緑の体だからゴブリン?花が咲いてるからドライアド?いいえ、超ミドリムシです!異世界で光合成して家族が増殖しました!

もう我慢できない

文字の大きさ
42 / 178

42話 ミドリムシの家族は荷物を配達する

しおりを挟む

 男は猫の獣人で名は大和と名乗った。



 この世界には様々な獣人が居るが大和は身長180㎝程で体はしなやかな筋肉をしており、まさに猫の俊敏性と柔らかさをもつ獣人であった。



 大和の提案により2人は足を止め2人の荷物の届け先のリストを確認し近いところを一緒に回る事になった。



「じゃあクウの嬢ちゃんついてきな! 」



 そうクウに大和が叫ぶ

と荷物を持って走りだす。その声に反応してクウも大和を追いかける。クウと大和は同じ方向に向かって走り出すが徐々にクウが大和に引き離される。



 単純なスピードは、重りの魔道具をしてもクウの方が早かったが2人が今走っているのは王都の道でそこにはたくさんの人達が行きかう。



 2人は猛スピードで目的に向かって走っているが時には急激にスピードを落としたり、人込みで走れるコースがないと建物に向かって飛びあがりその壁を蹴って道に戻るなどして進んでいる。



 大和はクウに向かって叫ぶ。



「クウの嬢ちゃんすげー反射神経と身体能力だな! 俺だったら人とぶつかっちまってるぜ! 」



 クウの視界では景色はゆっくりと見える、だが今は重りのため自分の体もゆっくりとしか動かせないがそれでも他人からすれば大和が言うように反射神経と身体能力で人との衝突を避けていた。



「そこまでの反射神経があるなら思考スピードも早いんだろ? その早い思考スピードを使って人の歩く道筋を想像して走るんだ。それだけで嬢ちゃんならすぐに俺なんかよりも早く走り抜けるようになると思うぜ」



 そう大和に言われてクウはさらに思考スピードを上げる。



 もともと戦闘中は一般人にはほぼ消えた様にしか見えないスピードで動き続けるクウの思考スピードは師匠の流でも追いつくことができないものであった。



 クウは今から進みたい方向の人の動きを観察し、自分がその場所を通る頃の人の位置を予測する。クウはその予測を自分の動くスピードの5秒先ほどまで伸ばすと笑いがこみあげてくる。



「ふふふふ、あはははは、楽しいです♪ 」



 今までの苦労は何だったのかと思うほどクウのスピードは上がり始めるそんな姿を見て大和は焦りながらクウに叫ぶ。



「嬢ちゃん! スピードの上げすぎだ! あんたが誰かにぶつかったら相手は死んじまうぞ! 」



 大和がクウに向かって叫んだその時。路地から子供達の集団が走り出てくる。



 大和は完全にクウが子供達にぶつかると思った瞬間、クウは子供達の間を通ったことを気づかせないスピードで通りぬける。



 クウが子供達の集団を通り抜けたところで大和が来るの待ちそれに追いついた大和がこぼす。



「いや~ まいった! あれを余裕でかわすのか。俺は、正直クウの嬢ちゃんが子供達と完全にぶつかったとおもったぜ」



「えへへへ、やりました♪ 大和さんのアドバイスのおかげで1段壁を登ることができたです♪ ありがとうございました♪ これで師匠にも褒めてもらえると思います♪ 」



「へぇ、クウの嬢ちゃんは師匠がいるのか~ いったい誰に教えてもらっているんだ? 」



「はい冒険者の流さんです♪ 」



 それを聞いた大和はすぐに聞き返す。



「クウの嬢ちゃんはあの【達人】の弟子なのか!? それは羨ましいかぎりだぜ・・・・」



 大和は以前達人に会った際に弟子にして欲しいと言ったが断わられたのであった。



「嬢ちゃんも冒険者だったか。なら改めて自己紹介だ。俺はB級冒険者チーム【黒い流星】の大和だ宜しくな、クウの嬢ちゃん! 」



「よろしくお願いします! 私はI級冒険者チーム【軍団レギオン】のクウといいます! 改めて宜しくお願いします♪ 」



「ええええええ!? クウの嬢ちゃん【軍団レギオン】なのか? あの今王都で噂になっている! 」



「噂になっているかはクウは知りませんが【軍団レギオン】なのは間違いないです! 」



「となるとクウの嬢ちゃんは下っ端なのか? チームに入ればあの流さんの弟子になれるのか? 」



 大和はB級のためI級ランクの授与式の後の模擬戦の事は知らないため、様々な質問をし始める。



「流さんの弟子はクウだけなのです♪ 下っ端といかうちは今6人・だけなので上とか下とかないはずなんですが・・・・う~ん、でもクウはチームに入ったのは2番目ですけど~ う~ん、よくわからないです♪ 」



「はははは、6人しかいないのになんで【軍団レギオン】なんだ・・・・ 」



 大和が不思議に思うのは無理もなく2つ名をもつチームは大きな功績を挙げたチームでその功績から2つ名がつくことがほとんどである。



 s級A級のチーム【ドラゴンスレイヤー】【海の守護者ガーディアン】などそれぞれ逸話をのこしている。



 緑のチームは【軍団レギオン】が2つ名を受ける事になった理由が多すぎた。スタンピードを1つのチームで壊滅させる。戦後復興での資源援助での活躍。他の人からはモンスターにしか思えない大量の家族。



 以上の事から今回の2つ名の授与の際に話される逸話は戦後復興の話であった。そのため噂を聞いた人々はとてつもなく集団行動を得意とする沢山の人員をもつチームだと思った。



 そんな、噂を聞いた1人の大和はクウの話を聞き混乱するのであった。







 その後、クウは大和とそれぞれ受けた依頼を完了させるとダンジョンに大和を招待するのであった。



「な、な、何なんだここは・・・・」



 まず、家に招待すると言われて連れてこられたのが孤児院でそこには似つかわしくない扉がありそこをくぐる。



 くぐった先には山、川、海、と豊かな自然があり王都でも見たことが無いような高い建物、そこかしこに居るドライアドと思われる子供、さらにはモンスターが背中に子供をのせて歩いている。



 そんな光景に唖然とするなか不意に声を掛けられる。



「あれ? どちら様ですか? 」



 大和が声を掛けられたほうを見ると緑が立っていた。大和の後から扉をくぐり緑を見たクウが帰宅時の挨拶をする。



「緑さんただいまです♪ こちらの方は今日一緒に【赤い依頼】受けたB級チームの【黒い流星】の大和さんです♪ 」



 それを聞き緑が大和に挨拶をする。



「初めまして水野 緑と言います。今日はクウがお世話になったようで。どうぞゆっくりしていってください」



「あ、はい宜しくお願いします」



 頭がついていかず気の抜けた返事をする大和。そんな大和の頭を現実に引き戻したのが【達人】の流であった。



「あ、師匠ただいまです♪ 依頼完了してきました♪ 」



「ふぉふぉふぉ、その様子だとなにか掴めたようだな」



「はい、こちらにいる大和さんにアドバイスをもらって1段壁を登れたと思います♪ 」



「確かお主は・・・・黒い流星の者だったかの? 」



「はい、そうです! 覚えててもらえて光栄です! 」



 そんなやり取りをしていると緑が大和に今日は泊っていってはどうかと尋ねる。



 すると大和は他のチームのメンバーもいるからと断ろうとするがそれならチーム全員でくればいいと言うのであった。



しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

元構造解析研究者の異世界冒険譚

犬社護
ファンタジー
主人公は持水薫、女30歳、独身。趣味はあらゆる物質の立体構造を調べ眺めること、構造解析研究者であったが、地震で後輩を庇い命を落とす。魂となった彼女は女神と出会い、話をした結果、後輩を助けたこともあってスキル2つを持ってすぐに転生することになった。転生先は、地球からはるか遠く離れた惑星ガーランド、エルディア王国のある貴族の娘であった。前世の記憶を持ったまま、持水薫改めシャーロット・エルバランは誕生した。転生の際に選んだスキルは『構造解析』と『構造編集』。2つのスキルと持ち前の知能の高さを生かし、順調な異世界生活を送っていたが、とある女の子と出会った事で、人生が激変することになる。 果たして、シャーロットは新たな人生を生き抜くことが出来るのだろうか? ………………… 7歳序盤まではほのぼのとした話が続きますが、7歳中盤から未開の地へ転移されます。転移以降、物語はスローペースで進んでいきます。読者によっては、早くこの先を知りたいのに、話が進まないよと思う方もおられるかもしれません。のんびりした気持ちで読んで頂けると嬉しいです。 ………………… 主人公シャーロットは、チートスキルを持っていますが、最弱スタートです。

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

処理中です...