10 / 48
~幕間~
(二)
しおりを挟む
以後も度々の揺り返しに耐えながら、ようやく夜明けを迎えた。そうして明るくなるとともに、集落の惨状も露わになってきた。やはり目も当てられぬ有り様だった。無事な家屋はほとんどなく、傾きながらも辛うじて持ち堪えている庄屋の屋敷に、逃げ延びた者たちが身を寄せ合うように集まっている。
父の時慶は治兵衛らと、沈痛な表情で合議をしていた。下の集落を見てきた者も戻ってきたようだが、あまりの有り様に嗚咽を堪え切れぬ様子であった。各地に放った早馬も戻ってきたようだが、帰雲の城にはやはりたどり着けず、途中で引き返してきたとのことだった。
「やはり、ここは捨てるしかないのか……」と、時慶の声が聞こえた。その言葉に耳を疑い、氏勝は思わず口を挟んでいた。
「荻町を捨てるというのですか。父祖代々守ってきたこの土地を?」
「それも止むを得ん」と、時慶は首を振る。「見よ、庄川の水が枯れておる。おそらく上流で山崩れでもあって、流れが堰き止められているのであろう。しかしいずれ決壊して、溜まっていた水が一気に流れ込んでくるはず。そうなれば、あたり一帯水浸しじゃ。その前に領民たちをどこかへ逃がさねばならぬ」
氏勝が「されど……」と言いかけると、治兵衛がゆっくりと前に進み出てくる。
「堪えてくだされ、若さま。ほんのいっときのことにございます。落ち着いたときに、また戻って来れば良いのです」
きっと氏勝以上にこの地に愛着があるはずの治兵衛に言われては、もはや頷くしかなかった。そうして、いまだ怯える領民たちを連れての大移動となった。
向かうのはここよりさらに越中との国境寄りへ下った、足倉という集落であった。山をひとつ越えてゆかねばならないが、途中の道も幸いにして断たれてはおらず、無事に進むことができた。そうして辿り着いた先で帷幕を張って雨露を凌ぎながら、帰雲からの使いを待つこととなった。
いてもたってもいられぬ時を過ごしながら、数日が経った。そんなあるとき、荻町の様子を見に戻った治兵衛が血相を変えて戻ってきた。そして息を切らしながら時慶のもとに跪き、信じられぬ知らせを伝えてきた。
「大変でございます、殿……荻町に、金森の軍勢が押し寄せて来ています。その数、三百ほど……」
時慶はその知らせを、じっと目を閉じたまま聞いていた。どうやらそれも予測のうちであったようだ。
「金森の軍勢ということは……我らを助けに、わざわざ鍋山から?」
氏勝はそう尋ねたが、治兵衛は暗い表情で俯くだけであった。理由がわからず混乱していると、時慶が低い声で言った。
「わしを捕えに来たのであろう」
「父上を捕えに……何ゆえでございますか!」
耳を疑う言葉に、氏勝は思わず大声を上げた。するとようやく治兵衛が口を開く。
「あの地震のあと、各地で領民が一斉に一揆を起こしているのでございます。その鎮圧に、金森は兵を動員しておるようで……」
「一揆……されどそれで、どうして父上を……?」
地震で家や田畑を失った民が、自暴自棄になって一揆を起こし、無事だった米蔵を襲ったりするのは理解できなくもない。かの者らは、もはやそうするしかないのだ。たとえ城主であっても止めるすべはない。この状況では、領民をすべて救うことなどできはしないのだ。だからと言って、誰がそれを責められよう。
「実は地震の前からも、少しずつ一揆は増えはじめておりました。江馬や三木の残党が、それを扇動しておったのです」
「されど……それと父上が何の関わりがある?」
「つまりわしも同様だということであろう。服従する振りをして、裏では民を煽って金森に揺さぶりをかけていると」
江馬も三木も、すでに滅んだこの地の国衆である。金森に武を以て従わされたということでは、我ら内ケ島も同じなのは慥かであった。されど。
「そんな……濡れ衣じゃ。我らがさようなことをするわけがないであろう!」
「……半三郎よ」と、時慶はなおも静かな声で呼びかけてきた。「聡いそなたならわかるであろう。ことはそう単純ではないのだ」
ぐっ、と氏勝は言葉を飲み込んだ。そう、実は頭ではすでに理解していた。濡れ衣であることくらい、向こうもわかっているのであろうことも。わかった上で、一揆を口実にしているのだ。
金森とて本来なら、内ケ島領内の金山や銀山と、そこから生み出される富が喉から手が出るほど欲しかったはずだ。されど武家として、先に刀を収めて降伏してきた者を滅ぼすわけにはいかなかった。それに先の飛州征伐でも、金森方がもっとも苦戦したのは、内ヶ島領向牧戸城の合戦においてであった。その内ヶ島を無理に武力で制圧しようとすれば、金森方にもさらに大きな損害を出さずには済まなかったろう。ゆえに内心で臍を噛みながらも、本領安堵を認めるしかなかった。
されどこの地震で大きな痛手を負った今なら、内ヶ島を易々と滅ぼすことができると踏んだのだ。その上一揆の扇動を口実にすれば、武家としての体面も傷付かない。
「されどそれは……それでは、あんまりにございます」
事の次第を理解して、ついに顔を伏せてしまった氏勝の肩を、治兵衛が慰めるように無言で掴んだ。そして時慶に向気直り、続けた。
「金森勢は間もなく、この足倉にもやって来るでしょう。民たちのことは我らにお任せください。殿はどうか、お逃げを……」
時慶は目を閉じたまま、すぐには言葉を返さなかった。じっと腕を組んだまま、険しい表情で何かを思案している。
「父上……どうされるおつもりですか。まさか……」
時慶はようやっと口を開き、「……半三郎」とまた呼びかけた。「そなたは国境を越えて、上見城へ向かえ。太左衛門なら、何も聞かずに受け入れてくれるはずじゃ」
越中砺波の上見城城主・篠村太左衛門は内ヶ島の者ではなかったが、時慶は妹を娶らせて縁を結んでいた。先の佐々への援軍の際も兵を出し、また城を拠点として使わせてもくれた、事実上の同盟相手である。飛騨を出てしまえば、さすがに金森とて手を出せまいと考えての算段であろう。
「某は構いませぬが……父上は?」
「わしは残る。民たちを見捨てるわけにもいかぬでな」
氏勝と治兵衛が、ほとんど同時に「父上!」「殿!」と声を上げた。されど時慶はふっと表情を和らげ、治兵衛へと目を向けた。
「治兵衛よ……おぬし、死ぬつもりであったな?」
「それは……」
「わかっておる。されど、おぬしの命ではまだ釣り合いは取れぬぞ」
氏勝は、「……ああ」と漏らしてまた顔を伏せた。そのひと言で、またすべて理解できてしまった。そのおのれの聡さが、今はいっそ恨めしかった。
金森方にしてみれば一揆を口実にする以上は、ここにいる民たちも生かしておくわけにはいかぬのだ。口実をまことにするためには、見せしめとして晒す首が必要になる。そのためだけに、かの者らは無惨に殺される。辛うじて地震を生き延び、やっとここまで逃げてきたというのに。
それを止めることができるのは、この大和守時慶のみであろう。すべてを背負って死ぬ代わりに、民の助命を乞う。その交渉に使えるのは、それに見合った首のみである。
「何ゆえ……父上がそこまでせねばならぬのです」
歯の間から絞り出したような声で、ようやっとそれだけ尋ねた。その問いにも、父は優しい声で答える。
「城主というのはそういうものぞ。半三郎、そなたもよく覚えておけ」
「ならば……ならば、我もお供いたします。半三郎は、山下の嫡男にございますゆえ!」
「ならぬ」と、時慶は首を振った。「そなたは生きよ。生きて、おのれの為すべきことを為すのじゃ。よいな?」
おのれの為すべきこと。山下の家に生まれた者の務め。それは、氏勝もよくわかっていた。それは内ヶ島を支えること。あの若殿を支え、守ること。それゆえ、おのれはここで父とともに死ぬことさえ許されぬのだ。
その夜、氏勝は足倉をあとにした。時慶は最後に餞別とばかりに、みずから黄櫨の木を切り出して仕上げたという愛用の大弓を与えてくれた。そうして治兵衛らにともなわれ、国境を越えてるため山道を進んだ。
されど氏勝の胸の中には、どうしても得心できぬ思いが渦巻いていた。何ゆえ我らがかような目に遭わねばならぬのだ。いったい我らが何をしたというのか。その思いは言葉にできぬぶん、身の裡で大きく膨らんでゆく。そうしてついに、耐えかねて踵を返した。そうして治兵衛らを振り切り、来た道を必死で駆け戻った。
そのまま足倉を通り過ぎ、山に入って荻町を迂回し、向かう先は帰雲であった。山崩れで道が塞がれ、馬は進めなかったとしても、おのが足であればどうにか越えてゆくこともできるはず。そうして殿に苦境を伝え、助力を乞うのだ。それしか、父を救う方策はないと思った。
道中で一度、具足で身を固めた武者たちとすれ違い、どうにか身を隠してやり過ごした。旗印は慥かに金森のものであり、治兵衛の言っていた通り三百ほどはいそうだった。されどいまだ続く揺り返しを恐れるためか、あるいは一揆勢の伏兵を警戒しているのか、行軍は緩やかだ。それにもしかしたら父の避難先が足倉であるとは、まだ突き止められていないのかもしれない。
であれば、まだ時はある。間もなく雪も降りはじめ、満足に行軍することも適わなくなるであろう。それで春まで時を稼げれば、こちらも態勢を整えることができる。
そんなかすかな望みを抱き、氏勝はなおも山中を進んだ。その脳裏には、孫次郎氏行の口惜しげに歪む横顔が浮かんでいた。
若殿、半三郎が愚かでございました。息を切らしながらも、かすれた声でそうつぶやいた。すべて若殿が正しかったのです。誇りを捨て、屈辱に耐えて生き延びても、結局はこうして力尽くですべてを奪われる。ならばたとえ滅ぶとわかっていても、戦うべきでございました。
きっとまだ遅くはありません。もう一度、ともに戦いましょう。どうかご案じめさるな、この半三郎が若殿の盾となりまする。若殿に迫りくる敵は、この大弓ですべて射倒してみせまする。だからどうか、若殿……
そうして倒れかけた巨木の根を乗り越えようとして、氏勝は無様に足を滑らせた。遮二無二つかんだ枝もあっさりと折れ、そのまま斜面を転がり落ちる。いつの間にか弓も取り落とし、あちこちに身体をぶつけながら、たっぷり一町近くは転がり、滑り、大岩に強かに背をぶつけてようやく止まった。
その衝撃で、氏勝はしばらく息もできなかった。岸に打ち上げられた魚のようにぱくぱくと口を喘がせ、涙が滲む目を見開かせる。その目に、ぼやけた山の稜線が映っていた。どこか見覚えがあるような、それでも見慣れぬその姿。稜線の形は、慥かにあの帰雲山だ。されどかの山は、あんな無惨な禿山ではなかったはず。
やがてその目がしっかりと焦点を結び、眼前の像をはっきりと見定める。それは慥かに、あの帰雲山だった。されど、それが真っぷたつに割れている。神なる山が大きく崩れて、褐色の山肌を剥き出しにしている。それはまさしく神の骸とでも呼ぶべき、決してあってはならぬ光景であった。
「あ……ああ……」
氏勝はよろよろと身体を起こし、身を乗り出して眼下を見下ろす。そこには、何もなかった。ただ、あるはずのない湖があるだけだった。濁った水をいっぱいに湛え、ゆっくりと渦を巻きながら、見渡す限りに広がっている。それ以外には何も見えなかった。それでも、山の形でわかる。ここは間違いなく、帰雲の城と城下町があった場所であると。
「……莫迦な。そんな……」
そして氏勝の聡すぎる頭はまたしても、何が起きたのかを瞬時に覚っていた。帰雲山の崩落があの地震によって起こったものであるならば。膨大な土砂が城を押し流し、集落を埋め川を堰き止めて、谷間の集落を巨大な湖に変えたというのであれば。それはおそらく一瞬のことで、おそらくは誰ひとり、まことに誰ひとりとして、逃れることなどできはしなかったであろうと。
我らが殿も、それを支える家老らも。共に過ごした友らも、家族のように接してくれた女御衆も。話をせがめば快く他国の戦のことを教えてくれた商人たちも、城主の子だからといって畏まらず、気さくに声を掛けてくれた町の衆も。そして。
「若殿……若殿、ああ……あ、あああ」
皆。皆が皆。誰もが皆、この水の底。それを覆い尽くした、重く冷たい土塊の下。
「そんな……そんな、莫迦なことが……あってはならぬ。あって、たまるか……」
言いつつも、本当は氏勝も気付いていた。気付いていて、気付かぬふりをしていた。もしも帰雲が健在ならば、金森とてあのような暴挙に出ることはなかったであろうことに。
そのとき、無情にも空から白い雪が舞い落ちてきた。まるで真昼の蛍のように。無数の魂が、風に踊りながら彼方へと溶けてゆくように。
雪は瞬く間に視界を覆うほどの吹雪となり、行く手を阻んでいた。それでも氏勝は、ただただ幽鬼のように山中を進んでいた。どこへ向かっているのかもわからぬまま。そもそもおのれが、どこへ向かおうとしているのかもわからぬまま。
父に命じられた通り、上見城を目指そうという気はもうまったくなかった。そもそももはや、どちらが北でどちらが南かもわからない。あたりは見渡す限りがただ白一色で、まるで雲の上を歩いているかのような心地になる。
それでもいい、と氏勝は思った。おのれは何もかも失ってしまった。もはや生き続ける理由はない。ならばこのまま天上近くまで歩き続けて、どこかで果てるのがいい。それが何よりだ。
おのれに残っているものはただひとつ、どういうわけかまた握り締めている弓ひとつ。どこかで金森の軍勢と出くわしたら、今度は隠れずに戦ってやろうと思ったのか。せめて何人か道連れにして果てようとでも。されど軍勢どころか、もはや兎一羽とも行き合わない。あるのはただ、雪、雪、雪ばかり。
そうしてとうとう氏勝は、足を縺れさせて倒れた。積もりはじめた雪の中に半ば埋もれ、もはや立ち上がる精力すらなかった。足倉を出るときに母が持たせてくれた芋茎も、いつ齧っていたのか気が付けば無くなっていた。もはやあとは、飢えと寒さで力尽きるのを待つだけだ。
もういいだろう。ならばこのまま、静かにそれを待つだけだった。氏勝はそう決めて、ゆっくり目を閉じる。聞こえてくるのは、ごうごうという風の音だけ。しかしその合間に、ふと遠い空耳が混じってくる。
(そもそも京の大坂のなどと言われても、どちらもこの目で見たことなどないわ)
はい、某も見たことなどありませぬ。
(どれほどのものかもわからぬ)
そうですね。実は某もわかりませぬ。偉そうにわかるなどと申したのは、ただの強がりでございました。
(見たことないわ……)
はい。某も……
氏勝は、また目を見開いた。そこに映るのは、やはりただ真っ白な雪のみ。されどその向こうに、ぼんやりと何かの影が見える気がした。いくつもいくつも、果てることなく続く大きな屋敷。彼方に見える、雲にも届こうかという巨大な天守。
「若殿……では、見にまいりましょう」
何に突き動かされたものか、氏勝は身を起こした。立ち上がった。そして、再び歩き出す。
「ともに見ましょう……京を。大坂を。半三郎とともに……若殿」
知らず、口元には笑みが浮かんでいた。そうして譫言のように、何度も何度も繰り返す。
「ご案じめさるな……半三郎は、いつだってともにおります。いつだって、若殿のお傍におりまする……」
ひどくゆっくりと、されど力強く、氏勝は一歩ずつ歩き続けた。その足跡も、降りしきる雪がすぐに覆い隠してゆく。
父の時慶は治兵衛らと、沈痛な表情で合議をしていた。下の集落を見てきた者も戻ってきたようだが、あまりの有り様に嗚咽を堪え切れぬ様子であった。各地に放った早馬も戻ってきたようだが、帰雲の城にはやはりたどり着けず、途中で引き返してきたとのことだった。
「やはり、ここは捨てるしかないのか……」と、時慶の声が聞こえた。その言葉に耳を疑い、氏勝は思わず口を挟んでいた。
「荻町を捨てるというのですか。父祖代々守ってきたこの土地を?」
「それも止むを得ん」と、時慶は首を振る。「見よ、庄川の水が枯れておる。おそらく上流で山崩れでもあって、流れが堰き止められているのであろう。しかしいずれ決壊して、溜まっていた水が一気に流れ込んでくるはず。そうなれば、あたり一帯水浸しじゃ。その前に領民たちをどこかへ逃がさねばならぬ」
氏勝が「されど……」と言いかけると、治兵衛がゆっくりと前に進み出てくる。
「堪えてくだされ、若さま。ほんのいっときのことにございます。落ち着いたときに、また戻って来れば良いのです」
きっと氏勝以上にこの地に愛着があるはずの治兵衛に言われては、もはや頷くしかなかった。そうして、いまだ怯える領民たちを連れての大移動となった。
向かうのはここよりさらに越中との国境寄りへ下った、足倉という集落であった。山をひとつ越えてゆかねばならないが、途中の道も幸いにして断たれてはおらず、無事に進むことができた。そうして辿り着いた先で帷幕を張って雨露を凌ぎながら、帰雲からの使いを待つこととなった。
いてもたってもいられぬ時を過ごしながら、数日が経った。そんなあるとき、荻町の様子を見に戻った治兵衛が血相を変えて戻ってきた。そして息を切らしながら時慶のもとに跪き、信じられぬ知らせを伝えてきた。
「大変でございます、殿……荻町に、金森の軍勢が押し寄せて来ています。その数、三百ほど……」
時慶はその知らせを、じっと目を閉じたまま聞いていた。どうやらそれも予測のうちであったようだ。
「金森の軍勢ということは……我らを助けに、わざわざ鍋山から?」
氏勝はそう尋ねたが、治兵衛は暗い表情で俯くだけであった。理由がわからず混乱していると、時慶が低い声で言った。
「わしを捕えに来たのであろう」
「父上を捕えに……何ゆえでございますか!」
耳を疑う言葉に、氏勝は思わず大声を上げた。するとようやく治兵衛が口を開く。
「あの地震のあと、各地で領民が一斉に一揆を起こしているのでございます。その鎮圧に、金森は兵を動員しておるようで……」
「一揆……されどそれで、どうして父上を……?」
地震で家や田畑を失った民が、自暴自棄になって一揆を起こし、無事だった米蔵を襲ったりするのは理解できなくもない。かの者らは、もはやそうするしかないのだ。たとえ城主であっても止めるすべはない。この状況では、領民をすべて救うことなどできはしないのだ。だからと言って、誰がそれを責められよう。
「実は地震の前からも、少しずつ一揆は増えはじめておりました。江馬や三木の残党が、それを扇動しておったのです」
「されど……それと父上が何の関わりがある?」
「つまりわしも同様だということであろう。服従する振りをして、裏では民を煽って金森に揺さぶりをかけていると」
江馬も三木も、すでに滅んだこの地の国衆である。金森に武を以て従わされたということでは、我ら内ケ島も同じなのは慥かであった。されど。
「そんな……濡れ衣じゃ。我らがさようなことをするわけがないであろう!」
「……半三郎よ」と、時慶はなおも静かな声で呼びかけてきた。「聡いそなたならわかるであろう。ことはそう単純ではないのだ」
ぐっ、と氏勝は言葉を飲み込んだ。そう、実は頭ではすでに理解していた。濡れ衣であることくらい、向こうもわかっているのであろうことも。わかった上で、一揆を口実にしているのだ。
金森とて本来なら、内ケ島領内の金山や銀山と、そこから生み出される富が喉から手が出るほど欲しかったはずだ。されど武家として、先に刀を収めて降伏してきた者を滅ぼすわけにはいかなかった。それに先の飛州征伐でも、金森方がもっとも苦戦したのは、内ヶ島領向牧戸城の合戦においてであった。その内ヶ島を無理に武力で制圧しようとすれば、金森方にもさらに大きな損害を出さずには済まなかったろう。ゆえに内心で臍を噛みながらも、本領安堵を認めるしかなかった。
されどこの地震で大きな痛手を負った今なら、内ヶ島を易々と滅ぼすことができると踏んだのだ。その上一揆の扇動を口実にすれば、武家としての体面も傷付かない。
「されどそれは……それでは、あんまりにございます」
事の次第を理解して、ついに顔を伏せてしまった氏勝の肩を、治兵衛が慰めるように無言で掴んだ。そして時慶に向気直り、続けた。
「金森勢は間もなく、この足倉にもやって来るでしょう。民たちのことは我らにお任せください。殿はどうか、お逃げを……」
時慶は目を閉じたまま、すぐには言葉を返さなかった。じっと腕を組んだまま、険しい表情で何かを思案している。
「父上……どうされるおつもりですか。まさか……」
時慶はようやっと口を開き、「……半三郎」とまた呼びかけた。「そなたは国境を越えて、上見城へ向かえ。太左衛門なら、何も聞かずに受け入れてくれるはずじゃ」
越中砺波の上見城城主・篠村太左衛門は内ヶ島の者ではなかったが、時慶は妹を娶らせて縁を結んでいた。先の佐々への援軍の際も兵を出し、また城を拠点として使わせてもくれた、事実上の同盟相手である。飛騨を出てしまえば、さすがに金森とて手を出せまいと考えての算段であろう。
「某は構いませぬが……父上は?」
「わしは残る。民たちを見捨てるわけにもいかぬでな」
氏勝と治兵衛が、ほとんど同時に「父上!」「殿!」と声を上げた。されど時慶はふっと表情を和らげ、治兵衛へと目を向けた。
「治兵衛よ……おぬし、死ぬつもりであったな?」
「それは……」
「わかっておる。されど、おぬしの命ではまだ釣り合いは取れぬぞ」
氏勝は、「……ああ」と漏らしてまた顔を伏せた。そのひと言で、またすべて理解できてしまった。そのおのれの聡さが、今はいっそ恨めしかった。
金森方にしてみれば一揆を口実にする以上は、ここにいる民たちも生かしておくわけにはいかぬのだ。口実をまことにするためには、見せしめとして晒す首が必要になる。そのためだけに、かの者らは無惨に殺される。辛うじて地震を生き延び、やっとここまで逃げてきたというのに。
それを止めることができるのは、この大和守時慶のみであろう。すべてを背負って死ぬ代わりに、民の助命を乞う。その交渉に使えるのは、それに見合った首のみである。
「何ゆえ……父上がそこまでせねばならぬのです」
歯の間から絞り出したような声で、ようやっとそれだけ尋ねた。その問いにも、父は優しい声で答える。
「城主というのはそういうものぞ。半三郎、そなたもよく覚えておけ」
「ならば……ならば、我もお供いたします。半三郎は、山下の嫡男にございますゆえ!」
「ならぬ」と、時慶は首を振った。「そなたは生きよ。生きて、おのれの為すべきことを為すのじゃ。よいな?」
おのれの為すべきこと。山下の家に生まれた者の務め。それは、氏勝もよくわかっていた。それは内ヶ島を支えること。あの若殿を支え、守ること。それゆえ、おのれはここで父とともに死ぬことさえ許されぬのだ。
その夜、氏勝は足倉をあとにした。時慶は最後に餞別とばかりに、みずから黄櫨の木を切り出して仕上げたという愛用の大弓を与えてくれた。そうして治兵衛らにともなわれ、国境を越えてるため山道を進んだ。
されど氏勝の胸の中には、どうしても得心できぬ思いが渦巻いていた。何ゆえ我らがかような目に遭わねばならぬのだ。いったい我らが何をしたというのか。その思いは言葉にできぬぶん、身の裡で大きく膨らんでゆく。そうしてついに、耐えかねて踵を返した。そうして治兵衛らを振り切り、来た道を必死で駆け戻った。
そのまま足倉を通り過ぎ、山に入って荻町を迂回し、向かう先は帰雲であった。山崩れで道が塞がれ、馬は進めなかったとしても、おのが足であればどうにか越えてゆくこともできるはず。そうして殿に苦境を伝え、助力を乞うのだ。それしか、父を救う方策はないと思った。
道中で一度、具足で身を固めた武者たちとすれ違い、どうにか身を隠してやり過ごした。旗印は慥かに金森のものであり、治兵衛の言っていた通り三百ほどはいそうだった。されどいまだ続く揺り返しを恐れるためか、あるいは一揆勢の伏兵を警戒しているのか、行軍は緩やかだ。それにもしかしたら父の避難先が足倉であるとは、まだ突き止められていないのかもしれない。
であれば、まだ時はある。間もなく雪も降りはじめ、満足に行軍することも適わなくなるであろう。それで春まで時を稼げれば、こちらも態勢を整えることができる。
そんなかすかな望みを抱き、氏勝はなおも山中を進んだ。その脳裏には、孫次郎氏行の口惜しげに歪む横顔が浮かんでいた。
若殿、半三郎が愚かでございました。息を切らしながらも、かすれた声でそうつぶやいた。すべて若殿が正しかったのです。誇りを捨て、屈辱に耐えて生き延びても、結局はこうして力尽くですべてを奪われる。ならばたとえ滅ぶとわかっていても、戦うべきでございました。
きっとまだ遅くはありません。もう一度、ともに戦いましょう。どうかご案じめさるな、この半三郎が若殿の盾となりまする。若殿に迫りくる敵は、この大弓ですべて射倒してみせまする。だからどうか、若殿……
そうして倒れかけた巨木の根を乗り越えようとして、氏勝は無様に足を滑らせた。遮二無二つかんだ枝もあっさりと折れ、そのまま斜面を転がり落ちる。いつの間にか弓も取り落とし、あちこちに身体をぶつけながら、たっぷり一町近くは転がり、滑り、大岩に強かに背をぶつけてようやく止まった。
その衝撃で、氏勝はしばらく息もできなかった。岸に打ち上げられた魚のようにぱくぱくと口を喘がせ、涙が滲む目を見開かせる。その目に、ぼやけた山の稜線が映っていた。どこか見覚えがあるような、それでも見慣れぬその姿。稜線の形は、慥かにあの帰雲山だ。されどかの山は、あんな無惨な禿山ではなかったはず。
やがてその目がしっかりと焦点を結び、眼前の像をはっきりと見定める。それは慥かに、あの帰雲山だった。されど、それが真っぷたつに割れている。神なる山が大きく崩れて、褐色の山肌を剥き出しにしている。それはまさしく神の骸とでも呼ぶべき、決してあってはならぬ光景であった。
「あ……ああ……」
氏勝はよろよろと身体を起こし、身を乗り出して眼下を見下ろす。そこには、何もなかった。ただ、あるはずのない湖があるだけだった。濁った水をいっぱいに湛え、ゆっくりと渦を巻きながら、見渡す限りに広がっている。それ以外には何も見えなかった。それでも、山の形でわかる。ここは間違いなく、帰雲の城と城下町があった場所であると。
「……莫迦な。そんな……」
そして氏勝の聡すぎる頭はまたしても、何が起きたのかを瞬時に覚っていた。帰雲山の崩落があの地震によって起こったものであるならば。膨大な土砂が城を押し流し、集落を埋め川を堰き止めて、谷間の集落を巨大な湖に変えたというのであれば。それはおそらく一瞬のことで、おそらくは誰ひとり、まことに誰ひとりとして、逃れることなどできはしなかったであろうと。
我らが殿も、それを支える家老らも。共に過ごした友らも、家族のように接してくれた女御衆も。話をせがめば快く他国の戦のことを教えてくれた商人たちも、城主の子だからといって畏まらず、気さくに声を掛けてくれた町の衆も。そして。
「若殿……若殿、ああ……あ、あああ」
皆。皆が皆。誰もが皆、この水の底。それを覆い尽くした、重く冷たい土塊の下。
「そんな……そんな、莫迦なことが……あってはならぬ。あって、たまるか……」
言いつつも、本当は氏勝も気付いていた。気付いていて、気付かぬふりをしていた。もしも帰雲が健在ならば、金森とてあのような暴挙に出ることはなかったであろうことに。
そのとき、無情にも空から白い雪が舞い落ちてきた。まるで真昼の蛍のように。無数の魂が、風に踊りながら彼方へと溶けてゆくように。
雪は瞬く間に視界を覆うほどの吹雪となり、行く手を阻んでいた。それでも氏勝は、ただただ幽鬼のように山中を進んでいた。どこへ向かっているのかもわからぬまま。そもそもおのれが、どこへ向かおうとしているのかもわからぬまま。
父に命じられた通り、上見城を目指そうという気はもうまったくなかった。そもそももはや、どちらが北でどちらが南かもわからない。あたりは見渡す限りがただ白一色で、まるで雲の上を歩いているかのような心地になる。
それでもいい、と氏勝は思った。おのれは何もかも失ってしまった。もはや生き続ける理由はない。ならばこのまま天上近くまで歩き続けて、どこかで果てるのがいい。それが何よりだ。
おのれに残っているものはただひとつ、どういうわけかまた握り締めている弓ひとつ。どこかで金森の軍勢と出くわしたら、今度は隠れずに戦ってやろうと思ったのか。せめて何人か道連れにして果てようとでも。されど軍勢どころか、もはや兎一羽とも行き合わない。あるのはただ、雪、雪、雪ばかり。
そうしてとうとう氏勝は、足を縺れさせて倒れた。積もりはじめた雪の中に半ば埋もれ、もはや立ち上がる精力すらなかった。足倉を出るときに母が持たせてくれた芋茎も、いつ齧っていたのか気が付けば無くなっていた。もはやあとは、飢えと寒さで力尽きるのを待つだけだ。
もういいだろう。ならばこのまま、静かにそれを待つだけだった。氏勝はそう決めて、ゆっくり目を閉じる。聞こえてくるのは、ごうごうという風の音だけ。しかしその合間に、ふと遠い空耳が混じってくる。
(そもそも京の大坂のなどと言われても、どちらもこの目で見たことなどないわ)
はい、某も見たことなどありませぬ。
(どれほどのものかもわからぬ)
そうですね。実は某もわかりませぬ。偉そうにわかるなどと申したのは、ただの強がりでございました。
(見たことないわ……)
はい。某も……
氏勝は、また目を見開いた。そこに映るのは、やはりただ真っ白な雪のみ。されどその向こうに、ぼんやりと何かの影が見える気がした。いくつもいくつも、果てることなく続く大きな屋敷。彼方に見える、雲にも届こうかという巨大な天守。
「若殿……では、見にまいりましょう」
何に突き動かされたものか、氏勝は身を起こした。立ち上がった。そして、再び歩き出す。
「ともに見ましょう……京を。大坂を。半三郎とともに……若殿」
知らず、口元には笑みが浮かんでいた。そうして譫言のように、何度も何度も繰り返す。
「ご案じめさるな……半三郎は、いつだってともにおります。いつだって、若殿のお傍におりまする……」
ひどくゆっくりと、されど力強く、氏勝は一歩ずつ歩き続けた。その足跡も、降りしきる雪がすぐに覆い隠してゆく。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記
糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。
それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。
かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。
ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。
※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
剣客居酒屋草間 江戸本所料理人始末
松風勇水(松 勇)
歴史・時代
旧題:剣客居酒屋 草間の陰
第9回歴史・時代小説大賞「読めばお腹がすく江戸グルメ賞」受賞作。
本作は『剣客居酒屋 草間の陰』から『剣客居酒屋草間 江戸本所料理人始末』と改題いたしました。
2025年11月28書籍刊行。
なお、レンタル部分は修正した書籍と同様のものとなっておりますが、一部の描写が割愛されたため、後続の話とは繋がりが悪くなっております。ご了承ください。
酒と肴と剣と闇
江戸情緒を添えて
江戸は本所にある居酒屋『草間』。
美味い肴が食えるということで有名なこの店の主人は、絶世の色男にして、無双の剣客でもある。
自分のことをほとんど話さないこの男、冬吉には実は隠された壮絶な過去があった。
多くの江戸の人々と関わり、その舌を満足させながら、剣の腕でも人々を救う。
その慌し日々の中で、己の過去と江戸の闇に巣食う者たちとの浅からぬ因縁に気付いていく。
店の奉公人や常連客と共に江戸を救う、包丁人にして剣客、冬吉の物語。
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
【時代小説】 黄昏夫婦
蔵屋
歴史・時代
江戸時代、東北地方の秋田藩は貧かった。
そんな中、真面目なひとりの武士がいた。同僚からは馬鹿にされていたが真面目な男であった。俸禄は低く貧しい。娘二人と実母との4人暮らし。
秋田藩での仕事は勘定方である。
仕事が終わると真っ直ぐ帰宅する。
ただひたすら日中は城中では勘定方の仕事をまじめにして、帰宅すれば論語を読んで知識を習得する。
そんな毎日であった。彼の名前は立花清左衛門。年齢は35歳。
娘は二人いて、一人はとめ15歳。もう一人は梅、8歳。
さて|黄昏《たそがれ》は、一日のうち日没直後、雲のない西の空に夕焼けの名残りの「赤さ」が残る時間帯のことを言う。「|黄昏時《たそがれどき)」。 「黄昏れる《たそがれる》」という動詞形もある。
「たそがれ」は、江戸時代になるまでは「たそかれ」といい、「たそかれどき」の略でよく知られていた。夕暮れの人の顔の識別がつかない暗さになると誰かれとなく、「そこにいるのは誰ですか」「誰そ彼(誰ですかあなたは)」とたずねる頃合いという意味で日常会話でよく使われた。
今回の私の小説のテーマはこの黄昏である。
この風習は広く日本で行われている。
「おはようさんです」「これからですか」「お晩でございます。いまお帰りですか」と尋ねられれば相手も答えざるを得ず、互いに誰であるかチェックすることでヨソ者を排除する意図があったとされている。
「たそかれ」という言葉は『万葉集』に
誰そ彼と われをな問ひそ 九月の 露に濡れつつ 君待つわれそ」
— 『万葉集』第10巻2240番
と登場するが、これは文字通り「誰ですかあなたは」という意味である。
「平安時代には『うつほ物語』に「たそかれどき」の用例が現れ、さらに『源氏物語』に
「寄りてこそ それかとも見め たそかれに ほのぼの見つる 夕顔の花」
— 『源氏物語』「夕顔」光源氏
と、現在のように「たそかれ」で時間帯を表す用例が現れる。
なおこの歌は、帖と登場人物の名「夕顔」の由来になった夕顔の歌への返歌である。
またこの言葉の比喩として、「最盛期は過ぎたが、多少は余力があり、滅亡するにはまだ早い状態」をという語句の用い方をする。
漢語「|黄昏《コウコン》」は日没後のまだ完全に暗くなっていない時刻を指す。「初昏」とも呼んでいた。十二時辰では「戌時」(午後7時から9時)に相当する。
「たそがれ」の動詞化の用法。日暮れの薄暗くなり始めるころを指して「空が黄昏れる」や、人生の盛りを過ぎ衰えるさまを表現して「黄昏た人」などのように使用されることがある。
この物語はフィクションです。登場人物、団体等実際に同じであっても一切関係ありません。
それでは、小説「黄昏夫婦」をお楽しみ下さい。
読者の皆様の何かにお役に立てれば幸いです。
作家 蔵屋日唱
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる