不自由と快楽の狭間で

Anthony-Blue

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97.変わらない味

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「ねぇ、瑞樹。わたしのおっぱいに触りたいんでしょ」

 ボクの心を見透かしたように、Tシャツをめくって張りのある美しい乳房を見せて来た。

「やめろよぉ。そんなことより、お腹空いてるでしょ。お弁当を一緒に食べようよ」

「もぉ、お弁当とおっぱいと、どちらが大事だと思ってるのよ」

 Tシャツをめくったまま、ボクに迫ってくる萌を手で止めながら、即刻応えた。

「今は、お弁当かな。食欲の方が勝ってるしね」

「じゃあ、食欲を満たした後は性欲だよね」

 萌は、小悪魔のように乳房を揺らして微笑んだ。

「それは、ないと思うよ」

「なに、わたしとじゃ、勃たないってこと?」

「そうかもね」

「まあ、試してみればいい事じゃん」

「そうじゃなくて・・・。先に、ご飯食べようよ」

 萌を、刺激しないように話しをそらした。意図的に、再びボクとカラダの関係を持って、この家に戻ってこようとしているのか。それとも、カラダの寂しさからボクとのエッチを求めているのだろうか。元々、欲望、特に性欲に関しては萌は純粋だった。色々と考える前に、エッチがしたいと思えば、真っ直ぐ求めてきていた。だからこそ、ボクの元に状況も考えず戻ってきたのかもしれない。 

「これ、美味しいね」

「そっかぁ。今まで食事はどうしてたんだよ」

「あいつが、金回りのいい時にまとめて買ってくるカップラーメンとか食べてたよ。電気とか止められることがあって、そのまま、硬い麺をかじることもあったし」

「ひどいな」

「わたしが、バカやった結果だから仕方ないよね」

「後悔してるんだ」

「当たり前じゃん。地獄から、瑞樹が天国に連れてきてくれたのに、また自分で地獄に落ちちゃったんだから。バカなわたしでも、わかるよ」

 コンビニの弁当でも、美味しそうに食べている姿が哀れに見えた。

「ごちそうさまでした」

 萌は、ノーブラのTシャツの前で手を合わせて言った。ボク達は、テーブルの上を片付けて淡い灯りの中でたたずんだ。

「ねぇ、」

「うん」

「お風呂入ろうよ。瑞樹」

「先に、入っていいよ」

「イヤ、一緒に入ろうよ」

「ダメ」

「なんで」

「だって」

「だって?」

 萌との短い会話のやりとりが、ピンポン球のように行き来する。

「いいじゃん。別に」

 萌は、進まない会話にガマン出来なくなってイスから立ち上がって、ボクの車椅子の方向を無理矢理変える。

「ほら、これお風呂で洗ってよ」

 ゆで卵の殻を剥くように、白いTシャツをボクの前で脱ぎ捨てる。痩せてウエストが細くなった分、元々大きかった萌の乳房が強調されているようだった。

「ねぇ、触ってみてよ」

「いやっ」

「なんでよぉ、前はあんなに触ってくれたのに」

「だから、ダメなんだって」

「久しぶりだから、恥ずかしがってるの?瑞樹って、やっぱりかわいいね」

「ちがうよ」

「もぉ、遠慮しなくていいからさ。ほらっ」

 萌はボクの右手を取り、自分の左の乳房に押しつけた。はち切れそうな弾力のある乳房がボクの手を魅了する。

「ねぇ、揉んでみてよ。わたしのおっぱい、変わってないでしょ」

「う、うん」

「不思議でしょ。『あいつ』にあんなに無茶苦茶に揉まれても、潰れもしないでちゃんとわたしのおっぱいでいてくれてるんだから」

 ボクの手を萌の手で重ねて、ゆっくりと自分で揉むように円を描いて動かし始めた。

「あっ、うぅーん」

 目を細めて、萌は吐息と喘ぎの混ざったような声を小さく上げる。

「ねぇ、こっちのおっぱいも舐めてよ」

 まだ、手つかずだった右側のおっぱいをボクの顔の前に差し出す。

「はやくぅ。舌を出して、乳首を舐めて」

「だめだって」

「何言ってるのよぉ。わたしのおっぱい、キライになったの」

 そう言うと、右手でボクの頭を持って、大きくなりかけている乳首に押しつけた。

「もう、乳首がたってるし、ねっ、おねがい」

 息もできないくらい乳房に押しつけられて、ボクは仕方なく口を開ける。萌の乳首が、ボクの口の中に押し入ってくる。

「萌の味がする」

「そうでしょ。わたしは、前と変わってないんだから」

 うれしそうにそう言うと、萌はボクの股間に手を伸ばした。

「わっ、瑞樹もちゃんと大きくなってる。お風呂に入る前に、瑞樹の味を味わってもいい?」

 萌が、ボクのジーンズのファスナーを降ろして、手を突っ込もうとした瞬間だった。リビングのドアが急に開いて張り詰めた空気が流れ込んできた。

「何をしてるんですか!わたしの瑞樹さんから、離れてください!」
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