GAMEのはじまり〜運命の人選びの赤い糸をかけた争い〜

キハ

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 魔法使いの集まる学校──マンドラ大学。
 
 もうすぐ、卒業3ヶ月というところで。

 校長のマディア・ロンナ・ラティラスが教壇に立って威風堂々と華麗にお辞儀をする。

「この会に来てくださってありがとうございます。ごきげんよう」
「マディアさまー‼」
「ロンナーーー‼」
 マディアに対する黄色い声が飛ぶ。
 マディア・ロンナ・ラティラス。
 彼女は魔法使いで一番最強なトップの女王だ。

 妖麗な美貌。
 艶があり煌めくブロンドの髪。
 そして少し微笑むだけで心動かされそうな魅力。
 優しそうな笑みをたたえているだけで。

 それだけで、みんな彼女にトロトロだった。

「はい、ご静寂に。あと、大学4年生は3ヶ月……悔いなく過ごして下さいね」

 ふふっと妖麗に微笑むマディア。

「そ、れ、と」

 一言一言切ると、マディアは切り出した。

「ゲームをしてもらいます」

 ゲーム……?
 何のこと……?
 そう疑わしく見る生徒に笑みを見せる。

「今から、運命の人をこの学園内から選ぶのです。何日かかっても構いません」
 だけど、とマディアは付け加える。
「運命の人と両思いでなければ、即退散してもらいます。両思いなのか、見極めて、探して下さい」
 笑顔でニコリ。

「即退散……?」
「それは、今言うことではないので」

 果たして即退散とは。
 命を奪われないにしろ……嫌な予感がする。

 運命の人を間違えたら退散……命をかけた争いのはじまり。

「あ、自分の思い通りにならない場合は魔法を使ってもよろしいですよ?」

 背が凍るような笑顔。
 
 相手が自分を選んでくれなくても、魔法で黙らせてもいいのか。
 なら、楽勝‼という歓喜がどよめく。

「では、卒業までにできなかったら即退散ですので~!恋愛ゲームの開始です♡」

 マディアは氷の笑みを浮かべ、去っていった。


♱⋰ ⋱✮⋰ ⋱♱⋰ ⋱✮⋰ ⋱♱⋰ ⋱✮⋰ ⋱♱⋰⋱


 大学4年生の生徒たちのどよめきその後。
 教室で友達たちで話していた。
「誰にする?」
「間違ったら怖いしな……」
「でも、魔法で黙らせればいいんだよ」
 生徒のユルミが手から紫の光線を出した。
「こ、怖いよ」
 周りの子がたじろぐ。
「私の言う通りにならなかったらこれで殺すよ~?」
 ユルミの目が光っていた。


 それを見ていたルミナは「くだらない」とつぶやく。
 なぜ、自分の思い通りにならないと魔法を使うのだろう。
 人を傷つけるために使うなんて。

「なんて言ったの?ルミナー‼」

 怒り気味にユルミがルミナを睨む。

「え?くだらないって……」
「じゃあ、私と勝負する?」

 ルミナはそっぽを向く。

「この、臆病者が」

 ユルミの言葉にクラスメイトがクスクスと笑う。

 ルミナは魔法がない。
 ここは魔法学校。なのに、副校長カントルに推薦されたのだ。
 だから、ここにいる。

 けれど、周りは魔法が使えるのに、自分は使えない。
 それが劣等感で。

 この学校で浮いているルミナは、もちろん恋愛ゲームになんて興味なかった。
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