人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

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三章 王都オリーブ編1 王都オリーブ

145 アイテムポケット付き手提げ袋の使い方

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 【アイテムボックス】から、空間収納魔法を付与した、容量50㎏の手提げ袋を出したカズは、それをスピラーレに渡した。

「なんですか? 買い物バック?」

「スピラーレさん、これ両手で持って」

 カズから手提げ袋を受け取ったスピラーレは、言われた通り両手で持った。

「ちょっと失礼」

「え?」

 カズはスピラーレの手に、自分の手をかざし、ゆっくり少しずつ魔力を流し、手提げ袋にスピラーレの魔力を記録していく。

「はい出来た。別に痛かったりしなかったでしょ」

「痛くは無いです。ちょっと暖かかったけと、なんですか急に?」

「そのお盆入れてみて」

 カズは、スピラーレが持って来ていたお盆を指差し、手提げ袋の中に入れてみるように言った。

「これにお盆を? 袋がちょっと小さいと思うけど、入れてどうす……えっ?」

 スピラーレがお盆を手提げ袋に入れると、なんの抵抗もなく入った。
 手提げ袋を広げて見るが、中には何も無く、スピラーレは混乱した。

「え、カ…お…な…ど? (『訳』カズさん、お盆が無くなっちゃったんだけど、どうして?)」

「落ち着いて、今度は袋に手を入れて、お盆があると思って、取り出してみて」

 スピラーレは不思議そうな顔をしたが、言われた通りやってみる。
 するとスピラーレの手先は、別の空間に入り見えなくなってしまう。
 スピラーレは中にある、平べったい物を掴んで引っ張り出した。

「これって、わたしが持ってきたお盆…よね?」

「疲れたとか、目眩がするとか無い?」

「別に無いですけど……って、そうじゃなくて、急にビックリするじゃないのよ! 何よこれは?」

 スピラーレは怖かったり驚いたりで、理由を求めカズに詰め寄る。

「驚かせてごめん。それねアイテムボックスみたいに、空間収納出来る手提げ袋なんだ。スピラーレさんアイテムボックス使いたがってたから」

「え? ってことは、さっきお盆が見えなくなって入ってた先が、空間収納だったの?」

「そう。それで、スピラーレさんの魔力を記録したから、他の人には、ただの手提げ袋とでしか使えないから。あと袋が破れたりすると、使えなくなって、中の物も無くなっちゃうから注意して」

「あのう、これをわたしに?」

「使う時は、他の人に見られないように気を付けて、珍しい物だから」

「良いの? これものスゴ~く高価な物じゃ?」

「かも知れないけど、もうスピラーレさんの魔力を記録しちゃったから。あと物を出し入れするに魔力を使うから、変に疲れたり目眩がしそうになったら、その日は使わないようにして」

「分かりました。でも本当に貰って良いんですか?」

「もし迷惑だったら、誰か他に使ってくれそうな人を探すから、無理にしなくて…」

「迷惑なんてとんでもない! ありがとうございます! とっても嬉しい!」

 スピラーレは部屋を出て、勢いよく階段を下りて行ったが、手提げ袋のことしか見ていないのか、自分で持ってきたお盆を忘れて行ってしまった。
 それを見ていたカズは、スピラーレの忘れたお盆を持ち、一階に下りて行った。

「スピラーレさん忘れ物」

「あ! つい嬉しくて忘れちゃった。ごめんなさいカズさん」

 スピラーレが、カズからお盆を受け取った。

「娘に便利な物をくれたようで悪いねぇ。それに煙突も使えるようにしてもらって」

「気にしないでください。煙突に関しては、俺も暖炉を使いたいですから」

「そうかい。いつも悪いねぇ」

「あと、スピラーレさんにあげた手提げ袋なんですけど、ちょっと珍しい物なので、使う時は、あまり人に見られないように、気を付けてください」

「そうなのかい?」

「スピラーレさんにしか、使えないようになってますが、知らない人が見ると欲しがるかも知れないですから、使い始めはガルガリッネさんと、一緒に買い物に行った方が良いかも知れないですね。そうすれば変な人も寄ってこないでしょうし」

 調理場の奥で聞いていたガルガリッネは、作業の手を止めて調理場の出入り口から、顔を出して来た。

「カズもたまには良い事言うじゃないか。父さんならいつでも一緒に、買い物でもどこでも行ってあげるぞ! なんなら、今から行こうかスピラーレ」

「あんたはまだ仕事の途中だろ」

「わ、分かってるさラヴィオリ」

「買い物なら、昼の忙しい時間帯が終わったらにしな」

「良いのか!」

「たまには良いよ。ただしスピラーレが良いって言えばね」

「良いよなスピラーレ」

「ん~……カズさんが、最初はお父さんと行った方が、変な人が寄ってこないって言ってたし、良いよお父さん」

「良し! 任せろ。どんな奴が来ても…」

「あんた……」

 ラヴィオリが、ガルガリッネを睨む。

「……限度があるんだからね」

「は、はい。気を付けます」

「俺ギルドで、モルトさんに会わないとならないので、そろそろ行きます」

「ああ、いってらっしゃい」

「いってらっしゃい、カズさん。これ(手提げ袋)使うの楽しみです」

 ラヴィオリとスピラーレに見送られて、カズはギルドに向かった。
 いつもと変わらない王都の大通りを、のんびりと歩いて、店を散策しながら向かい、ギルドに着いたのは昼少し前だった。
 カズは受付に居るトレニアに、モルトが居るか聞きに行く。

「こんにちは、トレニアさん」

「あらカズさん、昨日は来られませんでしたけど、どうしたんですか? モルトさんが用事があると言って、探してましたよ」

「昨日はちょっと用事がありまして。モルトさんの事は、昼頃にギルドに居てくれと、伝言を聞いたので来たんですが、モルトさんは居ますか?」

「私は会っていませんから、今日はまだ、ギルドに来てないかも知れません」

「そうですか……ならモルトさんが来るまで、掲示板の依頼書でも見て待ってます」

 カズはトレニアが居る受付から離れ、多くの依頼書が貼ってある掲示板の所へ行く。
 依頼書を見て二十分程した頃に、ギルドの入口の方から、カズを呼ぶ声がした。

「あ! カズ…だよな?」

 カズは振り返り、呼ばれた方を見る。

「はい? どちら……」

「おいおい、一日しか経ってないのに、お互いに傷付き、健闘した私を忘れたのかよ」

 カズが振り返った先に居たのは、ネメシアだった。

「……」

 カズはそっと目線を、依頼書が貼ってある掲示板に戻してた。

「無視するこたぁねぇだろ」

「……また難癖つけて、もう一度模擬戦しろと、けしかけたりするのかと思って」

「しねぇよ。私をなんだと思ってるんだよ」

「想いを伝えられずに、いまだに引きずってる女々しい…」

「よけーなお世話だ! その事は言うんじゃねぇよ!」(小声)

 ネメシアがカズに近付き、小声で言ったが、内心では完全に怒鳴っている顔をしていた。

「あら、仲良くなったんですか?」

 さっきまで受付に居たトレニアが、いつの間にか、依頼書の貼ってある掲示板の前に来ていた。

「トレニアさん! 別に仲良くはないと思います。どうせネメシアの、ただの気まぐれですよ」

「お前なぁ、私と話す時と、随分態度が違うじゃねぇか」

「初見からあんな態度とられて、しかも失せろや邪魔とか言われたあげく、模擬戦を受けた俺に、知らないからって、黙って弱体化の腕輪とか付ける人に、謙虚でいるつもりは無い」

「確かに私が悪いのは認めるが、ちょっと酷くねぇか。カズになんか言ってくれよトレニア」

「と言っても、ネメシアが原因なのは確かだし」

「トレニアはカズの味方なのか!」

「私はネメシアの味方でもあるのよ、でも今回に関しては……」

「そんな~……トレニアは私の味方で居てくれよぉ」

「もうネメシアったら。カズさんもう許してあげてください。モルトさんに、かなりお説教されたみたいですから」

「ハァー、分かりました。今回はトレニアさんの顔を立てます」

「ありがとうカズさん。次ネメシアが何かしたときは、全面的にカズさんの味方になりますから」

「そりゃあないぜトレニア。私よりカズかよ」

「そんなこと言うネメシアは、もっとモルトさんに、お説教してもらった方が良いんじゃないの」

「勘弁してくれ。モルトのじじぃから説教くらった後に、サブマスからも説教されたんだからよ」

「自業自得です。少しはその荒っぽい性格を、直したら良いんじゃないかしら?」

「そんなこと言われても、これが私なんだから、しかたねぇだろ」

「呼んだかしら?」
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