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86話 ミドリムシの羽根つき大会

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 緑によるイタズラでしめられた幻のイルミネーションも終わりダンジョンに居る者達はそれぞれ酒を飲むもの、料理を楽しむもの,昔からの知り合いや初めて顔を合わすもの達で会話を楽しんでいた。

 そんな中、突然ライトアップがされる。冒険者達がなにかするのかと周りをうかがっている中、緑が話始める。

「皆さん、これから少し体をうごかしませんか?」

 緑の言葉に数人が興味を持ち緑の話に耳を傾ける。

「今からこれを使ってゲームをしたいと思います」

 緑の話に耳を傾けていた者達は緑が手にしている物にぎょっとする。緑がゲームをすために用意した道具が遠目で見てもミスリルでできており、さらに小さな羽をもった道具は2つ魔石を使って作られていたからであった。

「緑、お前ってやつは・・・・ 材料に金がかかりすぎているだろう・・・・」

 魔緑が呆れた様に声を漏らす。

 それはその全てをミスリルで作った羽子板であった。しかも打つ羽の頭は2色の魔石で作られていた。

 魔石は小さなものであれば駆け出しの冒険者でなければ手に入れる事も難しくない。しかし、モンスターと戦うもの、ダンジョンに潜るものなど冒険者は少なからず命を懸けて金を稼いでいる。

 その金の元を遊び道具に使うような冒険者は少ない。

 さらに緑が口を開く。

「今からこの道具を使いトーナメントでゲームをしていきます。これにを勝ち進み見事1位になった人にはこの道具、板を2枚羽を3つプレゼントします」

 その言葉を聞き特に冒険者達が緑に殺到する。

 冒険者達はこの道具を使ってゲームをする事よりミスリルが手に入ると言う事にくいついた。

「では今からこの道具を使ってどのように遊ぶか見せたいと思います。まーちゃん相手をお願いしてもいいかな?」

 魔緑は見本んを見せる事に自分が選ばれて驚いたがよく考えればこのおもちゃの使い方を知っているのは自分と緑だけだと気づく。

「ああ、俺じゃないと遊び方がわからないか・・・・ いいぞ」

 魔緑がそう言うと緑は羽子板を魔緑に渡す。

「よし! じゃあいくね」

 カン!

「よし!」

 カン!

 しばらく打ち合うと再び緑が口を開く。

「じゃあスピードアップするね!」

 カン!カン!カン!

 それまで打ち上げられ放物線を描いていた羽は、緑と魔緑が徐々にスピードを上げ始める事でほぼ地面に水平に打ち続けられる。この世界では知られていないが日本であればバトミントンに見えたと思われた。

「「おお!!」」

 今の時点では冒険者達も楽しんで見れていた。

「じゃあ魔法を使うよ~」

「ああ、大丈夫だ」

 2人はそう言うと魔力を込め始める。

「じゃあまーちゃんいくよ! それ!」

 緑がそう言って撃った羽は今まで以上に加速する。魔緑はすばやく回り込みそれを打ち返す。

 カカカカカカ!

 魔法を使いはじめ先ほどよりも羽が打たれる感覚が短くなる。

 周りで見ていた冒険者も真剣な目で羽の行方を追っている。そんな中、魔緑が打った羽が少し浮き上がる。それをチャンスと緑が羽を打ち下ろす。

「まーちゃん勝たしてもらうよ!」

「そうはいかねぇ! む!?」

 そこまで魔力を風の魔石に流し込みスピードを上げていた緑であったがとどめの一撃と土の魔石に魔力を流す。

 ガツ!

 今までなっていた音とは違い魔緑が羽を羽子板で受けるが羽子板が降りぬかれない。

 緑が土の魔石に魔力を流したことで羽は見た目とは違い異常な重さを持っていた。

「ぐうう!」

 魔緑の立っている場所が円形状に沈み込む。

「おら!」

 何とか打ち返す魔緑であったがそこには緑が待ちかまえていた。

 カン! ポト

 勝負が終わり緑が見ていた者達に勝敗を説明する。



「しかし緑、魔法で羽を早くできたり重くできるにしてもさっきのはおかしいだろう。どんなけ魔力を込めたんだ」

「ふふふ、企業秘密です。 実際に込めてもらうとわかります」

 先ほどの緑と魔緑の勝負にあきれ声をかけに来たアランに緑は嬉しそうに返事をする。



 しばらくの間ゲームに参加する者たち同士で遊び練習をする。皆思い思いに工夫や戦略を考え練習しているようで試合前にも関わらず白熱した練習がいたるところで行われる。

 これ以上は試合に差し支えると判断した緑が試合の始まりを告げる。

「そろそろ始めたいと思います! では皆さん楽しみましょう!」

 緑がそう言って羽根つき大会が始まる。

「おら!」「ふん負けないよ!」

「うわ! 重い!」「ふふん、魔力を使って重くしたんです~」

「これで終わりだ!」「まだおわらせねぇ!」

 白熱した試合が続き直ぐにトーナメントは進み決勝戦が始まる。

「ほう! レッドのところの嬢ちゃんか」
 
「嬢ちゃんなんて呼ぶな、シャークさんあんたにはまけねぇぜ」

 決勝には魔法も使いながら戦う2人に駒を進める。

「皆さん決勝戦はこの2人になりました! 2人に拍手を」

 シャークとはギルは試合を参加していた者達、見ていた者達全員から暖かい拍手を送られる。

 拍手がやむと緑が2人の前に出て開始の合図をするのであった。



「くっ! やるじゃねぇか嬢ちゃん!」

 カン!

「あんたもなシャークさん」

 カカン!

 1番初めの緑と魔緑の勝負とは違い試合はゆっくりとした展開で進む。2人とも残りの魔力が少ないためか魔力で力任せに撃たず、温存するために緩急をつけ相手を崩そうとしている。

 さらにここまでくる中で1番試合数もこなして2人は顔には出さなかったが体の疲れもピークに達しているその中で崩そうとする一打は2人の体力を容赦なく削っていく。

 試合の初めは見ている者達も応援などで声を出していたが今は誰も声を発さずその羽の行方を追っている。そんな中試合が動くこれ以上体力も魔力も持たないと考えたギルが最後の力を振り絞りシャークに向かって羽をうつ。

「これで終わりだー!」

 カン!

「それは甘いぜ!」

 ギルが込めた最後の力と魔力を込めた羽は徐々に重くなりながらシャークに向かう。

 その羽をシャークは羽子板をもちバレーボールのレシーブの様な体制で受ける。

 最後の体力も魔力も打ち切ったギルは動けず羽の行き先を見ている事しか液なかった。

 ガツ!

 緑と魔緑の時の様に羽と羽子板がぶつかった瞬間今までとは違う音がする。

「うおおおおおおりゃあ!!!!」

 そう叫ぶとシャークは羽子板を振りぬく。それはほぼ真上に高く上がるがギルの方に徐々に近づいていくく。バトミントンの様に対戦する者達の間にネットはなかったが各々の陣地はあった。

 羽はゆっくりと進むみ境界線上に近づいていきそ地面に近づいていく。

 ポト

 ほぼ境界線の上に落ちた羽は真直ぐに立っていた。

「「おお!!」」

 それを見た周りの者達は思わず声を上げる。

 バターン!

 その中ものが倒れた音がする。すると羽がぐらつく。

「「ああ!!」」

 周りの者達がまた声を上げる。ぐらついた羽が倒れたのはギルの陣地にむかってであった。

 それを見た緑が勝利者宣言をする。

「勝者シャークさん!」   

「「わあああああー!!」」

 ギルは倒れながら悔しそうに地面をたたいていた。

「シャークさんこちらに来てください!」

 緑は優勝者のシャークを呼ぶ。

「あれ?シャークさんは?」

 勝利者宣言をし自分の元に来るように言ったにもかかわらず、シャークが自分の元に来ない事に緑が不思議に思いシャークを探す。

 するとレシーブの体制から羽子板を振りぬきそのままの体制で後ろに倒れ泡を吹いて気絶しているシャークを発見する。まさに魔力も体力も限界まで使い切ったシャーク。

「シャークさん!」

 緑は慌ててシャークに駆け寄り魔力と体力の回復する実を食べさせるのであった。
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