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11話・覚醒するハロウィンと人間
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「ケラケラケラ! チミはもう死ぬだけだよ。悪魔と人間の差を教えよう。いくら知恵を巡らそうが、絶対的な暴力には勝てないんだ。特にこのクモードハロウィン様にはねぇ?」
確かに蜘蛛の姿に変身したクモードハロウィンの言う通りだ。強力な皮膚に鋭利な牙。口から吐き出される糸は獲物を捕らえて離さない強い伸縮性があった。
(この糸は引っ張っても燃やしても切れない……この距離はマズイな)
右腕が蜘蛛の糸で巻き取られているから、クモードハロウィンとの距離が取れない。それと同時に、身体の痛みが魔レンズのミミにも影響していて、俺を侵食しようとしてるミミの魔力も上がって行くのを感じた。このままだと外と内から殺されるのは確実だ。
(クソが……ミミの奴が俺を乗っ取ろうとしてるから戦いに集中出来ない! 魔レンズの副作用がこんな形で現れるとはな! ぐっ――)
ぐっと引っ張られた俺はクモードハロウィンに引き寄せられた。あんぐりと開けた口の中の牙が新鮮な肉を喰らうのを待ち構えている。
「――くっ!」
「あらん?」
鋭利な牙に蹴りを入れ、また距離を取った。そしてまた右腕を引っ張られる瞬間を読みつつ、周囲を円形に駆ける。
「道化から蜘蛛とはとんだ格下がりだな! えぇ!? クモードハロウィンさんよ!?」
「……死ぬ前の断末魔にしてはつまらないわよボクチン」
そう言ったものの、ヤツは明らかにパワーアップしている。それに冷静だ。もっと怒りで我を失ってくれた方が対処の仕方はあるが、今のクモードハロウィンは氷のような冷静さがあった。
「この姿はボクチンも嫌いなの。この体型じゃあマジックショーも出来ないからね。だからこれを見た以上、確実に殺すわよ」
「俺には悪魔王ゼロノスから奪った魔レンズがある。この力は悪魔を倒す為に生まれたものだ」
「ゼロノス様の力の一部を奪ったとしても、一部は一部でしかない。そもそも、人間程度が魔法を使えるからって悪魔に勝てると思うの? ボス悪魔を見くびり過ぎよボクチンは」
駆けつつも必死に右腕に巻きついた蜘蛛の糸に炎を浴びせるが、中々糸が切れない。
「この糸さえ切れれば! なら風を使うか――」
「風でも無駄。その糸を切りたいなら、これぐらいの魔力量の炎を使わないとね☆」
「――!?」
地獄の炎のようなケタ違いの魔力量を秘めた炎が俺の視界の全てを埋め尽くした。本物の悪魔の力を見せつけられた俺は全身を焼かれたまま倒れた。それでも笑いもしないクモードハロウィンは哀れみを込めるように言う。
「弱いわねぇ……もう少し楽しませてくれないと。せっかくこの嫌いなクモモードになったんだから。さて、殺しましょう。部下に任せる予定だったけど、ルーンメイズもボクチンが壊滅させようかしら。パーティーは眺めるのが好きなんだけどねぇ」
そうして、クモードハロウィンは俺を殺してからルーンメイズを殺しに行くようだ。でも俺はまだ死んでいないし、反撃する心もある。悪魔神罰として俺はゼロノスの前座に負けている場合じゃないんだ。今ある自分の全てを使って渋谷のボスに勝つ。
(クモ野郎の足元に水があるか。残る魔力も少ない。なら全部爆発させてやる――)
八本足で歩いて来るクモードハロウィンに向けて、起死回生の一撃を叩き込む。
「――全ての魔力をはじけろ! 悪魔雷罰!」
思いっきり地面を叩いて魔法を発動した。稲妻のスパークが水を伝い、一気にクモードハロウィンに流れ込む。同時に俺の身体に巻きついた蜘蛛の糸も切れた。
「魔力は無くなったが、覚悟を決めれば蜘蛛の糸なんてこんなもんだ。なぁハロウィン……」
すると悪魔妖精のミミは周囲を飛び回りながら笑っている。自由になったはずの俺はクモードハロウィンではなく、目の前の一つ目の鬼悪魔に見とれていた。
「……マジかよ。あの鬼悪魔がハロウィンを庇って雷の魔力を全て受けやがった。ゲーセンの崩壊で全ては死んでなかったのか」
数体の悪魔がゆっくりとゲーセンの残骸から立ち上がっているのが見えた。それを束ねるボスのクモードハロウィンは淡々と言う。
「そのうち、気絶してるだけの連中は眼を覚ます。だからチミは死刑確定。そうだねぇ……人間は丸呑みが一番かなぁ?」
「――ぐっ! このぉ!?」
全身を蜘蛛の糸で絡め取られた! 喰い殺すと決めたクモードハロウィンはスタスタと歩いて来る。牙の噛み合う音が響き、その死の音色にミミはヨダレを垂らしながら興奮していた。
「星矢死んじゃう! 死んじゃうね! アハハッ!」
「黙ってろミミ。お前も利用してやるから少し黙れ」
「永遠に黙るのはチミよ人間」
グワァ……と開かれた大きな口に喰われそうになる――。
「……プレゼントだぜハロウィンさんよ」
隠し持っていた手榴弾を口にプレゼントした。すぐさま爆発が響き渡り黒い煙が視界を殺す。内部なら外部よりダメージはデカイはずと思った。けど、ミミの笑い声でその蜘蛛野郎は生きているのを悟った。
「……不味いわね。それは人間の武器の手榴弾というヤツね。そんなものはただの煙の出るオモチャ。だから大人しく喰われなさいな」
「そうしてやるよ――」
今度は自分から身体を口の中に突っ込んだ! クモードハロウィンとミミは驚いている。その隙に勝利を手にしてやる――。
「本当に全ての魔力を注ぎ込んでやる! ――悪魔炎罰!」
今度は本当に全ての炎魔力を注ぎ込んだ! 俺の手が焼ける程の威力の炎が放たれ、クモードハロウィンの口内も黒く焼ける。セーラー服のスカートが燃えたミミはスカートを脱ぎ捨てた。そして、鋭利な牙を剥き出しにしつつ、大きな目を輝かせるクモードハロウィンは言う。
「……魔力はまだあった。また嘘をついて騙していたのね。わかってないのねぇ。消化器官の強いボクチンの内部は外側より強いの。だからその程度ではダメージは無いわよ。このまま溶けて死になさーい……」
ぐちゃり……と無情な牙が俺の身体に食い込んだ。死が近い痛みと共にミミは喜んでいて、本当に身体を乗っ取られる気がする。このまま行けば、負けは確実。だけど俺には全てを利用して成し遂げる目的がある。
人間は悪魔よりも悪魔だからだ。
そして、俺は右目の魔レンズに全ての意識を集中した。
(? 何だ? ハロウィンの動きが止まった……?)
何故かクモードハロウィンの動きが止まっている。そして聞き慣れた女の声が瀕死の俺に聞こえた。
「助けに来たわよ星矢! ハロウィンの姿は変わっているけど、アンタが寝てるならヤツは私が殺るわ」
「どこのメスかしら? このハロウィン様の額に弾丸を撃ち込むなんて真似してくれるのわぁ?」
ルーンメイズの美空舞花の銃の弾丸がクモードハロウィンに当たっていたんだ。一斉にハロウィンの部下の悪魔は舞花に狙いを定める。
「そっちも仲間を使ったなら、コッチも有りでしょ? ザコから殺そうかしら」
その舞花は銃を狙撃しつつ、手榴弾を悪魔達に投げつけて爆殺した。今までと違い明らかに動きの質が向上している。スピードだけなら完全に本気の俺より早い。それに気付くクモードハロウィンは言う。
「ほえ? 人間の動きにしては早い。身体の魔力を動きに使っている? ん? 光?」
ふと、自分の丸い腹から光が漏れているのに気付いたようだ。今更気付いても、もう遅い。
「何? ボクチンのお腹が光っている!? ギョェーーーッ!?」
「アレ? 星矢、まさかミミを使う気? ウソでしょ?」
外と内から殺そうとしていた悪魔達はビビっていた。けど、そんな事はどうでもいい。俺は目の前の悪魔を排除するだけだ。
「そんなに嬉しそうな顔をされたら俺も嬉しいぜ。魔レンズに蓄えていた痛みの一撃。これが俺の本当の切り札――ペインミミー!」
赤い光の妖精となる魔レンズのミミはクモードハロウィンの腹を内部から突き破った!
魔レンズに蓄積された痛みの魔力を利用したペインミミーを使い、クモードハロウィンを撃破した。その赤い光の妖精は天へと突き抜けると渋谷の上空の雲が開け、汚い口から脱した俺は舞花に無事だと手を上げた。
いるのは舞花だけだった。でも、スクランブル交差点付近の戦いはルーンメイズの勝利だと思う。あの舞花の傷を見る限り、ギリギリの勝利だったんだろうがな。
(魔法が覚醒してもいないのに、あの傷でよく駆けつけたもんだ。舞花はかなり使える女だな。悪魔東京の最後の日までは仲間でいて欲しいぜ……)
そんな事を思いつつも、近寄って来る舞花に俺は感謝した。
「余計なマネしやがって……俺は一人でも勝てる。俺は悪魔神罰だぞ」
「そうでしょうね。でも、東京のゼロノス攻略戦まで星矢は必要だから私も守るわ。貴方が人間を裏切らないとも言えないからね。人の心を私が維持させる必要もある」
「お前は俺の恋人かよ」
「ば、馬鹿を言うなよ! 私は星矢のようなマトモじゃない男は好きではないの!」
いちいち照れんなよと思いつつも、この女は俺の心のバランサーになると言うのが面白いとも思った。
「……星矢」
「あぁ、ハロウィンパーティーは人間の勝利で終わらせるぞ」
瀕死のクモードハロウィンは姿を変えて元のハロウィンマンへと戻った。腹に穴が空いていてかなりの重傷だ。その俺も右腕は使い物にならず、魔力が無いから魔レンズも使えない。利用したミミにも魔力は無いから切り札も無い。最後の時を感じながら俺達は見つめ合う。
『……』
そうして、瀕死の渋谷ボス・ハロウィンと渋谷エリアを巡っての最後の時を迎えた。
確かに蜘蛛の姿に変身したクモードハロウィンの言う通りだ。強力な皮膚に鋭利な牙。口から吐き出される糸は獲物を捕らえて離さない強い伸縮性があった。
(この糸は引っ張っても燃やしても切れない……この距離はマズイな)
右腕が蜘蛛の糸で巻き取られているから、クモードハロウィンとの距離が取れない。それと同時に、身体の痛みが魔レンズのミミにも影響していて、俺を侵食しようとしてるミミの魔力も上がって行くのを感じた。このままだと外と内から殺されるのは確実だ。
(クソが……ミミの奴が俺を乗っ取ろうとしてるから戦いに集中出来ない! 魔レンズの副作用がこんな形で現れるとはな! ぐっ――)
ぐっと引っ張られた俺はクモードハロウィンに引き寄せられた。あんぐりと開けた口の中の牙が新鮮な肉を喰らうのを待ち構えている。
「――くっ!」
「あらん?」
鋭利な牙に蹴りを入れ、また距離を取った。そしてまた右腕を引っ張られる瞬間を読みつつ、周囲を円形に駆ける。
「道化から蜘蛛とはとんだ格下がりだな! えぇ!? クモードハロウィンさんよ!?」
「……死ぬ前の断末魔にしてはつまらないわよボクチン」
そう言ったものの、ヤツは明らかにパワーアップしている。それに冷静だ。もっと怒りで我を失ってくれた方が対処の仕方はあるが、今のクモードハロウィンは氷のような冷静さがあった。
「この姿はボクチンも嫌いなの。この体型じゃあマジックショーも出来ないからね。だからこれを見た以上、確実に殺すわよ」
「俺には悪魔王ゼロノスから奪った魔レンズがある。この力は悪魔を倒す為に生まれたものだ」
「ゼロノス様の力の一部を奪ったとしても、一部は一部でしかない。そもそも、人間程度が魔法を使えるからって悪魔に勝てると思うの? ボス悪魔を見くびり過ぎよボクチンは」
駆けつつも必死に右腕に巻きついた蜘蛛の糸に炎を浴びせるが、中々糸が切れない。
「この糸さえ切れれば! なら風を使うか――」
「風でも無駄。その糸を切りたいなら、これぐらいの魔力量の炎を使わないとね☆」
「――!?」
地獄の炎のようなケタ違いの魔力量を秘めた炎が俺の視界の全てを埋め尽くした。本物の悪魔の力を見せつけられた俺は全身を焼かれたまま倒れた。それでも笑いもしないクモードハロウィンは哀れみを込めるように言う。
「弱いわねぇ……もう少し楽しませてくれないと。せっかくこの嫌いなクモモードになったんだから。さて、殺しましょう。部下に任せる予定だったけど、ルーンメイズもボクチンが壊滅させようかしら。パーティーは眺めるのが好きなんだけどねぇ」
そうして、クモードハロウィンは俺を殺してからルーンメイズを殺しに行くようだ。でも俺はまだ死んでいないし、反撃する心もある。悪魔神罰として俺はゼロノスの前座に負けている場合じゃないんだ。今ある自分の全てを使って渋谷のボスに勝つ。
(クモ野郎の足元に水があるか。残る魔力も少ない。なら全部爆発させてやる――)
八本足で歩いて来るクモードハロウィンに向けて、起死回生の一撃を叩き込む。
「――全ての魔力をはじけろ! 悪魔雷罰!」
思いっきり地面を叩いて魔法を発動した。稲妻のスパークが水を伝い、一気にクモードハロウィンに流れ込む。同時に俺の身体に巻きついた蜘蛛の糸も切れた。
「魔力は無くなったが、覚悟を決めれば蜘蛛の糸なんてこんなもんだ。なぁハロウィン……」
すると悪魔妖精のミミは周囲を飛び回りながら笑っている。自由になったはずの俺はクモードハロウィンではなく、目の前の一つ目の鬼悪魔に見とれていた。
「……マジかよ。あの鬼悪魔がハロウィンを庇って雷の魔力を全て受けやがった。ゲーセンの崩壊で全ては死んでなかったのか」
数体の悪魔がゆっくりとゲーセンの残骸から立ち上がっているのが見えた。それを束ねるボスのクモードハロウィンは淡々と言う。
「そのうち、気絶してるだけの連中は眼を覚ます。だからチミは死刑確定。そうだねぇ……人間は丸呑みが一番かなぁ?」
「――ぐっ! このぉ!?」
全身を蜘蛛の糸で絡め取られた! 喰い殺すと決めたクモードハロウィンはスタスタと歩いて来る。牙の噛み合う音が響き、その死の音色にミミはヨダレを垂らしながら興奮していた。
「星矢死んじゃう! 死んじゃうね! アハハッ!」
「黙ってろミミ。お前も利用してやるから少し黙れ」
「永遠に黙るのはチミよ人間」
グワァ……と開かれた大きな口に喰われそうになる――。
「……プレゼントだぜハロウィンさんよ」
隠し持っていた手榴弾を口にプレゼントした。すぐさま爆発が響き渡り黒い煙が視界を殺す。内部なら外部よりダメージはデカイはずと思った。けど、ミミの笑い声でその蜘蛛野郎は生きているのを悟った。
「……不味いわね。それは人間の武器の手榴弾というヤツね。そんなものはただの煙の出るオモチャ。だから大人しく喰われなさいな」
「そうしてやるよ――」
今度は自分から身体を口の中に突っ込んだ! クモードハロウィンとミミは驚いている。その隙に勝利を手にしてやる――。
「本当に全ての魔力を注ぎ込んでやる! ――悪魔炎罰!」
今度は本当に全ての炎魔力を注ぎ込んだ! 俺の手が焼ける程の威力の炎が放たれ、クモードハロウィンの口内も黒く焼ける。セーラー服のスカートが燃えたミミはスカートを脱ぎ捨てた。そして、鋭利な牙を剥き出しにしつつ、大きな目を輝かせるクモードハロウィンは言う。
「……魔力はまだあった。また嘘をついて騙していたのね。わかってないのねぇ。消化器官の強いボクチンの内部は外側より強いの。だからその程度ではダメージは無いわよ。このまま溶けて死になさーい……」
ぐちゃり……と無情な牙が俺の身体に食い込んだ。死が近い痛みと共にミミは喜んでいて、本当に身体を乗っ取られる気がする。このまま行けば、負けは確実。だけど俺には全てを利用して成し遂げる目的がある。
人間は悪魔よりも悪魔だからだ。
そして、俺は右目の魔レンズに全ての意識を集中した。
(? 何だ? ハロウィンの動きが止まった……?)
何故かクモードハロウィンの動きが止まっている。そして聞き慣れた女の声が瀕死の俺に聞こえた。
「助けに来たわよ星矢! ハロウィンの姿は変わっているけど、アンタが寝てるならヤツは私が殺るわ」
「どこのメスかしら? このハロウィン様の額に弾丸を撃ち込むなんて真似してくれるのわぁ?」
ルーンメイズの美空舞花の銃の弾丸がクモードハロウィンに当たっていたんだ。一斉にハロウィンの部下の悪魔は舞花に狙いを定める。
「そっちも仲間を使ったなら、コッチも有りでしょ? ザコから殺そうかしら」
その舞花は銃を狙撃しつつ、手榴弾を悪魔達に投げつけて爆殺した。今までと違い明らかに動きの質が向上している。スピードだけなら完全に本気の俺より早い。それに気付くクモードハロウィンは言う。
「ほえ? 人間の動きにしては早い。身体の魔力を動きに使っている? ん? 光?」
ふと、自分の丸い腹から光が漏れているのに気付いたようだ。今更気付いても、もう遅い。
「何? ボクチンのお腹が光っている!? ギョェーーーッ!?」
「アレ? 星矢、まさかミミを使う気? ウソでしょ?」
外と内から殺そうとしていた悪魔達はビビっていた。けど、そんな事はどうでもいい。俺は目の前の悪魔を排除するだけだ。
「そんなに嬉しそうな顔をされたら俺も嬉しいぜ。魔レンズに蓄えていた痛みの一撃。これが俺の本当の切り札――ペインミミー!」
赤い光の妖精となる魔レンズのミミはクモードハロウィンの腹を内部から突き破った!
魔レンズに蓄積された痛みの魔力を利用したペインミミーを使い、クモードハロウィンを撃破した。その赤い光の妖精は天へと突き抜けると渋谷の上空の雲が開け、汚い口から脱した俺は舞花に無事だと手を上げた。
いるのは舞花だけだった。でも、スクランブル交差点付近の戦いはルーンメイズの勝利だと思う。あの舞花の傷を見る限り、ギリギリの勝利だったんだろうがな。
(魔法が覚醒してもいないのに、あの傷でよく駆けつけたもんだ。舞花はかなり使える女だな。悪魔東京の最後の日までは仲間でいて欲しいぜ……)
そんな事を思いつつも、近寄って来る舞花に俺は感謝した。
「余計なマネしやがって……俺は一人でも勝てる。俺は悪魔神罰だぞ」
「そうでしょうね。でも、東京のゼロノス攻略戦まで星矢は必要だから私も守るわ。貴方が人間を裏切らないとも言えないからね。人の心を私が維持させる必要もある」
「お前は俺の恋人かよ」
「ば、馬鹿を言うなよ! 私は星矢のようなマトモじゃない男は好きではないの!」
いちいち照れんなよと思いつつも、この女は俺の心のバランサーになると言うのが面白いとも思った。
「……星矢」
「あぁ、ハロウィンパーティーは人間の勝利で終わらせるぞ」
瀕死のクモードハロウィンは姿を変えて元のハロウィンマンへと戻った。腹に穴が空いていてかなりの重傷だ。その俺も右腕は使い物にならず、魔力が無いから魔レンズも使えない。利用したミミにも魔力は無いから切り札も無い。最後の時を感じながら俺達は見つめ合う。
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