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第2章 1話 スィバ征服戦争
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この星の中心部に位置するヤーロピアル大陸。
その大陸のすみっこに、かつてカンヴァ国は存在した。海には大量のクラーケンが、陸は魔獣だらけで過酷と言われたかの国は、女王アグレシアによって大きく発展を遂げた。彼女は魔砲や魔法銃を開発し、当時技術力が最低クラスだったカンヴァ国は大きく飛躍を遂げた。平和を願い、国民や国を守ろうと戦い続けた彼女の願いは叶えられた…
…
…
はずだった。アグレシアを称えるために、アグレシーズ帝国と名前を変えたかの国は、手にした力で次第に増長していった。アグレシアが消息不明になってからの数百年間、アグレシーズ帝国は周囲の国を侵略し、拡大を続けている。皮肉にも、人々を守るために彼女が作りあげた道具は多くの人を殺し、大陸の平和を崩した。
そしてまた、今日もアグレシーズ帝国による侵略が行われていた。
―――――――――――
カロヌ砂漠
広大な砂漠に三千ほどのスィバ国の騎兵部隊と、千ほどのアグレシーズ帝国軍が相対する。すでに上空では、スィバ国のキングバードと、アグレシーズ帝国のレッサードラゴンによる空戦が始まっていた。
アグレシーズ帝国のスィバ国への侵略に、スィバ国はそれを防ごうと精鋭の騎兵部隊や百くらいのキングバードに乗る飛行騎士を配置していた。対するアグレシーズ帝国軍の部隊は精鋭でも何でもなく、練度はかなり低いし数も少ない。唯一の脅威である、竜騎士も乗っているのは二十程度のレッサードラゴン。アークドラゴンを帝国は出し渋ったのだろう。制空権も数で押せばとれるはずだ。
スィバにとっては勝てる戦であった。
「スィバに栄光あれーーーッ!突撃ッ!」
「帝国軍を殺せえええええ!」
騎兵部隊が突撃を始め、途端に砂ぼこりが大量に舞う。それを見て、アグレシーズ帝国の七等将官のカルセは厭らしい笑みを浮かべる。
「愚かな奴らめ。あんなことをしたところで無駄だというのに………魔砲、斉射!」
ドーーン!ドーーン!
横一列に並んだ魔砲が、一斉に火を吹く。騎兵は魔砲の音が響くたびに吹き飛ばされ、弾の破片が突き刺さる。当たりは血と焼け焦げた肉の香りで満たされる。
「怯むな。突っ込めー!」
「接近すればこちらのものだ!ゆけ!ゆくんだ!」
騎兵隊は、数を減らしながらも帝国軍との距離を縮めるが………
パーーーン!
先ほどの大きな響く音とはまた違った音が聞こえてくる。
「各銃兵、放て―!」
帝国軍兵士のもつ魔法銃にセットされた魔法結晶が輝く。それと同時に銃から赤色に輝く光弾が撃ちだされる。それも、数百以上の魔法銃からだ。
数えきれないほどの光弾が、騎兵隊を次々と撃ち抜いてゆく。
「ぎゃああああああああ!」
「痛い!死ぬ!」
「あああああああ!ああああああああ!」
「く、に、逃げろ!逃げるぞ!」
騎兵隊はたちまち壊滅し、生き残った者たちは我先にと逃げ出す。だが、魔法銃や魔砲による無慈悲な攻撃は続く。さらに。
上空から黄色い炎が撃ち込まれる。帝国軍のレッサードラゴン軍団によるものである。
「そんなバカな!?」
スィバの兵が慌てて空を見ると、友軍のキングバードは全て叩き落され、対する帝国のレッサードラゴンはほぼ全てが残っている。
もはやスィバ軍に勝ち目は無かった。
「た、助けてくれえええッ」
「死にたくな、ガハッ」
砂漠は、スィバ軍の死体の山となった。
スィバの精鋭軍とアグレシーズ帝国の地方軍が戦ったカロヌ砂漠決戦は、アグレシーズ帝国の一方的な蹂躙となったのだ。
その大陸のすみっこに、かつてカンヴァ国は存在した。海には大量のクラーケンが、陸は魔獣だらけで過酷と言われたかの国は、女王アグレシアによって大きく発展を遂げた。彼女は魔砲や魔法銃を開発し、当時技術力が最低クラスだったカンヴァ国は大きく飛躍を遂げた。平和を願い、国民や国を守ろうと戦い続けた彼女の願いは叶えられた…
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はずだった。アグレシアを称えるために、アグレシーズ帝国と名前を変えたかの国は、手にした力で次第に増長していった。アグレシアが消息不明になってからの数百年間、アグレシーズ帝国は周囲の国を侵略し、拡大を続けている。皮肉にも、人々を守るために彼女が作りあげた道具は多くの人を殺し、大陸の平和を崩した。
そしてまた、今日もアグレシーズ帝国による侵略が行われていた。
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カロヌ砂漠
広大な砂漠に三千ほどのスィバ国の騎兵部隊と、千ほどのアグレシーズ帝国軍が相対する。すでに上空では、スィバ国のキングバードと、アグレシーズ帝国のレッサードラゴンによる空戦が始まっていた。
アグレシーズ帝国のスィバ国への侵略に、スィバ国はそれを防ごうと精鋭の騎兵部隊や百くらいのキングバードに乗る飛行騎士を配置していた。対するアグレシーズ帝国軍の部隊は精鋭でも何でもなく、練度はかなり低いし数も少ない。唯一の脅威である、竜騎士も乗っているのは二十程度のレッサードラゴン。アークドラゴンを帝国は出し渋ったのだろう。制空権も数で押せばとれるはずだ。
スィバにとっては勝てる戦であった。
「スィバに栄光あれーーーッ!突撃ッ!」
「帝国軍を殺せえええええ!」
騎兵部隊が突撃を始め、途端に砂ぼこりが大量に舞う。それを見て、アグレシーズ帝国の七等将官のカルセは厭らしい笑みを浮かべる。
「愚かな奴らめ。あんなことをしたところで無駄だというのに………魔砲、斉射!」
ドーーン!ドーーン!
横一列に並んだ魔砲が、一斉に火を吹く。騎兵は魔砲の音が響くたびに吹き飛ばされ、弾の破片が突き刺さる。当たりは血と焼け焦げた肉の香りで満たされる。
「怯むな。突っ込めー!」
「接近すればこちらのものだ!ゆけ!ゆくんだ!」
騎兵隊は、数を減らしながらも帝国軍との距離を縮めるが………
パーーーン!
先ほどの大きな響く音とはまた違った音が聞こえてくる。
「各銃兵、放て―!」
帝国軍兵士のもつ魔法銃にセットされた魔法結晶が輝く。それと同時に銃から赤色に輝く光弾が撃ちだされる。それも、数百以上の魔法銃からだ。
数えきれないほどの光弾が、騎兵隊を次々と撃ち抜いてゆく。
「ぎゃああああああああ!」
「痛い!死ぬ!」
「あああああああ!ああああああああ!」
「く、に、逃げろ!逃げるぞ!」
騎兵隊はたちまち壊滅し、生き残った者たちは我先にと逃げ出す。だが、魔法銃や魔砲による無慈悲な攻撃は続く。さらに。
上空から黄色い炎が撃ち込まれる。帝国軍のレッサードラゴン軍団によるものである。
「そんなバカな!?」
スィバの兵が慌てて空を見ると、友軍のキングバードは全て叩き落され、対する帝国のレッサードラゴンはほぼ全てが残っている。
もはやスィバ軍に勝ち目は無かった。
「た、助けてくれえええッ」
「死にたくな、ガハッ」
砂漠は、スィバ軍の死体の山となった。
スィバの精鋭軍とアグレシーズ帝国の地方軍が戦ったカロヌ砂漠決戦は、アグレシーズ帝国の一方的な蹂躙となったのだ。
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