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19話・ゼロノス聖協会最強のアクマキラー-アリス-
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俺と舞花は停車する事の無い魔列車となる山手線内部への侵入に成功した。山手線殺しが行われた車両は、魔力を生み出す魔列車としてひたすら走り続けている。おそらくこれは悪魔東京への変貌をさせたキッカケだけの利用のはずだ。だからこの山手線には悪魔が一匹も存在していない。
「予想通りだ。山手線内部に悪魔の反応は無い。これなら問題無く東京へ先行出来そうだ」
「池袋の事と言い、悪どい事を思いつくわね。確かに私達が東京へ先行して暴れておけば、悪魔やゼロノス聖教会も混乱してルーンメイズ本隊は東京への侵攻をしやすくなる。でも、これならゼロノスデイまでにゼロノスに辿り着けるわ。変な事をしたら私はアンタを撃つけどね」
「それでいい。舞花はそのまま変わらないでいい」
舞花は魔法を信じる心が有り、魔力を肉体の強さに変換する能力を得ている。力には変化があったが、心はそのままでいて欲しい。俺達は悪魔神罰とルーンメイズであり、一時的な協力者でしかないからな。
「舞花。東京駅に到着したら飛び降りるぞ。それまでは待機だ」
「待機しか出来ないでしょ? この山手線内でやれる事なんて無いし。うるさいミミも今はいないから休むわよ」
「……ミミはどっかでウロウロ飛んでるだろって、もうくつろいでやがる」
まだ俺と星野が巻き込まれた山手線殺しの時に現れた悪魔達に殺された人間達の乾いた血が車内にはある。それを気にしない舞花はシートに座ってくつろいでいた。
(星野との記憶が蘇るな。まさか、ここで悪魔が現れて山手線殺しが行われ、山手線内部が悪魔東京になるなんて思わなかった。悪魔がいるのは知っていたが、ここまで大規模に悪魔が突如現れたのは好都合だった……星野を失った痛みは俺の強さとなったはずだ)
そんな高校のクラスメイトの星野との思い出を思い出しながら、俺もシートに座った。床には、星野がゼロノスに攻撃した赤いカチューシャが落ちている。
「……星野」
衝動的にその赤いカチューシャを拾った。すると、舞花はすかさずそれを奪った。
「おい」
「誰よ星野って? 山手線殺しに巻き込まれた彼女?」
「違う。高校のクラスメイトだ。山手線殺しに巻き込まれて、ゼロノスに挑んで殺されたのは本当だがな」
「ゼロノスに挑んで殺された……のね。強い女だったのね。でも、彼女ではないのはわかっていたわ」
「はぁ? 何故わかる?」
「共感不要のアンタは共感されたい女との人付き合いが上手いとは思えないし」
「……フン」
正論である舞花の言葉を突っぱねて、星野のカチューシャを取り戻す。それをジャケットの胸ポケットに無理矢理ねじ込んだ。
「形見なら大事にしなよ。私もお父さんのジッポはいつも持ってるしね」
「そうだな。星野は昔からどこか冷めているが、自分があっていい女だった。それは山手線殺しで証明されたしな。悪魔王ゼロノスに挑む女なんて、好きになるしかないだろ」
「へぇ……アンタも人を好きになるのね。星野って子に会ったら私も仲良くなれるかな?」
「さぁな。星野はもう死んだ。生きてる俺達は新しい時代の未来に進むだけだ」
そう、答えて立ち上がって答えた。すると、俺のケツを叩いて舞花も立ち上がる――と同時に車両が揺れた。そして、頭上から突風が吹き出した。
『――!?』
突如、山手線内部の屋根が開いて一人の銀髪の少年が降りて来たんだ。その銀髪の優男は血塗られたような赤い槍を持っており、黒の学ランを着ていた。警戒する俺達に向かってその銀髪の優男は話し出した。
「君が夜野星矢だね? 噂通り、無茶な考えがあるね。悪魔以上に」
「そりゃどーも。どこの学生だか知らんが、この山手線に乗っていてもどこにも到着しないぞ。俺に関わるなら死という到着駅があるだけだ」
「いいですね。ついでに左目の魔レンズも見せて下さいよ。それを警戒して屋根にいたんですから」
「電車の屋根で待機とは粋な奴だな。確かに魔レンズには悪魔も人間の反応も無かった。俺の魔レンズは人間の反応も感知出来る。どう搔い潜った?」
「君の魔レンズを誤魔化すには、山手線の屋根にいる必要があったから隠れていただけだよ。ここに悪魔がいないのは、僕がいるから必要無いだけさ」
どうやらこの優男は悪魔より厄介なようだ。手に持つ赤い槍が不釣り合いだが、相当な実力があるのが自分の戦闘経験と魔レンズがプレッシャーとして教えてくれる。隣の舞花も明らかに敵である優男に警戒している。
(この銀髪の学ランの優男。年はおそらく近い。しかし、何故この魔列車となる山手線内部に人がいるんだ? まさかコイツが死にかけの悪魔が言ってたアクマキラーなのか?)
「色々考えても無駄ですよ。夜野さんは僕のキリギリスの槍で美しく死ぬのだから」
「なら貴様はアリか? そんな事より誰だお前は? 何故この山手線に乗っている?」
「誰だお前は無いでしょう。ここはゼロノスのテリトリーでもある以上、番人はいる。ゼロノス聖教会最強の僕……アリスがね」
この銀髪の優男はアリスというらしい。しかも、ゼロノスを信仰するゼロノス聖教会最強のようだ。だが今はこんな会話をしている暇は無い。東京駅まではそう時間もかからない。こんな奴に構っている暇は無いんだよ。俺はアリスとの戦闘に移行する事にした。
「ゼロノスの手下の人間がアクマキラーと呼ばれていとは皮肉なもんだ。舞花。もし東京に辿り着いたら飛び降りろ。俺がすぐに倒せれば問題ないが、一応な」
「わかったわ。私は邪魔にならないよう奥の車両で東京の到着を待ってるわ。派手に行くわよ」
「あぁ、頼んだ。悪魔王ゼロノスへの宣戦布告は派手に行かないとな」
そうして、俺は真っ赤なキリギリスの槍を構えたゼロノス聖協会最強のアクマキラーと呼ばれるアリスという優男との一騎打ちに挑む。
「予想通りだ。山手線内部に悪魔の反応は無い。これなら問題無く東京へ先行出来そうだ」
「池袋の事と言い、悪どい事を思いつくわね。確かに私達が東京へ先行して暴れておけば、悪魔やゼロノス聖教会も混乱してルーンメイズ本隊は東京への侵攻をしやすくなる。でも、これならゼロノスデイまでにゼロノスに辿り着けるわ。変な事をしたら私はアンタを撃つけどね」
「それでいい。舞花はそのまま変わらないでいい」
舞花は魔法を信じる心が有り、魔力を肉体の強さに変換する能力を得ている。力には変化があったが、心はそのままでいて欲しい。俺達は悪魔神罰とルーンメイズであり、一時的な協力者でしかないからな。
「舞花。東京駅に到着したら飛び降りるぞ。それまでは待機だ」
「待機しか出来ないでしょ? この山手線内でやれる事なんて無いし。うるさいミミも今はいないから休むわよ」
「……ミミはどっかでウロウロ飛んでるだろって、もうくつろいでやがる」
まだ俺と星野が巻き込まれた山手線殺しの時に現れた悪魔達に殺された人間達の乾いた血が車内にはある。それを気にしない舞花はシートに座ってくつろいでいた。
(星野との記憶が蘇るな。まさか、ここで悪魔が現れて山手線殺しが行われ、山手線内部が悪魔東京になるなんて思わなかった。悪魔がいるのは知っていたが、ここまで大規模に悪魔が突如現れたのは好都合だった……星野を失った痛みは俺の強さとなったはずだ)
そんな高校のクラスメイトの星野との思い出を思い出しながら、俺もシートに座った。床には、星野がゼロノスに攻撃した赤いカチューシャが落ちている。
「……星野」
衝動的にその赤いカチューシャを拾った。すると、舞花はすかさずそれを奪った。
「おい」
「誰よ星野って? 山手線殺しに巻き込まれた彼女?」
「違う。高校のクラスメイトだ。山手線殺しに巻き込まれて、ゼロノスに挑んで殺されたのは本当だがな」
「ゼロノスに挑んで殺された……のね。強い女だったのね。でも、彼女ではないのはわかっていたわ」
「はぁ? 何故わかる?」
「共感不要のアンタは共感されたい女との人付き合いが上手いとは思えないし」
「……フン」
正論である舞花の言葉を突っぱねて、星野のカチューシャを取り戻す。それをジャケットの胸ポケットに無理矢理ねじ込んだ。
「形見なら大事にしなよ。私もお父さんのジッポはいつも持ってるしね」
「そうだな。星野は昔からどこか冷めているが、自分があっていい女だった。それは山手線殺しで証明されたしな。悪魔王ゼロノスに挑む女なんて、好きになるしかないだろ」
「へぇ……アンタも人を好きになるのね。星野って子に会ったら私も仲良くなれるかな?」
「さぁな。星野はもう死んだ。生きてる俺達は新しい時代の未来に進むだけだ」
そう、答えて立ち上がって答えた。すると、俺のケツを叩いて舞花も立ち上がる――と同時に車両が揺れた。そして、頭上から突風が吹き出した。
『――!?』
突如、山手線内部の屋根が開いて一人の銀髪の少年が降りて来たんだ。その銀髪の優男は血塗られたような赤い槍を持っており、黒の学ランを着ていた。警戒する俺達に向かってその銀髪の優男は話し出した。
「君が夜野星矢だね? 噂通り、無茶な考えがあるね。悪魔以上に」
「そりゃどーも。どこの学生だか知らんが、この山手線に乗っていてもどこにも到着しないぞ。俺に関わるなら死という到着駅があるだけだ」
「いいですね。ついでに左目の魔レンズも見せて下さいよ。それを警戒して屋根にいたんですから」
「電車の屋根で待機とは粋な奴だな。確かに魔レンズには悪魔も人間の反応も無かった。俺の魔レンズは人間の反応も感知出来る。どう搔い潜った?」
「君の魔レンズを誤魔化すには、山手線の屋根にいる必要があったから隠れていただけだよ。ここに悪魔がいないのは、僕がいるから必要無いだけさ」
どうやらこの優男は悪魔より厄介なようだ。手に持つ赤い槍が不釣り合いだが、相当な実力があるのが自分の戦闘経験と魔レンズがプレッシャーとして教えてくれる。隣の舞花も明らかに敵である優男に警戒している。
(この銀髪の学ランの優男。年はおそらく近い。しかし、何故この魔列車となる山手線内部に人がいるんだ? まさかコイツが死にかけの悪魔が言ってたアクマキラーなのか?)
「色々考えても無駄ですよ。夜野さんは僕のキリギリスの槍で美しく死ぬのだから」
「なら貴様はアリか? そんな事より誰だお前は? 何故この山手線に乗っている?」
「誰だお前は無いでしょう。ここはゼロノスのテリトリーでもある以上、番人はいる。ゼロノス聖教会最強の僕……アリスがね」
この銀髪の優男はアリスというらしい。しかも、ゼロノスを信仰するゼロノス聖教会最強のようだ。だが今はこんな会話をしている暇は無い。東京駅まではそう時間もかからない。こんな奴に構っている暇は無いんだよ。俺はアリスとの戦闘に移行する事にした。
「ゼロノスの手下の人間がアクマキラーと呼ばれていとは皮肉なもんだ。舞花。もし東京に辿り着いたら飛び降りろ。俺がすぐに倒せれば問題ないが、一応な」
「わかったわ。私は邪魔にならないよう奥の車両で東京の到着を待ってるわ。派手に行くわよ」
「あぁ、頼んだ。悪魔王ゼロノスへの宣戦布告は派手に行かないとな」
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