転生スライム食堂～チートになれなかった僕の普通に激動な人生～

第３章 生きるために稼ぐ

第28話 どうしようもない現実と向き合う

最高の舞台は整った。

もはやここにはモブ美の協力者しかいない。

ただ気になるのは全員が変なテンションでいるという事だ…

窪地にある小屋の前、話は伝わったようで、バッドはモブ美を押さえつけている。小屋の後ろに微かながらヨーコが見える。彼女も覚悟を決めたらしい。

バッドがこっちに向かってウインクをしている。俺は頷く。さぁ、スタートだ！

「おぅおぅおぅっお前ら2人動くんじゃネェ！こちらには、あっ人質があぁいるんでネぃ！少しでも妙なマネしたら、あっぶったぁ切るかもネぇぇぇ！」

ワース！歌舞伎か！演技が濃いいっ！！！もっとナチュラルに！！！

「くっ姉上が捕まっているっす！うかつに近づけないっす！！」

「モブモブ、助けろボケェ、じゃない助けて！あっ普通にモブモブに話しかけちゃった。懐かしい。そして恥ずかしい！！」

感情が言葉に出過ぎですモブ美さん！！

「おっオット、コノオンナノ命が、欲しケレバ、金をようじ」

いきなり緊張しすぎだよバッドー！

「えっ金をようじっダメだ違う。用意、言えた。イケる用事、また用事って言っちゃった。かにぇ、金をかにぇって言っちゃった。何だこれ、思い出せ、劇団員だったあの頃を思い出せぇ！！」

噛み過ぎだよ！！知らねぇよお前の過去、意識しすぎなんだよ劇団員だったって事を、あれか、兄弟で入ってたのか？だから弟こんなに演技が濃いのか？

「あっ金だぁぁ金額は1000万ｲｴﾝ、耳を揃えてぇ用意いなけりゃぁモブ美の命は・・・・・ﾄﾝﾄﾝﾄﾝﾄﾝﾄﾝあっ無ぇぇえぇぇぇ！」

ワース舞台を所狭しと使わない！！！あと何だよ1000万って、アドリブが過ぎるよ！

「おいっどうする、モブモブ、1000万ｲｴﾝなんて払える訳がない！！これはもう無理やり戦うしかないぞ！！」

「いいや待つっす！命がお金で解決するなそれが一番っす！！」

モブモブはズボンの中に手を入れ赤ふんどしの中から何かを出す

「これを持って行くっす！パパから兵士になった時に渡された真紅のダイヤモンドっす。王族でもそんなに持ってるものではないっす！価値として2000万ｲｴﾝはくだらないっす！！」

何凄いの持ってるのモブモブぅ！！！そしてどこから出してるのぉぉぉ！！お坊ちゃまだったのねぇぇぇ！！

「えっあっあのっほんとネ？それがあれば、子供たちが皆助かるのネ。もう涙を拭いてあげるしか出来ない日々とおさらば出来るのネ！」

揺れるなぁ、確かにそうだけど今は違うからぁ！いい話ではあるんだけどぉ！！！

「用意！用意！あ、え、い、う、え、お、あ、用意！よしいける用事！あぁ何でだこれじゃああの時と一緒じゃないか！」

バッドは黙ってぇ！！！なに昔舞台で何があったの！？どんなトラウマと闘ってるの！？今じゃないよぉ！

「モブモブったら人前でこっ股間に手を！！！はっ鼻血がっ」

「さぁこれは渡すッす！人質と交換っす！！！」

どうすんだよっこの状況。えっあの後ろの奴

「がっガオっ！？？？？」

ヨーコがドラゴンで出るタイミング測れなくて困ってるぅ！！！そんな悲しそうな目しないで、ドラゴンが家の陰からチラチラ見ないでっ！！

「未だ隙ありっす！！！」

モブモブまさかのファインプレー！！！宝石あげずに突進したぁ！２人を吹っ飛ばしたぁ！

「馬鹿め！金は世界で一番大事っす！この宝石を渡すわけがないっす！」

「台無しだぁぁぁ！！台無しのコメントだよぉぉぉ！」

思わず声に出してしまった。

「「あっあのっどのタイミングで出ればいいかな？」」

「「ナイス！！ヨーコこのタイミングでのテレパスナイスだ！！愛してる」」

「「あっありがとう。ショウが褒めてくれるなんて私嬉しい！！」」

「「いいか、出て行ったらモブモブを攻撃だ、あっ本気で痛めつけるなよ、あくまで見せかけ、見せかけでいいんだからな。」」

「「任せてダーリン！！！私がこの状況を救うメシアになる！！！」」

『ギャオーーーーーゥ！！！！！』

「何て巨大なドラゴンっす！なんでこんな所に、あぁそういえばこの窪地！ドラゴンの巣にそっくりっす！！！しまったっす！！！命の危機っす！！！！！」

ナイス勝手な状況判断！！ドラゴン完璧に信じ込んだぞぉ！！！にしてもヨーコのドラゴン姿、でかいぃ！！！

『ギャオオゥ。ギャオォォゥ！！！』
（行くわよ。即席化粧魔法で、最高のドラゴンの炎を再現！！！）

「これはっ伝説の蒼の炎っす！やばいっす勝てる訳ないっす！むかってくるっすぅ！！！」

バタンッッッ

「えっ？」「ギャオ？」「えっ？」

・・・・・・・モブモブが、気絶しました。あっ、漏らしてる。さっき、途中だったもんね。どうしよう。全部終わった。そう、全部終わってしまった。