人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

文字の大きさ
302 / 912
三章 王都オリーブ編3 王国に潜むの影

291 王族の者 と 長かった一日

しおりを挟む
 ルータが出て行ったことで、部屋にマーガレットと二人になったカズ。
 するとマーガレットが本人にはまだ内緒だと、あることをカズに話した。

「もしカズさんが大丈夫であれば、本人に話してみるわ」

「少し考えますので、数日待ってください(目的があった方がいいかも知れないが……)」

「良い返事を期待してるわ」

 ルータがジルバに呼ばれてから十分程がたった頃、ベロニカが来客の女性と二人の少女を連れてマーガレットの元へやって来た。
 話の終わったカズは、邪魔にならないよう入れ違いで部屋を出る。
 するとそこにはアキレアの姿があった。

「お夕食まで時間がありますから、カズさんはお部屋でお寛ぎください」

「分かりました(今の子供、どこかで見たような?)」

「お部屋までは一人で大丈夫ですね。私はこちらで待機しなくてはなりませんから」

「ええ、大丈夫です。場所は分かります」

 一人で廊下を歩いて指定された部屋に向かっていると、向かいからミカンと一緒に、デイジーとダリアが嬉しそうに歩いて来た。
 姉弟二人はカズに気付くと、にこやかに挨拶をして、マーガレットと三人の来客が居る部屋へと入った。

「ルッカちゃん、ヘレナちゃん、いらっしゃい」

「うん来たよ。デイジーちゃん。ダリヤ君はお姉ちゃん達に、ぎゅってしてね」

「え、あ、うん。ルッカお姉ちゃん。ヘレナお姉ちゃん」

 聞こえるダリヤの声は、少し恥ずかしそうだった。

「挨拶したから、皆で一緒にあそ─」

 カズの居る場所まで響いていた子供達の声も、扉が閉まったことで、聞こえなくなってしまった。

「ルッカとヘレナ……誰だっけかなぁ」

 カズが来客の少女二人の名前を思い出そうとしていると、廊下の曲がり角からキウイは現れ、その表情は明らかに困っていた。

「あッ! カズにゃん」

「そんなに慌ててどうしたの?」

「カズにゃん暇そうだにゃ」

「まぁ暇と言えばひ…」

「ならちょっと手伝ってほしいにゃ。料理はもう少しで出来るんだけど、広間の支度がまだにゃ。ベロニカメイド長とアキレアは、大切なお客様の所に居て、ミカンもすぐ戻って来るか分からないにゃ」

「メイド不足なの?」

「今日はそうにゃ。だから手伝ってほしいにゃ」

「別にいいけど」

「ありがとにゃ! 一緒に来るにゃ」

 慌てるキウイに引っ張られ、連れて行かれるカズ。
 着いた場所は来客を招いたとき使う、カズも何度も皆で食事をした広間だった。
 罰と称して掃除をさせられた事を、ふとカズは思い出した。
 キウイの指示で食器を各場所に配置したり等をしていると、用事を済ませたミカンが手伝いにやって来た。
 後は二人で大丈夫だからと、カズはミカンに続きを任せて広間を出た。
 すると今度はジルバに呼ばれ、ルータが会っている来客の元へ来るように言われた。
 誰だろうと考えるカズだったが、思い当たる節がないまま来客が居る部屋へと案内された。
 そこでカズは来ていた人物を見て驚いた。
 それは紛れもなく数時間前に城で会った、この国の王だった。
 カズは咄嗟に頭を下げる。

「国王…様」

「昼間振りだね」

「お城では御無礼を」

「公務じゃないからね。堅苦しい挨拶は必要ない。君のことは以前に一度だけ見た事があったんだがね、昼間城で会うまで忘れていた。何度もルータから聞かされていたのに

「それはルマンチーニのやからがした事だと伺ってます。マナキ様が気にすることでは。そうだよねカズさん」

「え、あ、はい」

「私は今回の事で気付かされた。アーティファクトの管理や国の防備にしても、冒険者ギルドの協力や衛兵の在り方をなんとかせねば。平和だったからそれで良い、という訳にはいかず、改革が必要のようだ」

「若輩ではありますが、わたくしも国の為に協力を惜しみません」

「マーガレットには妻や娘達がいつも世話になってる。ルータにはこれからも、愚痴をこぼしに来ると思うが、よろしく頼む」

「私しなどで宜しけばいつでも」

「しっかりしなければ、アイア殿に何を言われるか。カズにも国を支える冒険者として、期待をしているぞ」

「それはありがたいのですが……」

「カズさん。マナキ様がこうおっしゃられてるんだよ」

「何か私に不満でもあるのか?」

「そうではなく、もう少ししたら旅に出るつもりなんです」

「国を出るのか」

「そのつもりです」

「それは初耳だよ。カズさん」

「より良い国にする為に、手伝ってはくれないのか?」

「俺にも一応目的がありますし、それにこれはアイアさんからの提案でもあるので。後日国王様の所に行くと言っていたので、その時にでも聞いてください」

「アイア殿が……分かった。無理を言ってすまない」

「とんでも御座いません」

「それとここで、国王はやめてくれ。マナキで構わない」

「マナキ様…で宜しいのですか?」

「ああそれで構わない。家族とゆっくり過ごすに、城は向かない。どうしても王としての役割があるからね。だからルータには無理を言って、たまに越させてもらっている。王と言われるのは、公務のときだけで十分だ。ルータにも言葉を崩して構わないと言っているんだが」

「私しは商人です。話し方はこの方が慣れておりますので」

 マナキ王とルータは、互いの顔を見て笑う。

「そうだ、カズに一つ言っておくことがある」

「なんでしょう?」

「衛兵司令からジークに話があってね、カズには何かしらの刑罰をあたえるべきだと」

「あれ、俺の罪は無くなったのでは?」

「カズが来る前の話し合いでは、脱獄に対する何らかの刑罰は必要だと衛兵司令は言っていた。しかし元は冤罪から起きた事。衛兵が一貴族の言うことに従い、投獄していたカズに対しての行動はやり過ぎていた事もあり、カズに対する罪は全て無しと決まったのだが」

「衛兵司令一人は、納得しなかったと言うことですか」

「その通りだ。今回の事で衛兵が国に対して不信感を持っては、国の治安を守る為に冒険者ギルドと協力しあう、と言った先程の話しが進まなくなってしまう」

「でしたら衛兵司令を、他の者に変えてはどうですか?」

「そう言うなルータよ。失敗したからと簡単には切り捨てては、国への忠誠が無くなってしまう」

「でしたら貴族区内にも衛兵の拠点を設け、中と外の情報のやり取りをしやすくして、それを取り仕切る一人ということにすれば。降格ではなく、衛兵司令が一人という立場を無くすなんてどうですかね?」

「改革するためには、やはり時間が必要だ。衛兵司令も交えての話し合いをしなければ、今回のような事にまたなりかねない。より良い国をにするのは難しいものだ」

「あの、俺から提案なんですが──」

 このあと言ったカズの提案に、あまり良い顔をしなかったマナキ王だったが、対策の一つとして聞き入れてくれたのだった。
 少し話が長くなってしまっていると、夕食の支度が出来たとジルバがアキレアから聞き、三人が居る部屋へ伝えに入ってきた。
 ルータの案内のもと、マナキ王とカズは夕食の支度が出来ている広間へと移動した。
 既に広間にはマーガレットと二人の子供、来客の三人が席に付いて待っていた。
 カズはそこで来客三人が、王妃とその子供だということを知った。
 場違いだと思うカズだったが、夕食を一緒にとマナキ王から言われては、断ることができなかった。
 護衛として来ているジークを含むロイヤルガードにも、別の部屋に食事が用意されていた。
 正直カズとしては、そちらで食事を取りたかったと思っていたのだった。
 翌日ルータをトラベルスパイダーに会わせるため、カズはこのまま屋敷に泊まることになった。
 マナキ王は翌日に公務がある為、夕食を済ませるとジークと共に城へ戻って行った。
 王妃と二人の子供は、城には戻らずオリーブ・モチヅキ家に泊まっていった。
 レラは子供達四人と一緒に寝ることになったそうだ。
 カズの長い長い一日がようやく終わり、ソファーに横になり就寝した。


 ◇◆◇◆◇


 朝食を済ませた後、マーガレットが改めてカズを王妃『オリピア・オリーブ・ド・リグーリア』に紹介をした。
 王妃オリピアはマーガレットの容態の事は知ってはいたが、立場上と自分が体が弱いのもあり、見舞いに来ることすらできなかったと、当時の事を後悔をしていた。
 しかし一人の冒険者がマーガレットの病気を治し、呪いまでも消し去ったと聞きいて、是非ともお礼がしたいとのことだった。
 呪いを解呪したのは確かにカズだが、病気を治したのは、薬になる花を探していたデイジーとダリアであり、薬を作り上げたのはアキレアだ。
 どうも話が端折はしょられて伝わっているようだった。
 横で聞いていたマーガレットが訂正してくれたので、変に恩を感じられずにすんだのだった。
 しかしながら心を許せ、気楽に接してくれるマーガレットを助けてくれたカズへの感謝は、王妃オリピアにとってはとても重要であった。
しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

処理中です...