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明治維新編10 大阪会議
大阪会議(4)
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馨は着替えをしに、荷物をおいている定宿に戻り、またでかけていった。
そして陸奥とかかれた表札の家に入っていった。
「陸奥くん、すまん、井上じゃ」
夫人が出迎え、書斎に案内していった。
「あぁ、井上さん。お久しぶりです。そちらにお座りください」
「木戸さんにはお世話になって、ご相談にもあずかったのに、結局大蔵省をやめてしまいました」
陸奥の心情を考えると、当然かと馨は思った。この男が自分の上に就くことを認めた人物など桂さん以外いないのではないかと思った。俊輔や自分ですら上司だという信頼を置いたことがあるのだろうか。
「それでも、わしが止めていた金納を、やり遂げておったではないか。素晴らしいものじゃ」
「井上さんの会社も、なかなかおもしろいことをおやりだ。米をイギリスに売ったかと思えば、今度は銃器の輸入、手広くおやりですな」
陸奥がほめてくるとは思わなかったので、くすぐったくなった馨は話題を変えようと思った。
「そげなことはええんじゃ。本題に入るぞ」
「なんなりと」
「陸奥くん、おぬしは土佐の民権派ともつながりがあろう。先程出された民撰議院設立建白書に、名を連ねた者に会ってみたいと思っての」
「井上さんが民権派とお会いになるとは。なにか面白いことでもありますか」
「そげなことはわからん。ただ民権派のイギリス帰りという小室信夫、古沢滋の二人にあってみたいんじゃ」
陸奥はゆっくり目を閉じて、ゆっくり開けた後言った。鋭く目が輝いた気がした。
「わかりました。その二人ならば大丈夫です。引き合わせることできます。ただし条件が」
「条件?」
「私もその企みに参画させてください」
「まだ、なにも企んどらんよ」
馨はニコニコと笑って見せた。そんな馨を陸奥の鋭い目がにらむわけでなく、しっかりと見つめていた。
「まだ、ですね。楽しみにしてます」
「商売ですか、坂本さんを思い出します」
「坂本龍馬か」
「そうです。私は坂本さんのもとで活動してましたから」
「直接は会ったことはないが、四境戦争の前色々と、骨折りいただいたのは忘れられんの」
「そうでしたか」
ふたりは庭を眺めなら、思いを馳せていた。あの動乱の頃駆けずり回った人たちの多くは、新しい世を見ることなく死んでいった。
「長くなってすまんの。それでは連絡をまってええんじゃな。今は横浜の此処じゃ」
「はい、たしかに」
「これにて、帰るとするか」
馨は陸奥の家を後にした。
横浜の家から、銀座のレンガ街のビルの事務所に、出勤する日が続いていた。自分で計画した街のビルを、買うことになるとはと考えると愉快だった。
「日本にはなじまないと言われたが、結構ええじゃないか」
それを余り言うと、事務員たちにうるさがられるので控えていた。机の上は米の相場の表や金銀の海外のレート、たくさんの表と数字に囲まれていた。
「井上さん、アーウィンからの文です」
そう言いながら、益田が飛び込んできた。
「イギリスの羊毛製品のブランケットを、日本に卸す代理店をやってほしいとのこと。これを受けようと思ってます。いいですね」
「ええんじゃないか。これからの国内の不安を思えば、軍に売り込めそうじゃ」
書類箱の文を見ながら、馨が答えていた。その一つを開けたとき遠い目をしてぼそっと言った。
「益田、7日後大阪に行くことにした。よろしゅう頼む」
陸奥からの文だった。7日後、小室信夫と古沢繁が大阪に向かうため船に乗るというのだ。その便名も書いてあり、同じ船に乗ろうと決めた。木戸さんにも会いに行けるし、申し分ないと思った。
その前日は大久保が条約を締結して、帰国の日でもある。
案の定横浜の港に顔を出すと、政府の役人たちがうようよ居た。そんな中から、馨は俊輔を見つけていた。
「あぁ俊輔おったか」
「俊輔おったか、じゃないだろう。先日の茶屋代僕が持つと」
「まぁええじゃないか。久しぶりに思いっきり楽しめたんじゃ」
「あれが大久保さんの船か」
「ブリッジが降ろされたから、じきに出てくる」
「大久保さん出てきたの」
「大久保さんお疲れさまでした」
博文と大久保が握手した。そして大久保はその隣りにいる馨に気がついた。
「これは、井上くん。迎えに来てくれるとは」
「お疲れさまでした」
そう言って、二人は握手をした。
大久保が視野から消えると、馨はボソッと呟いていた。
「いい気なもんじゃ。50万両もらうのにいくらかけたことだか」
博文はこの二人は、まだまだ遠い存在だと気がついた。大久保と木戸だけではなかった。
「あぁ俊輔。わしは明日から大阪じゃ。朝早いからこのまま港近くの宿でねる」
「わかった。また会おう」
そして陸奥とかかれた表札の家に入っていった。
「陸奥くん、すまん、井上じゃ」
夫人が出迎え、書斎に案内していった。
「あぁ、井上さん。お久しぶりです。そちらにお座りください」
「木戸さんにはお世話になって、ご相談にもあずかったのに、結局大蔵省をやめてしまいました」
陸奥の心情を考えると、当然かと馨は思った。この男が自分の上に就くことを認めた人物など桂さん以外いないのではないかと思った。俊輔や自分ですら上司だという信頼を置いたことがあるのだろうか。
「それでも、わしが止めていた金納を、やり遂げておったではないか。素晴らしいものじゃ」
「井上さんの会社も、なかなかおもしろいことをおやりだ。米をイギリスに売ったかと思えば、今度は銃器の輸入、手広くおやりですな」
陸奥がほめてくるとは思わなかったので、くすぐったくなった馨は話題を変えようと思った。
「そげなことはええんじゃ。本題に入るぞ」
「なんなりと」
「陸奥くん、おぬしは土佐の民権派ともつながりがあろう。先程出された民撰議院設立建白書に、名を連ねた者に会ってみたいと思っての」
「井上さんが民権派とお会いになるとは。なにか面白いことでもありますか」
「そげなことはわからん。ただ民権派のイギリス帰りという小室信夫、古沢滋の二人にあってみたいんじゃ」
陸奥はゆっくり目を閉じて、ゆっくり開けた後言った。鋭く目が輝いた気がした。
「わかりました。その二人ならば大丈夫です。引き合わせることできます。ただし条件が」
「条件?」
「私もその企みに参画させてください」
「まだ、なにも企んどらんよ」
馨はニコニコと笑って見せた。そんな馨を陸奥の鋭い目がにらむわけでなく、しっかりと見つめていた。
「まだ、ですね。楽しみにしてます」
「商売ですか、坂本さんを思い出します」
「坂本龍馬か」
「そうです。私は坂本さんのもとで活動してましたから」
「直接は会ったことはないが、四境戦争の前色々と、骨折りいただいたのは忘れられんの」
「そうでしたか」
ふたりは庭を眺めなら、思いを馳せていた。あの動乱の頃駆けずり回った人たちの多くは、新しい世を見ることなく死んでいった。
「長くなってすまんの。それでは連絡をまってええんじゃな。今は横浜の此処じゃ」
「はい、たしかに」
「これにて、帰るとするか」
馨は陸奥の家を後にした。
横浜の家から、銀座のレンガ街のビルの事務所に、出勤する日が続いていた。自分で計画した街のビルを、買うことになるとはと考えると愉快だった。
「日本にはなじまないと言われたが、結構ええじゃないか」
それを余り言うと、事務員たちにうるさがられるので控えていた。机の上は米の相場の表や金銀の海外のレート、たくさんの表と数字に囲まれていた。
「井上さん、アーウィンからの文です」
そう言いながら、益田が飛び込んできた。
「イギリスの羊毛製品のブランケットを、日本に卸す代理店をやってほしいとのこと。これを受けようと思ってます。いいですね」
「ええんじゃないか。これからの国内の不安を思えば、軍に売り込めそうじゃ」
書類箱の文を見ながら、馨が答えていた。その一つを開けたとき遠い目をしてぼそっと言った。
「益田、7日後大阪に行くことにした。よろしゅう頼む」
陸奥からの文だった。7日後、小室信夫と古沢繁が大阪に向かうため船に乗るというのだ。その便名も書いてあり、同じ船に乗ろうと決めた。木戸さんにも会いに行けるし、申し分ないと思った。
その前日は大久保が条約を締結して、帰国の日でもある。
案の定横浜の港に顔を出すと、政府の役人たちがうようよ居た。そんな中から、馨は俊輔を見つけていた。
「あぁ俊輔おったか」
「俊輔おったか、じゃないだろう。先日の茶屋代僕が持つと」
「まぁええじゃないか。久しぶりに思いっきり楽しめたんじゃ」
「あれが大久保さんの船か」
「ブリッジが降ろされたから、じきに出てくる」
「大久保さん出てきたの」
「大久保さんお疲れさまでした」
博文と大久保が握手した。そして大久保はその隣りにいる馨に気がついた。
「これは、井上くん。迎えに来てくれるとは」
「お疲れさまでした」
そう言って、二人は握手をした。
大久保が視野から消えると、馨はボソッと呟いていた。
「いい気なもんじゃ。50万両もらうのにいくらかけたことだか」
博文はこの二人は、まだまだ遠い存在だと気がついた。大久保と木戸だけではなかった。
「あぁ俊輔。わしは明日から大阪じゃ。朝早いからこのまま港近くの宿でねる」
「わかった。また会おう」
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