緑の体だからゴブリン?花が咲いてるからドライアド?いいえ、超ミドリムシです!異世界で光合成して家族が増殖しました!

もう我慢できない

文字の大きさ
155 / 178

155話 ミドリムシは同窓会に立ち会う

しおりを挟む

「次から次と! うっとぉしぃいっ!」

 龍種はそう言って腕や足、翼をふるわせ体中に押し寄せる、ヒカリやクウの子供達を振り払おうとする。ヒカリやクウの子供達は体中にまとわりつき、龍種の視界をふさぎ体の動きを阻害する。

 龍種は体にまとわりつく以外にも自分の周りを埋め尽くす、ヒカリとクウの子供達にあせりを覚える。

「邪魔だっ! ええいっ! まとわりつくなっ!」

 龍種は地団駄を踏む様に足元にに集まっているクウの子供達を踏みつけようとするが龍種が地面に足を下ろす瞬間その周りだけ、子供達が散り龍種の足が地面を踏みつける。

 ドン! ドン! ドン!

 以前に龍種と戦った蟲人の戦士達は、その様子に顔を青くしている。戦士達は、龍種の踏みつけにより多くの仲間を失っているために龍種の踏みつけがどんな威力を持っているか知っており、子供達が簡単に避けているがその踏みつけるスピードも決して遅くはない。

 今、龍種を相手にしているのはクウやヒカリの子供達でも若いものたちであり、以前にサラマンダーと戦ったさいに生まれていなく龍種と戦った経験がない子供達に経験をつませる事と敵対する龍種の強さを知るためにヒカリとクウが指揮をとっている。

 龍種がいよいよ今の状況が続くとまずい事に気づき必死になりはじめる。その必死になりはじめた龍種の様子に気付いたヒカリとクウはお互いに顔を見合わせ頷く。

 ガッシャーン! ジャラジャラジャラジャラ!

 ヒカリとクウが頷いた直後に大きな音がする。蟲人の戦士達が龍種の様子を見ている中、龍種の上空で攻撃の順番待ちをしていたヒカリの子供達が素早く散る。その子供達が散った場所を大きな鎖が落ちていく。

「ぐあっ! なんだ! この鎖は!? ぐおっ! がはっ! ぎいぃ!」

 落下した鎖が龍種にからまりその両端は地面に落下する。その両端を地面を埋め尽くしていた子供達は避け、地面に落下をしたのを確認するとすぐさま鎖を引きあらかじめ掘っていた穴に向かって潜っていく。

 驚きの声を龍種が上げると次々に鎖が落とされる。

「ぐぅぎぃいいいいいっ!!」

 全身を鎖で縛りつけられた龍種は思わずうめき声を上げる。

 ギィリィ! ギィリィ! ギィリィ!

 龍種がうめき声をあげる間、金属の鎖も軋む音を上げる。

 その龍種を縛りつける鎖の強度と、その鎖を引き縛りつけるクウの子供達に蟲人達は息をのむ。
 
 龍種と綱引きをするような形になるが子供達は地下深くに進み続け龍種を縛り付ける。子供達は集団で龍種との綱引きに打ち勝つ。

 その綱引きの間、戦士たちは鎖が千切れないか冷や冷やしながらその様子を見ていた。

 龍種は縛り付けられる間も死に物狂いで鎖から抜け出そうと抵抗するが状況は好転しない……。そんな中龍種が異音に気づく。

「ん!? なんだこの地響きは!?」

 ズン! ズン! ズン!

 その音は、はじめこそ小さなものであったが次第に大きくなっていく。龍種がその音の方に視線を向けると普段の自分と目線が変わらない巨人が歩いてくる。龍種は鎖で縛りつけられているために地面に這いつくばり巨人を見上げる形になる。

「その姿、蟲人か!? お前ほどの巨大なものは見たことがない!」

 龍種は思わず叫ぶが巨人は黙って龍種を見下ろす。

「本当は、1対1でやりたかったがしかたねぇ…… あんた達がやったことは許されるもんじゃねぇしなぁ…… まぁ、少し眠ってくれ……」

 そういって巨人が拳を振り上げ自分に叩きつけられるのを見届けた龍種は意識を手放すのであった。



「子供達も龍種との戦いを経験することができましたね……」

「しかし、あと何回すれば皆が経験できるかな?」

 龍種との戦いを終えたヒカリとクウが話はじめる。

 ズン! ズン! ズン!

「お~い! 2人共終わったぜ!」

 兜がその巨体のままで手をあげならヒカリとクウの元に戻ってくる。

「おかえりなさい兜」

「おかえりなさい♪ それで兜さんどうでした?」

「ああ、2人だと、ヒカリは今のまだだと気絶させるのは難しいな…… クウは今のままでもいけるだろう」

 その兜の返事にヒカリの顔をが曇る。それを見た兜は言葉を付け足す。

「いや、今のままだとヒカリだとスピードをだしてランスで付けば気絶させることはできると思うが結構な助走と力加減が難しいと思うからで姿問題ないと思うぜ」

「あの姿を緑様に見せるのはあまり気が進まないのですが……」

「クウもできれば見せたくないです……」

 兜の言葉に2人は暗い顔をする。そんあ2人を見た兜が口を開く。

「まぁ、良いんじゃねぇか? 大将はどっちにしろ気にしないと思うぜ! あの姿を見せても姿を隠す女の気持ちも両方とも汲んでくれるとおもうぜ!」

 その言葉に2人はさらに暗い顔を見せる。

 2人の顔を見た兜はらちが明かないと思い、2人の傍にいた蟲人に話しかける。

「あんたら、戦いをみていたか?」

「あ…… はい。見ていました……」

 兜が話しかけた蟲人は今緑達が大陸に駆け付け、手を取った蟲人達の司令官の1人であった。

「おいおい! 何かたくなってんだ! 戦いの前の感じのままでいいんだぜ!」

 そう言った兜の言葉に司令官の蟲人は戦いの前に取った態度を激しく後悔するのであった。



「お前達! 龍種を舐めているのか!? 自分達だけで龍種を相手するだと!?」

「はい、今最前線にいる龍種の力を確認したいので…… うちの子供達と3人に任せたいと思います」

 司令官の蟲人は、その苛立ちを隠しもせず緑と会話をする。

「確かにお前達は龍種と戦った事があるそうだがたった3だろう!? これまで俺達が幾度龍種と戦ったと思っているだ!」

 今、会議をしている場所には蟲人達の子供達以外が全員参加していた。会議では、緑が代表者として話ていたが緑の物腰柔らかい態度に司令官は緑達の実力を疑っていた。

 蟲毒の戦士を捕まえた緑達の実力は理解できたが次は龍種を捕えると言ったためにその不満を爆発させる司令官が先ほどの言葉を吐き捨てる。

 そして、そのやり取りはしばらくの間続く。そこに痺れを切らした魔緑が口をはさむ。

「いい加減にしろ! 俺達の事を少しは信用しろ! あんた達が俺達の力を見る事も作戦を立てる上で必要だろうが! 俺達に被害が出てもあんた達に被害はださん!」

 魔緑の言葉に会議室は静かになる。その中、声を上げたのは聖属性の龍種のナンバー1のウィスプであった。

「すみません、魔緑さん。皆さんが苛立つのもわかりますが落ち着いてください」

 そう言って大人びた女性の姿をしている聖属性のナンバー1の龍種ウィスプは蟲人の司令官の方に向き直り口を開く。

「貴方が言う事もわかりますが助けに来てくれた皆さんを信用をしないのは失礼です」

「しかし…… ウィスプ様、皆さんは龍種との戦闘を3度しか戦闘をしたことがないと……」

 そんなやり取りをする中、笑いはじめる者がいた。

「くしししししっ!」「くくくくくくっ!」「ふふふふふっ!」

 その笑い声を聞いた司令官がこめかみに青筋を浮かべる。

「誰だ! 笑っているのは!」

 そう言って会議室を見渡し笑い声の主を見つけるとさらに叫ぶ。

「くそっ! 子供の姿が多いが話を聞いて笑うとは、どうゆう教育を受けているだ!」

 司令官の言葉にヤレヤレと言った表情でウィスプが子供のしたことをそんなに怒らなくてもと思いながら笑った子供に視線を移すが思わず声を上げる。

「えっ!?」

 子供姿を見たウィスプが目を擦りはじめる。その様子を見た3人の子供がさらに笑いはじめる。

「何がそんなに可笑しいのだ!」

 笑い声をさらに大きくした子供に司令官がさらに怒りながら叫ぶ。

「もしかして…… サラマンダー、ノーム、ウンディーネなの?」

 司令官が叫んだ後に思わずウィスプが問いかける。すると子供達がピタリと笑い声を止め苦笑いしながら返事をする。

「ばれちまったか……」「久しぶりだな……」「気苦労が絶えないわね……」

 3人がそれぞれ返事をすると、涙を流しながらウィスプが走り小さな姿をした3人を抱きしめる。

「ぐえぇ! 力を込めすぎだ!」「ウィスプあわてるな」「ウィスプちゃん久しぶりね」

「ほ、本当に… み、みんな… なの? う… うぇええええええん!」

 3人の言葉を聞いたウィスプは大きな声を上げて泣き始める。その姿に蟲人の司令官は何が起こっているか分からないためただひたすらその様子を見つめる。

「よかったぁあああああ! みんなが無事でぇええええ!」

 だが、泣き始めたウィスプの姿を見て蟲人の司令官だけでなく、緑達も困惑するのであった。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

元構造解析研究者の異世界冒険譚

犬社護
ファンタジー
主人公は持水薫、女30歳、独身。趣味はあらゆる物質の立体構造を調べ眺めること、構造解析研究者であったが、地震で後輩を庇い命を落とす。魂となった彼女は女神と出会い、話をした結果、後輩を助けたこともあってスキル2つを持ってすぐに転生することになった。転生先は、地球からはるか遠く離れた惑星ガーランド、エルディア王国のある貴族の娘であった。前世の記憶を持ったまま、持水薫改めシャーロット・エルバランは誕生した。転生の際に選んだスキルは『構造解析』と『構造編集』。2つのスキルと持ち前の知能の高さを生かし、順調な異世界生活を送っていたが、とある女の子と出会った事で、人生が激変することになる。 果たして、シャーロットは新たな人生を生き抜くことが出来るのだろうか? ………………… 7歳序盤まではほのぼのとした話が続きますが、7歳中盤から未開の地へ転移されます。転移以降、物語はスローペースで進んでいきます。読者によっては、早くこの先を知りたいのに、話が進まないよと思う方もおられるかもしれません。のんびりした気持ちで読んで頂けると嬉しいです。 ………………… 主人公シャーロットは、チートスキルを持っていますが、最弱スタートです。

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

処理中です...