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明治維新編12 成功の報酬
成功の報酬(3)
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木戸の洋行の問題については、馨は三条公と大久保にもあって問題ないとの感触を得ていた。
木戸とも話し合わねばならぬことが多いので早速会いに行った。
「木戸さん、体の具合はどうですか」
馨はあまり顔色の良くない木戸を心配していた。
「あぁ聞多。いまはだいぶ良い」
「帝のご臨幸賜られたのお聞きしました。おめでとうございます」
帝が木戸のもとを訪れ、励ましたというとてもありがたい出来事を馨は話題にしてみた。これほどの事、思い出せば元気も出てくるだろう。
「おぅそうだったのだ。恐れ多いことに染井の別荘にてお出ましいただいだ。私も思い残すことはない」
しかし、木戸から出た思い残すことはないという言葉に引っかかった。
「そのようなこと、まだまだやらねばならないことが多くあるはずじゃ」
「そうは言っても、卿・参議の分離すら叶わず、参議を辞めて内閣顧問などよくわからん役職だ」
「そんなに急いで改革を進めるべきではないと、よく言っておったじゃないですか。焦っては駄目なのじゃないですか。木戸さんの一条、しっかりやってください」
「聞多には言われとうない言葉じゃ」
「それはわしに失礼じゃ」
ふてくされた馨を見て、木戸は笑った。それを見て馨も笑った。
「それで、洋行の話なんじゃが。三条公と大久保さんにお会いしてきた。どちらもわかったとは言ってくれておる。ですが、わしはこれから30日の賜暇をいただいて、山口に帰ることになっとる。その間に俊輔と弥二郎につなぎになってもらって、岩倉公や三条公と大久保さんに、しっかりと話を通して了承を貰う必要があると思うんじゃ。木戸さんの方でも動いてくれんと真剣度が伝わらん。ぜひともお願いしたい」
「わかった」
「あとは、体力を作るには運動じゃ。散歩がええと思うんじゃ。木戸さんも散歩を日課にしたほうがええ」
「聞多のやりように合わせたら、逆に体に悪い。のんびりやることにする」
「それでは、あまり長居も良くないでしょうから。帰ります」
馨が部屋を出ようとした時、木戸は不意に思い悩んだ風に言った。
「私は君の親友とはいえ、頼むことはできない。弥二郎で駄目だったら今回は運がなかったと諦める。冬に機会があればその時まで待つことにした。できれば聞多が帰ってきてから、君に最後のひと押しをやってほしい」
「えっ」
閉じてしまった扉の前で、戻ることもできないまま家に帰り、木戸と俊輔に文を書いた。
木戸にはもちろん俊輔を頼って、洋行の話を進めること。多少の政治上の考えの違いは脇において、友情を取り戻して欲しいと願った。
俊輔には木戸さんときちんと話をして、友情を取り戻して、この洋行について、協力をして欲しいと書いた。疎遠というわけでもなく、やり取りは自分よりもやっているはずなのに、木戸さんは時々俊輔に頑なになる。俊輔が意地を張らないよう、気をつけるしか無いかと考えた。
馨は墓参を名目に、山口に帰郷した。山口では墓参りをし、県庁にも顔を出した。県令の辞任もあって混乱している協同会社の代表に、千収社の清算後山口に戻る事になっている吉富簡一を就任させることで、木戸さんと話をしていることを伝えた。
萩に行くことについては、前原一誠の偵察に行くようで気が引けた。しかし、末子の同行の事もあって、約束していた小沢の姉の家に向かった。
「姉上、義兄上、お久しぶりです」
「これは、馨さん、よう来てくれました」
「申し訳ないです。3日ほどお世話になります」
「朝鮮との交渉ではご活躍で、再任官もされて、ご立派なものでじゃの」
「いや、義兄上、やらねばならぬことを、やっただけのことじゃ」
「それで、萩にはどのようなご用事で来なさったのかの」
「この度3年間の洋行を申し付けられての、末子も連れていくことになりました。そのご報告に。それに、萩は久しぶりじゃ。少し明倫館など見ておこうと思っての」
「明倫館ですか」
義兄はしばらく考えていた。
「馨さんは、お一人で行かんほうがええと思います。気の立った若いもんが多く居るんじゃ。気をつけてください」
それでも着物と袴姿ならば大丈夫だと、萩のお城や明倫館のあたり、前原一誠の家の近くを歩いてみた。たしかに、血の気の多そうな者が、出入りをしていて緊張感があった。
馨は前原一誠に会って話をしたいと文を出したが、会うことはできなかった。今から前原を萩から離す手段をと考えたが、本人が拒否するのは決まっていると思うしかなかった。
「武士というものは、いつまでも変わることができないのか」
いつまでも刀を差し、髷を結って、肩を怒らせて、歩いている男たちにむかつきを覚えていた。
「変わらねば滅びるしか無いのじゃな」
懐かしい茶店で団子を食べ、周りを見ながら一人で考えていた。
小沢の家に帰り義兄にだけは言った。
「明倫館の前まで行ったのじゃが。僕は入ることができんだった。思った以上に我が身が可愛いらしい」
義兄は驚いたようだったが、そのまま聞き流してくれた。
「姉上、あまり酒はいらん。明日は下関に向かい、船で東京に帰るんじゃ」
横浜の家についた馨は、荷造りの進展が良くないことに気がついていた。
「武さん、箪笥のきものをまとめておくはずじゃなかったのか」
「あぁ申し訳ございません。選ぶのに時間がかかってしまって」
「ミス・ブラウンの件はどうじゃった」
「お言いつけどおりお末と行ってまいりました。一度手直しに来るように言われていますので、そのときはお前様もご一緒に」
「そうじゃな」
三人でミス・ブラウンの仕立物店に行き、武子と末子の手直しを確認して、出来上がったものをイギリスに送る手続きをした。
馨についても、良い反物があったので、和服を仕立ててもらうことにした。これで、イギリスに送る荷物の準備はほぼできてきていた。
木戸の洋行と心配事を少しでも減らしたいと考えた馨は、俊輔とまず話をすることにした。
「聞多、準備は順調か」
「あぁ。ほぼできたぞ。そろそろイギリスに送ろうと思っちょる」
「俊輔にお願いしとった、三条公や岩倉公、大久保さんへの根回しはどうじゃ」
「あぁ。了承は取れとる。大丈夫じゃ」
「それと、木戸さんとのことじゃが。小さな行き違いはあっても、昔のように支えて欲しいんじゃ」
「俊輔、木戸さんからこの件改めて、調整してほしいとか言われたか」
「うん。あった。それで、良い報告がしたくて話をしにいったぞ」
「そうか」
「聞多、他に気がかりでも…。山口の状況か」
「そうじゃ。萩にも行った。前原さんには会えんかった。いや、真剣に会おうとはできんかった」
「そうじゃったか。前にも監察が入って、血の気の多い連中をそばに置いているようだったので、注意をしたこともあったんじゃ」
「そうだったのか。問題が増える一方じゃの」
「あぁ。大久保さんも頭を痛めちょる」
博文は思わず、洋行なんて止めろ、と言いそうになるところをこらえた。
「大久保さんは内務卿だ。お役目を果たしてもらわんとな」
「聞多は遊学って何をするんだ」
博文はきちんとは聞いていなかったとおもった。馨も博文にはわかってもらって、木戸の洋行の後押しをまたしてもらわないと、と考えた。
「そうじゃ。ロンドンのエコノミストの家に下宿して、ポリティカル・エコノミーなどを学ぼうと思っとる。本をたくさん読むつもりじゃ。で、武さんやお末にも英語やマナーを学ばせて立派なレディにするんじゃ」
「随分、壮大な話だ」
外交をするには、女性同士のつながりも必要だと考えていた。そういう社交術
wo題については、馨は三条公と大久保にもあって問題ないとの感触を得ていた。
木戸とも話し合わねばならぬことが多いので早速会いに行った。
「木戸さん、体の具合はどうですか」
馨はあまり顔色の良くない木戸を心配していた。
「あぁ聞多。いまはだいぶ良い」
「帝のご臨幸賜られたのお聞きしました。おめでとうございます」
帝が木戸のもとを訪れ、励ましたというとてもありがたい出来事を馨は話題にしてみた。これほどの事、思い出せば元気も出てくるだろう。
「おぅそうだったのだ。恐れ多いことに染井の別荘にてお出ましいただいだ。私も思い残すことはない」
しかし、木戸から出た思い残すことはないという言葉に引っかかった。
「そのようなこと、まだまだやらねばならないことが多くあるはずじゃ」
「そうは言っても、卿・参議の分離すら叶わず、参議を辞めて内閣顧問などよくわからん役職だ」
「そんなに急いで改革を進めるべきではないと、よく言っておったじゃないですか。焦っては駄目なのじゃないですか。木戸さんの一条、しっかりやってください」
「聞多には言われとうない言葉じゃ」
「それはわしに失礼じゃ」
ふてくされた馨を見て、木戸は笑った。それを見て馨も笑った。
「それで、洋行の話なんじゃが。三条公と大久保さんにお会いしてきた。どちらもわかったとは言ってくれておる。ですが、わしはこれから30日の賜暇をいただいて、山口に帰ることになっとる。その間に俊輔と弥二郎につなぎになってもらって、岩倉公や三条公と大久保さんに、しっかりと話を通して了承を貰う必要があると思うんじゃ。木戸さんの方でも動いてくれんと真剣度が伝わらん。ぜひともお願いしたい」
「わかった」
「あとは、体力を作るには運動じゃ。散歩がええと思うんじゃ。木戸さんも散歩を日課にしたほうがええ」
「聞多のやりように合わせたら、逆に体に悪い。のんびりやることにする」
「それでは、あまり長居も良くないでしょうから。帰ります」
馨が部屋を出ようとした時、木戸は不意に思い悩んだ風に言った。
「私は君の親友とはいえ、頼むことはできない。弥二郎で駄目だったら今回は運がなかったと諦める。冬に機会があればその時まで待つことにした。できれば聞多が帰ってきてから、君に最後のひと押しをやってほしい」
「えっ」
閉じてしまった扉の前で、戻ることもできないまま家に帰り、木戸と俊輔に文を書いた。
木戸にはもちろん俊輔を頼って、洋行の話を進めること。多少の政治上の考えの違いは脇において、友情を取り戻して欲しいと願った。
俊輔には木戸さんときちんと話をして、友情を取り戻して、この洋行について、協力をして欲しいと書いた。疎遠というわけでもなく、やり取りは自分よりもやっているはずなのに、木戸さんは時々俊輔に頑なになる。俊輔が意地を張らないよう、気をつけるしか無いかと考えた。
馨は墓参を名目に、山口に帰郷した。山口では墓参りをし、県庁にも顔を出した。県令の辞任もあって混乱している協同会社の代表に、千収社の清算後山口に戻る事になっている吉富簡一を就任させることで、木戸さんと話をしていることを伝えた。
萩に行くことについては、前原一誠の偵察に行くようで気が引けた。しかし、末子の同行の事もあって、約束していた小沢の姉の家に向かった。
「姉上、義兄上、お久しぶりです」
「これは、馨さん、よう来てくれました」
「申し訳ないです。3日ほどお世話になります」
「朝鮮との交渉ではご活躍で、再任官もされて、ご立派なものでじゃの」
「いや、義兄上、やらねばならぬことを、やっただけのことじゃ」
「それで、萩にはどのようなご用事で来なさったのかの」
「この度3年間の洋行を申し付けられての、末子も連れていくことになりました。そのご報告に。それに、萩は久しぶりじゃ。少し明倫館など見ておこうと思っての」
「明倫館ですか」
義兄はしばらく考えていた。
「馨さんは、お一人で行かんほうがええと思います。気の立った若いもんが多く居るんじゃ。気をつけてください」
それでも着物と袴姿ならば大丈夫だと、萩のお城や明倫館のあたり、前原一誠の家の近くを歩いてみた。たしかに、血の気の多そうな者が、出入りをしていて緊張感があった。
馨は前原一誠に会って話をしたいと文を出したが、会うことはできなかった。今から前原を萩から離す手段をと考えたが、本人が拒否するのは決まっていると思うしかなかった。
「武士というものは、いつまでも変わることができないのか」
いつまでも刀を差し、髷を結って、肩を怒らせて、歩いている男たちにむかつきを覚えていた。
「変わらねば滅びるしか無いのじゃな」
懐かしい茶店で団子を食べ、周りを見ながら一人で考えていた。
小沢の家に帰り義兄にだけは言った。
「明倫館の前まで行ったのじゃが。僕は入ることができんだった。思った以上に我が身が可愛いらしい」
義兄は驚いたようだったが、そのまま聞き流してくれた。
「姉上、あまり酒はいらん。明日は下関に向かい、船で東京に帰るんじゃ」
横浜の家についた馨は、荷造りの進展が良くないことに気がついていた。
「武さん、箪笥のきものをまとめておくはずじゃなかったのか」
「あぁ申し訳ございません。選ぶのに時間がかかってしまって」
「ミス・ブラウンの件はどうじゃった」
「お言いつけどおりお末と行ってまいりました。一度手直しに来るように言われていますので、そのときはお前様もご一緒に」
「そうじゃな」
三人でミス・ブラウンの仕立物店に行き、武子と末子の手直しを確認して、出来上がったものをイギリスに送る手続きをした。
馨についても、良い反物があったので、和服を仕立ててもらうことにした。これで、イギリスに送る荷物の準備はほぼできてきていた。
木戸の洋行と心配事を少しでも減らしたいと考えた馨は、俊輔とまず話をすることにした。
「聞多、準備は順調か」
「あぁ。ほぼできたぞ。そろそろイギリスに送ろうと思っちょる」
「俊輔にお願いしとった、三条公や岩倉公、大久保さんへの根回しはどうじゃ」
「あぁ。了承は取れとる。大丈夫じゃ」
「それと、木戸さんとのことじゃが。小さな行き違いはあっても、昔のように支えて欲しいんじゃ」
「俊輔、木戸さんからこの件改めて、調整してほしいとか言われたか」
「うん。あった。それで、良い報告がしたくて話をしにいったぞ」
「そうか」
「聞多、他に気がかりでも…。山口の状況か」
「そうじゃ。萩にも行った。前原さんには会えんかった。いや、真剣に会おうとはできんかった」
「そうじゃったか。前にも監察が入って、血の気の多い連中をそばに置いているようだったので、注意をしたこともあったんじゃ」
「そうだったのか。問題が増える一方じゃの」
「あぁ。大久保さんも頭を痛めちょる」
博文は思わず、洋行なんて止めろ、と言いそうになるところをこらえた。
「大久保さんは内務卿だ。お役目を果たしてもらわんとな」
「聞多は遊学って何をするんだ」
博文はきちんとは聞いていなかったとおもった。馨も博文にはわかってもらって、木戸の洋行の後押しをまたしてもらわないと、と考えた。
「そうじゃ。ロンドンのエコノミストの家に下宿して、ポリティカル・エコノミーなどを学ぼうと思っとる。本をたくさん読むつもりじゃ。で、武さんやお末にも英語やマナーを学ばせて立派なレディにするんじゃ」
「随分、壮大な話だ」
外交をするには、女性同士のつながりも必要だと考えていた。そういう社交術を西洋の女性が学んでいるという話も聞いていた。自分のフォローをする武子や、実際に夫を支えともに社交の世界で戦える女性としての末子という思惑があった。
「そのためにも一等官の給金が必要なんじゃが、行けるだけでええんじゃと割り切った」
「そうか。そうじゃったな」
「聞多。壮行会だが」
「そういう気遣いは無用じゃ。目立たぬよう出発する」
馨は面倒に巻き込まれる可能性を、小さくしておきたかった。
「出発の日取りは教えてくれるんじゃな」
「とうぜんじゃ」
「俊輔。まだ色々会っての。そうじゃ、念押ししておくことがもう一つあった」
ひと際真剣な顔で馨は言っていた。
「なんじゃ」
その馨の気迫に博文は押されそうになりながらも、踏みとどまり笑うことができた。
「千収社を解散させるんは知っとるな。その千収社をやっとった連中が、三井の信用を借りて会社を立ち上げることに決まったんじゃ」
「大隈に話をつけたあれか」
「『三井物産』というんじゃが。代表は益田孝じゃ。そこに石炭の輸出を頼んで欲しいという話じゃ。工部卿どのにお願いしとったこと。これもくれぐれもお願いしたい」
「わかった。大丈夫じゃ。僕が引き受けた」
「ありがとう。そりゃうれしいの」
馨はニコニコと笑っていた。
それは博文がいちばん欲しかったものだった。しばらく見られないと思うと、しっかり覚えておこうと心に刻んだ。
木戸とも話し合わねばならぬことが多いので早速会いに行った。
「木戸さん、体の具合はどうですか」
馨はあまり顔色の良くない木戸を心配していた。
「あぁ聞多。いまはだいぶ良い」
「帝のご臨幸賜られたのお聞きしました。おめでとうございます」
帝が木戸のもとを訪れ、励ましたというとてもありがたい出来事を馨は話題にしてみた。これほどの事、思い出せば元気も出てくるだろう。
「おぅそうだったのだ。恐れ多いことに染井の別荘にてお出ましいただいだ。私も思い残すことはない」
しかし、木戸から出た思い残すことはないという言葉に引っかかった。
「そのようなこと、まだまだやらねばならないことが多くあるはずじゃ」
「そうは言っても、卿・参議の分離すら叶わず、参議を辞めて内閣顧問などよくわからん役職だ」
「そんなに急いで改革を進めるべきではないと、よく言っておったじゃないですか。焦っては駄目なのじゃないですか。木戸さんの一条、しっかりやってください」
「聞多には言われとうない言葉じゃ」
「それはわしに失礼じゃ」
ふてくされた馨を見て、木戸は笑った。それを見て馨も笑った。
「それで、洋行の話なんじゃが。三条公と大久保さんにお会いしてきた。どちらもわかったとは言ってくれておる。ですが、わしはこれから30日の賜暇をいただいて、山口に帰ることになっとる。その間に俊輔と弥二郎につなぎになってもらって、岩倉公や三条公と大久保さんに、しっかりと話を通して了承を貰う必要があると思うんじゃ。木戸さんの方でも動いてくれんと真剣度が伝わらん。ぜひともお願いしたい」
「わかった」
「あとは、体力を作るには運動じゃ。散歩がええと思うんじゃ。木戸さんも散歩を日課にしたほうがええ」
「聞多のやりように合わせたら、逆に体に悪い。のんびりやることにする」
「それでは、あまり長居も良くないでしょうから。帰ります」
馨が部屋を出ようとした時、木戸は不意に思い悩んだ風に言った。
「私は君の親友とはいえ、頼むことはできない。弥二郎で駄目だったら今回は運がなかったと諦める。冬に機会があればその時まで待つことにした。できれば聞多が帰ってきてから、君に最後のひと押しをやってほしい」
「えっ」
閉じてしまった扉の前で、戻ることもできないまま家に帰り、木戸と俊輔に文を書いた。
木戸にはもちろん俊輔を頼って、洋行の話を進めること。多少の政治上の考えの違いは脇において、友情を取り戻して欲しいと願った。
俊輔には木戸さんときちんと話をして、友情を取り戻して、この洋行について、協力をして欲しいと書いた。疎遠というわけでもなく、やり取りは自分よりもやっているはずなのに、木戸さんは時々俊輔に頑なになる。俊輔が意地を張らないよう、気をつけるしか無いかと考えた。
馨は墓参を名目に、山口に帰郷した。山口では墓参りをし、県庁にも顔を出した。県令の辞任もあって混乱している協同会社の代表に、千収社の清算後山口に戻る事になっている吉富簡一を就任させることで、木戸さんと話をしていることを伝えた。
萩に行くことについては、前原一誠の偵察に行くようで気が引けた。しかし、末子の同行の事もあって、約束していた小沢の姉の家に向かった。
「姉上、義兄上、お久しぶりです」
「これは、馨さん、よう来てくれました」
「申し訳ないです。3日ほどお世話になります」
「朝鮮との交渉ではご活躍で、再任官もされて、ご立派なものでじゃの」
「いや、義兄上、やらねばならぬことを、やっただけのことじゃ」
「それで、萩にはどのようなご用事で来なさったのかの」
「この度3年間の洋行を申し付けられての、末子も連れていくことになりました。そのご報告に。それに、萩は久しぶりじゃ。少し明倫館など見ておこうと思っての」
「明倫館ですか」
義兄はしばらく考えていた。
「馨さんは、お一人で行かんほうがええと思います。気の立った若いもんが多く居るんじゃ。気をつけてください」
それでも着物と袴姿ならば大丈夫だと、萩のお城や明倫館のあたり、前原一誠の家の近くを歩いてみた。たしかに、血の気の多そうな者が、出入りをしていて緊張感があった。
馨は前原一誠に会って話をしたいと文を出したが、会うことはできなかった。今から前原を萩から離す手段をと考えたが、本人が拒否するのは決まっていると思うしかなかった。
「武士というものは、いつまでも変わることができないのか」
いつまでも刀を差し、髷を結って、肩を怒らせて、歩いている男たちにむかつきを覚えていた。
「変わらねば滅びるしか無いのじゃな」
懐かしい茶店で団子を食べ、周りを見ながら一人で考えていた。
小沢の家に帰り義兄にだけは言った。
「明倫館の前まで行ったのじゃが。僕は入ることができんだった。思った以上に我が身が可愛いらしい」
義兄は驚いたようだったが、そのまま聞き流してくれた。
「姉上、あまり酒はいらん。明日は下関に向かい、船で東京に帰るんじゃ」
横浜の家についた馨は、荷造りの進展が良くないことに気がついていた。
「武さん、箪笥のきものをまとめておくはずじゃなかったのか」
「あぁ申し訳ございません。選ぶのに時間がかかってしまって」
「ミス・ブラウンの件はどうじゃった」
「お言いつけどおりお末と行ってまいりました。一度手直しに来るように言われていますので、そのときはお前様もご一緒に」
「そうじゃな」
三人でミス・ブラウンの仕立物店に行き、武子と末子の手直しを確認して、出来上がったものをイギリスに送る手続きをした。
馨についても、良い反物があったので、和服を仕立ててもらうことにした。これで、イギリスに送る荷物の準備はほぼできてきていた。
木戸の洋行と心配事を少しでも減らしたいと考えた馨は、俊輔とまず話をすることにした。
「聞多、準備は順調か」
「あぁ。ほぼできたぞ。そろそろイギリスに送ろうと思っちょる」
「俊輔にお願いしとった、三条公や岩倉公、大久保さんへの根回しはどうじゃ」
「あぁ。了承は取れとる。大丈夫じゃ」
「それと、木戸さんとのことじゃが。小さな行き違いはあっても、昔のように支えて欲しいんじゃ」
「俊輔、木戸さんからこの件改めて、調整してほしいとか言われたか」
「うん。あった。それで、良い報告がしたくて話をしにいったぞ」
「そうか」
「聞多、他に気がかりでも…。山口の状況か」
「そうじゃ。萩にも行った。前原さんには会えんかった。いや、真剣に会おうとはできんかった」
「そうじゃったか。前にも監察が入って、血の気の多い連中をそばに置いているようだったので、注意をしたこともあったんじゃ」
「そうだったのか。問題が増える一方じゃの」
「あぁ。大久保さんも頭を痛めちょる」
博文は思わず、洋行なんて止めろ、と言いそうになるところをこらえた。
「大久保さんは内務卿だ。お役目を果たしてもらわんとな」
「聞多は遊学って何をするんだ」
博文はきちんとは聞いていなかったとおもった。馨も博文にはわかってもらって、木戸の洋行の後押しをまたしてもらわないと、と考えた。
「そうじゃ。ロンドンのエコノミストの家に下宿して、ポリティカル・エコノミーなどを学ぼうと思っとる。本をたくさん読むつもりじゃ。で、武さんやお末にも英語やマナーを学ばせて立派なレディにするんじゃ」
「随分、壮大な話だ」
外交をするには、女性同士のつながりも必要だと考えていた。そういう社交術
wo題については、馨は三条公と大久保にもあって問題ないとの感触を得ていた。
木戸とも話し合わねばならぬことが多いので早速会いに行った。
「木戸さん、体の具合はどうですか」
馨はあまり顔色の良くない木戸を心配していた。
「あぁ聞多。いまはだいぶ良い」
「帝のご臨幸賜られたのお聞きしました。おめでとうございます」
帝が木戸のもとを訪れ、励ましたというとてもありがたい出来事を馨は話題にしてみた。これほどの事、思い出せば元気も出てくるだろう。
「おぅそうだったのだ。恐れ多いことに染井の別荘にてお出ましいただいだ。私も思い残すことはない」
しかし、木戸から出た思い残すことはないという言葉に引っかかった。
「そのようなこと、まだまだやらねばならないことが多くあるはずじゃ」
「そうは言っても、卿・参議の分離すら叶わず、参議を辞めて内閣顧問などよくわからん役職だ」
「そんなに急いで改革を進めるべきではないと、よく言っておったじゃないですか。焦っては駄目なのじゃないですか。木戸さんの一条、しっかりやってください」
「聞多には言われとうない言葉じゃ」
「それはわしに失礼じゃ」
ふてくされた馨を見て、木戸は笑った。それを見て馨も笑った。
「それで、洋行の話なんじゃが。三条公と大久保さんにお会いしてきた。どちらもわかったとは言ってくれておる。ですが、わしはこれから30日の賜暇をいただいて、山口に帰ることになっとる。その間に俊輔と弥二郎につなぎになってもらって、岩倉公や三条公と大久保さんに、しっかりと話を通して了承を貰う必要があると思うんじゃ。木戸さんの方でも動いてくれんと真剣度が伝わらん。ぜひともお願いしたい」
「わかった」
「あとは、体力を作るには運動じゃ。散歩がええと思うんじゃ。木戸さんも散歩を日課にしたほうがええ」
「聞多のやりように合わせたら、逆に体に悪い。のんびりやることにする」
「それでは、あまり長居も良くないでしょうから。帰ります」
馨が部屋を出ようとした時、木戸は不意に思い悩んだ風に言った。
「私は君の親友とはいえ、頼むことはできない。弥二郎で駄目だったら今回は運がなかったと諦める。冬に機会があればその時まで待つことにした。できれば聞多が帰ってきてから、君に最後のひと押しをやってほしい」
「えっ」
閉じてしまった扉の前で、戻ることもできないまま家に帰り、木戸と俊輔に文を書いた。
木戸にはもちろん俊輔を頼って、洋行の話を進めること。多少の政治上の考えの違いは脇において、友情を取り戻して欲しいと願った。
俊輔には木戸さんときちんと話をして、友情を取り戻して、この洋行について、協力をして欲しいと書いた。疎遠というわけでもなく、やり取りは自分よりもやっているはずなのに、木戸さんは時々俊輔に頑なになる。俊輔が意地を張らないよう、気をつけるしか無いかと考えた。
馨は墓参を名目に、山口に帰郷した。山口では墓参りをし、県庁にも顔を出した。県令の辞任もあって混乱している協同会社の代表に、千収社の清算後山口に戻る事になっている吉富簡一を就任させることで、木戸さんと話をしていることを伝えた。
萩に行くことについては、前原一誠の偵察に行くようで気が引けた。しかし、末子の同行の事もあって、約束していた小沢の姉の家に向かった。
「姉上、義兄上、お久しぶりです」
「これは、馨さん、よう来てくれました」
「申し訳ないです。3日ほどお世話になります」
「朝鮮との交渉ではご活躍で、再任官もされて、ご立派なものでじゃの」
「いや、義兄上、やらねばならぬことを、やっただけのことじゃ」
「それで、萩にはどのようなご用事で来なさったのかの」
「この度3年間の洋行を申し付けられての、末子も連れていくことになりました。そのご報告に。それに、萩は久しぶりじゃ。少し明倫館など見ておこうと思っての」
「明倫館ですか」
義兄はしばらく考えていた。
「馨さんは、お一人で行かんほうがええと思います。気の立った若いもんが多く居るんじゃ。気をつけてください」
それでも着物と袴姿ならば大丈夫だと、萩のお城や明倫館のあたり、前原一誠の家の近くを歩いてみた。たしかに、血の気の多そうな者が、出入りをしていて緊張感があった。
馨は前原一誠に会って話をしたいと文を出したが、会うことはできなかった。今から前原を萩から離す手段をと考えたが、本人が拒否するのは決まっていると思うしかなかった。
「武士というものは、いつまでも変わることができないのか」
いつまでも刀を差し、髷を結って、肩を怒らせて、歩いている男たちにむかつきを覚えていた。
「変わらねば滅びるしか無いのじゃな」
懐かしい茶店で団子を食べ、周りを見ながら一人で考えていた。
小沢の家に帰り義兄にだけは言った。
「明倫館の前まで行ったのじゃが。僕は入ることができんだった。思った以上に我が身が可愛いらしい」
義兄は驚いたようだったが、そのまま聞き流してくれた。
「姉上、あまり酒はいらん。明日は下関に向かい、船で東京に帰るんじゃ」
横浜の家についた馨は、荷造りの進展が良くないことに気がついていた。
「武さん、箪笥のきものをまとめておくはずじゃなかったのか」
「あぁ申し訳ございません。選ぶのに時間がかかってしまって」
「ミス・ブラウンの件はどうじゃった」
「お言いつけどおりお末と行ってまいりました。一度手直しに来るように言われていますので、そのときはお前様もご一緒に」
「そうじゃな」
三人でミス・ブラウンの仕立物店に行き、武子と末子の手直しを確認して、出来上がったものをイギリスに送る手続きをした。
馨についても、良い反物があったので、和服を仕立ててもらうことにした。これで、イギリスに送る荷物の準備はほぼできてきていた。
木戸の洋行と心配事を少しでも減らしたいと考えた馨は、俊輔とまず話をすることにした。
「聞多、準備は順調か」
「あぁ。ほぼできたぞ。そろそろイギリスに送ろうと思っちょる」
「俊輔にお願いしとった、三条公や岩倉公、大久保さんへの根回しはどうじゃ」
「あぁ。了承は取れとる。大丈夫じゃ」
「それと、木戸さんとのことじゃが。小さな行き違いはあっても、昔のように支えて欲しいんじゃ」
「俊輔、木戸さんからこの件改めて、調整してほしいとか言われたか」
「うん。あった。それで、良い報告がしたくて話をしにいったぞ」
「そうか」
「聞多、他に気がかりでも…。山口の状況か」
「そうじゃ。萩にも行った。前原さんには会えんかった。いや、真剣に会おうとはできんかった」
「そうじゃったか。前にも監察が入って、血の気の多い連中をそばに置いているようだったので、注意をしたこともあったんじゃ」
「そうだったのか。問題が増える一方じゃの」
「あぁ。大久保さんも頭を痛めちょる」
博文は思わず、洋行なんて止めろ、と言いそうになるところをこらえた。
「大久保さんは内務卿だ。お役目を果たしてもらわんとな」
「聞多は遊学って何をするんだ」
博文はきちんとは聞いていなかったとおもった。馨も博文にはわかってもらって、木戸の洋行の後押しをまたしてもらわないと、と考えた。
「そうじゃ。ロンドンのエコノミストの家に下宿して、ポリティカル・エコノミーなどを学ぼうと思っとる。本をたくさん読むつもりじゃ。で、武さんやお末にも英語やマナーを学ばせて立派なレディにするんじゃ」
「随分、壮大な話だ」
外交をするには、女性同士のつながりも必要だと考えていた。そういう社交術を西洋の女性が学んでいるという話も聞いていた。自分のフォローをする武子や、実際に夫を支えともに社交の世界で戦える女性としての末子という思惑があった。
「そのためにも一等官の給金が必要なんじゃが、行けるだけでええんじゃと割り切った」
「そうか。そうじゃったな」
「聞多。壮行会だが」
「そういう気遣いは無用じゃ。目立たぬよう出発する」
馨は面倒に巻き込まれる可能性を、小さくしておきたかった。
「出発の日取りは教えてくれるんじゃな」
「とうぜんじゃ」
「俊輔。まだ色々会っての。そうじゃ、念押ししておくことがもう一つあった」
ひと際真剣な顔で馨は言っていた。
「なんじゃ」
その馨の気迫に博文は押されそうになりながらも、踏みとどまり笑うことができた。
「千収社を解散させるんは知っとるな。その千収社をやっとった連中が、三井の信用を借りて会社を立ち上げることに決まったんじゃ」
「大隈に話をつけたあれか」
「『三井物産』というんじゃが。代表は益田孝じゃ。そこに石炭の輸出を頼んで欲しいという話じゃ。工部卿どのにお願いしとったこと。これもくれぐれもお願いしたい」
「わかった。大丈夫じゃ。僕が引き受けた」
「ありがとう。そりゃうれしいの」
馨はニコニコと笑っていた。
それは博文がいちばん欲しかったものだった。しばらく見られないと思うと、しっかり覚えておこうと心に刻んだ。
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