6 / 104
6話 初接触④
しおりを挟む
巡視船「みかづき」船内
「これが通信機です!この黒いのを手にもって近づけて、早く!」
「あ、ああ」
言われた通りにオルソンは黒く四角い何かを手に持って、近づけてみる。すると年老いた男の声が聞こえてきた。
『聞こえますか?』
「あ、ああ。いえ、はい。聞こえます」
(さっきの説明は良く分からんが、この男は日本のトップクラスの貴族なはずだ。礼儀を失しては不味い!)
「初めまして。わたくしめの名前はオルソン・カーベックと申します。ソーリダイジン様。クラート王国の軍艦『エスパード』の艦長をしております。貴方様のようなお方と話が出来てとても光栄でございます」
(貴族の礼儀なんて知らないが、恐らく形は取り繕えたはずだ。………取り繕えたよな?)
『これはご丁寧にどうも。私は日本国総理大臣の須賀という者です。そんな堅くならなくても大丈夫ですよ、オルソンさん』
「はっ、お気遣いありがとうございます。二ホン国へ我々クラート王国から貴方様にご提案がございます。両国の友好関係を築くためにクラート王国から貴国へと外交使節を送らせていただきたいのです。どうでしょうか」
『ふむ………いいですよ。日本国としてもクラート王国と是非友好的な関係を築きたいと思っています』
「あ、ありがとうございます。では詳細の日程や場所についてお話を………」
こうして、クラート王国から日本国の横浜港へと外交使節の船団が送られることなったのだ。
------------------------------------
首相官邸 閣議室
「終わりました。葉名外務大臣、スマホありがとうございます」
「いえいえ、それより総理、お話はどうでしたか?」
葉名の質問への須賀の回答に、他の大臣の注目が集まる。
「五日後、クラート王国の外交使節が船団でみかづきと遭遇した海域へと来るそうです。それをこちらの船で誘導して、横浜港へ向かいます。その後、会談を行う予定ですね」
未知の国家との会談を取り付けた。その事実に大臣らは安堵する。
「これでこの事態も多少は改善されるな」
「良かった良かった。しかし、クラート王国という国は聞いたことがないなあ」
「小笠原諸島の近くとなると、どこらへんだろうか?」
「まあそれはすぐにわかる話だろう」
「それと、もう一つ重要な話があります」
須賀の発言によって、彼へと再び注目が集まる。
「先ほどの話で、アメリカや中国などの国を知っているか聞いてみましたが、相手は知りませんでした。聞いたこともないそうです。それらの国とはまだ連絡も取れていません。それと、日本以外の地形が大きく変わっています。ここから察するに………
日本は『異世界』とやらに来てしまったのではないでしょうか?」
「な、なっ………」
「異世界?そんな馬鹿な、いやしかし………」
「むむむ………」
余りにあり得ない須賀の発言。だがこの理解不能な出来事が連続する現状において、それを荒唐無稽だと否定できる者は誰もこの場に居なかった。
「これが通信機です!この黒いのを手にもって近づけて、早く!」
「あ、ああ」
言われた通りにオルソンは黒く四角い何かを手に持って、近づけてみる。すると年老いた男の声が聞こえてきた。
『聞こえますか?』
「あ、ああ。いえ、はい。聞こえます」
(さっきの説明は良く分からんが、この男は日本のトップクラスの貴族なはずだ。礼儀を失しては不味い!)
「初めまして。わたくしめの名前はオルソン・カーベックと申します。ソーリダイジン様。クラート王国の軍艦『エスパード』の艦長をしております。貴方様のようなお方と話が出来てとても光栄でございます」
(貴族の礼儀なんて知らないが、恐らく形は取り繕えたはずだ。………取り繕えたよな?)
『これはご丁寧にどうも。私は日本国総理大臣の須賀という者です。そんな堅くならなくても大丈夫ですよ、オルソンさん』
「はっ、お気遣いありがとうございます。二ホン国へ我々クラート王国から貴方様にご提案がございます。両国の友好関係を築くためにクラート王国から貴国へと外交使節を送らせていただきたいのです。どうでしょうか」
『ふむ………いいですよ。日本国としてもクラート王国と是非友好的な関係を築きたいと思っています』
「あ、ありがとうございます。では詳細の日程や場所についてお話を………」
こうして、クラート王国から日本国の横浜港へと外交使節の船団が送られることなったのだ。
------------------------------------
首相官邸 閣議室
「終わりました。葉名外務大臣、スマホありがとうございます」
「いえいえ、それより総理、お話はどうでしたか?」
葉名の質問への須賀の回答に、他の大臣の注目が集まる。
「五日後、クラート王国の外交使節が船団でみかづきと遭遇した海域へと来るそうです。それをこちらの船で誘導して、横浜港へ向かいます。その後、会談を行う予定ですね」
未知の国家との会談を取り付けた。その事実に大臣らは安堵する。
「これでこの事態も多少は改善されるな」
「良かった良かった。しかし、クラート王国という国は聞いたことがないなあ」
「小笠原諸島の近くとなると、どこらへんだろうか?」
「まあそれはすぐにわかる話だろう」
「それと、もう一つ重要な話があります」
須賀の発言によって、彼へと再び注目が集まる。
「先ほどの話で、アメリカや中国などの国を知っているか聞いてみましたが、相手は知りませんでした。聞いたこともないそうです。それらの国とはまだ連絡も取れていません。それと、日本以外の地形が大きく変わっています。ここから察するに………
日本は『異世界』とやらに来てしまったのではないでしょうか?」
「な、なっ………」
「異世界?そんな馬鹿な、いやしかし………」
「むむむ………」
余りにあり得ない須賀の発言。だがこの理解不能な出来事が連続する現状において、それを荒唐無稽だと否定できる者は誰もこの場に居なかった。
33
あなたにおすすめの小説
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
TS? 入れ替わり? いいえ、女の身体に男の俺と女の俺が存在しています! ~俺の身体は冷蔵庫に保管中~
ハムえっぐ
ファンタジー
ある朝、目を覚ますと、鏡に映った自分はなんとセーラー服の美少女!
「なんだこれ? 昨日の俺どこいった?」と混乱する俺。
それもそのはず、右手がマシンガンに変形してるし!
驚きつつ部屋を見回すと、勉強机もベッドも昨日と変わらず安堵。
でも、胸がプルプル、スカートがヒラヒラ、男の俺が女の俺になった現実に、完全にパニック。自己確認のついでに冷蔵庫を開けたら、自分の男の肉体が冷蔵中!
頭の中で「女の俺」がささやく。
「あの肉体にマシンガン撃てば、君が私から出られるかもよ?」って。
「え、俺が俺を撃つって? それで俺、再び男になれるの?」と考えつつも、「とにかく、この異常事態から脱出しなきゃ!」と決意。
さあ、俺がどうやってこのカオスから脱出するのか、そしてなぜ冷蔵庫に男の俺がいるのか、女子高生になった俺の戦いがここに始まる!
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる