人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

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三章 王都オリーブ編2 周辺地域道中

159 森の調査 と 運搬依頼の品物

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 三人は昼食を済ませた後、村人が言う大きな影のモンスターが現れた場所の一つに向かう事にした。
 借りた家を出て、村の奥へと続く道を進む。
 村外れにまで来た頃、一軒の家があり、周りには牛や山羊が何頭も放し飼いにされていた。
 辺りを見渡し家の主を探すが、どこにも見当たらないので、話を聞くのを後にして、大きな影のモンスターが現れた場所に向かう。
 先程の牛や山羊が居た家から十分程歩くと、森の入口にやって来た。
 そこから道を更に進み薄暗い森に入ること二十分、先が明るくなり開けた場所が見えた。
 木々が途切れ開けた場所に出ると、ちょうど雲の隙間から日が差し込み辺りを照らし出す。
 三人は周りを見ると、木々には大小様々な傷があり、何か強い力でへし折られたような木も何本かある。
 足下には獣かモンスターの骨が落ちており、とても荒れた状態の所だ。
 アイガーが木に付いた爪痕と、落ちている骨を調べ、ラスラは折れた木々を見て回る。

「この爪痕はヘビーベアで、落ちている骨はイノボアのようだ。随分と派手に暴れたらしいな」

「でも折れた木や傷を見る限りでは、最近ではなさそうね。少なくとも村長が大きな影を初めて見た時か、それより前でしょう」

「と言う事は、前回現れたのはここではなく、他の場所ですかラスラさん?」

「ええ。最近出来たような傷もないから、おそらくね」

「もう一度さっきの牛と山羊が居た家に行って、家主を探し話を聞こう。毎回違う場所に現れてるようなら少し面倒だ」

 カズ、ラスラ、アイガーの三人は来た道を引き返し、先程牛や山羊が放牧してあった家へと向かう。
 森を抜け先程の家が見えてくると、牛や山羊を小屋に戻している男性が見えた。
 それを見たアイガーは、すかさず声を掛ける。

「もしそこの人、すまないが少し話を聞かせてもらえないか?」

 アイガーが声を掛けると、男性は気付き三人に近付いて来た。

「誰だあんたら?」

「オレ達は王都から来た冒険者だ」

「わざわざ王都から! それでその冒険者が、おらになんか用か?」

「実はこの辺りに大きな影の、強力なモンスターが現れるって聞いて調査に来たんだが、何か知っていれば教えてくれないか?」

「ほうか、分がった。だども少し待ってくれや、先に牛と山羊を小屋にしまっちまうからよ」

「忙しいとこすまんな」

 家主の男性は、放牧している牛と山羊を小屋に入れに行った。
 暫く待っていると男性が三人の元に戻って来て、家に招き入れてくれた。

「んで、おらにどんな事が聞きてぇだ?」

「あんたの見た事を、一通り教えてほしい」

「見た事と言ってもなぁ、おらが大きな影の姿を見たのは一度だけで、それもチラッとしか見てねぇから、あまり参考にならねぇと思うだが」

「それでも構わないから教えてくれ」

「んだぁ。あれは二十日程前だったかのぉ、ここから更に山を登った所に、良い草が生える場所があってな、そこへ子牛と子山羊を連れて行き、草を食べさせた帰りに、大きな影が上を通って、さっきまでおら達が居た所に、その大きな影が空から降りただよぉ」

「それでどそいつは、どんな奴だったんだ?」

「おら恐ろしくて、急いで山を下りて来たもんでハッキリとは見てねぇだ」

「そうか……」

「だども、おらがチラッと見たのは、白くて大きかっただよ」

「白い?」

「白いですか……」

 アイガーとラスラは、少し不思議そうな顔をした。
 疑問に思ったラスラが、男性に尋ねた。

「何かの見間違えでは?」

「そう言われても、チラッとしか見とらんからのぉ。見間違いと言われたらそうかも知れんし」

「そうですか……」

「役に立てなくてすまんのぉ。お嬢さん」

「いえとんでもない、ありがとうございます」

「すまないが、あんたがその生き物を見た場所を教えてくれないか?」

「ああ、構わねぇよ。ここから村の方へ歩いて行くと、小川が流れとるから、その横にある小道を小川の上流方向へ行けば着くだぁよ」

「そうか分かった。ありがとう」

 アイガーが疑問に思っていると、今まで黙っていたカズが口を開いた。

「あのうすいませんが、ここで最近珍しい物が作られてるって聞いて、来たんですけど」

「最近…珍しい……!? ああ、アイツの所で作ってる乳か!」

「知ってますか?」

「んだぁ。今言った小川の横にある小道の先に、おらと同じ様に放牧してる若けぇのが居るから、そいつに聞いて見りゃええ。それにあんたらが聞きたがってる大きな影の事も、知ってるはずだぁ」

「そうですか。ありがとうございます」

 カズ、ラスラ、アイガーの三人はお礼を言って、男性の家を出て行き、言われた小川の横にある小道を進む。

「しかし、少し訛りがあるしゃべり方をする人だったな」

「私も少し聞き取りにくかったですわ」

「俺もあんな訛りのあるしゃべり方する人初めてでした(こっちの世界にも方言があるのか!)」

「お! 建物が見えてきたぞ」

 見えてきた建物の周りには、牛や山羊が何頭も放牧されていた。
 建物に向かって、アイガーが家主を呼ぶ。

「すまない誰か居ないか?」

 アイガーが建物の方に声を掛けるが、返事はない。

「ここの家主は居ないか!」

 アイガーはもう一度声を大きくして、家主を呼んだ。
 すると建物の裏手から人が出て来た。

「なんだぁ? あんたら見ない顔だが、オラに何か用か?」

「急にすまない。オレ達は王都から来た冒険者で、この村近くに現れた、大きな影のモンスターを調査にきたんだが、話を聞かせてくれないか?」

「この後作業があるんだが……まぁ少しだけならええぞ」

「すいません。あとこちらで、最近珍しい物を作ったと聞いて、俺達はそれを買いに来たんですが」

「ああ、あれか。売るのは構わねぇが、量も少ねぇし長持ちしてねぇから、村から持って帰れねぇと思うがなぁ」

「そこは大丈夫です」

「ほうか? なら話の後で、現物を見せてやるから、話はそれからでええな。それとオラは『クリム』だ」

 カズ達の三人はクリムに付いて、建物の裏へと行った。
 三人が最初に見た建物は家畜小屋で、クリムの家は家畜小屋の反対側にあった。
 どうやらカズ達は裏道を来たようで、クリムが住む家の正面には、荷馬車が通れる程の幅がある道があった。
 クリムの家で、カズ達が村に来た理由を説明し、話を聞かせてもらった。
 すると以前大きな影のモンスターが現れた場所に行くなら、翌朝来るように言われた。
 子牛と子山羊を、良い草のある場所へ放牧に連れて行くから、その時に近くを通るから案内すると。
 アイガーはクリムと約束をして、翌朝三人で来ると言った。

 次にカズがさっき聞いていた珍しい物を、クリムが持ってきた。
 牛乳を使って新たに作り出した乳だと言って、小ビンの中に少しだけ入った白い液体を見せてきた。

「これがカズとラスラが、第2ギルドから受けてきた依頼の品物か?」

「俺はハッキリ何とは聞いてないんですけど、ラスラさんは聞いてましたか?」

「いいえ。品物の名前までは……その物があれば買って持って帰る予定ですから」

「あぁ買って……(運搬の依頼と聞いたから、運ぶだけかと)」

「そりゃあそうだ。オラが作ってるが、まだこの乳に名前なんて付けてないからな」

「ちょっと見せてください」

 カズが小ビンの蓋を開けて、中の匂いをかいだ。

「ん!?」

「どうしましたカズさん?」

「あ、いえ(これって……あれだよな? 調べてみるか!)」

 カズは小ビンの中にある液体を《鑑定》した。



 【生クリーム(未完成)】『二級』
 ・牛乳を加工して作られた品物。
 ・加工が不十分な為に、日持ちがしない。
 ・この世界に今まで無かった新たな食材の為に、未完成品でも高価。
 ・カズが元居た世界の物と加工方法が異なり『分離・殺菌・均一・冷却』等の作業は、魔法を使っている。
 


「これが完成品ですか? (本人が未完成って気付いているか?)」

「だと思うんだが、何かもうちょっとって感じもするだぁよ」

「未完成ですか? (どうやら曖昧だが気付いてるようだ)」

「う~ん……料理人が試してくれねぇとなんともいねぇだ」
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