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70. 新種のトケイソウ?
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いつもよりだいぶ早く起きた。
宿屋の食堂一番乗りかと思ったんだけど、ぜんぜん違う。
みんな早いなあ~
今日出発するお客さんは、ちょっと早いそうだ。
どこに行くのかな?
今日も朝からボリューム満点のシチューとパン。
ソーセージとキャベツそれに小さいトマトがゴロゴロ入っている……あっ、ベーコンも!
ハーブがシチュー全体を爽やかにしてくれている……
うん、おいしい。
オヤジさんからお昼用のパンひとつと、リンゴとオレンジを二個ずつもらう。
今日は帰ってくるかわからないと言ってあるから果物が多めだな。
荷物は昨日のうちに用意してある。
いつもはスカスカの肩から斜めがけしている革のカバンが、重くはないけど詰まっていてパンパンだ。
「じゃあ、チェリー出発しようか!」
「はい。行きましょう」
今回の目標はウロに荷物を置きにいくこと。
なにかを採るというよりは、ダンジョンを見ていろいろ覚えてくることを目標にしよう。
まだ朝の鐘が三つ鳴っていない、六時前だな。
まずは身体強化でウロまで走るよ!
「チェリーこのぐらいの繋がりでいいかな?」
「はい。大丈夫です。マーキングで覚えた獣や魔物は、わたくしが五十メートルで検索して危険と思うモノをお知らせするのでピコピコうるさくないはずです。安心して冒険してください。あの魔法のおかげでパールと繋がりやすく、探索なども検索しやすくなっています」
「よかった! チェリーが教えてくれた魔法をかけておいて正解だね!」
ウロ近くまできたとき、急にチェリーが変わった魔力を見つけたと言ってきた。
まだマーキングしていないモノらしい。
わたしが目で見ないとマーキングできないから、少し追いかけてみるか尋ねられる。
「今回はなにかを採って帰る縛りもないから、追いかけてみようかな? 危ないようならあきらめればいいし、やっぱりマーキングだけはしておきたいよね」
倍の身体強化をかけて、荷物を持ったままになるけど出発!
気づかれないよう静かに指示された方向へ向かう。
基本は風下に位置するところへ誘導してくれているみたいだ。
もう少しで姿が見えるかなっというときに、チェリーがなにかおかしいと告げてくる。
霧がかかっていていまだに姿を確認できず、魔力がボヤけてはっきり居場所が特定しづらくなってきていると知らせてきた。
それは、たしかにおかしい。
もうここはダンジョンのはずだから気をつけないと……
「チェリー、ここはもうダンジョンだよね」
「はい。そうです。姿は確認できていませんが魔力の多さから、そう強い魔物ではないと思われますが。見失ったところまで行かれますか」
「そうだね。ここまできたし、行ってみるよ」
チェリーの指示された場所は林の中だった。
霧がまだ薄っすらかかっている程度で、少し調べてみたけど別に変わったところはない。
静かだ……
「チェリー? なにもいないみたいだし、あきらめて戻ろうか?」
「はい。林の中は見通しが悪いので、荷物を置きに一度ウロまで戻りましょう」
チェリーの言う通り一度ウロまで戻ろうとしたとき、林の少し奥がキラッと光ったように感じた。
あれっ?!
なにか光った?
「チェリー! あそこ、林の奥が少し光ったように見えたんだけど……」
「はい。霧でわかりにくいですが、花のようです」
「花? 薬草かな? 行ってみてもいい?」
「はい。危険なモノはいないようなので、可能です」
好奇心にかられて、もう少し林の奥まで花を探しに進む。
霧がだんだん濃くなってきているのか……
チェリーが注意してくださいと言ってきたそのとき、あっ?! また光った!
思わず駆け出してしまう。
それは、ポツリと一本咲いていた。
「金色……変わった花。チェリーこれは、なに?」
「はい。見た目はギルドの図書室の本に載っていたトケイソウのようなのですが……色が違います」
「トケイソウ……時計に似ているから? 金の時計か……おもしろいね。持って帰っていいかな~」
「はい。トケイソウなら花の部分だけの採取でよいはずですが、どうされますか?」
「これを採ったら、もう今日は帰らないとダメになっちゃうか……メリッサお姉さんなら花や薬草に詳しいし……」
なんとなくギルドに持っていくより、メリッサお姉さんにこのトケイソウを見せた方が喜んでもらえると思ってしまった。
お金は貰うけどメリッサお姉さんのお土産にして、今日は荷物を置いたら帰ろうかな?
「チェリー、この花珍しいんだよね?」
「はい。辺境伯家の図書室にもギルドの図書室にもこの色のトケイソウは載っていません」
「よし、決定! 今日はこれを根っこから全部土ごと持って帰って、メリッサお姉さんにこの花のことを教えてもらおう!」
そうと決まればシャベルを出して、まずは根っこを傷つけないように掘り出そうかな。
それにしても金色ってすごいよ、ピカピカでとってもキレイ!
思わず花びらをチョンっと触れてみる。
花びらがぷるんっと揺れてかわいい。
「チェリー、このトケイソウかわいいね!」
「はい。金色で新種なのかもしれません。丁寧に採取してください」
もー、チェリーは厳しいな~ぁ!
そんなやり取りをしていると……
トケイソウの三本の雄しべが急にぐるぐる回りだして、そこから濃い霧が大量にブワーッと出てきた。
なにっ!? これ、どうなってるのっ?
「チェリー !!」
怖くなって、チェリーの名を呼ぶ。
「はい……パー……ル…………」
「えっ? チェリー !! どうしたの?! 聞こえないよ!!」
あたり一面が真っ白になり、なにも見えない!
トケイソウだけが金色に光って、なぜか浮き出ている。
なにがなんだか、わからない……?
トケイソウは急に、ポンッと音をたてて花の部分が茎と分かれ、わたしの頭の上に飛んできた。
ヒィーーッ!!
頭の上でぷかぷか浮いてるー っ!?
もう怖くなってここから逃げ出そうとしたとき、からだが急に浮き上がった。
うわーっ! からだが浮いてるー!
やだーっ、ホントに怖い!
自分の背丈ほど浮かび上がったところで、トケイソウの花がくるくる回りながら頭の上から金色の光の粒をふらせてきた。
「チェリー~!! 返事をして~!!」
チェリーの声がなにも聞こえない。
宙に浮いたまま、金色の光の粒を浴び続ける。
少しでも動くと、バランスを崩して落ちそうだ。
でも高さが微妙で、この高さから落ちたぐらいなら大丈夫だよね? いける? 飛び降りる?
なんとかこの状況から逃げ出そうと思った、そのとき。
金色の光の粒が一瞬、ピカーッと輝いた。
うーーっ、まぶしい!!
宿屋の食堂一番乗りかと思ったんだけど、ぜんぜん違う。
みんな早いなあ~
今日出発するお客さんは、ちょっと早いそうだ。
どこに行くのかな?
今日も朝からボリューム満点のシチューとパン。
ソーセージとキャベツそれに小さいトマトがゴロゴロ入っている……あっ、ベーコンも!
ハーブがシチュー全体を爽やかにしてくれている……
うん、おいしい。
オヤジさんからお昼用のパンひとつと、リンゴとオレンジを二個ずつもらう。
今日は帰ってくるかわからないと言ってあるから果物が多めだな。
荷物は昨日のうちに用意してある。
いつもはスカスカの肩から斜めがけしている革のカバンが、重くはないけど詰まっていてパンパンだ。
「じゃあ、チェリー出発しようか!」
「はい。行きましょう」
今回の目標はウロに荷物を置きにいくこと。
なにかを採るというよりは、ダンジョンを見ていろいろ覚えてくることを目標にしよう。
まだ朝の鐘が三つ鳴っていない、六時前だな。
まずは身体強化でウロまで走るよ!
「チェリーこのぐらいの繋がりでいいかな?」
「はい。大丈夫です。マーキングで覚えた獣や魔物は、わたくしが五十メートルで検索して危険と思うモノをお知らせするのでピコピコうるさくないはずです。安心して冒険してください。あの魔法のおかげでパールと繋がりやすく、探索なども検索しやすくなっています」
「よかった! チェリーが教えてくれた魔法をかけておいて正解だね!」
ウロ近くまできたとき、急にチェリーが変わった魔力を見つけたと言ってきた。
まだマーキングしていないモノらしい。
わたしが目で見ないとマーキングできないから、少し追いかけてみるか尋ねられる。
「今回はなにかを採って帰る縛りもないから、追いかけてみようかな? 危ないようならあきらめればいいし、やっぱりマーキングだけはしておきたいよね」
倍の身体強化をかけて、荷物を持ったままになるけど出発!
気づかれないよう静かに指示された方向へ向かう。
基本は風下に位置するところへ誘導してくれているみたいだ。
もう少しで姿が見えるかなっというときに、チェリーがなにかおかしいと告げてくる。
霧がかかっていていまだに姿を確認できず、魔力がボヤけてはっきり居場所が特定しづらくなってきていると知らせてきた。
それは、たしかにおかしい。
もうここはダンジョンのはずだから気をつけないと……
「チェリー、ここはもうダンジョンだよね」
「はい。そうです。姿は確認できていませんが魔力の多さから、そう強い魔物ではないと思われますが。見失ったところまで行かれますか」
「そうだね。ここまできたし、行ってみるよ」
チェリーの指示された場所は林の中だった。
霧がまだ薄っすらかかっている程度で、少し調べてみたけど別に変わったところはない。
静かだ……
「チェリー? なにもいないみたいだし、あきらめて戻ろうか?」
「はい。林の中は見通しが悪いので、荷物を置きに一度ウロまで戻りましょう」
チェリーの言う通り一度ウロまで戻ろうとしたとき、林の少し奥がキラッと光ったように感じた。
あれっ?!
なにか光った?
「チェリー! あそこ、林の奥が少し光ったように見えたんだけど……」
「はい。霧でわかりにくいですが、花のようです」
「花? 薬草かな? 行ってみてもいい?」
「はい。危険なモノはいないようなので、可能です」
好奇心にかられて、もう少し林の奥まで花を探しに進む。
霧がだんだん濃くなってきているのか……
チェリーが注意してくださいと言ってきたそのとき、あっ?! また光った!
思わず駆け出してしまう。
それは、ポツリと一本咲いていた。
「金色……変わった花。チェリーこれは、なに?」
「はい。見た目はギルドの図書室の本に載っていたトケイソウのようなのですが……色が違います」
「トケイソウ……時計に似ているから? 金の時計か……おもしろいね。持って帰っていいかな~」
「はい。トケイソウなら花の部分だけの採取でよいはずですが、どうされますか?」
「これを採ったら、もう今日は帰らないとダメになっちゃうか……メリッサお姉さんなら花や薬草に詳しいし……」
なんとなくギルドに持っていくより、メリッサお姉さんにこのトケイソウを見せた方が喜んでもらえると思ってしまった。
お金は貰うけどメリッサお姉さんのお土産にして、今日は荷物を置いたら帰ろうかな?
「チェリー、この花珍しいんだよね?」
「はい。辺境伯家の図書室にもギルドの図書室にもこの色のトケイソウは載っていません」
「よし、決定! 今日はこれを根っこから全部土ごと持って帰って、メリッサお姉さんにこの花のことを教えてもらおう!」
そうと決まればシャベルを出して、まずは根っこを傷つけないように掘り出そうかな。
それにしても金色ってすごいよ、ピカピカでとってもキレイ!
思わず花びらをチョンっと触れてみる。
花びらがぷるんっと揺れてかわいい。
「チェリー、このトケイソウかわいいね!」
「はい。金色で新種なのかもしれません。丁寧に採取してください」
もー、チェリーは厳しいな~ぁ!
そんなやり取りをしていると……
トケイソウの三本の雄しべが急にぐるぐる回りだして、そこから濃い霧が大量にブワーッと出てきた。
なにっ!? これ、どうなってるのっ?
「チェリー !!」
怖くなって、チェリーの名を呼ぶ。
「はい……パー……ル…………」
「えっ? チェリー !! どうしたの?! 聞こえないよ!!」
あたり一面が真っ白になり、なにも見えない!
トケイソウだけが金色に光って、なぜか浮き出ている。
なにがなんだか、わからない……?
トケイソウは急に、ポンッと音をたてて花の部分が茎と分かれ、わたしの頭の上に飛んできた。
ヒィーーッ!!
頭の上でぷかぷか浮いてるー っ!?
もう怖くなってここから逃げ出そうとしたとき、からだが急に浮き上がった。
うわーっ! からだが浮いてるー!
やだーっ、ホントに怖い!
自分の背丈ほど浮かび上がったところで、トケイソウの花がくるくる回りながら頭の上から金色の光の粒をふらせてきた。
「チェリー~!! 返事をして~!!」
チェリーの声がなにも聞こえない。
宙に浮いたまま、金色の光の粒を浴び続ける。
少しでも動くと、バランスを崩して落ちそうだ。
でも高さが微妙で、この高さから落ちたぐらいなら大丈夫だよね? いける? 飛び降りる?
なんとかこの状況から逃げ出そうと思った、そのとき。
金色の光の粒が一瞬、ピカーッと輝いた。
うーーっ、まぶしい!!
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