五が丘の女探偵

姉川ゆきね

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探偵のクリスマスプレゼント

⑥ 妻の証言

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 真佑美の部屋は事件現場である302号室の二つ上の階にある622号室である。
「失礼します」
 希杏と根津が彼女の622号室に入ると、中には女性刑事の横で肩をひくひくさせながら泣いている女性がいた。
「園城真佑美さんですか?」
「ええ」
 真佑美は顔を上げて希杏を見た。
「あなたは……?」
 真佑美は赤い捜査員の腕章をつけた根津と一緒に来た女子高校生の希杏に疑問を抱いたようだ。
「えっと……そうですね……」
 探偵は人に隠れて仕事をすることが多いため、不用意に自分の職業を明かすことができない。それで希杏は返答に困っているのだ。
    すると根津が、「彼女は第一発見者です」と、言って助けてくれた。被害者の近親者の前であったため、遺体という言葉は慎んだらしい。
「最初に夫を見つけたのが女子高校生ってことは聞いていたけど、こんな普通の女の子だったなんて……ずいぶん怖かったでしょう?」
「ええ」
    朝起きてすぐにあんな状況におかれたら、怖くないはずがない。
「――でも、私は第一発見者として犯人を見つけたいんです。だから、捜査に協力しています」
 怖いからといって、仕事をしないというのは希杏の探偵としてのプライドが許さなかった。
 希杏は早速、彼女へ質問を投げた。
「弘樹さんはどんな方でしたか?」
「家では優しい夫だったわ。実は今夜、クリスマスだしおしゃれな所で食事しようって誘ってくらいよ。それに経営者としても社員からよく尊敬されていたわ」
「弘樹さんをよく思っていない人とかいらっしゃいませんでした?」
「聞いたことないわ」
「そうですか……」
 希杏が手がかりはなしか、と残念に思っていたとき、真佑美が何かを思い出したように声を上げた。
「そういえば、最近夫の様子が変だったわ」
「変とはどのように?」
「私に隠れてこそこそどこかに電話をかけていたの。きっと愛人だわ」
「どうしてそう思うんですか?」
「はっきりとは聞こえなかったけど、女の人の名前を呼んでいたの。このホテルに勤めてるとかも聞いたかしら」
「ふむふむ・・・・・・申し訳ないんですけど、愛人は何人かわかりますか?」
 妻に夫の愛人について聞くのはタブーな気もしたが、聞かないと前に進めない。
「二人いるわ。私は二種類の名前を聞いたの」
 真佑美は悲しそうな顔をした。
「わかりました。ありがとうございました」
 希杏は彼女のそんな顔を見て、これ以上、話を聞くことはできなかった。
 希杏は根津にもう行くわ、と声をかけて真佑美の部屋を出た。
「次はどこに行くんだ?」
 次の目的は真佑美に話を聞いた時点でもう決まっている。
「被害者の愛人を探すわ」
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