人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

文字の大きさ
589 / 912
五章 テクサイス帝国編 3 帝都テクサイス

568 探していた村 と 小羽虫?

しおりを挟む
 急にカズと店主の話に入ってきたのは、両耳の上から後頭部だけにかけて、短い白髪を生やした年配の男性だった。

「おや村長! いらっしゃい」

 店主の言葉から、話に入ってきたのが村長だと分かった。

「あんたも冒険者なら、ギルドで聞けば分かるはずじゃぞ」

「ですね」

「モンスターに襲われて死んじまった連中の物を広い集めて、村に被害が出てないかワシの所に聞きに来たんじゃよ。取られた物もなく、騙されて売り付けられた村人もおらんかったと話したら、その冒険者はすぐ村を出てったぞ」

「そんな事が(これは、当たりかな)」

「少し離れた場所に住んどる婆さんは、どうだったか知らんじゃがな。前にがなんだかんだと言っていたからの、みんなボケたと思って関わっておらんのじゃよ」

「小羽虫? ですか」

「この辺りでは村長くらいの年の人は、妖精族のことを小羽虫と言ってるのさ。ほんの一握りの年寄りだけどね」

 店主の説明で、小羽虫が妖精族フェアリーのことだと分かった。

「なるほど。それでその人は、どこに?」

「ボケてる婆さんのよた話を聞きたいのか? 物好きなんじゃな。婆さんなら村から南に十五分ほどいった場所に住んどるぞ」

「南に十五分(以外と近いな)」

「村長、ちょっと…」

「なんじゃい?」

 村長の言葉を聞いた店主の表情が一瞬変わり、何かを言おうとしたが言葉を飲み、村長を自分の方に呼び寄せた。
 一言二言小声で話すと、村長は店を出ていった。
 カズは店主の変化に気付き、二人から少し離れ、商品を見ながら聞き耳をたてた。


 村長が出ていったすぐ後に、カズはホラ吹きだと村長が言っていた年配女性の家に向かう事にした。
 流石に話だけ聞き何も買わずに出るのは失礼だと考え、一食分の食材を買ってレラと共に村の南へと向かう。

「ここがコンルから聞いた村で間違いなさそうだな」

「あちしも、ハゲ村長が言ってたのを聞いてそう思った」

「これから訪ねる家が、探していた家で間違いないだろう」

「うん…そうだね」

 肉親の可能性があるフェアリー同族の正体が、もうすぐ分かるかも知れないと思い、レラは段々と緊張してきていた。

「大丈夫かレラ?」

「大丈、大丈夫……」

 大丈夫だと言うレラの表情は、緊張で少し強張っている。

「フジと一緒に待ってるか?」

 カズの問いにレラさ首を振り否定する。

「……行くよ。ここまで来たんだもん」

 これ以上言っても逆効果になってしまうと考え、どんな結果になろうのレラを受け止めようと、先に見えるあちこち傷んだ小さな家に歩を進める。

 外見から誰かが住んでいるようには思えなかったが、中からは人の気配があった。
 誰か居るならばと扉を軽く叩き「ごめんください。冒険者の者ですが、少しよろしいでしょうか?」と声を掛ける。
 返事の無いまま待つこと十数秒『ギギギ、ギィィ』と、木の軋む音と共に扉がゆっくりと動き、隙間から二十代前半くらいだと思われる女性が覗き見てきた。
 その反応からは、明らかに警戒しているのが見てとれたので、もう一度挨拶を加えて話す。

「こんにちは。俺は冒険者のカズ。村でこちらに住んでいる方が、以前に小羽…妖精族を埋葬したと聞いて、お話をうかがいに来たんですが」 

 二十代前半くらいの女性はカズを見て、駄目元で確認をする。

「本当に冒険者の方ですか?」

「冒険者のギルドカードは見たことありますか? これは俺のギルドカードです」

 カズは自分のギルドカードを上着の内側から出すふりをして、実際は【アイテムボックス】から取り出して、二十代前半くらいの女性に見せた。

「はい、見たことは……え!? Aランクの冒険者!」

「ええ(知っているようでよかった)」

「そんな方が、こんな所に何のご用でしょう?」

 二十代前半くらいの女性の声は高くなり、驚きと緊張が目に見えて分かるようになった。
 用件を言ったのにも関わらず、耳に入ってないようだったので、カズは仕方がないと、もう一度訪ねて来た理由を言った。
 それを聞くと、二十代前半くらいの女性は少し口ごもりながら「わかりました」と、家に招き入れてくれた。
 家の中は外とは違い、物は少なく片付けられていた。
 たがよくよく見ると、壁から隙間風が入り部屋の隅にはほこりが溜まっていた。
 カズとレラは背もたれの無い木の椅子に座り、あちこち欠けた小さなテーブルを挟んで、向かい側に二十代前半くらいの女性が座った。

「お話を聞きに来たということですが、残念ながらこの家の主である祖母は、少し前に亡くなりました」

「そうでしたか(さっき店の店主が村長に耳打ちしてた内容はあっていたか。一応と思い来てみたが、誰かいるとは思わなかった)」

 聞こえないように小声で話していた二人の内容をカズはわずかに聞き取り、それが間違いではなかったと残念に思う。

「申し遅れました。わたしはオークラで、亡くなった祖母はクレッテ」

「ではオークラさん、あなたでも構わないのですが、クレッテさんが以前に妖精族の女性を埋葬して、身につけていたスカーフをお持ちだと聞いたんですが、それについて何か知りませんか?」

「聞いた事はあります。でもうろ覚えで、詳しくは……」

「出来れば知っている事を教えてもらえませんか?」

「その前に聞いても」

「何でしょう?」

 オークラは自分の祖母がフェアリー妖精族を埋葬し、そのスカーフを持っているというのを、カズが何処で知ったのかと疑問に思い問い掛ける。
 それは当然の疑問だと思い、下手な嘘を言うよりも、正直に話した方が信用してもらい、自分達が知らない情報を教えてくれるとカズは考えた。
 例え正直に話したとしても、その話事態を信じてもらえなければ、意味がないのだが。
 そう思いつつも、カズは旅の妖精族フェアリーから話を聞いたと、オークラに話した。
 
「なぜ、今になってそんな話を?」

「今になってというより、この話を聞いたのが最近なんですよ」

「この辺りの村では、妖精族は勝手に家に隠れ住み、物を盗んでいくと嫌われているんです。殆どが年寄りの勝手な言い分なんですが、実際に妖精族を見てない人にとっては、それが正しいのかと思ってしまうんですよ。それで小羽虫とか言って、毛嫌いしてるんです」

「なるほど。オークラさんも同じ考えですか?」

「わたしは祖母から妖精はそんな種族じゃないと聞かされていたので、そうは思いません。それにわたしの住んでる所は、ここから西にあるオリーブ王国の、最南端にある村です。そこでは妖精族のことを、小羽虫なんて呼んでません」

「クレッテさんと一緒に住んでいたんじゃないんですか?」

「祖母は一人で住んでました。わたしの両親とそんなに仲はよくなったので、一緒に暮らそうとはしなかったんです。わたしは祖母が好きで、よく会いに来てました。わたしが両親と離れて一人暮らしをすれば祖母を呼べたんですが、残念ながらそれは叶わず」

 オークラは祖母と遊んだ事を思い出して涙ぐむ。

「そんなつもりで聞いたのでは、申し訳ない」

「いえいえ、気にしないでください。祖母も高齢でしたので、わたしも覚悟はしてました。今回は時間が取れたので、遺品の一部を取りに来たんです。村から離れてるので、荒らされる前にと」

 この人なら大丈夫だろうと、カズはレラのイリュージョンを解き、オークラに正体を明かして来た理由を話した。
 レラフェアリーを実際目にして驚いてはいたが、訪ねて来た理由を聞くと、オークラはこころよく協力してくれた。
しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

処理中です...