転生スライム食堂~チートになれなかった僕の普通に激動な人生~

あんずじゃむ

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第3章 生きるために稼ぐ

第30話 自分に近いものと向き合う

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7mは超える白い龍。その体は、所々が金色かがっており、体つきは滑らか。巨大な翼は天使の羽にも近く、近年稀にみる美形のドラゴンです。

一方こちらは古代竜・竜王ジュニアさん。10mを超える巨躯、ゴツゴツした体は刺々しい固い鱗に覆われている、6つに分かれた角は禍々しく、2つに分かれた尾。このドラゴンがドラゴンの中でさえ異質な事が、知識のない人でも分かってしまいます。そんな竜王ジュニア君、彼は今、初めての恋をしています

竜王様による抑圧された生活、良い子ちゃんと周りから揶揄された幼少期、年齢が上がるにつれてこの生活から逃げ出したい、外の世界を見たいなんて、思うようになりました。王様に内緒で禁断の時空転移魔法。初めて使う魔法は異常な光に包まれました。それでもなんとか人間界に出てくることに成功。体を透明にするミラージュ魔法で世界を飛び回る毎日。そんな中で一瞬見えた白い龍。小さな小さなその竜にジュニア君、興味を持ったようです。

近くの窪地に巣を作り、彼女を探す事2日、ついに憧れのあの子を見つけました。思っていたよりも大きかったんだなというのが最初の感想、すると、胸のドキドキが止まりません。でもこのくらいの方が並んで飛ぶときバランスがいいかもなんて、妄想に胸を膨らませています。

どうやらジュニア君初めて恋に落ちてしまったようです。

何故下等な人間などといるのかは分かりませんが、恋するジュニアはそんなこと気にしません。勇気を出して彼女に話しかける事にしました。

しかし、あららジュニア君、恥ずかしがって体をクネクネさせているぞ。竜の国ではいつも一人だったジュニア君はお話をするのが苦手です。いつも一人、本を読んでは妄想に花を咲かせ、一人部屋で筋トレをしていたタイプです。最強の遺伝子をもつドラゴンも、恋した女の子には、敵わないようですね。

さぁ、でもでも、時間は待ってくれません。女の子を待たせるなんて、そんなの男じゃないぞー♪がんばれジュニア君♪


「「えっと、ショウ、つまりこの不気味な竜は、私に恋をしているという事なの?」」

「「間違いない。あの感じ、強引にイケない、そして女の子との関わりが極端に少ないタイプの思春期男子に酷似している。まぁ度を超えている気がするが」」

「「どうしよう。私ドラゴンにレ〇プされちゃうのかな!?つがいにされちゃうのかな?」」

「「怯えるなヨーコ。あの感じだと、アイツの限界は手をつなぐってレベルだ。そんな大それたことを童貞男子に出来るはずがない!!」」

「「でも、手をつなごうにもこれ幻覚だよ?バレたらどうなるか」」

「「あぁ、絶望して地団太踏みかねない。踏めば僕達は間違いなく終わる・・・そうだ!!ヨーコ、テレパスは竜にも通じるか?」」

「「あっどうだろう。モンスターには通じないし亜種のドラゴンにも無理だけど、人を超える知能を持った古代種なら、可能かもしれない!」」

「「よし、アドバイスはする。あの中二病童貞を巧く転がして帰ってもらうように仕向けるぞ、これが唯一の選択肢だ」」

「「そんな事が可能なの!?あぁあいつのあの行動、ろくに女と話したことがない感じ、それでも飛び出してきたのはシュミレーションはばっちりだという根拠のない自信があったんだろう。あの手のタイプは…ちょろい!!!」」

「「わかった。やってみる!私の台詞は全部ショウが考えて!それと、その、また守ってくれてありがとう。それに、さっきの言葉…///」」

「「よし、それじゃあ作戦開始だ!」」

僕は照れ隠しの為に聞こえていないふりをした。作戦は間違いなく成功する。そもそもあいつは僕に似ている。可愛い子に求愛されても素直になれない僕に、中高、女の子と話した記憶もあまりない僕に、大丈夫。僕にはあいつが言われたい台詞も言われたくない台詞も、大体わかる!!!
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