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29. ポーションの選び方
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ルート様も素振り千回が普通にできるようになった。
アース様も素振りを百単位で告げてくる。
週に一回だけの手合わせでも、半年も過ぎればちょっとは仲良くなれたのか、練習中は少し言葉を崩してもよくなっていた。
アース様にはわたしが少し変わっているとバレているようだが、知らない振りをしてくれている。
それも、六歳でここから旅立つことが決まっているからかな?
冒険者になって生きていくのは本当に大変なんだろう。
ルート様だけじゃなく、わたしにまで真剣に教えてくれている。
厳しいけど優しい人だと思う。
アース様が手合わせのあと、剣を持つ自分の肩を揉みながらおもむろに話しだした。
「わたしも貴族とはいえ三男。自分の力で生きていかなければならない身。騎士になろうと精進してきましたが、怪我をしてしまい騎士になるのを諦め落胆していたところを、こちらの辺境伯様に拾っていただき生涯雇用を得ました。冒険者は騎士以上に厳しい職業だと聞いています。そんな大変なところに六歳で向かうのですから、少しでも生き延びる術を増やしてください」
「ありがとうございます。あの……アース様は肩を痛めているのですか?」
「ふっ……今はもう、大したことはないのです。たまにしびれがでてきて、騎士としてはもう……昇進ができない、ただ……それだけですよ。パールも冒険者になったら、怪我には充分気をつけてくださいね」
「はい」
騎士も厳しい世界みたいだ。
この世界は魔法でヒールもあるし、ポーションもある。
それでも治らないのだろうか?
マークも足を少し引きずっている。
思いきって聞いてみた。
「アース様の肩は、魔法のヒールかポーションで治らないのですか?」
「んーっ、難しいね。ある程度の怪我はポーションでも治る。そうだね……よい機会だから、いろいろ説明しようかな。ルート様、あちらのテーブルで休憩いたしましょう」
休憩用のテーブルまで戻ると、シーナがタイミングよくハーブティーを出してくれる。
マークは椅子に座るのを辞退していたが、わたしはルート様と一緒にサッと座った。
三人が椅子に座り、マークとシーナはルート様の斜め後ろに控えてアース様の説明を聞く。
ルート様がおまえは椅子に座るのか? っという目を向けてきたけど、まるっと無視した。
シーナの淹れてくれたハーブティーを一口飲んで、ホッとひと息つく。
「まずはポーションの種類からお話ししましょう。ポーションには大きく分けて下級ポーション、中級ポーション、上級ポーションがあります」
シーナがサッとテーブルに、三本のポーションを置いた。
さすがシーナ! できる侍女さん!
シーナにありがとうの笑顔を返しておく。
三本とも、色が少しずつ違う。
「この薄い若草色が下級ポーション。そして新緑色が中級ポーション、上級ポーションは薄紫色。このように透き通っているものが上質でグレードの高い良いものだとされています」
近くで見てもキレイに透き通った色をしていた。
「キレイだな」
「キレイだね」
二人の言葉にアース様がうなずく。
「このように透き通っていて沈殿物のないものを購入するように。下級ポーションの低級品や古いものは若草色が茶色味をおびてくるので、このキレイな若草色を覚えておくと他のものと比較できますよ」
本当にキレイな薄い若草色をしている。
新鮮な薬草を水に浸した感じかな?
「中級ポーションも透き通っていて沈殿物がないものを選んでください。これはどんなポーションでも同じ基本ですから、こうやって透かして確かめてみてもいいですよ」
ポーションを手に持って日の光に透かして見せてくれた。
「中級ポーションも低級品になれば新緑色が濁って茶色味をおびてきます。ただし注意しなければいけないのは、これより上質な中級ポーションプラスの存在です。新緑色というよりはもっと濃い緑色。深緑までとはいきませんが、生い茂った木の色というか、どちらにしても濁りのないキレイな濃い緑色をしています。これはたまに出回りますから覚えておくといいでしょう」
アース様はしばらく手の中にある中級ポーションをじっと見つめ、コトンッとテーブルに置いた。
「最後にこれが上級ポーションです。これもキレイな透明感のある薄紫色のものが基本なのですが、このポーションは上級ポーションプラスに近づくほど、色がキレイな濃い紫色になっていきます。低級品や古いものは白く濁りだしますから違いが他のものに比べてわかりやすいので、上級ポーションを購入するときにはできるだけ透明感のある紫色の濃いものを選ぶようにするとよいでしょう」
「中級も上級もプラスというものがあるのだな。それはどういう種類のモノで、下級ポーションにはないのか?」
「あっ 、失礼しました。下級ポーションにもあると思います。わたしがよく利用していたのが中級ポーションでしたのでつい……。プラスは一般のポーションより色が濃く上質で、グレードが高いものになります。使っている薬草の種類や配合は下級や中級、上級のポーションと同じようなのですが、ある条件によって品質が一般のものよりグンっと良くなり、効き目が数段上がるので、そうしたものはプラスをつけて一般のポーションとは別にしているのです」
「ある条件とは、なんなのだ?」
うん 、うん 、気になるよね。
「はっきりとはされていませんが、いくつかある条件の一つにポーションを作る薬師のレベルが関係しているのではないかと伝えられています」
ルート様と二人大きくうなずいて、三本のポーションをしげしげとみつめた。
へー 、これは思っていたより勉強になるなあ……
たのしくなってきたー!!
アース様も素振りを百単位で告げてくる。
週に一回だけの手合わせでも、半年も過ぎればちょっとは仲良くなれたのか、練習中は少し言葉を崩してもよくなっていた。
アース様にはわたしが少し変わっているとバレているようだが、知らない振りをしてくれている。
それも、六歳でここから旅立つことが決まっているからかな?
冒険者になって生きていくのは本当に大変なんだろう。
ルート様だけじゃなく、わたしにまで真剣に教えてくれている。
厳しいけど優しい人だと思う。
アース様が手合わせのあと、剣を持つ自分の肩を揉みながらおもむろに話しだした。
「わたしも貴族とはいえ三男。自分の力で生きていかなければならない身。騎士になろうと精進してきましたが、怪我をしてしまい騎士になるのを諦め落胆していたところを、こちらの辺境伯様に拾っていただき生涯雇用を得ました。冒険者は騎士以上に厳しい職業だと聞いています。そんな大変なところに六歳で向かうのですから、少しでも生き延びる術を増やしてください」
「ありがとうございます。あの……アース様は肩を痛めているのですか?」
「ふっ……今はもう、大したことはないのです。たまにしびれがでてきて、騎士としてはもう……昇進ができない、ただ……それだけですよ。パールも冒険者になったら、怪我には充分気をつけてくださいね」
「はい」
騎士も厳しい世界みたいだ。
この世界は魔法でヒールもあるし、ポーションもある。
それでも治らないのだろうか?
マークも足を少し引きずっている。
思いきって聞いてみた。
「アース様の肩は、魔法のヒールかポーションで治らないのですか?」
「んーっ、難しいね。ある程度の怪我はポーションでも治る。そうだね……よい機会だから、いろいろ説明しようかな。ルート様、あちらのテーブルで休憩いたしましょう」
休憩用のテーブルまで戻ると、シーナがタイミングよくハーブティーを出してくれる。
マークは椅子に座るのを辞退していたが、わたしはルート様と一緒にサッと座った。
三人が椅子に座り、マークとシーナはルート様の斜め後ろに控えてアース様の説明を聞く。
ルート様がおまえは椅子に座るのか? っという目を向けてきたけど、まるっと無視した。
シーナの淹れてくれたハーブティーを一口飲んで、ホッとひと息つく。
「まずはポーションの種類からお話ししましょう。ポーションには大きく分けて下級ポーション、中級ポーション、上級ポーションがあります」
シーナがサッとテーブルに、三本のポーションを置いた。
さすがシーナ! できる侍女さん!
シーナにありがとうの笑顔を返しておく。
三本とも、色が少しずつ違う。
「この薄い若草色が下級ポーション。そして新緑色が中級ポーション、上級ポーションは薄紫色。このように透き通っているものが上質でグレードの高い良いものだとされています」
近くで見てもキレイに透き通った色をしていた。
「キレイだな」
「キレイだね」
二人の言葉にアース様がうなずく。
「このように透き通っていて沈殿物のないものを購入するように。下級ポーションの低級品や古いものは若草色が茶色味をおびてくるので、このキレイな若草色を覚えておくと他のものと比較できますよ」
本当にキレイな薄い若草色をしている。
新鮮な薬草を水に浸した感じかな?
「中級ポーションも透き通っていて沈殿物がないものを選んでください。これはどんなポーションでも同じ基本ですから、こうやって透かして確かめてみてもいいですよ」
ポーションを手に持って日の光に透かして見せてくれた。
「中級ポーションも低級品になれば新緑色が濁って茶色味をおびてきます。ただし注意しなければいけないのは、これより上質な中級ポーションプラスの存在です。新緑色というよりはもっと濃い緑色。深緑までとはいきませんが、生い茂った木の色というか、どちらにしても濁りのないキレイな濃い緑色をしています。これはたまに出回りますから覚えておくといいでしょう」
アース様はしばらく手の中にある中級ポーションをじっと見つめ、コトンッとテーブルに置いた。
「最後にこれが上級ポーションです。これもキレイな透明感のある薄紫色のものが基本なのですが、このポーションは上級ポーションプラスに近づくほど、色がキレイな濃い紫色になっていきます。低級品や古いものは白く濁りだしますから違いが他のものに比べてわかりやすいので、上級ポーションを購入するときにはできるだけ透明感のある紫色の濃いものを選ぶようにするとよいでしょう」
「中級も上級もプラスというものがあるのだな。それはどういう種類のモノで、下級ポーションにはないのか?」
「あっ 、失礼しました。下級ポーションにもあると思います。わたしがよく利用していたのが中級ポーションでしたのでつい……。プラスは一般のポーションより色が濃く上質で、グレードが高いものになります。使っている薬草の種類や配合は下級や中級、上級のポーションと同じようなのですが、ある条件によって品質が一般のものよりグンっと良くなり、効き目が数段上がるので、そうしたものはプラスをつけて一般のポーションとは別にしているのです」
「ある条件とは、なんなのだ?」
うん 、うん 、気になるよね。
「はっきりとはされていませんが、いくつかある条件の一つにポーションを作る薬師のレベルが関係しているのではないかと伝えられています」
ルート様と二人大きくうなずいて、三本のポーションをしげしげとみつめた。
へー 、これは思っていたより勉強になるなあ……
たのしくなってきたー!!
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