2 / 2
出会い
おちこぼれと生徒会長
しおりを挟む
「みんな、すごいなぁ」
私は王立魔法学院1年生のソフィア
肩書きだけで見れば『天才、秀才』と言われ、称賛こそされども非難や嘲笑される事はない程の能力を持つだろう。
ただ、ある魔法の適正があることを除いたら、この学院で私ほど『普通』が似合う生徒は居ないと自分でも思う。
入学から3ヶ月ほどが経ち、私の『普通』はクラスメイトのみんなには大きく劣る物になってしまった。魔力や学力、扱える魔力もこの歳では普通。されど、この学院では『普通』というのは下の下、いわゆる『おちこぼれ』というやつである。 スタートラインは同じだったはずなのに私だけがついていくことができなかった。
今、クラスメイト達は実技の授業の真っ最中。そんな中私は魔技棟の隅に一人で
座り込み、みんなを眺めている。
「はぁ」
飛び交う高度な魔法や術式にため息を漏らす。
どれも私には真似をすることすらできそうにない。
「まぁ、でも」
寂しさを押し殺すようにつぶやく
「少しはやらないとだよね」
みんなの姿に感化されたわけではない、少し気持ちを紛らわしたかった。
クラスのみんなから目を背けたかったんだ。
私は魔法の発動のために体を流れる魔力を感じ、操り右手に集中させる。
右手に魔力が集まると次第に淡い光が纏い始める。 集めた魔力を起点とし術式を展開
「ライト」
簡単な魔法である「ライト」を発動する。
右手に集まった魔力は形を成し、球体となり、光を作りだす。
「よし」
が、形を成した魔力は虚しくも空気に溶ける。
「やっぱり…だめ…か…」
惨めな気持ちが押し寄せる。
「どうしてなんだろうな」
『出来ない』という事実が私を押しつぶそうとする。
晴らしたかった事実は、紛らわしたかった気持ちは無遠慮に、私にのしかかる。
顔をうずめ一人また殻に閉じこもる。
「あら、あなたどうしたのかしら?」
穏やかで艶々とした声が聞こえ、私は顔を上げる。
「えっ」
するとそこには沈んだ気持ちをすべて持っていかれるほどの美しい人が立っていた。
「生徒会長…」
光にさらされればきらりと輝りだすほどの白い肌
風が吹けば美しくなびくプラチナムブロンドの髪
覗けば飲み込まれるがごとく私を見つめる黒い瞳
「ふふ、わたしのことを知っているのね」
学力、実技ともにトップクラスで、同性の私ですらも目を引く美しさを持つ生徒会長様を
知らない人はこの学院にはいないだろう。
「も…もちろんです。アリエス生徒会長」
今の態勢に気づいた私は、慌てて立ち上がり口を開く
「あら、名前まで、ありがとう」
ほほ笑む生徒会長の姿が喉の奥に言葉を詰まらせる。
「ふふ、そんなに緊張しなくて大丈夫よ。それにアリエスって呼んでくれるとうれしいわ」
無茶なお願いをする生徒会長様に更に口をきけなくなる。
「…」
「ほーら」
かわいらしく催促をする生徒会長。
「アリエス…様」
「まぁ、それでいいわ。本当は呼び捨てがいいのだけど、生徒会長様なんて呼ばれるよりかはマシね」
やっとの思いで口にした回答に、生徒会長は不満げに私に告げる。
「いつでも、名前で呼んでいいからね」
微笑を浮かべながら、お願いをする生徒会長に少しの親近感と少しの小さな恐怖を覚えた。
私は王立魔法学院1年生のソフィア
肩書きだけで見れば『天才、秀才』と言われ、称賛こそされども非難や嘲笑される事はない程の能力を持つだろう。
ただ、ある魔法の適正があることを除いたら、この学院で私ほど『普通』が似合う生徒は居ないと自分でも思う。
入学から3ヶ月ほどが経ち、私の『普通』はクラスメイトのみんなには大きく劣る物になってしまった。魔力や学力、扱える魔力もこの歳では普通。されど、この学院では『普通』というのは下の下、いわゆる『おちこぼれ』というやつである。 スタートラインは同じだったはずなのに私だけがついていくことができなかった。
今、クラスメイト達は実技の授業の真っ最中。そんな中私は魔技棟の隅に一人で
座り込み、みんなを眺めている。
「はぁ」
飛び交う高度な魔法や術式にため息を漏らす。
どれも私には真似をすることすらできそうにない。
「まぁ、でも」
寂しさを押し殺すようにつぶやく
「少しはやらないとだよね」
みんなの姿に感化されたわけではない、少し気持ちを紛らわしたかった。
クラスのみんなから目を背けたかったんだ。
私は魔法の発動のために体を流れる魔力を感じ、操り右手に集中させる。
右手に魔力が集まると次第に淡い光が纏い始める。 集めた魔力を起点とし術式を展開
「ライト」
簡単な魔法である「ライト」を発動する。
右手に集まった魔力は形を成し、球体となり、光を作りだす。
「よし」
が、形を成した魔力は虚しくも空気に溶ける。
「やっぱり…だめ…か…」
惨めな気持ちが押し寄せる。
「どうしてなんだろうな」
『出来ない』という事実が私を押しつぶそうとする。
晴らしたかった事実は、紛らわしたかった気持ちは無遠慮に、私にのしかかる。
顔をうずめ一人また殻に閉じこもる。
「あら、あなたどうしたのかしら?」
穏やかで艶々とした声が聞こえ、私は顔を上げる。
「えっ」
するとそこには沈んだ気持ちをすべて持っていかれるほどの美しい人が立っていた。
「生徒会長…」
光にさらされればきらりと輝りだすほどの白い肌
風が吹けば美しくなびくプラチナムブロンドの髪
覗けば飲み込まれるがごとく私を見つめる黒い瞳
「ふふ、わたしのことを知っているのね」
学力、実技ともにトップクラスで、同性の私ですらも目を引く美しさを持つ生徒会長様を
知らない人はこの学院にはいないだろう。
「も…もちろんです。アリエス生徒会長」
今の態勢に気づいた私は、慌てて立ち上がり口を開く
「あら、名前まで、ありがとう」
ほほ笑む生徒会長の姿が喉の奥に言葉を詰まらせる。
「ふふ、そんなに緊張しなくて大丈夫よ。それにアリエスって呼んでくれるとうれしいわ」
無茶なお願いをする生徒会長様に更に口をきけなくなる。
「…」
「ほーら」
かわいらしく催促をする生徒会長。
「アリエス…様」
「まぁ、それでいいわ。本当は呼び捨てがいいのだけど、生徒会長様なんて呼ばれるよりかはマシね」
やっとの思いで口にした回答に、生徒会長は不満げに私に告げる。
「いつでも、名前で呼んでいいからね」
微笑を浮かべながら、お願いをする生徒会長に少しの親近感と少しの小さな恐怖を覚えた。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
続きが気になるぅぅぅぅ