人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

文字の大きさ
713 / 912
五章 テクサイス帝国編 3 帝都テクサイス

692 レラと買い物

しおりを挟む
 ◇◆◇◆◇


 先に目を覚めしたカズは、隣で幸せそうに寝ている半裸のアレナリアの頭を撫で、先に寝室を出て一階に下りる。
 ビワは既に起きて朝食を作り、作り溜めをする料理の仕込みを始めていた。
 人参を一口大に切るビワの隣で、手を洗って用意されていたジャガイモの皮むきをする。

「ある食材は全部使っちゃいます」

「ここのが片付いたら、食材をアイテムボックスから出すよ。足りない物は買いに行ってくるから言って」

「とりあえず茶葉が少ないので、お願いします。種類は任せます」

「わかった」

 ビワが一口大に切った人参と、皮むきして切ったジャガイモを鍋に入れて火にかけ、カズが食材を出したところでレラがふらふらと揺れながら二階から下りてきた。

「先にレラと食べてください」

「ビワの方が早く起きたんだから、お腹すいてるでしょ」

「私は作りながら少しつまみました。なのでアレナリアさんが起きてきたら、一緒にいただきます。二人が食べ終わるまでに、買って来てほしい物を書き出しておきます」

「そう。なら先に食べさせてもらうよ。ありがとう」

 カズが用意された朝食に手をつけるよりも先に、起きているのか寝ているのか分からない薄目の状態のレラが、朝食をもぐもぐ食べていた。

「レラ、起きてるのか?」

「うん。…きてる」

「ほら、ちゃんと目を覚まして食べないと、喉につまるぞ」

 毎度毎度半分寝た状態で器用に食べるレラを見ながら、カズはパンを口に運ぶ。
 食べ終わる頃にはしっかりと目が覚め、朝食に満足するレラ。
 カズが商店街に買い物に行く事を伝えると「大きさは憧れか欲望かあれ、を使って一緒に行っていい」かと聞いてきた。
 まだ使い始めたばかりなので、人前に連れて行くのはと考えたが、外に出る時はイリュージョン幻影魔法で小人の姿に見せてるのだから、同程度の大きさになれば問題ないだろうと許可した。
 ただ背中にある半透明な羽は隠す必要があるので、そこは服の中に入れさせる。

 朝食を済ませて食器の後片付けをし、ビワから買う物を書いたメモを受け取る。
 カズは【アイテムボックス】から『大きさは憧れか欲望か』を出してレラに渡す。
 レラは受け取ると左の二の腕に装着し、魔力を込めて使用する。
 徐々に体が大きくなり、身長が50センチ程になる。
 この大きさは憧れか欲望かアイテム、の良いところは着ている衣服等も一緒に変化してくれる。
 ただ特殊な装備品等には影響を及ぼさないので、サイズを自動調節する機能が備わってない装備品は外す必要がある。
 カズがサイズの自動調節機能を付与出来るので、その辺りは問題はない。
 が、大きくなった際の服が必要かも知れないと思ったので、そこはレラと相談して決める事にする。

 レラと二人で「いってきます」とビワの言い、少し離れた所にある橋を通って川を渡り商店街に向かう。
 歩幅をレラに合わせているので、歩くのは少し遅い。
 慣れない視線の高さで、何度も躓きそうになるっていたのを見たカズは、橋を渡る手前からレラと手を繋ぐようにした。
 子供扱いしないでとでも言ってくると思ったが、レラはまんざらでもない表情をしていた。

 レラの歩幅に合わせてゆっくりと橋を渡り、商店街に着いたところでカズはビワのメモを取り出し、書かれている食材を探して買い集めていく。
 朝食を済ませてから一時間しか経ってないのに、レラが小腹が空いたと露店で焼き菓子を買って食べた。
 大きさは憧れか欲望かアイテム、で大きくなった影響か、魔力消費はカズの付与した装飾品アイテムでそこまでではないが、体力の消費はそうでもないらしい。
 途中人目を避けて、商店街の飲食店では珍しい個室がある店に入り、レラが一度本来の大きさに戻り休憩を取った。
 慣れるまで長時間の使用は控えた方がいいだろう。
 二十分程休憩して、再度同じ大きさになって買い物を続けたが、体力以外の問題は特に起きなかった。

「あとはそこの店で、鍋と食器を買っていこう」

「今まで使ってたの壊れちゃったの?」

「そうじゃなくて、作り溜めするのに、焼き料理なら皿によそってからアイテムボックスに入れておけばいいが、汁物…スープなんかは、鍋ごと入れてといた方がいいだろ。温め直すにしても(作りたてでアイテムボックスに入れておけば、冷める事はないけど)」

「そゆことね。そんじゃあ、でっかい鍋買ってこうよ」

 店に入ってレラが指さしたのは、五十人前は余裕で作れそうな大鍋。
 それだけの量を作っておけば、四人で食べるにしても何日も持つだろうが、流石に買いはしない。

「炊き出しするんじゃないんだから却下。そんなデカいのは必要ない。いつも使ってるのより、少し大きいのを三つも買えば十分だろ」

「いーじゃんいーじゃん。いつか使うかもしれないんだから。おばちゃん、このでっかいのもね」

「あ、こらッ」

 カズの言う事を無視して、レラは店主の年配女性に、長年売れ残ってるであろう大鍋を買うと言ってしまう。
 すぐに断ろうとしたが、店の肥やしになっていた大鍋を買ってくれる事を年配女性は喜ぶ。
 多く買ってくれたからと、大鍋を半額にまけてると言われてしまっては、断るのが申し訳なく思ってしまい、結局買う羽目になってしまった。
 今度はカズのアイテムボックス内で肥やしになることだろう。

 買い物に出掛けてから、川沿いの家に戻るまで二時間弱も掛かってしまった。
 今日の大きさは憧れか欲望かアイテム、の使用はここまでにして、カズはレラから回収した。
 慣れるまで体力の減りが大きいが、とりあえず長時間の使用が出来る事が分かったレラは満足したらしく、カズが預かると言っても駄々をこねる事なく外して渡してきた。

 川沿いの家に戻ると、アレナリアがビワの手伝いをしていた。
 多くの料理が出来上がっていたので、カズはそれを次々と【アイテムボックス】に入れていった。
 特に変わった手付きでもないのに、アレナリアが包丁を使っているが新鮮で少し見入ってしまった。

「ビワほどじゃないけど、私だって簡単な料理くらいは作れるわよ。アヴァランチェで一人暮らししてたんだから」

「そうだったな。なんかアレナリアがそうしてるとこ見るのが新鮮で」

「惚れなおした」

「そこまでじゃないかな」

「えぇ~」

 レラみたいな反応をするアレナリアは置いておき、カズは頼まれて買ってきた物と、鍋や食器類を空いている場所に並べていく。
 ビワが鍋と食器の数を見て、もっと作り続けなければならないかという表情を見せそうだった。

「俺も作るから買ってきただけで、ビワがこれを全部使い終わるまで使ってもらおうって事じゃないから」

「そ…そうですか。よかった」

 カズの言葉を聞き、ビワは明らかにほっとしていた。

「俺は庭の方で焚き火をして作るから、こっちは好きに使ってて。必要な材料があったら言って。アイテムボックスから出すから」

「プリン忘れないで! プリンは絶対にたくさん作ってよねビワ」

 リビングのソファーで寝転がりながら、特製プリンを作ってとビワに要求するレラ。

「わかってる。そういう事なので、プリンの材料をお願いします」

 カズはプリンに使うコロコロ鳥の卵と、ミルキーウッドの樹液を【アイテムボックス】から出して、食事をする時に使うのテーブルに置くと、川に面した裏庭に出た。 
しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」 帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。 さて。 「とりあえず──妹と家族は救わないと」 あと金持ちになって、ニート三昧だな。 こっちは地球と環境が違いすぎるし。 やりたい事が多いな。 「さ、お別れの時間だ」 これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。 ※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。 ※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。 ゆっくり投稿です。

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

処理中です...