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23. 天敵
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木剣に似せた木棒で、マークと手合わせをする。
身体強化しても手が、ジンジン痺れた。
まずは基本の素振りを毎日、朝と夕方に千回ずつ。
何事にも動じない精神力を身につけるため、大切だからっといわれても……
すぐにもたついてしまうわたしでは、ムリムリ。
なんとか身体強化で毎日素振りを千回ずつこなし、ひと月を過ぎたころ、木棒のブレが減ってきたのが自分でもわかった。
さすが身体強化というべきか、物事が速い。
マークからいわせると、まだまだなってないみたいだけど。
手にはマメもできたし……これは、地味に痛い。
はじめ手のひらのマメは、見た目も悪いし水ぶくれにもなるしで、ヒールをその都度かけていた。
手合わせ後、マークがわたしの手のひらを見て忠告する。
「手のひらにヒールをかけて鍛錬してたら、いつまでたっても剣がまともに握れないぞ。少しは手のひらを硬くしておけ」
「えっ そうなの? 素振りしてても痛いのはイヤなんだけど……」
「あーっ 、じゃあヒールの練習だと思って、少しだけ治すようにしたらどうだ?」
「少しって、どうするの?」
「手のひらの水ぶくれは治す。でも、硬くなっているマメやタコは少し残すっで、どうだ?」
「そんなこと、できるかなぁ?」
マークにいわれたとおりにヒールをかけてみたけど難しい。
水ぶくれを治すとマメもキレイに治って、ぷくぷくした手のひらになってしまう。
これはヒールの細かい指示の練習になりそうだ。
このヒールの練習も、毎日の素振りに追加された。
あとから考えるとこれが、ヒールを細部にわたって精度よくかけるよい練習になったと思う。
毎日地道に続けてたからね。
いつものようにマークと手合わせを馬小屋の横でしていると……
二人は、突然現れた。
ルート様とアース様。
アース様はルート様のために最近、辺境伯家の護衛兼、剣の先生として雇われた人。
どこかの子爵家の三男だったかな?
ルート様付きだったからできるだけ避けていたのに、手合わせ中で油断した……
「おまえら、なに遊んでいるんだ!」
「お二人とも、お上手ですね。お子さんは何歳ですか? ルート様よりいくつか下に見えますけど?」
二人を見てすぐに手合わせはやめたけど、わたしの天敵ルート様が非常にめんどくさい。
「お見苦しいところをお見せしてしまいました。この子はわたしの姪で、ルート様より三つ下。四歳になります、パールでございます。休憩時間に少し相手をしておりましたが、決して仕事をおろそかにはしておりません」
「大丈夫ですよ、仕事をおろそかにしているなんて思っていません。第一それは、馬を見ればわかる。ここの馬たちは、すばらしく元気だ。この馬たちなら王宮の馬にも引けを取らない」
「ありがとうございます。そう言っていただけるとやりがいがあります」
マークがうれしそうに頭をかいた。
「えっ 、本当か? この馬たちはそんなにすごいのか?」
「はい、ルート様。王宮にも引けを取らない、毛艶のすばらしい馬たちですよ。辺境伯様がよい馬の世話人を持っているあかしにもなります」
「うん、そうか。なら、これからも頑張るように!」
ルート様は辺境伯様と馬をほめられて、急に機嫌がいい。
「ありがとうございます。ところで馬小屋に何かご用でしょうか? 馬をご入用でしたら、お屋敷の者に使いを出してくださればこちらから伺います。こんなところまで足を運んでいただくことはございません」
「すまないね、突然で。今日はこれから、ルート様が扱う馬について勉強するんだよ。急に来たのは申し訳ないが、少し付き合ってもらえるかな?」
「出過ぎたことをいたしました。わたしでわかることでしたら、なんなりとお申し付けください」
「そうか。では、よろしくたのむよ」
アース様はルート様とマークを連れて馬小屋に入っていく。
マークは馬の体調の見かたや水や餌の与えかたを説明して戻ってきた。
わたしは失礼になるといけないので小屋に入ることもできず、小屋の前で控えている。
チラッとこちらをみたアース様が、突然。
「ところでこの子だが、少し貸してはもらえないか?」
マークが一瞬、ピクリとする。
「いやね。ルート様との手合わせを、お願いしようかと思ったんだよ」
「わたしは、こんなチビ! それも女と手合わせなんてしたくない!」
ルート様が、吠えた。
「そうですか? ですがわたしとばかり手合わせしていると、へんな癖がついても困りますし……背丈がルート様とちょうどよいので、オススメですよ」
「そうなのか……」
「アース様。差し出がましいことを申しますが、この子ではルート様のお相手をするにはまだ早いと思います。それにこの子は、少し特殊でして……辺境伯様より、お屋敷のお手伝いを禁止されております」
「そうだっ! コイツは六歳になったら冒険者になると決まっている、へんなヤツなんだ!」
「そうなのですか? わかりました。それではひとまず、お屋敷に戻りましょうか」
ルート様はなぜだか、わたしを横目でキッと見て帰っていった。
なに?
わたしと手合わせ……?
なんだか負ける気がしないけど……
あとはマークに、まかせとこっ!!
身体強化しても手が、ジンジン痺れた。
まずは基本の素振りを毎日、朝と夕方に千回ずつ。
何事にも動じない精神力を身につけるため、大切だからっといわれても……
すぐにもたついてしまうわたしでは、ムリムリ。
なんとか身体強化で毎日素振りを千回ずつこなし、ひと月を過ぎたころ、木棒のブレが減ってきたのが自分でもわかった。
さすが身体強化というべきか、物事が速い。
マークからいわせると、まだまだなってないみたいだけど。
手にはマメもできたし……これは、地味に痛い。
はじめ手のひらのマメは、見た目も悪いし水ぶくれにもなるしで、ヒールをその都度かけていた。
手合わせ後、マークがわたしの手のひらを見て忠告する。
「手のひらにヒールをかけて鍛錬してたら、いつまでたっても剣がまともに握れないぞ。少しは手のひらを硬くしておけ」
「えっ そうなの? 素振りしてても痛いのはイヤなんだけど……」
「あーっ 、じゃあヒールの練習だと思って、少しだけ治すようにしたらどうだ?」
「少しって、どうするの?」
「手のひらの水ぶくれは治す。でも、硬くなっているマメやタコは少し残すっで、どうだ?」
「そんなこと、できるかなぁ?」
マークにいわれたとおりにヒールをかけてみたけど難しい。
水ぶくれを治すとマメもキレイに治って、ぷくぷくした手のひらになってしまう。
これはヒールの細かい指示の練習になりそうだ。
このヒールの練習も、毎日の素振りに追加された。
あとから考えるとこれが、ヒールを細部にわたって精度よくかけるよい練習になったと思う。
毎日地道に続けてたからね。
いつものようにマークと手合わせを馬小屋の横でしていると……
二人は、突然現れた。
ルート様とアース様。
アース様はルート様のために最近、辺境伯家の護衛兼、剣の先生として雇われた人。
どこかの子爵家の三男だったかな?
ルート様付きだったからできるだけ避けていたのに、手合わせ中で油断した……
「おまえら、なに遊んでいるんだ!」
「お二人とも、お上手ですね。お子さんは何歳ですか? ルート様よりいくつか下に見えますけど?」
二人を見てすぐに手合わせはやめたけど、わたしの天敵ルート様が非常にめんどくさい。
「お見苦しいところをお見せしてしまいました。この子はわたしの姪で、ルート様より三つ下。四歳になります、パールでございます。休憩時間に少し相手をしておりましたが、決して仕事をおろそかにはしておりません」
「大丈夫ですよ、仕事をおろそかにしているなんて思っていません。第一それは、馬を見ればわかる。ここの馬たちは、すばらしく元気だ。この馬たちなら王宮の馬にも引けを取らない」
「ありがとうございます。そう言っていただけるとやりがいがあります」
マークがうれしそうに頭をかいた。
「えっ 、本当か? この馬たちはそんなにすごいのか?」
「はい、ルート様。王宮にも引けを取らない、毛艶のすばらしい馬たちですよ。辺境伯様がよい馬の世話人を持っているあかしにもなります」
「うん、そうか。なら、これからも頑張るように!」
ルート様は辺境伯様と馬をほめられて、急に機嫌がいい。
「ありがとうございます。ところで馬小屋に何かご用でしょうか? 馬をご入用でしたら、お屋敷の者に使いを出してくださればこちらから伺います。こんなところまで足を運んでいただくことはございません」
「すまないね、突然で。今日はこれから、ルート様が扱う馬について勉強するんだよ。急に来たのは申し訳ないが、少し付き合ってもらえるかな?」
「出過ぎたことをいたしました。わたしでわかることでしたら、なんなりとお申し付けください」
「そうか。では、よろしくたのむよ」
アース様はルート様とマークを連れて馬小屋に入っていく。
マークは馬の体調の見かたや水や餌の与えかたを説明して戻ってきた。
わたしは失礼になるといけないので小屋に入ることもできず、小屋の前で控えている。
チラッとこちらをみたアース様が、突然。
「ところでこの子だが、少し貸してはもらえないか?」
マークが一瞬、ピクリとする。
「いやね。ルート様との手合わせを、お願いしようかと思ったんだよ」
「わたしは、こんなチビ! それも女と手合わせなんてしたくない!」
ルート様が、吠えた。
「そうですか? ですがわたしとばかり手合わせしていると、へんな癖がついても困りますし……背丈がルート様とちょうどよいので、オススメですよ」
「そうなのか……」
「アース様。差し出がましいことを申しますが、この子ではルート様のお相手をするにはまだ早いと思います。それにこの子は、少し特殊でして……辺境伯様より、お屋敷のお手伝いを禁止されております」
「そうだっ! コイツは六歳になったら冒険者になると決まっている、へんなヤツなんだ!」
「そうなのですか? わかりました。それではひとまず、お屋敷に戻りましょうか」
ルート様はなぜだか、わたしを横目でキッと見て帰っていった。
なに?
わたしと手合わせ……?
なんだか負ける気がしないけど……
あとはマークに、まかせとこっ!!
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