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139話 ミドリムシの家族は大所帯
しおりを挟む「ヒャッハー! ここは通さねぇぜ!」
「くそっ! ただでさえ魔物が多くてまいってるのに盗賊か!」
王都に逃げるように向かっていた商隊を盗賊がおそっていた。
「グルルルル……」
「おいおいおい! 魔物まで出やがったぞ!」
王都に向かう道を盗賊にふさがれ、商隊は逃げるように王都に向かっていために縦長になっており、その最後尾に魔物が食らいつこうと現れる。
狼型の魔物が最後尾の馬車を護衛していた冒険者に襲い掛かる。
「やばいぞ! 数が多すぎる! 人手が足りねぇ!」
先頭が止まったために動けない商隊に容赦なくおそいかかる盗賊と魔物その数に商隊に雇われた護衛達は対応に追われる。
護衛の冒険者達は善戦するも次第に数に押されスキができはじめる。
「危ない!」
1人の冒険者の死角から魔物が襲い掛かる。仲間の冒険者に襲いかかろうとする魔物に気づいた他の冒険者が叫ぶも他の仲間もそれぞれ盗賊や魔物に対応していたために助けに入ることができない。
冒険者達がダメだと思った時、凄まじいスピードで冒険者と魔物の間に割って入る者がいた。
「だめですよ~」
その間延びした声とは裏腹にその者は目にもとまらぬ速さで鋭く腕をふるうと飛び掛かった魔物の首が落ち体が立方体状にカットされる。死角から襲われた冒険者はその声におどろくが魔物の惨状を見て直ぐに礼を言う。
「助かった!」
「それは良かったです~ 魔物は私達にお任せください~」
その言葉に冒険者はたずねる。
「私達ってあんた1人だろ?」
「いえいえ~ 私の子供達ももうすぐ降りてくるので~」
「降りてくる?」
そんな会話をしているとさらに魔物が現れる。会話の途中で冒険者は視線を上空に向ける。
「くそっ! どんだけ集まって来るんだ!」
切羽詰まった冒険者とは違い、助けに入った者はゆっくりと話す。
「子供達も私も飛ぶのが苦手なんです~」
そう言った瞬間、先頭で盗賊と戦っていた冒険者が叫ぶ。
「なんの冗談だ! デッドマンティスだ!」
「おい! 囲まれているぞ!」
デッドマンティスはその能力で地面に着地すると姿を消す。彼等は、姿を隠し商隊や盗賊を囲んでいき、囲み終わるとその能力を解除し姿を現す。
「みなさ~ん、この子達は私の子供達なので安全です~ 盗賊の武器は子供達が斬っていくので皆さんは盗賊をつかまえてくださ~い」
「はぁ!? あんたの子供!?」
その緊張感のない言葉に冒険者は驚きを隠せずにいるがリーダーと思われる女の冒険者が叫ぶ。
「あんた達! その人が言った通りにするよ!」
「でもリーダー本当かわからんぜ!」
リーダーの言葉に仲間の冒険者が思わずさけぶ。
「よく考えな! その人が嘘を言っていたとしてもどのみちこの数のデッドマンティスに囲まれたら生きちゃ帰れないよ! どっちにしろうちらは信じるしかないよ!」
リーダーの女冒険者の言葉に仲間の冒険者達も冷静になり自分達が今おかれている状況を認識すると無言でうなずく。
「「了解した!」」
冒険者達は声をそろえて返事をする。
その返事を合図にデッドマンティス達が盗賊と魔物に襲い掛かる。
「どうなってやがるデッドマンティスが集まって包囲するなんてどうなってるんだ!」
「やべぇっ! 逃げれねぇぞ!」
デッドマンティスの自慢の鎌の前に盗賊が持つ粗悪な武器はまるで豆腐でも切るかのように切り裂かれていく。武器を使いものにならなくされた盗賊たちは、冒険者に対抗もできず次々にとらえられていった。
「しかし、助けられたとはいえ。こう多くのデッドマンティス達に囲まれていると落ち着かねぇ……」
「ああ…… これが敵なら完全に俺達は全滅しているな……」
「助けてくれたあの人はデッドマンティス達を子供と言っていたは、もしかして蟲人なのかしら」
「蟲人なら蟲系の魔物を支配下においても不思議じゃないが数がおかしいだろう?」
そんな会話の中、1人の冒険者があることに気づき思わずこぼす。
「なぁ、あれって陣形を組んでないか?」
盗賊をあらかた捕まえたため余裕ができた冒険者達は、助けてくれた者の話をしていた所、子供達と言われたデッドマンティス達が陣形を組み魔物と戦う姿に気づく。
「しかも並みの騎士団よりも統率されてるぞ…… しかし、すげぇ数の魔物が出てきてちゃあいるがそれ以上のスピードで討伐していってるな……」
「「……」」
冒険者達は盗賊を捕えた後は魔物の討伐に参加しようとしたが自分達が手を出せば邪魔になると思い静かにその様子を見ていた。
魔物は討伐され続け魔物の増援が来なくなることを確認した後に冒険者達は集まり助けに来てくれた女性にお礼を言いに向かう。
「あんた、助かった。 あんたと子供達が助けに来てくれなかったら俺達は全滅したいたところだ・・・・ よければ名をきいてもいいか?」
冒険者達にお礼を言われた者は振り返るとニコリと笑い答える。
「皆さんが無事でよかったです~ 私はレイと言います~」
「レイさんか…… レイさんはどこかのチームに入っているのか?」
冒険者が思わずどこにも所属していなければ仲間に引き入れようと尋ねるが、レイはいつもの口調で答える。
「私は、チーム【軍団】のメンバーです~」
レイから返ってきた言葉に冒険者が驚き騒ぎ始める。
「【軍団】ってあのスタンピードをチームのみで壊滅させた!?」
「最近だと3姫達もチームに入った!?」
「なるほど、あんた達があの【軍団】なんだね! さすが軍団と言われるだけある。あんた達が主力ならスタンピードも何とかできるんだろうね……」
そんなリーダーの女冒険者の言葉にレイが思わず答えてしまう。
「私達が主力なんてとんでもないです~」
「は? 何言ってんだ? あんたとあんたの子供達だけでも軍団て呼べるぐらいだよ」
「いえいえ~ 私の子供達は数では1番すくないですよ~」
「「はぁ!?」」
「う~んとですね~」
驚く冒険者達をよそにレイは周りをキョロキョロと見渡すと指をさして話始める。
「ほら、今王都の周りにヒカリさんの家族が集まってます」
その言葉に冒険者達はおそるおそる振り向く。
「なんだあの黄色いモヤは空に何か浮かんでいる?」
そう言っていた間に王都の方に見えた黄色いモヤが霧散した?冒険者たちがもやの正体について話はじめようとした時に再びレイが口を開く。
「あ、こっちにむかってきましたよ~」
「「んっ?」」
冒険者達がレイの言葉に目を凝らして王都の方を見る。はじめは何も見えないためにじっと見つめていた冒険者達であったがすぐに顔色を真っ青に変化させた。
「どういう事だ! 大量のキラービーがこっちにむかってくるぞ!?」
「皆さん大丈夫ですよ~ 落ち着いてください~」
「これが落ち着いていられるか! あの大量のキラービーが見えるだろう!?」
半分パニックを起こしている冒険者にヒカリが優しく答える。
「さっき言ったじゃないですか~ 私の子供達が1番少ないって」
「ま……まさか……!?」
冒険者達はさきほどのレイの言葉を思い出す。
そんなやり取りをしていると間もなくキラービーの大群が自分達をの上を通過する。それをみていたレイが手を振りながら叫ぶ。
「みんな~ がんばってね~」
そう言って手を振るレイの上空をとおりすぎたキラービー達が緑の爆弾の実で空襲を開始しする。
ドドドドドドド!!
自分達から離れた場所にいる魔物達が何もできず、上空から降ってきた爆弾により死に絶える光景に冒険者達は青い顔をし震えながらその様子を見るのであった。
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