴うボーナスとやらも出る事になったので、その分1000イエンを使って詳細なステータスチェックをしてもらう事になった。
専用の部屋で占い師のような人と2人きりになる。彼女が叫ぶと魔力の光が空中に文字を描き出す。
名前 :カザハヤ・ショウ
種族 :人間(♂)既婚
所属 :食事処 カザハヤ
住所 :ピース王国南地区最西6-6
ニックネーム :ダーリン
誕生日 :278年12月24日
好きな食べ物 :スライム
ハマッているもの:セッ〇ス
今欲しいもの :自由
私の自慢 :実は異世界人
最近のニュース :ちょっと前まで自分を虫けらと呼んでいた
がんばってる事 :生きる為にプライドを捨て続ける事
犬派?猫派? :スライム派
趣味 :スライム殺し
童貞喪失年齢 :12歳と131日
処女喪失年齢 :12歳と133日
内緒の趣味 :スライムをお尻に入れること
身長 :155㎝
体重 :37kg
血液型 :2X
既往症:ストレス性胃炎
魔法資質 :2.1/10(一般中の下)
戦闘資質 :1.9/10(一般下の上)
Level :4
HP :88/93
MP :20/20
走力 :9(-3)
攻撃力 :5(+8)
守備力 :5(+12)
魔力 :7
知力 :49
器用さ :42
運 :2(危険)
次のレベルまであと130の経験値が必要です
魔法:覚えていません
Lvアップによって覚える魔法―なし
新特技:ゲテモノ調理 Lv.4
(どんな物でも調理をすることができるスキル。不味い部位を見分け、上手い部位を見抜く力。スキル所有者数約800人中770位)
補足 あと12体でLvがあがります
新特性:変態転がしLv.1
(真面ではない人間への負荷のない性的な対応が出来るようになる。レベルが上がるほど自身の変態度が増し、同じ穴の貉になる恐れがある)
補足あと3夜でLvがあがります
装備 錆びたナイフ
欠けた鎖かたびら
痛んだ皮の鎧
傷だらけの木の盾
ダボダボの他人の服
すぐ脱げそうな他人の靴
僕は鑑定者の彼女を見る。彼女は僕からさっと目を逸らす。
「けっ契約と制約によりっ、個人の情報を私が吹聴することはありません。しゅっ趣味は人それぞれですし、良いと思いますよ。はいっ」
おもっくそ変態を見る目でみられてるよぉぉぉおお!!詳細すぎるだろ!女子のプロフィール帳かよ!何で性に関する情報開示しまくってんだよ!ステータスってより性癖チェックじゃんかよぉ!ってかステータス低っ!レベルあがったのに低っ!なにこの魔法の資質って、平均以下じゃん。才能なんて微塵もないじゃん。戦闘に向いてないじゃん!!!運2って!そりゃないけどさ。数字で見せつけられちゃったよ!危険って出てるよ!!!
「あのっとにかくっ説明させていただきますね。後出来ればあまり近づかないでくださいね」
「めっさ警戒されてるぅぅぅ!!!」
地獄だった。もうツッコミ続けるしかなかった。取りあえず情報を出来るだけ非表示にしてもらった。
ギルドでの鑑定の結果僕の魔法の資質は10段階評価の2。一般人の中で言えば、中の下くらいの才能で、最初の魔法を覚えるまでに5~6年ほどの勉強と精神鍛錬が必要との事だった。12歳まで魔法の勉強をしたことがないのは稀なので最低でも5~6年で下手をするともっとかかるのでは?との事だった。ほんの少しの努力で最初の魔法を覚え、簡単な魔法を独自の解釈で極めて最強の魔法使いに、なんて言う考えは浅はかすぎた。
戦闘の資質は10段階評価、四捨五入での2.一般人で言えば下の上。向いていないの一言だそうだ。
器用さと知力はかなり高いので生産職に就くのが良いらしい。料理屋勤めは天職だとお墨付きをもらった。
それと運についてだが…お守りをもらった。
運はレベルでどうこうではなく常に乱高下するものらしい。今は取りあえず死なないのが不思議なレベルの運の弱さらしい。毎日が艱難辛苦に塗れ一瞬の平穏に幸せを感じるでしょう、と。
ちなみに以前計測したヨーコの魔法の資質は10段階評価の12だったらしい。測った時は何かの間違いだと当時のギルドで調査費を返金してもらえたとの事。たぶん間違えてないのだろう。僕の妻は規格外のようだ。
「でも勉強についていけずに本格的な魔法を覚えるのは諦めたのよね。なんかマスターにも止められたし」
彼女の危険性を認識したうえでだろう。感情の高ぶり次第で家庭魔法で火の鳥を作り出すなんて誰にもできそうにない。
あれから僕はほぼ一人で掃除をし続けている。ヨーコがやればやるほど物が壊れていくからだ。魔力も使っていないのに。
いても邪魔なのでスライムを調達してもらう事にした。
「一人は嫌だよぉおぉ」
「それとパン粉と卵と小麦粉も調達してほしい。塩も多めに。出来ればツケで頼む」
「パシリじゃーん。やだやだぁ。ここにいるぅ。ベッドいくぅ」
何て面倒くさい女だ。美人じゃなければボコボコにされてもおかしくない人間性をしている。しかし大丈夫だ。俺には特性 変態転がしがある。自分を信じろ。
「お使いがすんだらお酒を買ってもいい」
ガバッ
彼女が起き上がってこっちを見る
「鶏肉も買ってきてくれ、この間の唐揚げをまた作ろう」
「ほっほんとに?」
あら可愛い。いつもそうであってくれればいい物を
「あれは精力がつくからな。きっと夜も」
「行ってきまーす!!!」
ヨーコは凄い勢いで店から飛び出した。これでしばらく帰ってこないだろう。
それにして、飯と酒とセッ〇スで釣れるなんて中年男みたいな奴だ。
俺は部屋を見渡す。とにかく今は儲ける事だけを考えよう。まずはお店の内装を整える。予算を使わない宣伝、調理と接客マニュアル。マッコでのアルバイト経験が少しは生きるかもしれない。
「目指せチートだ!!!」
僕はモップで床をこすりながら、やる気をみなぎらせた。
ただ、店を開けるのは今日は無理そうだし、こうしている間にも借金が湯水のように増えているし、スライムを国民にだまして食わせなければいけないし、ヨーコをセッ〇スで釣った責任は取らなければいけない。
モップの動きが少しだけ遅くなった。
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