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5話・悪役令嬢の従者はイケメンがいいと思います
しおりを挟むバクーフ王の娘であるスズカ姫は、私に住居を与えたの。国の最強の矛と盾であるクエストクラスとして活動して行く為にね。
最強ジョブのクエストクラスになれば、親とは住めないの。魔法の研究やら王室仕えなので自分の城が与えられる。一人前として一人で暮らす事は義務でもある。従者は雇えるけどね。
何せ国の最後の矛と盾になる支配者階級のジョブだから!
悪役令嬢として、スズカの婚約破棄をする役目をしないとガールズラブ展開になるから、頑張んないとだわ。バクーフ王国郊外の東にあるバクーフ森の近くの古い建物が今後の私の家になる。その二階から私は遠くにあるバクーフ城が見える景色を見ている。
「ここは近くにおやつのバタードングリの木も多く生えてるし、小腹が空いた時の間食にも困らないわ。後は建物を綺麗にしてもらって、私は王様にバクーフ騎士団・任命式への準備をしないとね。クエストクラス・悪役令嬢……このレアジョブは活かさないとね」
異世界を探索したり、ダンジョンに入ったりするジョブにはファイター、ナイト、ウィザード、ニンジャ、ニートなどがあるの。まず成人式で一般的に以下のジョブになる。
・ファイター・剣と盾を活かした戦士
・ナイト・槍を使い、甲冑を着ている重戦士
・ウィザード・魔法使い
・ニンジャ・気配を消しての暗殺
例外としては働かないジョブもある。
・ニート・働かずにブラブラしてる人
これは、バクーフ森に住んでるニートさんの事ね。
数あるジョブでも、「悪役令嬢」というのは特殊なクラスなので魔法学園に入っても周りのレベルと合わないし、他国を牽制し国を守るクエストクラスとして新しく住居を構える事になったのが今の現状。
バクーフ王国東側の郊外の森に一軒家を用意してくれたのは王の十番目の娘スズカ。今はクリーンジョブの人に屋敷の掃除を任せているの。クモがいたら怖いからね。暗黒系・最強魔法のラグナロク使うレベルでクモは嫌い!
そうして、クリーンジョブの人達が建物の清掃を終えて帰ると、入れ替わりで編み込みポニーの茶色い髪が美しく、衣装もキレイな白いドレスを着たスタイルの良い美少女が現れたの。
「こんにちはアヤカ。ちょうどクリーンを完了したようね」
「こんにちはスズカ。これで室内を使いやすくすれば完璧ね。広いからすぐには終わらないけどね」
「それは急ぐ事でもないでしょう。今後予定されているクエストクラスとしてのバクーフ騎士団任命式を終えれば、悪役令嬢として私の為の婚約破棄が待っているわ。その辺もよろしくね」
「もうすぐ私もバクーフ騎士団の任命式があり、その後来るであろうスズカの婚約者を婚約破棄させるのね。他国だから王子様はそんなに来ないよね?」
「私が15才の成人式を迎えた以上、他国王子なんて無数に来るわよ。大陸一のバクーフには毎月いくらでもやって来る。だからこそ、無意味な遺伝子は残せない。王子選別しなくてはならないから、貴女を悪役令嬢として他国王子との婚約を破断する役目にしたのよ」
「スズカは「自由」になりたいだけでしょ。でも私も悪役令嬢らしく、婚約破棄させるわよ。ガールズラブ展開の呪いは勘弁だし! そういえばスズカは私と同じ誕生日なの?」
「私とアヤカは一日違いなの。私の方がお姉さん。成人式の誕生日は終わってるから、他国の王子は私との婚約をする為に続々と集まって来るから油断禁物ね」
そんな話をしてから、スズカは今日来た目的を告げたの。
「クエストクラスには従者が必要なの。連絡や不在時の取り次ぎなどの雑用。だから早めに従者を探すのよ」
「ぽよ? 従者か……誰にしよう?」
従者と言われても、私の知り合いは基本的に成人式を迎えたばかりの人間が多いし、イージージョブでは話にならない。最低限、ノーマルクラスの人間を……と言ってもみんな年上だから誰にすればいいか困る。
「考えても従者と決められる人間はいないよ。これはバクーフ側が決めてくれないの?」
「自分の従者は自分で決めるのがルール。だからそこはバクーフ側も手は出せないわよ」
「ぬぬ……困った参った。どうしようか……」
「とりあえず散歩でもしましょうか? 森の空気でも吸えば気分転換にもなるでしょう」
「そうね。あ! 森と言えば、森の奥にニートのニートさんがいたね。金髪イケメンの!」
「金髪イケメン? 好きなの?」
「いや! 勇者様に少し似てたから気になっただけ。そう、浮気ダメ絶対!」
そういえば森にはニートさんがいるなという事を思い出してスズカに説明した。やけに冷たい目でスズカが見てるけど、おちょくったりしないのが意外だった。冷静な声で聞いて来る。
「従者はその金髪イケメンのニートでいいのね?」
「ぼよ? 違う! ニートさんは従者にしない。ニートさんはスローライフが好きなニートだから。従者とかしてくれないよ」
「でもイケメンの方がいいんでしょ?」
「そう……ね。イケメンの方がいいよ。従者はいつも一緒にいるパートナーだし。でも、私の事を考えてくれる人ならイケメンじゃなくてもいいわ」
「そう? でもそのニートはやめておいた方がいいわ。前職がニートってバレたら、クエストクラスの名に傷が付くからね」
「じゃあ、ニートさんに会ってみる? 森の奥に住んでるから遠くないよ?」
「いいわよ……そんなニートに会った所で……今のあの人じゃ……」
やけに行きたくないオーラを出してるスズカの顔が儚い系美少女だったから、私は意地悪したくなったの。
「いいから、いいから。ニートさんはニートだけどいい人だよ。私の友達だし。スズカにも会わせておきたいわ。支度してレッツゴー!」
「な、何で私まで……せめて髪を整えないと……」
何か金髪イケメンに会うからか、スズカもあたふたしてるわね。スズカも従者はイケメンがいいのかな?
とりあえず二人でバクーフ森の奥に向かって見るかな。
今朝作った、バタードングリとリンゴを焼いたバタードングリンゴアップルパイを持って、私とスズカはニートさんの小屋に向かったの。
その静かなバクーフ森を歩く道中でスズカは、
「森の中を歩いて平気なの? この辺は一応弱いけどモンスター出るわよ? 勝てるけど倒すのも面倒」
「それは大丈夫。この辺のモンスターは全部ビビらしといたから襲って来ないよ。モンスターは強者に従順だからね」
「貴女、意外に厳しい面があるのね」
「だって悪役令嬢だし」
その得意気な私の顔が気に入らないようだから、悪役令嬢としてもっと破滅的な絶望感を与える必要があるかな?
「悪役令嬢の名の下に、火炎の龍はその身を捧げよ! マグマ……ドラグーン!」
天空に向かって高位火炎魔法・マグマドラグーンを放つ。ズブオオオオッ! と空中に放たれたマグマの龍が空を暴れ回り、天空にある雲も消失した。絶好調、絶好調。
「これで完全にこの周囲からモンスターが消えたわ。この魔力なら魔王軍が来ても負ける気がしない。魔王が復活しても勇者様の役に立てるわ。ほら、天が焦げてる焦げてる。フフフ」
「これがクエストクラスの本当の魔力。化け物……いえ素晴らしい。私もこの力があれば……」
「え?」
「何でも無いわよ。行くわよ」
そうして、私とスズカはバクーフ森の奥にあるニートさんの小屋に辿り着きました。近くには野菜畑もあり、異世界全土で存在してる野菜畑のようです。私とスズカは小屋の玄関の前に立ちました。
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