不自由と快楽の狭間で

Anthony-Blue

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144.触感

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「ダメに決まっているでしょ」

 とボクが言うと、律子は猛然と反論をした。

「えっ、綺麗にしたら、触っていいって言ったでしょ?」

「そんなこと言いましたっけ」

「そんなこと、はっきり言いましたよ」

「律子さんは、今日は見学だと、お母さんが言っておられましたけど」

「見学って言ったのは、本番は後日ということで、ちょっとくらいお触りしても問題はないでしょ?」

「ボクはまだ、お母さんに合格通知をもらってませんし」

 必死さが伝わって来る律子の言葉に、ボクは少しだけ意地悪してみたくなって言っていた。

「お母さん、瑞樹さんがこんなに意地悪だとは思わなかったわ。生まれて初めての処女の乙女が、生のおちんちんに、ちょっとだけ触りたいってお願いしてるだけだって言うのに。ねぇ、お母さんからもお願いしてよ」

 甘えん坊のお姫様感を全開にして、律子は母親に助け船を出すように言った。

「瑞樹さん、この子は普段はこんなわがままを言う子ではないんですよ。やっと、自分に訪れたチャンスを逃したくないんだと思います。少しだけでいいので、その大きくなったモノを握らせてやってはもらえないでしょうか」

 勝手に勃起したのだから、触るというか握らせてやってくれてもいいのではないのという、本音の字幕が透けて見える援護射撃をされて、ボクは慣らし運転を許可することにした。

「わかりました。お母さんがそこまでおっやるのならいいですよ。緊張しすぎて、強く握ったりしないでくださいね」

 律子は、やったねというような顔をして、ほんとうにうれしそうに笑った。

「ありがとう」

 全方位に響き渡るような声が、ボクの耳にも届いた。が、その後の言葉に律子のしたたかさをも感じる言葉を吐いた。

「ねぇ、触るんじゃなくって、握ってもいいんだよね。そんなふうに聞こえたんだけど」

 ワードのレベルを上げたのは節子だが、それに同意したのも事実なので仕方ない。

「はいはい。どうぞ」

 投げやり気味にボクが応えると、律子はもう一段テンションの上がった声で言った。

「じゃあ、いただきます」

 肩から腕を上げて、律子の手がボクのペニスに触れようとしていた。指先に亀頭が触れると、一瞬怯んだように、指に距離が空く。しかし、もう一度、今度はしっかりとペニスをなぞるように人差し指が動く。実態を確かめた後、手のひらを開いてペニスをゆっくりと握って我が物にした。

「あったかいのね。個別の生き物のように鼓動が手のひらに感じるの」

 感動が感想として言葉に出ている。

「でも、ガチガチに硬いわけじゃないのね」

「それは」

 それは、節子から受けた刺激からすこし時間が経って、少し気が抜けているから、と応えようとした時、そこそこの力でペニスを握って上下に動かし始めた。

「それはダメ」

「あっ、ごめんなさい。わかるでしょ。これは不随意運動なのよ」

「障害者あるあるで、言い訳するんですね」

「ちがうの。あっ、でも、なんか硬くなってきてる。わたしが、勃起させてるってことよね。やったぁ」

 無邪気な子供のように喜ぶ律子を見ていると、結局なにも言えなくなる気がした。

「不思議ね。ガチガチに勃っていても、どこかしなやかさというか、柔軟さがあるのね。無機質なバイブとは雲泥の差だね。これをわたしに入れたらどんな気持ちなんだろう。ますます楽しみになってきたわ」

「形とか大きさ、硬さなんて同じ物なんてないですからね」

「うん。でも、初めての男性のモノがこんなにステキなモノでよかったわ」

「褒めてくれてありがとう」

 律子は、もう手の動きはやめて、握る力を変えて手のひらでペニスを味わっているようだった。そのうち、急にペニスに顔を近づけて真顔で言った。

「ねぇ、舐めたりするのはダメなのかしら」
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