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泡とウソ
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泡とウソ
おんなが立ちあがると、両手で抱えるほどの尻がぼくの目のまえにきた。きめの細かい肌はお湯を玉のようにころがして、さわると乳房よりすこし厚みのあるやわらかさがあった。
童貞を見透かされるのを恐れて、ぼくは慣れたふうにおんなの尻を左右に開いた。おんなはぼくの手を待つように腰をとめた。たっぷりした肉の深い割れ目の向こうに、年季の入ったフジツボのような肛門があって、それが粘膜色にひらいたり薄茶にとじたりしている。ぼくは思いきってフジツボに舌を近づけた。
「いたずらしちゃダメ」
おんなは横に振ってそれをかわすと、振りかえって接客の笑みをうかべた。目の奥に距離を測るような色があった。
「ちょっと準備しますねー」
そういうとツカサさんはカカカカカッと軽快な音をたてて、洗面器に入れたローションとお湯をかき回した。
「はーい、おまたせー」
ツカサさんは二十五歳ということだったけど、実際はお姉さんとおばさんの間くらいのひとで、指名したときのカタログ写真とはずいぶん印象がちがっていた。
「じゃあマットに横になって、あー 頭は向こうね」
考えてみたらカタログはしっかりとメイクをしているのだから、当然といえばそうなのだろう。風俗嬢の年齢は大きくサバをよんでいると聞いたことがある。
「ローション冷たかったらごめんなさいねー」
乳房は手のひらにズンとのるくらいの大きさだった。それでも小さいように感じた。アニメのイラストを見慣れているせいかもしれない。股間の毛はけっこう昔にバイバイしたと笑っていた。
「しつれいしまーす」
無毛の股間には子宮をイメージしたような刺青があった。カタログでみたとき、なぜだか無性にそれに惹かれてぼくは彼女を指名したのだ。
「腕からいきますねー あ、指とか入れちゃいます?」
誰に彫られたのだろうか、もしかしてご主人様とかいるのだろうか? 頭の中がグルグルして、ぼくは彼女にいわれるままに、足をあげたり裏がえったり指を膣に入れたりした。
「背中にー なんて描いたかー わかりますぅ?」
「はい?」
耳元に息を感じて我にかえった。すこし意識が飛んでいたようだ。
いつの間にかぼくはあぐらをかいていた。背中には乳房が押し当てられていて、ツンとした感覚が筆のようにうごいた。
ローションでヌメッたツカサさんと目があった。
「お兄さんこういう店はじめて?」
「……まぁ。いろいろ」
彼女はぼくの息子をクニクニと触ると、元気ないねとちいさくいった。
「そろそろベッドいこ あ、その前にシャワーあびよー」
ぼくが刺青をみているのに気づくと、ツカサさんはワレメを目の前にもってきて、ここにチューする? とからかうようにいった。
ぼくは半立ちで横倒しになった息子に、しっかりしてくれと気合を入れた。しかし息子はゴロリと転がると、こっちを向いて「真の愛とは」などと、このごにおよんで哲学を語りだした。
ぼくはいつの頃からか、他人と目があうとヒヤヒヤするようになってしまった。なぜだか原因はわからない。もしかしたら隠し事をするのが、あたりまえになってからかもしれない。
ツカサさんと目をあわせないですむように、正常位で待ちかまえる彼女をわざわざ起こして四つん這いにさせると、くびれた腰をつかんで後ろから突き入れようとした。しかし半立ちの息子では彼女にとどくどころか、入れることもできなかった。ぎゅうぎゅうと押しつけて、なんとかさきっぽがとどいたとおもったら、そのままコンドームはズルリと外れてツカサさんに残ってしまう体たらくだ。
「無理っぽい?」
ヌメるコンドームを着けなおすのに苦戦していると、ツカサさんがいった。
「疲れてるのかな」
といつもの癖がでた。彼女は、お仕事大変だねといったあと、ぼくをジッとみつめて
「はじめてなんでしょ。わかるよ、緊張しすぎだもん」
と相好をくずした。ぼくには彼女のほうも緊張していたようにみえていたから、そんなふうにいわれるのは心外だった。
「エッチしたい?」
当然そのためにきたのだけど戸惑いがおきた。
「なんでしたいの?」
「そりゃあ、みんなしてるし。そういうことで馬鹿にされたら二度と立ち直れない気がするし」
いってから、しまったとおもった。はじめてなのを白状させられてしまったからだ。彼女は、馬鹿だなぁと笑った。ことばのわりに影のない優しい笑いだった。
「なんで私を選んでくれたの?」
「それは、まぁ、一番きれいだったし」
「きれいだったし? し、なに?」
彼女は意地悪い顔をした。
ぼくは彼女のお腹を見た。その視線を追った彼女は
「刺青好きなの? なんで」
と聞いた。返答に困っていると
「女の子にキズをつけると自分が強くなった気がして安心する人っているよね。君もそんな感じなの?」
「わからない。でも、もしかしたらそうかも」
「歪んでるねぇ。女の子になにかされたの?」
「さぁ」
そういうと彼女の目が呆れたようにひらいた。冗談っぽい彼女の仕草にぼくはつられて笑った。
「いろいろ教えてあげる」
ツカサさんは残り十分を示すタイマーを止めて
「女の子は大事にしないといけないよ」
と続けた。彼女はベッドの横に立つと、ぼくにも立つように腕をひいた。正面にツカサさんの顔があった。彼女はぼくの手首を掴んで自分の乳房を触らせた。
「大きいでしょ」
うなずくと
「ウソついた」
とにらんだ。
「なんでわかるの?」
それには答えず
「すごい冷たい手」
といった。
「ほら、ちゃんと目を見て」
ツカサさんの深い目が、ぼくの奥のほうまでとどいて、瞬きをすることすら許さないように掴んでくる。
長い沈黙がおきた。
どちらからともなく自然と唇が重なった。彼女の手が僕の股間を優しく包んだ。
「ほら、ちゃんと立ってる。おおきいよ」
「ゴム着けなきゃ」
「いいよ、わたしあかちゃんできないから」
そういうと彼女はベッドのうえで満ち足りた子猫のような笑顔を浮かべて、おいでおいでと手を振った。
おんなが立ちあがると、両手で抱えるほどの尻がぼくの目のまえにきた。きめの細かい肌はお湯を玉のようにころがして、さわると乳房よりすこし厚みのあるやわらかさがあった。
童貞を見透かされるのを恐れて、ぼくは慣れたふうにおんなの尻を左右に開いた。おんなはぼくの手を待つように腰をとめた。たっぷりした肉の深い割れ目の向こうに、年季の入ったフジツボのような肛門があって、それが粘膜色にひらいたり薄茶にとじたりしている。ぼくは思いきってフジツボに舌を近づけた。
「いたずらしちゃダメ」
おんなは横に振ってそれをかわすと、振りかえって接客の笑みをうかべた。目の奥に距離を測るような色があった。
「ちょっと準備しますねー」
そういうとツカサさんはカカカカカッと軽快な音をたてて、洗面器に入れたローションとお湯をかき回した。
「はーい、おまたせー」
ツカサさんは二十五歳ということだったけど、実際はお姉さんとおばさんの間くらいのひとで、指名したときのカタログ写真とはずいぶん印象がちがっていた。
「じゃあマットに横になって、あー 頭は向こうね」
考えてみたらカタログはしっかりとメイクをしているのだから、当然といえばそうなのだろう。風俗嬢の年齢は大きくサバをよんでいると聞いたことがある。
「ローション冷たかったらごめんなさいねー」
乳房は手のひらにズンとのるくらいの大きさだった。それでも小さいように感じた。アニメのイラストを見慣れているせいかもしれない。股間の毛はけっこう昔にバイバイしたと笑っていた。
「しつれいしまーす」
無毛の股間には子宮をイメージしたような刺青があった。カタログでみたとき、なぜだか無性にそれに惹かれてぼくは彼女を指名したのだ。
「腕からいきますねー あ、指とか入れちゃいます?」
誰に彫られたのだろうか、もしかしてご主人様とかいるのだろうか? 頭の中がグルグルして、ぼくは彼女にいわれるままに、足をあげたり裏がえったり指を膣に入れたりした。
「背中にー なんて描いたかー わかりますぅ?」
「はい?」
耳元に息を感じて我にかえった。すこし意識が飛んでいたようだ。
いつの間にかぼくはあぐらをかいていた。背中には乳房が押し当てられていて、ツンとした感覚が筆のようにうごいた。
ローションでヌメッたツカサさんと目があった。
「お兄さんこういう店はじめて?」
「……まぁ。いろいろ」
彼女はぼくの息子をクニクニと触ると、元気ないねとちいさくいった。
「そろそろベッドいこ あ、その前にシャワーあびよー」
ぼくが刺青をみているのに気づくと、ツカサさんはワレメを目の前にもってきて、ここにチューする? とからかうようにいった。
ぼくは半立ちで横倒しになった息子に、しっかりしてくれと気合を入れた。しかし息子はゴロリと転がると、こっちを向いて「真の愛とは」などと、このごにおよんで哲学を語りだした。
ぼくはいつの頃からか、他人と目があうとヒヤヒヤするようになってしまった。なぜだか原因はわからない。もしかしたら隠し事をするのが、あたりまえになってからかもしれない。
ツカサさんと目をあわせないですむように、正常位で待ちかまえる彼女をわざわざ起こして四つん這いにさせると、くびれた腰をつかんで後ろから突き入れようとした。しかし半立ちの息子では彼女にとどくどころか、入れることもできなかった。ぎゅうぎゅうと押しつけて、なんとかさきっぽがとどいたとおもったら、そのままコンドームはズルリと外れてツカサさんに残ってしまう体たらくだ。
「無理っぽい?」
ヌメるコンドームを着けなおすのに苦戦していると、ツカサさんがいった。
「疲れてるのかな」
といつもの癖がでた。彼女は、お仕事大変だねといったあと、ぼくをジッとみつめて
「はじめてなんでしょ。わかるよ、緊張しすぎだもん」
と相好をくずした。ぼくには彼女のほうも緊張していたようにみえていたから、そんなふうにいわれるのは心外だった。
「エッチしたい?」
当然そのためにきたのだけど戸惑いがおきた。
「なんでしたいの?」
「そりゃあ、みんなしてるし。そういうことで馬鹿にされたら二度と立ち直れない気がするし」
いってから、しまったとおもった。はじめてなのを白状させられてしまったからだ。彼女は、馬鹿だなぁと笑った。ことばのわりに影のない優しい笑いだった。
「なんで私を選んでくれたの?」
「それは、まぁ、一番きれいだったし」
「きれいだったし? し、なに?」
彼女は意地悪い顔をした。
ぼくは彼女のお腹を見た。その視線を追った彼女は
「刺青好きなの? なんで」
と聞いた。返答に困っていると
「女の子にキズをつけると自分が強くなった気がして安心する人っているよね。君もそんな感じなの?」
「わからない。でも、もしかしたらそうかも」
「歪んでるねぇ。女の子になにかされたの?」
「さぁ」
そういうと彼女の目が呆れたようにひらいた。冗談っぽい彼女の仕草にぼくはつられて笑った。
「いろいろ教えてあげる」
ツカサさんは残り十分を示すタイマーを止めて
「女の子は大事にしないといけないよ」
と続けた。彼女はベッドの横に立つと、ぼくにも立つように腕をひいた。正面にツカサさんの顔があった。彼女はぼくの手首を掴んで自分の乳房を触らせた。
「大きいでしょ」
うなずくと
「ウソついた」
とにらんだ。
「なんでわかるの?」
それには答えず
「すごい冷たい手」
といった。
「ほら、ちゃんと目を見て」
ツカサさんの深い目が、ぼくの奥のほうまでとどいて、瞬きをすることすら許さないように掴んでくる。
長い沈黙がおきた。
どちらからともなく自然と唇が重なった。彼女の手が僕の股間を優しく包んだ。
「ほら、ちゃんと立ってる。おおきいよ」
「ゴム着けなきゃ」
「いいよ、わたしあかちゃんできないから」
そういうと彼女はベッドのうえで満ち足りた子猫のような笑顔を浮かべて、おいでおいでと手を振った。
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