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85話 ミドリムシの花火
しおりを挟む「「うめぇ~!」」
緑の店のいたるところで皆が美味いと声を上げていた。
「王様の店の飯が美味い事は知っていたがさらに美味くなってやがるしこの酒の種類は驚きだな!」
「それは緑と俺で酒を造り続けているからな」
シャークが酒の種類に驚いているとゴードンがなぜ種類が多くなったか説明する。
「おお、ゴードンさんか! あんたもピエールさんと一緒で緑のダンジョンで働いているんだったな」
「まぁ、働いていると言うよりはここに住まわせてもらって好き勝手させてもらっているようなもんだ。何せ好きな酒を好きに作って暮らしていて飯も美味けりゃ酒も飲みきれないほどある。あとはギルドマスターの時に比べたら少ない事務仕事やダンジョンの運営の手伝いだけだ」
「それはあんたにとっちゃ~ 天国だな!」
「それに最近仲間も増えたからな?」
「仲間?それはどこかの引退したギルドマスターか?」
「違う違う、ほれあそこにいるやつだ」
「ん? ああドワーフの事か…… 何んか見たことあるきが……」
自分を見る視線に気づいたビルがゴードンとシャークの元に歩み寄ってくる。ビルが近づくにつれ途中からシャークが目を見開き驚く。
「って、おいおい。あれはドワーフ王国の鍛冶師のビルさんじゃねぇか!?」
そのシャークの言葉にまわりの冒険者がわざつき始める。
「おう! そうだ俺はビルってんだ知っているのか?」
「知っていも何も冒険者なら誰もが自分の武器を作ってもらいたい人物だ! しらないわけがないだろう?」
「ええええ!?」
シャークがビルを知っていることを話すとビルの後をついてきた炎剣のギルが大声をだす。
「本当にあのビルさんなんですか!?」
「ああ、そうじゃ」
その返事を聞きギルが目を回し始める。
「あのビルさんが剣を…… あのビルさんが剣を……」
ギルがぶつぶつ独り言をつぶやき始めた横で魔緑が質問する。
「なんだビルさんあんた有名人だったのか?」
「ああ、少しは名が知られているようだ」
そういってニヤリと笑う。
「「すこしどころじゃねぇ!」」
周りで聞き耳を立てていた冒険者が一斉に声を上げる。
「まぁ、嬢ちゃんの剣は魔緑からの依頼だからのう、それに面白そうじゃ・・・・ 作るさいには魔緑にも手伝ってもらうからの」
「魔緑も手伝うって? お前さん鍛冶ができるのか?」
シャークが思わず質問すると魔緑が答える。
「鍛冶なんて呼べるしろものじゃねぇよ。俺の腕前で鍛冶をするなんて言ったら本職におこられるぜ」
それを聞いたシャークは安心するがさらにビルが追い打ちをする。
「そうだのう鍛冶師としてはまだまだこれからじゃがこいつは魔法が使えるからのう・・・・ さしずめ魔法と鍛冶の融合で魔鍛冶師とでも呼べば良いのじゃないか?」
それを聞いたシャークは笑い始める。
「がはははは! 緑も魔緑も規格外すぎるな!」
「俺を緑と一緒にしないでくれ。緑の考えに俺はおいつけねぇよ」
すると今度はビルが笑い始める。
「がはははは! 緑も魔緑も発想がぶっ飛んでるからな!」
「そんなに僕はぶっ飛んでますか?」
そう言って緑が歩いてくる。
「さぁ、皆さん料理の追加です欲しい人は言ってくださいね。渡して回りますので」
笑っていた2人が笑うのをやめ緑の方を向くが緑をみた後、笑っていた2人に加え話を聞いていた周りの冒険者達も一斉にわらい始める。
「ん? 何か面白いことが?」
誰も笑っていて理由を教えてくれない事に首を傾げる緑。
今緑の周りにはいくつもの料理のはいった皿が浮かんでいた。これは魔法で運んでいるわけではなく1枚1枚髪で運んでいたのだが魔緑以外はそれに気づかない。
「しょうがないな。お前は持つ量が多すぎなんだ、だから笑われているんだ俺が半分持ってやる」
そういって緑の周りに浮かんでいた皿の半分が魔緑のまわりに移動する。
「「やっぱり2人共ぶっ飛んでいる!」」
その光景を見た会話を聞いていた冒険者達がさらに大笑いしながら口をそろえる。
緑と魔緑は笑われている理由がわからず首をかしげるのであった
店を開店させてから時間も達辺りは暗くなり始める緑はそろそろかと思い席を立つ。
「皆さんいまからショーをお見せしたいと思いますみなさん上を見上げてください」
そう緑に言われて皆が空を見上げる。
ひゅーん ドーン!
上昇音の後に爆発音を発する1発の花火が打ちあがる。
「「おお!」」
それを見た皆が驚きの声を上げる。
花火は初めこそ1発1発打ち上げられていたが徐々にその間隔が狭まっていく。
ドドドドドドドドド!
最後には花火が打ちあがる音もかき消され爆発音だけが続く。
その光景に見ていた者達は余りの綺麗さにただ黙ってみていた。
「それでは本日の花火はこれが最後になります。みなさん気を付けてみてください」
そういって緑は特大の花火を打ち上げる。
皆が今まで見ていた花火と違い上っていく花火の大きさがとても大きい事を感じていた。
それをワクワクしながら見守っている周りの者達だがそれがおかしなことに気づき始める。
花火がいつまでたっても爆発しない、それどころか花火が落下をし始めた。
「「え?」」
見ていた者達は間抜けな声を上げる。
「おいおい、あれ落ちて来てるぞ……」
「「ぎゃああああ!!」」
それに気づいた皆は大急ぎで建物の影やそばに置いてあった自分の盾を持ち防御態勢を取る。
その瞬間
ドーン!
皆がその向かってくると思われた衝撃にだえるべく身をこわばらせる。
しかし、皆が衝撃が来ない事に疑問を持ちこわごわ様子を伺うと緑が笑いをこらえていた。
「皆さん安心してください、これは魔力で使った幻なのでもちろん衝撃や熱さなんかもないので大丈夫です」
そういって緑はニヤリと笑う。
「「緑ー!」」
皆が一斉に緑に詰め寄るのであった。
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