アトランティス

たみえ

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序章 理想と創造

大陸創造2

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 エルフと聞けば、耳の長い長命美形を予想すると思う。アトラも例に漏れずそれを主軸に創造することを計画していたのだが、ふと、思い出したのだ。そういえば、エルフはかつて妖精だと言われていたらしい、と。
 事実かどうかはさておき、アトラは雷に打たれたように己の迂闊さに閉口した。エルフが妖精、それは結構である。美形の理由も幻想に求めるならば納得である。だが、問題はそこではない。

 アトラは気付いてしまったのだ、エルフという存在しか創造の計画に存在していなかったことを……! 阿呆と罵られても致し方ないことを仕出かしてしまうところであった。アトラは冷汗をかいたような心地で計画修正に当たった。
 まず、大陸まるまる人族と獣人族にしたのはまだいい。それぞれに多種多様な個や特性、差異が出る予定であるからこそひとまとめに出来たのである。

 それがエルフはどうか。数々のファンタジーによれば排他的で変化を嫌う種族であるそうではないか。勿論、その気になればアトラが適当に調整できる種族の性格であるが、そういう問題ではない。
 もしも修正し、活発で社交的なエルフなど誕生すればファンタジーあるあるの邪道なのである。それは並々ならぬ想いで理想郷を生前創り上げたアトラにとっては冒涜に等しいのだ。
 そもそもアトラは王道が好きなのだ。好きが故に、エルフのみの大陸を創ってしまうと多大な問題が起きることも理解した。

 そう、例えなくとも分かる。種族交流というものがそもそもなく、大陸外の生物は皆敵! のような思想に凝り固まり、最終的には他の大陸からは閉鎖的な未開の蛮族の地扱いされてしまうのは目に見えていた。
 それはアトラの意図するところではない。アトラの理想郷とは、究極的に言えば「みんななかよくしよう」という幼児の考えたスローガンに等しい。

 だが、社交的なエルフなど真のファンタジーといえるのか? 否! ならばエルフのみの大陸を創造するのか? それは厳しい。そこでアトラは必至に考えた。エルフと共存出来そうな種族を!
 ――そして閃いた。

 そうだ。エルフといえばドワーフ。これだ! と。しかしアトラは気付いた。しまった! エルフとドワーフは犬猿の仲がファンタジーの王道だ! と。実にあほらしい悩みであるが、アトラは悩みに悩みぬいた。
 ――そしてさらに思いついた。

 そうだ、いっそのこと世界を循環する気脈を基にした妖精の誕生地にしてしまおう、と。ついでに妖精からそれぞれの種に枝分かれしていく感じにしていけばいいのではなかろうか、と。
 そうすれば元を辿れば同じ種族。犬猿の仲とまではいかなくても、細々とした交流くらいはしてくれそうだ、と。仲介に小さな妖精たちがあっちこっちいるのも素晴らしい光景であるとアトラは己の名案に満足した。

 大陸の名は――そう、『ファタフェメニ』にしよう。意味は運命を共にする小さな妖精たち、というところだろうか。仲良きことは美しきかな。それが体現できるように願った素晴らしい名前である。こうしてアトラは名案に続いての名命名に満足し、エルフ達の大陸の創造計画を完成とした。

 ――しかし、後のアトラにも少々誤算があったとすれば、予想以上にそれぞれの進化による種族の色が色濃く出てしまったことであった。

 いわゆる、妖精たちの一部がまさかの属性精霊として進化したこと、それによって属性による好悪が必然として発生してしまったこと、そしてなによりも何故か例の全くの別ルートの存在である四大精霊が世界の頂点であると世界に一時誤認されたのは全くの誤算であったと、アトラは後に語るのであった。
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