人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

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三章 王都オリーブ編2 周辺地域道中

215 休養 3 お世話になった人への挨拶回り

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 カズとアレナリアはリアーデの街に入ると、そのまま冒険者ギルドへと向かった。
 アレナリアの提案で、リアーデのギルドマスターに挨拶をしておくとのことだ。
 とは言っても、ギルドマスターのブレンデッドは元パーティーメンバーだった事もあり、そこまで堅苦しいものではないとアレナリア言う。
 カズもお世話になったので、挨拶をするには丁度いいと思っていた。
 王都やアヴァランチェと比べると、リアーデはそれ程大きくないので、街の入口から少し歩くだけで、すぐ冒険者ギルドに着くことができた。
 ギルドに入り受付を見るが、クリスパの姿はなかった。
 カズが受付に居た男性職員に、クリスパのことを尋ねると、今日は休みを取っているとのことだ。
 それを聞いたアレナリアが、カズの後ろから顔を出し、男性職員にブレンデッドの所在を尋ねた。
 ギルドの男性職員は不思議そうな顔をしていたが、アレナリアがギルドカードを提示して身分を証すと、急いでギルドマスターの元に、面会の連絡をとりに走っていった。
 数分程で職員が戻ると、ブレンデッドが居るギルドマスターの部屋に、二人を案内した。
  カズとアレナリアは部屋に入り、男性職員は自分の仕事に戻っていった。

「久しぶりだなカズ。急にどうしたんだ?」

「新年になったので、お世話になった人に挨拶をと思いまして」

「わざわざその為に来たのか? 珍しい奴だな。それでそっちのちっこいのは……?」

「アレナリアよ。アヴァランチェのサズマスが来たって、さっきの職員に聞いたでしょ」

「そんなにちっこかったか? それとも前より縮んだのか?」

 アレナリアが右手に魔力を込め、ブレンデッドに向けて魔法を放とうとする。

「おい待て、ちょっとした冗談だ。すまん悪かった」

 アレナリアが右手を下げ、放とうとしていた魔法を中断した。

「クリスパから明るくなって変わったと聞いていたが、そういうとこは全然変わらねぇな」

「私をからかうようなバカは、ロウカスクだけで十分よ」

「アイツ(ロウカスク)も飽きもせずよくやる。それでこの後はどうするんだ?」

「クリスパの所に行くつもりよ」

「そうか。だったらココット亭という宿屋に行けば居るだろう」

「そう、分かったわ。ありがとう」

「また、いつでも顔出しに来いよ」

「ロウカスクがサボらず仕事をすれば、来れる暇ができるんだけど。貴方もよくサボるって、クリスパが言ってたわよ」

「クリスパの奴余計なことを」

「さぁ、行きましょうカズ。またねブレンデッド」

「ああ、またな。カズも」

「はい」

 カズはブレンデッドに軽く頭を下げてから、アレナリアと部屋を出た。

「カズ。ココット亭って、確か……」

「キッシュの家だよ」

「ああ! だから聞き覚えがあったのね」

「場所は知ってるから、俺が案内するよ。この先にある広場を抜けて、少し行った所だから」

「任せるわ」

 リアーデは王都やアヴァランチェより遥かに人口は少ないが、露店が広場に集中して出店しているため、街の人やお祭りに遊びに来た周辺の村人が広場に集まるため、混雑していた。
 カズは離れないようアレナリアの手を引き、人でごった返す広場の脇をすり抜ける。
 広場を抜けた先で、カズはココット亭の看板を見つけ中に入る。

「いらっしゃい。ん、おや? どっかで見たことがあると思ったら、カズじゃないかい!」

「お久しぶりです。女将さん。その節はお世話になりました」

「宿屋なんだから、客の世話をするよは当たり前だよ。あたしらの方が買い出しやら、クリスパの事で世話になったんだから、感謝をするこはこっちだよ」

「とんでもないです」

「それでカズに手を引かれてる、そちらの可愛らしいお嬢さんは?」

 カズは忘れてたと、アレナリアから手を離す。
 名残惜しそうにしてたアレナリアだったが、可愛らしいというココットの言葉に、機嫌を良くして、カズの後ろから前に出る。

「初めまして。私はアレナリアと申します。こちらにクリスパが居ると聞いて伺いました」

「まぁまぁ。これはご丁寧に。クリスパなら、娘のキッシュと買い出しに行ってるとこなんですよ。良かったら食堂で待っててください。今、お茶を出しますから」

「ありがとうございます」

「カズも待ってておくれ」

「はい」

 ココットに案内された、カズとアレナリアは宿の食堂に行き、クリスパとキッシュを待つことにした。
 ココットに出されたお茶を飲みながら暫く待っていると、店の入口からキッシュとクリスパの声が聞こた。

「たっだいま~」

「ちょっとキッシュ、もう少し荷物を持ちなさいよ」

「クリ姉の方が力持ちでしょ」

「二人にお客さん。食堂に居るよ」

「だぁれ?」

 食堂の入口からキッシュが覗き込むように顔を出して入り、そのすぐ後ろからは、両手に大量の荷物を持ったクリスパが入ってきた。

「キッシュ。お久しぶり」

「アレナリアさん。それと……! カズ兄だ!」

「久しぶり。キッシュ。元気そうだね」

「元気! 元気!」

「どうしたのアレナリア? カズさんも」

「新年になったから挨拶にね。せっかくだから、アレナリアも連れてきたんだ」

「二人揃ってわざわざ来てくれたの。アレナリアが新年の事を、カズさんに教えたの?」

「いいえ。私も教えるの、すっかり忘れてたわ。王都で新年の数日前に知ったらしいわよ」

「そうなんですか? カズさん」

「ええ。この前まで、新年がいつなのかさえ知りませんでしたから。王都のギルドで話が出て、それで知ったんです」

「そうだとしたら、十日くらい前? ねぇカズさ…」

「キッシュ、クリスパ。話は買ってきた物を、片付けてからにしな」

 クリスパがカズに質問をしようとしたとき、ココットが食堂の入口から、片付けるように言ってきた。

「は~い」

「分かったわ。義母さん」

 キッシュとクリスパはココットに言われ、買ってきた物を戸棚にしまう。
 一通り片付けが終ると、キッシュがカズとアレナリアのコップを片付け、クリスパが新たに四人分のお茶出してきた。
 一段落したところで、クリスパが椅子に座り、先程の言いかけたことを話し始めた。

「ねぇカズさん。新年の事を知ったのが、今から十日くらい前に王都でって聞いたけど、この短い間に、どうやってここまで来たの? いくらなんでも速すぎるでしょ?」

「クリ姉ったら、そんなこと別にいいじゃない。せっかくカズ兄とアレナリアさんが、ここまで会いに来てくれたんだから」

「来てくれたのは嬉しいけど、気になるものは気になるのよ。カズさん教えてくれる? それともアレナリアが話してくれるの?」

「そうねぇ……」

 アレナリアは話しても良いのかと、横目でカズを見る。

「俺がテイムしたモンスターに乗って来たんですよ」

「カズ兄がテイムしたモンスター? 私それ見たい!」

「乗って来るってことは、大きなモンスターのようね。それは私も見たいわ」

「街中にはちょっと」

「え~、見たかったなぁ」

「街の外なら良いのね。それなら、今から行きましょう」

「二人揃って出掛けたら、女将さん一人になって大変じゃないの?」

「私ちょっと、お母さんに聞いてくるね」

 キッシュが食堂からバタバタと出て行き、母親のココットに聞きにいった。

「まったくキッシュたら。それで本当は、どうやって来たの?」

「今カズが言ったでしょ。テイムしたモンスターに乗って来たって」

「ええ聞いたわ。アヴァランチェからここリアーデまでなら分かるわ。でも王都からだと、さすがに遠すぎるでしょ。本当にテイムしたモンスターに乗ってきたのなら、飛行できるモンスターってことになると思うのだけど?」

「ねぇクリスパ。その根拠はなぁに?」

「クリスパのことだから、勘だと思うよ。俺は」

「そういえばクリスパって、パーティーを組んでる頃から勘だけは鋭かったわよね」

「えっへん! 今でも健在よ。それでどうなの? キッシュが席を外してる今なら話せるでしょ」

「どうるすのカズ?」

「知ってる人は数人しかいないので、くれぐれも内密に。キッシュに教えて、もし口を滑らせたりしたら、危険になるかも知れないので」

「キッシュは自分の身を守れるほど、強くはないからってことね。分かったわ」

「カズは転移の魔法が使えるのよ」

「転移……確かに個人、しかも長距離の移動が可能な転移魔法が使えるのを知られたら、アイテムボックスを使えること以上に注目されるわね。個人で転移魔法が使える人が居たとしても、目視できる程度の距離だろうから」

「そういう事なので(俺以外に個人で使える人居るの? 例え話しかな)」

「私とアレナリア以外に、誰が知ってるの?」

「それは私も聞きたいわ。他にも居るんでしょ?」

「まあ……(アレナリアはフローラさんと面識があるから、名前を出してもいいか。アイガーさんのことは、冒険者とだけ言っておくかな)」

 クリスパとアレナリアは、カズに注目して話すのを待つ。
 少し考えたのち、カズは二人に話した。
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