五が丘の女探偵

姉川ゆきね

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探偵のクリスマスプレゼント

② 五が丘セントラルホテル

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 希杏はエントランスカウンターで、
「予約した竹井です」
と言うと、きれいなネックレスをつけた受付嬢が「少々お待ちください」と、書類を調べ始めた。「竹井希杏さまですね。302号室になります。こちらがルームキーでございます」
 受付嬢は希杏に302と書かれたカードを渡した。
「メガネ探偵、俺は先に部屋に行ってるぞ」
 根津は宿泊の手続きを終えたようで、エレベーターの方に歩いている。
「何かありましたら、こちらの方までご連絡ください。では、ごゆっくり」
 受付嬢はマニュアル通り頭を下げ、希杏も根津に少し遅れてエレベーターの方に歩いていった。
 希杏は部屋に入るとすぐに荷物を置いて、スプリングを確かめるようにベッドに座った。
 部屋には人ひとり通れるほどの間を開けてシングルベッドが二つ並べてある。そして、ベッドの正面には小さいテレビがある。部屋の奥には大きな窓があって、そこから外が見える位置にソファとテーブルが置いてある。決して広いとは言えないが、快適な部屋だ。
 壁にかかった五時を指している。忙しかった一日の中でやっと訪れた休息が始まろうとしていたとき、優しくドアをノックする音が聞こえた。
「はーい」
 希杏はドアの覗き穴から来客の姿を確認した。どうやらノックしたのはホテルの女性スタッフのようだ。
「はい」
 希杏はドアを開けた。
 すると、そのスタッフは少し驚いた顔をして、
「あの、こちらに園城真佑美そのしろまゆみさまはいらっしゃいませんか?」
「いいえ。いませんけど・・・・・・」
「そうですか・・・。お休みのところ申し訳ございませんでした。失礼します」
 そのスタッフは微かに慌てた様子を見せながら頭を下げ、廊下に戻っていった。
 何だったのかしら、とゆっくりドアを閉めようとすると、希杏は廊下にペンが落ちているのを見つけて、彼女はドアを開けてそれを拾った。
 さっきのスタッフに渡そうと思ったが、彼女はもういなくなっていたからかなわなかった。
 希杏は部屋に戻ってペンをじっくり観察することにした。
    ペンには『Haruka, S』という文字が金色で彫ってある。
 これのことは明日でいいや、と希杏はペンを制服のジャケットのポケットに入れた。
 そして、竹井は食事をしたあとで今日は普段よりも早く二二時に就寝した。
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