羊の悪魔と不死の夢

夏蜜柑星人

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第2章

第二十四話 鴉の魔女

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「え、悪魔憑き!?」

 出てきた女性が悪魔憑きだと知らされ、驚くメリーゴーン。
 悪魔憑きとは、その名の通り悪魔と契約している者の総称である。
 己の願いを叶えるために契約する者、出会った悪魔に命乞いをし利用される者。
 理由はどうあれ、あまり良い印象を持たれない存在であることには違いない。

「ケヒヒッ!見つかってやんの!」

 クロウリーの後ろから、腕に鳥のような翼を持った上半身だけの悪魔が、黒い羽を撒き散らしながら現れた。
 腹の下部分からは、背骨のような物がぶら下がっている。

「げっ、メンデモール……」
「よぉウルハウンド、ついにペットのワンちゃんになっちまったのかぁ?」

 あの悪魔を見た瞬間、ウルハウンドの顔が苦虫を噛み潰したような顔になる。
 どうやらあの悪魔の名は、メンデモールと言うらしい。

「知り合い?」
「腐れ縁だ、所属が一緒なんだよ。」
「俺らは同じくマモン様に仕える悪魔なんだよォ。
 まぁ、お前らより先輩だがなぁ。」
「こういう所がウザくて嫌い。」
「お前も可愛げが無くて好きじゃねぇなぁ。」

 同じ上司を持つ悪魔だが、仲がいいわけではないらしい。
 そういう所は人間とおなじである。

「最近見ねぇと思ったらこんな所に居やがったのか。」
「おうよ!ここは居心地が良くてなぁ。
 人間共にも呪いかけ放題でストレスフリーだぜェ!」
「このカラスちゃんのおかげでェ、綺麗な目とか素敵な腕とかが手に入るのよォ。」

 そう言い、自身の瞳を見せつけるクロウリー。
 その瞳は、翡翠を思わせる様な黄緑色であり、反射した光で黄色にも光って見えた。

「綺麗……って、それ呪いで手に入れたの!?」
「俺の能力でよぉ、呪いを掛けた奴の体の一部を奪えんだよぉ。」
「なるほど、それでミネノサの目を奪ったと。」
「そうよォ、綺麗な目だったからねェ。」
「えっと……その事なんだけど……」

 メリーゴーンは事の経緯をクロウリーとメンデモールに話した。

「なるほどねェ、たしかにちょっと取りすぎちゃったかも~。」
「でしょ!だから、返してほしくって……」
「でもねェ、この瞳気に入ってるのよねェ……」
「そこをなんとか……!」

 食い下がるメリーゴーン。
 ふと、クロウリーが何かを思いついたかのような顔をし、メリーゴーンに近づいた。

「ならァ……貴方のその左目をちょうだいな。」
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