人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

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五章 テクサイス帝国編 4 再会と帝都からの旅立ち

820 二人の皇女に噂され

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 レオラの突拍子もない例えを聞いて、アイリスから笑顔が消えた。

「それを聞くと怖いわね。でも、カズさんがそんなに怒る事あるのかしら?」

「アレナリアが負った傷を見て怒ったと言っていたが、それは自分に対してもだろう」

「自分に対して……そうかも知れないわね」

 カズが怒りをあらわにするのは、大切な人の為か、自分の不甲斐なさについてだとレオラは言い、アイリスもそれに同意した。

「半年振りに会ったカズさんは、以前と変わらず穏やかだったわ。レオラちゃんもそれはわかったでしょ。大丈夫よ。わたくし達が道を間違わなければ、カズさんが敵になる事はないわよ」

「姉上の言う通りだ。どうもアタシは、まだ少し弱気らしい。八日後の会談までには、以前のアタシに戻さなければ」

「カズさんを連れ戻すなら、ギルドに行けば間に合うわよ」

「そうしたら、アタシはカズの能力に甘えてしまう。カズを行かせたのに、決意が揺らいでしまう」

「そうよね。ごめんなさい。もしわたくしがお願いして、レオラちゃんがカズさんを頼って、すべてがうまくいっていたら、お礼はわたくしを差し出すしかなくなるわね」

「ぶッ! 何を言ってるんだ姉上」

「例えばの話よ。それともレオラちゃんが皇族を退いて、カズさんに嫁ぐの? アレナリアさんは許してくれるかしらね?」

「嫁がないし、カズはアタシの好みではない」

「あら、そうなのね。でも、お礼として一夜限りでも、なんて考えてたりしない?」

「しない! 姉上だってカズは好みではないだろ」

「特にカッコいいとかは思わないわね。でも優しくて頼りになるから、今まで会ってきた男性の中では良い方よ。求められたら一回くらいならって考えちゃうわね。今までのお礼を兼ねて」

「そういう話は控えた方がいい。ほら、侍女の機嫌が悪くなってしまったぞ」

 恩人であったとしても、生涯を仕えると決めたアイリス主人てたまるかと、侍女のガーデニアはカズに対して苛立ちを覚えた。

「例え話を真に受けないで。でも、もしそうなったら、ガーデニアも一緒に?」

「自分はアイリス様の美しい裸体しか見ません。それにカズさんの相手はカミーリアさんにの方が、自分としてはジュルリ、ゴクリのよだれものです」

 第六皇女レオラと守護騎士のアスターが居るにも関わらず、隠すことなく欲望丸出しの侍女ガーデニア。

「それはわたくしも同意ね。でもそれは叶わないわ。妄想の中だけにしましょう」

「とても残念です。カミーリアさんが押し倒される…いえ、カミーリアさんがカズさんを押し倒……失礼しました」

「男色好きなのは、相変わらずのようだ」

「ええ。ガーデニアとの話は楽しいわ。レオラちゃんも一緒にどう?」

「遠慮させてもらおう。アタシにその趣味はない」

「そう? ならレオラちゃんは、そろそろ相手を見つけないと。カズさんの子供をみたいのなら、レオラちゃんもそうしないとね」

「アタシにはまだ早い!」

「冒険者を引退するんでしょ? なら結婚しても宜しくなくて?」

「アタシのことはいい。姉上こそどうなんだ?」

「わたくしはお屋敷からあまり出ませんから、素敵な男性との出会いはないのよね。レオラちゃんは国中を回ってたんだから、気になった男性の一人や二人いるでしょ?」

「アタシより弱い男に興味などない」

「それならやっぱり、カズさんしかいないんじゃないの?」

「まだ言うか。姉上」

「わたくしはレオラちゃんより強い男性を、カズさんしか知らないもの」

「もうこの話は終わりだ。手の空いてる騎士達を集めろ。カミーリア」

「騎士をですか?」

「合同訓練から成長してるか、アタシ自ら確かめてやる。アスターも来い」

「宜しいですか? アイリス様」

「ええ、いいわよ。レオラちゃんも体を動かしたいんでしょう。ネモフィラはカズさんと訓練してたから、こちらに残ってもらうわ」

 アイリスから逃げるかのように、レオラはアスターと共に部屋を出る。
 カミーリアは屋敷内を回り、装備の手入れや休憩している女性騎士達に声を掛けて回り集めた。
 断ると次に合同訓練があった際に、以前よりも厳しくなると思い、女性騎士達は訓練用の剣や装備を身に付けて宿舎裏手に集まる。
 突如として始まったレオラの訓練に集まった女性騎士達は、左腕の半分を失っても衰えぬ覇気に、以前の合同訓練と同じ緊張感を抱き、訓練に奮起した。
 

 《 カズ達が帝都を離れて約二時間後 》


 以前にレラの為に訪れた双塔の街で魔導列車を降り、駅北の住宅街近くの宿で素泊まりの部屋を取った。
 明日また魔導列車に乗るので、一泊する部屋を取った後で、双塔を見に来る観光客が集まる通りに行き、適当な飲食店で夕食を済ませて宿に戻る。

 一日で帝国西部の裁縫と刺繍の街バイアステッチから帝都に行き、魔導列車で双塔の街への長距離移動は、流石に疲れていた。
 帝都から双塔の街までの移動で、ビワとレラは一時間程寝てしまっていた。
 レラが寝てしまった事で、大きさは憧れか欲望かアイテムの効果が解けそうになった。
 個室ではなく他の乗客も居る車両だったので、カズが解けないように魔力を慎重に気を付けて補助して、レラが人前で急に縮む難を逃れた。

 夕食を終えて宿に戻ると、レラは元の大きさに戻り、カズは変装に使っていたイリュージョンの魔法を解き、衣服に着いた汚れを〈クリーン〉で取り除いた。
 就寝前に雑談をする間もなく、寝間着に着替えるとベッドに入り即就寝。
 カズだけはアイリスの屋敷でレオラと話した内容を思い返し、中々寝付けなかった。
 レラが大きくなっている持続時間も、意識を失わなければ維持出来ると分かり、外部から魔力を補助してやれば、急に元の大きさに戻る事はないとも分かった。
 皇族の会談が終わったら、折を見てレラと身体を重ねる約束を果たそうと、カズはレラの寝顔を見ながら想い眠りについた。


 ◇◆◇◆◇


 最初に目を覚ましたのは何時も通りビワ。
 疲れていても習慣からか、ほぼ同じ時間に目を覚まし、顔を洗って眠気を払い、寝間着から着替える。
 その直後カズが目を覚まし、続いてアレナリアが起きて寝間着から着替えていると、最後にレラが起き上がるも、これまた何時も通り寝惚けている。

 レラが完全に目を覚ますのを待ち、朝食は飲食店で取る事にして、宿屋を出る支度をする。
 しっかりと寝て疲れは取れて、魔力も回復したレラは大きさは憧れか欲望かアイテムを使用して、アレナリアと同じくらいになる。
 カズは〈イリュージョン〉を使用して、自身とアレナリアとビワに、前日と同様の姿に変装する。
 流石に宿屋に入った時と出る時で、レラ意外の三人が別人になっているのはおかししので、同様の姿で宿屋を出る。
 人通りの多い駅近くに行く前に、人目のつかない路地でアレナリアとビワに掛けたイリュージョンを解く。

「カズだけはそのままなの? 帝都を離れたんだし、もう姿を変える必要ないんじゃないの?」

「俺はここに来てたから、顔見知りと鉢合わせしないとも限らないからな」

「ねぇカズ。せっかく来たんだし、あちしあの塔を近くで見たい」

「観光で来たんじゃないんだけど」

「それくらいなら問題ないんじゃない。カズは姿を変えてるんだし、どうせ帝国を出るのは、皇族の会談が終わった後にするんでしょ」

「そうだが」

「私も見てみたいわ。ビワも見たいでしょ?」

「怖そうなので、上まで行かなければ」

「ダンジョンだから攻略しないと、最上階には行けないわよ」

「それなら、いいです」

「下から見るだけなら、ビワもいいって。これで三対一だから決定でいいしょ」

「わかったよ。少し観光してから列車に乗ろう。ただこの冒険者は、荒っぽい連中が多いから気をつけるようにな。押し売りとかにも」

 カズは双塔の街での注意事項を伝え、朝食は色々な物を食べ歩きしながら双塔に向かった。
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