迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

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169. ブラックパシュンが現れた!

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 マークお待ちかねのブラックパシュンが現れた!

 チェリーに居場所を確認して、風下から向かう。

 
 毛足の長いホントに真っ黒な、これも小さなかたまりに見える。
 曲がった角は何に使うのかな?

「魔牛のあとだから小さく思うけど、実は大きいよね」

「ああ、そばで見たら十分大きいぞ。それでも一頭の毛からは、最高級の大判ショールが一枚しかとれない。そのあともショールは作れるけど品質が、一等級、二等級、三等級と下がっていくんだ」

「へぇ~」

 お肉もブラックパシュンは少しクセのある、好きな人にはたまらない最高級のお肉がとれるそうだ。
 ホワイトパシュンはクセのないブラックパシュンよりも柔らかいお肉で、お貴族様の女性やお子様にはホワイトパシュンの方が人気があると教えてもらう。

 どちらにせよ魔牛と同じぐらい、捨てるところがない魔獣らしい。

 岩肌についている草なのかコケなのかを岩山を少し登りながら食べている。

「パール、気をつけろ! アイツはすごく敏感なんだ。 声をださず足音にも注意して、もう少し近づいてから、心臓を狙うんだ!」

 マークにうなずき、前へ慎重に進む。

 うわーっ、ホントに真っ黒だな……

 狙いを定めて、魔剣をブラックパシュンに向け、慎重に撃つ!

 ピカーッ!

 ズズズズズーッ。

 あーっ、倒れてから岩肌を滑り落ちてる~ぅ!?

 毛が痛む~っ!

「パール、もう少しブラックパシュンが下に降りてから魔剣を使うか、すぐ採取用スティックで収納するかしないと、毛がもったいないぞ」

「うん、さっきわたしも気がついた。次から気をつけるよ」

 意外と難しい。
 目的を持って、しっかり狙って狩らないとダメなんだ。

 それからしばらく進むと、今度は草原に現れた。
 よかった、これなら簡単に狩れる。

 このブラックパシュンは、スキルマッピングしたおかげで、マークがおどろくほど簡単に見つけることができた。

「こんなに、いたのか……」

「そうみたいだね……もう、ブラックパシュンはいいね」

「ああ……」

 狩をしながら奥へ進んでいたので、そろそろ雪が積もっているエリアだ。

 マークと寒さに強いマントを羽織って、ボードで飛んで先へと進んでいく。

 わたしでは背が足りないから、進みづらくなったからだ。
 これにはマークも納得してくれた。

 ボードの上からでは、真っ白で何もいないんじゃないかと思うけど、足跡がてんてんとあるから何かがいるとわかる……

「マーク、これわたしではもう下に降りれないんじゃない? 背が足りないかも……?」

「そうだな、半分ぐらい埋まってしまうかもな?」

「あはっ、やっぱりそう思う? どうする? 戻ろうか?」

「まあ……しょうがないな」

 そのとき、チェリーが声をかけてきた。

(パール。ホワイトパシュンがこの先、百メートルのところに現れました)

「あらら~っ、マーク! ホワイトパシュンがここから先、百メートルのところに現れたけど、どうする?」

「やっとだな! もう、冒険者と言って良いのか不安になるが、気にせずにボードから狙って狩ってしまうぞ!」

「わかった! わたしは十分冒険者ですよっ! 安全第一の薬草ハンターだから、これでいいの!」

 上から見るホワイトパシュンは小さく見えるけど、狙いを胴体にして少しブラックパシュンより強めに雷の魔法をかけ、気にせず魔剣で狩ってしまう。

 やっていることは、ブラックパシュンと一緒だし、上からだから、あっという間に狩れる。

 一頭見つけたら、スキルマッピングであとは何頭か見つけて、同じように狩っていった。

 もうマークも呆れて、黙っている。

 雪なのか? 
 少し吹雪いてきた。
 安全にそのままボードで、西南の方角へ戻ってしまう。

 暖かくなってきたところで、テントを張る。
 今日はここまで。


 明日はもう少し西にボードで進み、魔牛を狩ることになった。

 マークが魔牛を気に入って、どうせ狩るなら自分たちで食べる魔牛が良いと宣言したからだ。

 そうだよね!

 お金に困ってないから、自分たちが必要な物を持って帰るほうが、みんながよろこぶと思ったみたい。

 一理あるな。

「パール! 明日からはもう少し、西の奥で魔牛を中心に狩るから、明日は走るぞ! 今日はゆっくり休んでおけよっ!」

「わかったよ……」


 今回も先にお風呂へ入って、さっぱりしてから夕食になった。

 わたしはあいかわらずアラクネのワンピースを着ている。
 スリッパも新しく、スピノちゃんのクローゼットから探し出した。
 かわいいリボンが付いたスリッパを見つけて、一目で気に入って履いている。

「パール? そのスリッパはなんだ? 今までのとは違うよな?」

「うん、このテントをもらったところの娘さんのクローゼットにあったモノだよ! さっき見つけたの、かわいいでしょ?」

「ああ、かわいいな。そのかわいいリボンについている大きい石は、なんだ? ダイヤじゃないのか?」

「エヘッ、やっぱりそう思う? わたしもダイヤかなぁ~? って思ったけど……かわいいよねっ!」

「ああ。キラキラ輝いてかわいいから、このテントの中だけにしておけよ……んっ、アラクネのワンピースによく似合っているぞ」

「ありがとうー!」

 マークは目頭を指で揉んでいた。
 
 夕食は明日から狩る、魔牛のステーキ。
 あとはポタテとエビビを薄くスライスして、それに細かく切った色とりどりの野菜とオイルにレモン汁などがかかったモノ。
 これはサラダ? なのかな?
 わからないから、ミニトマトだけがかわいい陶器の入れ物に入ったモノもだす。
 それに、いろんな種類のキノコのバターソテー。
 硬めのパンを薄く切ったモノをだしたから、上に乗せたらおいしそう。
 バターと水分少なめのハードチーズもついでに置いた。
 これも削って一緒に乗せて食べても合うだろう。
 
 そして最後。
 オレンジのパイ!

 マークはもうワインを出していたので、わたしはコウジュの作ったシッソー水で乾杯した。

「やっぱり、安定に魔牛のステーキはうまい! 毎日これでもいいぐらいだ!」

「うん、たしかにおいしいねっ! でもわたしはウコッコのソテーも好きだから、コカドリーユのお肉を食べるのが楽しみなんだよ!」

「そうだな、あれもうまいらしいぞ! 冒険者のいいところは、金に困ってなければうまい肉が食べれるところだよな!  若い時にはそんなことより金と酒だったし、持って帰っても料理ができないからな。宿屋に頼むにしても他の奴らの分もいるから割高になる。よほどじゃないと、まず頼まない。金にする」

「そうなんだ……じゃあ今はトムさんたちがいるし、安心だね。おいしいお肉が食べられるよ! そうだ。ライたちのところにも魔牛を持っていかないと!」

「ああ、普通はそんなに持って帰れないからな。ライさんのところの料理長たちもよろこんでくれるはずだぞ」

 よーしっ!

 明日は気合いを入れて……

 お土産の魔牛をーーっ!

 もっと、もっと、見つけるぞーーぉ!



 
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