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14歳と寒菊の…
調査資料の夫候補たち
しおりを挟むネロが提出した調査資料には、国内外でマリアンヌの夫候補として適していると思われる人物の概要が、簡単な箇条書きで連なれていた。
「半妖精の国内貴族、同盟国の竜騎士団長、各地に出現する幻の男娼、英雄王子……」
ざっと読んだところ、マリアンヌがなんとなく目についたのはこれらの項目であった。知っている人物もいれば、単に情報に興味を惹かれたという人物もいる。完全に週刊雑誌の読者気分であった。
というのも、どの候補についても簡単な調査内容のみな上、噂の域を出ない憶測や、本気で夫とするならば乗り越えなければならない障害が多く、引き続き続報求む! 状態だったからだ。
……とはいえ、短時間で見つけてきたとは思えないネロの情報収集能力の高さに、改めて夫に迎えて正解であったとしみじみとするマリアンヌであった。
資料の夫候補の有する障害を排除するにはそれぞれに時間が掛かるため、一気に夫に迎えることはどう足掻いても無理だが、どうせ毎年一人だと思われているマリアンヌである。
あちらこちら余所見をせず、毎年一人に注力したほうが成果が上がるのかもしれないと思い直した。
「ありがとう、ネロ。ひとまず、最も情報が集めやすい上に接触も容易な国内の夫候補を調べようと思うの」
「かしこまりました」
皆まで言わずとも理解したネロは、すぐに了承の返事を告げ、そのまま流れで退出した。おそらく、城に設置されている諜報機関の部門に赴くのだろう。その前に、アンドレお父様にも会いに行くかもしれないが。
と、毎回拗ねていいのかどうか微妙な心境に陥っていた。……仕事人間のシンパシーが未だに分からないマリアンヌであった。
――そこから十数分も経たないうちにネロは戻ってきた。
「調査結果になります」
「……速かったわね」
ただのお花摘みだったのかと疑うレベルの速さである。
うちの夫、マジ有能。
「……アンドレ様にご協力頂きましたらすぐさま完了しました」
「そう……」
移動距離含めて会って数分だけだったろう情報量ではない。更に上がいた。
うちの父、マジ辣腕。
「どうして今までお父様はこの候補に気付かなかったのかしら……」
日夜、通常の業務の傍ら、マリアンヌの夫候補を探してくれているアンドレお父様が、ミスで見逃したのだろうか。噂程度とはいえ、ネロはかなりあっさりと見つけてきた気がしたのだが……。
「アンドレ様は女王の夫という存在に対する理想が高い方ですから……」
どことなく言いにくそうに目を逸らすネロの言を訝しみつつ、考えてみる。
女王の夫に対する理想、か……そういえば、ネロの時はかなりノリノリでおすすめしてきた気がした。余程おすすめだったとみえる。実際、その通りだったが。
マリアンヌが理想を持つならともかく、アンドレお父様が理想の夫にこだわるのは変な気もする……。が、ネロの件で凄く協力してもらったのだからもう何も言うまい。
今回は単純にミスだろう。アンドレお父様も一人の人間。辣腕でもミスはするのだ。そうに違いない。
「然程驚いていらっしゃらなかったので、元々知っていて候補から弾いた可能性は高いです」
「…………」
あ、あれ? ……まあ確かに、いくらなんでも調査結果の提出が早すぎる、よね……。うん。
一回無理やり納得したけどこれ、実はミスか本当はかなり疑わしいのでは……?
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