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五章 テクサイス帝国番外編 3.5 魔族領一人旅
759 漁場の調査
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「にわかには信じられないけど、あの黒焦げになった物を確認して、わずかにビッグマウスと思われる特徴もあったし、海には肉片も浮いてた。そして旦那達の話を聞いて、ウソだとは到底思えない」
漁に出たノットと十一人の村人達から話を聞いてきたアマ村長は、八体のビッグマウス・シャークと、一体のビッグマウス・シャーク・ロードを討伐したカズ本人に確認を取る。
衣服の汚れも殆どなく、ビッグマウス・シャークを討伐したカズを前に、アマ村長は緊張する様になった。
「それでカズさん、みんなが言っていた事は本当なのよ…ね?」
「まぁ、そうですね。ロード…あのデカいビッグマウスに関しては、ちょっと威力が高かったようです」
崩れ落ちるまでに真っ黒焦げになっておきながら、ちょっと威力が高かっただけじゃないだろうと、その場に居た全員が心底思った。
流石にその雰囲気をカズも感じ取り、苦笑いを浮かべる事しか出来なかった。
「次の漁は破損した船を直してからになるわ。ビッグマウスの脅威が無くなったかは、まだ分からないけど、ロードが倒されたのなら大丈夫だとワタシは思う。また気になった事があったら聞かせてもらうわ。疲れてるところありがとう。今日はゆっくり休んで」
漁に出た村人達からの報告が終わり、解散する事になった。
村人達は村長宅を後にする前に、カズに一言お礼を言ってから自宅へと戻った。
なんだかんだと話は長引き、時刻は昼少し前になっていた。
「あんたも疲れてるでしょ。休んでちょうだい。ワタシはカズさんと、少し話をするわ。何もないんだから、嫉妬するんじゃないわよ」
「もうしない。腕っぷしだけじゃなく、魔力に関しても敵わないのがわかった」
女房のアマ村長と二人で話すカズを疎ましく思わないと伝え、ノットは着替えて一眠りすると寝室に移動した。
二人になるとアマ村長は真剣な表情をしてカズに向き直り、姿勢を正して深く頭を下げた。
「ありがとう、カズさん。旦那がバカな事をして、村人達を危険にさらした尻拭いをしてくれて。しかもあんな大きなビッグマウス、ロードを討伐してくれて」
「護衛との頼みでしたけど、追っ払うだけでは解決になりませんからね。現れたのを倒してしまうつもりで行きましたから。ただビッグマウスを束ねていた、ロードといわれる個体が出て来るとは思いませんでした」
「それを難なく倒してしまうなんて。とんでもない人に頼み事をしたみたい。ロードなんてワタシ達では倒せないわ」
「ノットさんは魔力で強化しているようでしたが、お二人は魔法とかは?」
「旦那は土属性魔法が使えるけど苦手で、戦闘は強化が主なのよ。ワタシは水属性なら使えるわ。あと風属性が少しだけ」
「傭兵では戦う際に、魔法やスキルあまり使わないんですか?」
「ワタシがまとめていたのは、この村みたいな傭兵が集まった団だったのよ」
「それは、傭兵として問題ありと?」
「ええ。肉体的戦闘面では問題ないのだけど、魔力の扱いが苦手だったり、属性魔法を制御できない問題集団。模擬戦を優秀な傭兵団としたら、あっという間にやられて終わり」
冒険者ギルドと傭兵組合の違いはあれど、切り捨てずに問題集団を纏めて面倒を見る人はいるのだと知る。
傭兵の問題集団と聞き、そんな一団を纏めていた人の紹介で、傭兵組合に行って大丈夫なのだろうかとカズは思った。
「そんな問題のある傭兵をまとめていたけど、傭兵組合に顔はきくから安心して。ちゃんと紹介状は用意するから」
「頼みます(顔に出てたのかな?)」
「明日の朝でいい?」
「いいですよ」
「なら今日は我が家で休んで。食事は村で作ってる野菜が中心になるけど、ゆっくり休める寝床は用意するわ」
「ありがたい申し出ですが、俺は昨日と同じ場所にテントを張って過ごします」
「どうして? 今回の事で村のみんなは、カズさんを少なからず受け入れてくれたわ」
「紹介状を明日くれるというなら、海辺の近くで様子を見ます。ロードを倒しましたが、他にいないとも限らないですから。というのは建前で、一緒に漁へ出た村人の中に、少しおびえてるような方がいた。からですかね」
今回は余所者のカズを村の中に泊めるのに反対だというより、アマ村長や旦那のノットよりも強く、ビッグマウス・シャークを容易く討伐出来る実力者だと知り、そんな人物が村の中に居る事が怖いという意見が出るのは目に見えていた。
それにビッグマウス・シャーク・ロードを倒した事で、他のモンスターが近海に現れないとも限らないのは本当のこと。
あとは村人達に気を使われるより、一人テントで過ごした方が楽だというのが、カズの本音。
「本当にいいの? ここなら村人達の目を気にする必要はないんだよ」
「ノットさんの目が怖いからですかね。なんてのは冗談です」
「アハハッ。そうだね。旦那はワタシにべた惚れだからね」
「ごちそうさま。では俺は海辺に戻ります。黒焦げになったビッグマウスのロードは、埋めておけばいいですか?」
「そうしてもらえるかい。海に落としたら匂いを嗅ぎつけて、新たなビッグマウスが来ても困るからね」
「わかりました」
「後始末までさせて悪いね」
「やったのは俺ですから」
アマ村長に軽く会釈をして、カズは村を出て今朝まで居た海辺に戻り、真っ黒焦げになったビッグマウス・シャーク・ロードの死骸を、土属性魔法の〈アースホール〉を使い、地中深くに埋めた。
新たなモンスターが近海に出現して、村人達が船を出す場所の近くに来るかは、視界の端に表示されているマップの範囲を広げ、反応が出るかをテント内で確認する。
それだけで過ごす事はせず、昼食を取った後から魔力操作と魔力制御をして時間を潰す。
早起きしたので流石に日が暮れると眠くなり、夕食は取らずに〈アラーム〉を使い寝た。
◇◆◇◆◇
目が覚めたが周囲は暗い。
かなり早く寝た事で、昨日漁に出た時と同じくらいの時間に起きてしまった。
夕食を取らずに寝た事で腹が鳴り、夜明けまで二度寝する気になれなかった。
火を起こしてテントを片付け【アイテムボックス】に入れ、タマゴサンドとフルーツミルクを出して食べる。
昼食までは保たないが、何時も朝食を取る頃までは十分。
昨日の今日では、破損した船を直してないので、村人達が漁に出る事はなく、二艘の船が置いてある海辺に来る事はない。
アマ村長から傭兵組合の紹介状を受け取るまで、まだまだ時間があるため沖合の様子を見に行く事にした。
折角ビッグマウス・シャークのロードまで討伐したのに、他のモンスターが発生して、この島を離れてすぐ村人が襲われたなんて事になったら目覚めが悪い。
例えそうなったとしても、島を出た後では知る由はないのだが、漁場の確認くらいはしておこうと考えた。
単なる自己満足に過ぎないが、別れた後で気に掛っては支障が出かねない。
暗い内に〈飛翔魔法〉を使い、昨日漁をしてビッグマウス・シャークに遭遇した漁場まで調査する。
何ヶ所も漁場を回った事もあるが、船では数十分掛かったのを、一番遠い沖合の漁場まで十数分しか掛からなかった。
移動中《魔力感知》と《気配感知》を使用しながら、視界の端に表示してあるマップにモンスターの反応が出るかを確認したが、何の反応も出なかった。
海の底深くをモンスターが移動していたら流石に分からない。
それでもマップだけで調べるよりは良いと、念の為に漁場から更に沖へと調べに向かう。
漁に出たノットと十一人の村人達から話を聞いてきたアマ村長は、八体のビッグマウス・シャークと、一体のビッグマウス・シャーク・ロードを討伐したカズ本人に確認を取る。
衣服の汚れも殆どなく、ビッグマウス・シャークを討伐したカズを前に、アマ村長は緊張する様になった。
「それでカズさん、みんなが言っていた事は本当なのよ…ね?」
「まぁ、そうですね。ロード…あのデカいビッグマウスに関しては、ちょっと威力が高かったようです」
崩れ落ちるまでに真っ黒焦げになっておきながら、ちょっと威力が高かっただけじゃないだろうと、その場に居た全員が心底思った。
流石にその雰囲気をカズも感じ取り、苦笑いを浮かべる事しか出来なかった。
「次の漁は破損した船を直してからになるわ。ビッグマウスの脅威が無くなったかは、まだ分からないけど、ロードが倒されたのなら大丈夫だとワタシは思う。また気になった事があったら聞かせてもらうわ。疲れてるところありがとう。今日はゆっくり休んで」
漁に出た村人達からの報告が終わり、解散する事になった。
村人達は村長宅を後にする前に、カズに一言お礼を言ってから自宅へと戻った。
なんだかんだと話は長引き、時刻は昼少し前になっていた。
「あんたも疲れてるでしょ。休んでちょうだい。ワタシはカズさんと、少し話をするわ。何もないんだから、嫉妬するんじゃないわよ」
「もうしない。腕っぷしだけじゃなく、魔力に関しても敵わないのがわかった」
女房のアマ村長と二人で話すカズを疎ましく思わないと伝え、ノットは着替えて一眠りすると寝室に移動した。
二人になるとアマ村長は真剣な表情をしてカズに向き直り、姿勢を正して深く頭を下げた。
「ありがとう、カズさん。旦那がバカな事をして、村人達を危険にさらした尻拭いをしてくれて。しかもあんな大きなビッグマウス、ロードを討伐してくれて」
「護衛との頼みでしたけど、追っ払うだけでは解決になりませんからね。現れたのを倒してしまうつもりで行きましたから。ただビッグマウスを束ねていた、ロードといわれる個体が出て来るとは思いませんでした」
「それを難なく倒してしまうなんて。とんでもない人に頼み事をしたみたい。ロードなんてワタシ達では倒せないわ」
「ノットさんは魔力で強化しているようでしたが、お二人は魔法とかは?」
「旦那は土属性魔法が使えるけど苦手で、戦闘は強化が主なのよ。ワタシは水属性なら使えるわ。あと風属性が少しだけ」
「傭兵では戦う際に、魔法やスキルあまり使わないんですか?」
「ワタシがまとめていたのは、この村みたいな傭兵が集まった団だったのよ」
「それは、傭兵として問題ありと?」
「ええ。肉体的戦闘面では問題ないのだけど、魔力の扱いが苦手だったり、属性魔法を制御できない問題集団。模擬戦を優秀な傭兵団としたら、あっという間にやられて終わり」
冒険者ギルドと傭兵組合の違いはあれど、切り捨てずに問題集団を纏めて面倒を見る人はいるのだと知る。
傭兵の問題集団と聞き、そんな一団を纏めていた人の紹介で、傭兵組合に行って大丈夫なのだろうかとカズは思った。
「そんな問題のある傭兵をまとめていたけど、傭兵組合に顔はきくから安心して。ちゃんと紹介状は用意するから」
「頼みます(顔に出てたのかな?)」
「明日の朝でいい?」
「いいですよ」
「なら今日は我が家で休んで。食事は村で作ってる野菜が中心になるけど、ゆっくり休める寝床は用意するわ」
「ありがたい申し出ですが、俺は昨日と同じ場所にテントを張って過ごします」
「どうして? 今回の事で村のみんなは、カズさんを少なからず受け入れてくれたわ」
「紹介状を明日くれるというなら、海辺の近くで様子を見ます。ロードを倒しましたが、他にいないとも限らないですから。というのは建前で、一緒に漁へ出た村人の中に、少しおびえてるような方がいた。からですかね」
今回は余所者のカズを村の中に泊めるのに反対だというより、アマ村長や旦那のノットよりも強く、ビッグマウス・シャークを容易く討伐出来る実力者だと知り、そんな人物が村の中に居る事が怖いという意見が出るのは目に見えていた。
それにビッグマウス・シャーク・ロードを倒した事で、他のモンスターが近海に現れないとも限らないのは本当のこと。
あとは村人達に気を使われるより、一人テントで過ごした方が楽だというのが、カズの本音。
「本当にいいの? ここなら村人達の目を気にする必要はないんだよ」
「ノットさんの目が怖いからですかね。なんてのは冗談です」
「アハハッ。そうだね。旦那はワタシにべた惚れだからね」
「ごちそうさま。では俺は海辺に戻ります。黒焦げになったビッグマウスのロードは、埋めておけばいいですか?」
「そうしてもらえるかい。海に落としたら匂いを嗅ぎつけて、新たなビッグマウスが来ても困るからね」
「わかりました」
「後始末までさせて悪いね」
「やったのは俺ですから」
アマ村長に軽く会釈をして、カズは村を出て今朝まで居た海辺に戻り、真っ黒焦げになったビッグマウス・シャーク・ロードの死骸を、土属性魔法の〈アースホール〉を使い、地中深くに埋めた。
新たなモンスターが近海に出現して、村人達が船を出す場所の近くに来るかは、視界の端に表示されているマップの範囲を広げ、反応が出るかをテント内で確認する。
それだけで過ごす事はせず、昼食を取った後から魔力操作と魔力制御をして時間を潰す。
早起きしたので流石に日が暮れると眠くなり、夕食は取らずに〈アラーム〉を使い寝た。
◇◆◇◆◇
目が覚めたが周囲は暗い。
かなり早く寝た事で、昨日漁に出た時と同じくらいの時間に起きてしまった。
夕食を取らずに寝た事で腹が鳴り、夜明けまで二度寝する気になれなかった。
火を起こしてテントを片付け【アイテムボックス】に入れ、タマゴサンドとフルーツミルクを出して食べる。
昼食までは保たないが、何時も朝食を取る頃までは十分。
昨日の今日では、破損した船を直してないので、村人達が漁に出る事はなく、二艘の船が置いてある海辺に来る事はない。
アマ村長から傭兵組合の紹介状を受け取るまで、まだまだ時間があるため沖合の様子を見に行く事にした。
折角ビッグマウス・シャークのロードまで討伐したのに、他のモンスターが発生して、この島を離れてすぐ村人が襲われたなんて事になったら目覚めが悪い。
例えそうなったとしても、島を出た後では知る由はないのだが、漁場の確認くらいはしておこうと考えた。
単なる自己満足に過ぎないが、別れた後で気に掛っては支障が出かねない。
暗い内に〈飛翔魔法〉を使い、昨日漁をしてビッグマウス・シャークに遭遇した漁場まで調査する。
何ヶ所も漁場を回った事もあるが、船では数十分掛かったのを、一番遠い沖合の漁場まで十数分しか掛からなかった。
移動中《魔力感知》と《気配感知》を使用しながら、視界の端に表示してあるマップにモンスターの反応が出るかを確認したが、何の反応も出なかった。
海の底深くをモンスターが移動していたら流石に分からない。
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