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20話・山手線殺し2
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疲れを知らない銀髪のアリスは狭い山手線内部で自慢のキリギリスの槍を幾度と無く突いては引き、突いては引いて俺を殺そうとして来る。真っ赤な血で染まったかのようなキリギリスの槍の応酬がウザいぜ!
「そのキリギリスの槍は悪魔から与えられた物だろうが、その技はお前自身の力だ。元々、槍術でもしていたのか?」
「いえ、僕は病弱で入院生活が長かったから運動自体が不可能なんですよ。でも、この純粋な理想が魔法として実現出来る悪魔東京のおかげで、病弱を乗り越えゼロノス聖協会最強までになれた。山手線殺しから、僕の人生は変わったのです」
「成る程……この世界を信じ、受け入れた強さがそれか。これが俺が望んでいた人間の変化だ。素晴らしいぞアリス!」
瞬間、槍のように繰り出した悪魔氷罰でアリスのキリギリスの槍を弾いた。そして、悪魔炎罰で目の前の視界を殺してから、悪魔雷罰で感電死させようと放った。山手線車内が焦げた煙と、雷撃のスパークが空間を満たしている。
「……今の攻撃を防ぐか。そのキリギリスの槍は魔防の力もあるようだな」
「ゼロノスから貰ったこのキリギリスの槍は最高の槍です。魔法攻撃では僕を倒す事は出来ない」
「その槍があればな。でもアリスと出会った事は嬉しいぜ。悪魔東京は病弱な人間さえ、望む力次第でここまでの戦士になれる変化をもたらすんだからな」
ククッと笑いながら、アリスは銀髪の前髪を整えて言う。
「何も変わらないですよ。ほとんどの人間は、この悪魔東京を求めていない。だからこそ、魔法を使える人間もあまりにもいなさすぎる。この悪魔東京になって、銀髪になるほどの強い願いを持つ人間はいないのです」
「でも、お前という強者が出てきた事は俺にとって最高だ!」
槍を繰り出せないように懐に飛び込んだ俺はアリスに体術を仕掛ける。
「望めば変わる! 憧れは無くなる! 全ては自分次第の世の中を受け入れないのは悪だ!」
「それは貴方の定義だ! 僕はこの強さを得てから黒髪と家族と弱い自分を失った! そして悪魔の肉さえ食らう存在となった苦痛もある! 常に強者でいるのは、簡単ではないですよ!」
「なら勝って、勝って、勝ち続ければいいだろうが!」
「確かにそうですが、誰もかれも貴方に共感するとは思わない事です!」
「俺は共感不要の革命者だ――」
直線的な蹴りが炸裂し、アリスは吹っ飛んだ。今更だが、アリスというのは苗字なのか、名前なのか不明だ。それともアダ名かコードネーム? ま、ここで死ぬならどうでもいい話だ。そうして、銀髪を乱したアリスは立ち上がった。
「お前も戦闘が楽しい戦闘狂だろう? 隠していてもバレてるぞ。失ったモノより、得たモノの方が多いはず。お前は戦いに快楽を見出す戦闘狂だ。ゼロノスの手下にしておくには惜しい」
「なら一騎当千の武者にでもなれと? そもそも僕はゼロノスなんてどうでもいいんですよ。僕にあるのはただ殺す。食べる。僕が僕である為に」
「いい答えだ。お前は悪魔以上に殺す価値があり、楽しい戦いになりそうだ」
やっと本当の笑みを見せたな。
ゼロノス聖協会最強で、アクマキラーというアダ名すらある。元々は病弱だったが、この悪魔東京では自分の強い願望が具現化して理想の力を手にした。俺にとってもいいサンプルだよこのアリスという男は。だから全力を持ってこの銀髪の男を殺さないとならない――。
「この炎で焼け死ね! アリの巣野郎がーーーっ!」
「アリの巣結構! この山手線こそが、貴方のアリ地獄ですよ夜野星矢」
悪魔炎罰とキリギリスの槍の押し合いになる。これは炎を得意とする、俺の意地の攻撃だ。これに勝てばゼロノスの鎧でも溶かせる。
「お前の昔の人生はアリの巣地獄だろう? 短い時間だったがここで俺に殺されて、俺の糧となれぇ!」
「外道が……いや、元が外道より、それを耐え抜き生きた者の方が強いのも必定ですか。因みに僕は希望も絶望も飽きています」
「なら更に教えてやるよ。人に希望も絶望をより深く与えられるのは人間だ。この力の押し合いに快楽を感じてるのはお前も同じだろうに!」
「……確かに。ですが夜野星矢。僕も一つ教えてあげましょう。従順と対等。依存と自立。対立と共存。ゼロノスはこれらの中間を求めている。あの悪魔王は人間すらコントロール出来る力があるのは、ゼロノス聖協会を見ればわかるでしょう? ゼロノスはこんな獣のような戦いを求める存在ではない。故に、人間とも共存出来てしまう人間と悪魔の中間点の存在となるのです」
「……いい意見だとは思うが、わからんな。お前だけはゼロノスに心酔していないからな。獣の戦いこそが、戦士の本懐だろうに!」
最大級の悪魔炎罰がキリギリスの槍に押し勝ち、アリスは炎に包まれた。チッと舌打ちをした俺は途中でゼロノスの話をしたせいで気が抜けたアリスにキレていた。もうすぐ東京駅も近い。ある意味、丁度良かったのかも知れないな。炎に包まれもがき苦しむアリスに言う。
「途中で気を抜いたのは気にいらないが、そろそろタイムリミットだ。死ぬ前に聞いておくぜ山手線の番人さんよ。この悪魔東京の中央にあるデビルスターツリーにも、番人はいるのか?」
「……いないですよ。あそこはそもそも生物が存在出来ない場所。ゼロノスの儀式が完成して、死者の魂が暴走しない安定状態にならないと入る事は不可能。だからゼロノスデイが始まるまで人間でも悪魔でもデビルスターツリーに入る事は出来ないのです」
「……ルーンメイズのバイク部隊からの情報とも一致する。あながち嘘では無さそうだな。あんがとよ、アリス君」
すると、目の前の炎がかき消えた。
ゲップをしながら、アリスは腹を抑えていた。つまり――。
「お前……俺の炎を食ったのか? 魔法まで食えるのかよ? 聞いてないぜ」
「いや、僕も試しに食っただけです。ゼロノスの話をした時に気が抜けたのは確かですからね。でも、初めから気が抜けていたのは貴方ですよ夜野星矢」
「? 何だと?」
「貴方は僕を殺すと言いつつも、少し時間稼ぎをしてますね? おそらく優先目的は東京駅への侵入で僕との戦いでは無いから。でも、それだとあの子は死ぬでしょう」
「舞花の事か? この山手線内部にはもう誰もいないだろ。舞花は魔力を肉体エネルギーに変換する力がある。操縦席ぐらい簡単に破壊するぜ?」
「わかっていませんね。この山手線はゼロノスとのリンクした魔力が必要。だから力だけでは山手線殺しは行えないんですよ。つまり、無理に山手線殺しを行おうとすると、この山手線は脱線どころか破壊者を呑み込んでしまうでしょうね。あの子は死ぬという事ですよ」
「何だと? 山手線はゼロノスの魔力のせいで生きているという事か? 舞花――」
先頭車両の運転席に居るであろう舞花を思った。このまま舞花が山手線を脱線させて東京駅に突っ込む作戦も、アリスの言葉を信じれば不可能かもしれない。なら、俺は現状の流れを楽しむ事を優先するしかないだろう。
「……それでも、今はアリス。貴様を殺す」
「その顔ですよ。やっと僕に集中しましたね。いいでしょう……受けて立ちます」
もう、東京駅に突っ込む事やゼロノスなどはどうでもいい。今は目の前のアリの巣野郎をブチ殺す事にした。
(ただ殺す……それが一番シンプルで楽しい。それこそが戦いだ)
進みゆく山手線内部で、互いの魔力の高まりが否応無くわかる。目の前の男は悪魔東京でも、自分の強い願いで最強クラスの戦士にまで這い上がった男。相手にとって不足は無い。
『……』
暗い夜空が映る窓の外には無数の星が煌めいている。悪魔東京でも夜空の星は綺麗だ。窓の外に流れ星が流れ――二人は動いた。
「待たれよ!」
そのアリスの言葉で停止する前に、俺は停止していた。いや、停止せざるを得なかった。いきなり山手線が異様に揺れ出したからだ。
「おいアリス! 何だこの揺れは? この山手線の破壊者への攻撃行為か?」
「違います! この揺れは間違いなく脱線する予兆……何故ゼロノスの魔力とリンクしてる存在がいるんだ? 僕以外にこの山手線内部には入れないはずなのに――」
山手線の番人を任されたアリスさえ驚いている。だが、驚いているよりも事実を調べないとならない。
「ここまでの揺れは異常だ。脱線するぞ? おそらくゼロノスの魔力を持つ者が運転室にいるんだろ。そいつはゼロノスの魔力が有りながらも山手線殺しをしようとしてる」
「確かに……そう考えるのが正しいですね。でもゼロノスの魔力も持つ存在なんて魔レンズを持つ貴方ぐらいでしょう?」
確かに俺にはゼロノスの魔力も流れている。左目の魔レンズはゼロノスから奪った魔力だからな。俺以外にもゼロノスから魔力を奪った奴がいるとなると、まだまだ楽しくなりそうだな悪魔東京は。
「面白いな……是非、その人間だか悪魔の顔を拝みたいぜ。惚れてしまうかもしれないが」
「もう東京駅は近いです。伏せましょう! 山手線は脱線します!」
「見えたぜ東京駅。悪魔王ゼロノスよ。山手線殺し2が悪魔神罰である夜野星矢からの開戦の合図だ――」
そうして、先頭車両に向かった舞花ではない見知らぬ誰かは山手線を脱線させ、悪魔王ゼロノスのいる東京駅に突っ込ませた。そうして、悪魔王ゼロノスの居城である東京駅にたどり着いたんだ。
人間と悪魔の決戦を囃し立てるように、夜空には流星群が流れていた。
「そのキリギリスの槍は悪魔から与えられた物だろうが、その技はお前自身の力だ。元々、槍術でもしていたのか?」
「いえ、僕は病弱で入院生活が長かったから運動自体が不可能なんですよ。でも、この純粋な理想が魔法として実現出来る悪魔東京のおかげで、病弱を乗り越えゼロノス聖協会最強までになれた。山手線殺しから、僕の人生は変わったのです」
「成る程……この世界を信じ、受け入れた強さがそれか。これが俺が望んでいた人間の変化だ。素晴らしいぞアリス!」
瞬間、槍のように繰り出した悪魔氷罰でアリスのキリギリスの槍を弾いた。そして、悪魔炎罰で目の前の視界を殺してから、悪魔雷罰で感電死させようと放った。山手線車内が焦げた煙と、雷撃のスパークが空間を満たしている。
「……今の攻撃を防ぐか。そのキリギリスの槍は魔防の力もあるようだな」
「ゼロノスから貰ったこのキリギリスの槍は最高の槍です。魔法攻撃では僕を倒す事は出来ない」
「その槍があればな。でもアリスと出会った事は嬉しいぜ。悪魔東京は病弱な人間さえ、望む力次第でここまでの戦士になれる変化をもたらすんだからな」
ククッと笑いながら、アリスは銀髪の前髪を整えて言う。
「何も変わらないですよ。ほとんどの人間は、この悪魔東京を求めていない。だからこそ、魔法を使える人間もあまりにもいなさすぎる。この悪魔東京になって、銀髪になるほどの強い願いを持つ人間はいないのです」
「でも、お前という強者が出てきた事は俺にとって最高だ!」
槍を繰り出せないように懐に飛び込んだ俺はアリスに体術を仕掛ける。
「望めば変わる! 憧れは無くなる! 全ては自分次第の世の中を受け入れないのは悪だ!」
「それは貴方の定義だ! 僕はこの強さを得てから黒髪と家族と弱い自分を失った! そして悪魔の肉さえ食らう存在となった苦痛もある! 常に強者でいるのは、簡単ではないですよ!」
「なら勝って、勝って、勝ち続ければいいだろうが!」
「確かにそうですが、誰もかれも貴方に共感するとは思わない事です!」
「俺は共感不要の革命者だ――」
直線的な蹴りが炸裂し、アリスは吹っ飛んだ。今更だが、アリスというのは苗字なのか、名前なのか不明だ。それともアダ名かコードネーム? ま、ここで死ぬならどうでもいい話だ。そうして、銀髪を乱したアリスは立ち上がった。
「お前も戦闘が楽しい戦闘狂だろう? 隠していてもバレてるぞ。失ったモノより、得たモノの方が多いはず。お前は戦いに快楽を見出す戦闘狂だ。ゼロノスの手下にしておくには惜しい」
「なら一騎当千の武者にでもなれと? そもそも僕はゼロノスなんてどうでもいいんですよ。僕にあるのはただ殺す。食べる。僕が僕である為に」
「いい答えだ。お前は悪魔以上に殺す価値があり、楽しい戦いになりそうだ」
やっと本当の笑みを見せたな。
ゼロノス聖協会最強で、アクマキラーというアダ名すらある。元々は病弱だったが、この悪魔東京では自分の強い願望が具現化して理想の力を手にした。俺にとってもいいサンプルだよこのアリスという男は。だから全力を持ってこの銀髪の男を殺さないとならない――。
「この炎で焼け死ね! アリの巣野郎がーーーっ!」
「アリの巣結構! この山手線こそが、貴方のアリ地獄ですよ夜野星矢」
悪魔炎罰とキリギリスの槍の押し合いになる。これは炎を得意とする、俺の意地の攻撃だ。これに勝てばゼロノスの鎧でも溶かせる。
「お前の昔の人生はアリの巣地獄だろう? 短い時間だったがここで俺に殺されて、俺の糧となれぇ!」
「外道が……いや、元が外道より、それを耐え抜き生きた者の方が強いのも必定ですか。因みに僕は希望も絶望も飽きています」
「なら更に教えてやるよ。人に希望も絶望をより深く与えられるのは人間だ。この力の押し合いに快楽を感じてるのはお前も同じだろうに!」
「……確かに。ですが夜野星矢。僕も一つ教えてあげましょう。従順と対等。依存と自立。対立と共存。ゼロノスはこれらの中間を求めている。あの悪魔王は人間すらコントロール出来る力があるのは、ゼロノス聖協会を見ればわかるでしょう? ゼロノスはこんな獣のような戦いを求める存在ではない。故に、人間とも共存出来てしまう人間と悪魔の中間点の存在となるのです」
「……いい意見だとは思うが、わからんな。お前だけはゼロノスに心酔していないからな。獣の戦いこそが、戦士の本懐だろうに!」
最大級の悪魔炎罰がキリギリスの槍に押し勝ち、アリスは炎に包まれた。チッと舌打ちをした俺は途中でゼロノスの話をしたせいで気が抜けたアリスにキレていた。もうすぐ東京駅も近い。ある意味、丁度良かったのかも知れないな。炎に包まれもがき苦しむアリスに言う。
「途中で気を抜いたのは気にいらないが、そろそろタイムリミットだ。死ぬ前に聞いておくぜ山手線の番人さんよ。この悪魔東京の中央にあるデビルスターツリーにも、番人はいるのか?」
「……いないですよ。あそこはそもそも生物が存在出来ない場所。ゼロノスの儀式が完成して、死者の魂が暴走しない安定状態にならないと入る事は不可能。だからゼロノスデイが始まるまで人間でも悪魔でもデビルスターツリーに入る事は出来ないのです」
「……ルーンメイズのバイク部隊からの情報とも一致する。あながち嘘では無さそうだな。あんがとよ、アリス君」
すると、目の前の炎がかき消えた。
ゲップをしながら、アリスは腹を抑えていた。つまり――。
「お前……俺の炎を食ったのか? 魔法まで食えるのかよ? 聞いてないぜ」
「いや、僕も試しに食っただけです。ゼロノスの話をした時に気が抜けたのは確かですからね。でも、初めから気が抜けていたのは貴方ですよ夜野星矢」
「? 何だと?」
「貴方は僕を殺すと言いつつも、少し時間稼ぎをしてますね? おそらく優先目的は東京駅への侵入で僕との戦いでは無いから。でも、それだとあの子は死ぬでしょう」
「舞花の事か? この山手線内部にはもう誰もいないだろ。舞花は魔力を肉体エネルギーに変換する力がある。操縦席ぐらい簡単に破壊するぜ?」
「わかっていませんね。この山手線はゼロノスとのリンクした魔力が必要。だから力だけでは山手線殺しは行えないんですよ。つまり、無理に山手線殺しを行おうとすると、この山手線は脱線どころか破壊者を呑み込んでしまうでしょうね。あの子は死ぬという事ですよ」
「何だと? 山手線はゼロノスの魔力のせいで生きているという事か? 舞花――」
先頭車両の運転席に居るであろう舞花を思った。このまま舞花が山手線を脱線させて東京駅に突っ込む作戦も、アリスの言葉を信じれば不可能かもしれない。なら、俺は現状の流れを楽しむ事を優先するしかないだろう。
「……それでも、今はアリス。貴様を殺す」
「その顔ですよ。やっと僕に集中しましたね。いいでしょう……受けて立ちます」
もう、東京駅に突っ込む事やゼロノスなどはどうでもいい。今は目の前のアリの巣野郎をブチ殺す事にした。
(ただ殺す……それが一番シンプルで楽しい。それこそが戦いだ)
進みゆく山手線内部で、互いの魔力の高まりが否応無くわかる。目の前の男は悪魔東京でも、自分の強い願いで最強クラスの戦士にまで這い上がった男。相手にとって不足は無い。
『……』
暗い夜空が映る窓の外には無数の星が煌めいている。悪魔東京でも夜空の星は綺麗だ。窓の外に流れ星が流れ――二人は動いた。
「待たれよ!」
そのアリスの言葉で停止する前に、俺は停止していた。いや、停止せざるを得なかった。いきなり山手線が異様に揺れ出したからだ。
「おいアリス! 何だこの揺れは? この山手線の破壊者への攻撃行為か?」
「違います! この揺れは間違いなく脱線する予兆……何故ゼロノスの魔力とリンクしてる存在がいるんだ? 僕以外にこの山手線内部には入れないはずなのに――」
山手線の番人を任されたアリスさえ驚いている。だが、驚いているよりも事実を調べないとならない。
「ここまでの揺れは異常だ。脱線するぞ? おそらくゼロノスの魔力を持つ者が運転室にいるんだろ。そいつはゼロノスの魔力が有りながらも山手線殺しをしようとしてる」
「確かに……そう考えるのが正しいですね。でもゼロノスの魔力も持つ存在なんて魔レンズを持つ貴方ぐらいでしょう?」
確かに俺にはゼロノスの魔力も流れている。左目の魔レンズはゼロノスから奪った魔力だからな。俺以外にもゼロノスから魔力を奪った奴がいるとなると、まだまだ楽しくなりそうだな悪魔東京は。
「面白いな……是非、その人間だか悪魔の顔を拝みたいぜ。惚れてしまうかもしれないが」
「もう東京駅は近いです。伏せましょう! 山手線は脱線します!」
「見えたぜ東京駅。悪魔王ゼロノスよ。山手線殺し2が悪魔神罰である夜野星矢からの開戦の合図だ――」
そうして、先頭車両に向かった舞花ではない見知らぬ誰かは山手線を脱線させ、悪魔王ゼロノスのいる東京駅に突っ込ませた。そうして、悪魔王ゼロノスの居城である東京駅にたどり着いたんだ。
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