5 / 53
5話・悪役令嬢の従者はイケメンがいいと思います
しおりを挟むバクーフ王の娘であるスズカ姫は、私に住居を与えたの。国の最強の矛と盾であるクエストクラスとして活動して行く為にね。
最強ジョブのクエストクラスになれば、親とは住めないの。魔法の研究やら王室仕えなので自分の城が与えられる。一人前として一人で暮らす事は義務でもある。従者は雇えるけどね。
何せ国の最後の矛と盾になる支配者階級のジョブだから!
悪役令嬢として、スズカの婚約破棄をする役目をしないとガールズラブ展開になるから、頑張んないとだわ。バクーフ王国郊外の東にあるバクーフ森の近くの古い建物が今後の私の家になる。その二階から私は遠くにあるバクーフ城が見える景色を見ている。
「ここは近くにおやつのバタードングリの木も多く生えてるし、小腹が空いた時の間食にも困らないわ。後は建物を綺麗にしてもらって、私は王様にバクーフ騎士団・任命式への準備をしないとね。クエストクラス・悪役令嬢……このレアジョブは活かさないとね」
異世界を探索したり、ダンジョンに入ったりするジョブにはファイター、ナイト、ウィザード、ニンジャ、ニートなどがあるの。まず成人式で一般的に以下のジョブになる。
・ファイター・剣と盾を活かした戦士
・ナイト・槍を使い、甲冑を着ている重戦士
・ウィザード・魔法使い
・ニンジャ・気配を消しての暗殺
例外としては働かないジョブもある。
・ニート・働かずにブラブラしてる人
これは、バクーフ森に住んでるニートさんの事ね。
数あるジョブでも、「悪役令嬢」というのは特殊なクラスなので魔法学園に入っても周りのレベルと合わないし、他国を牽制し国を守るクエストクラスとして新しく住居を構える事になったのが今の現状。
バクーフ王国東側の郊外の森に一軒家を用意してくれたのは王の十番目の娘スズカ。今はクリーンジョブの人に屋敷の掃除を任せているの。クモがいたら怖いからね。暗黒系・最強魔法のラグナロク使うレベルでクモは嫌い!
そうして、クリーンジョブの人達が建物の清掃を終えて帰ると、入れ替わりで編み込みポニーの茶色い髪が美しく、衣装もキレイな白いドレスを着たスタイルの良い美少女が現れたの。
「こんにちはアヤカ。ちょうどクリーンを完了したようね」
「こんにちはスズカ。これで室内を使いやすくすれば完璧ね。広いからすぐには終わらないけどね」
「それは急ぐ事でもないでしょう。今後予定されているクエストクラスとしてのバクーフ騎士団任命式を終えれば、悪役令嬢として私の為の婚約破棄が待っているわ。その辺もよろしくね」
「もうすぐ私もバクーフ騎士団の任命式があり、その後来るであろうスズカの婚約者を婚約破棄させるのね。他国だから王子様はそんなに来ないよね?」
「私が15才の成人式を迎えた以上、他国王子なんて無数に来るわよ。大陸一のバクーフには毎月いくらでもやって来る。だからこそ、無意味な遺伝子は残せない。王子選別しなくてはならないから、貴女を悪役令嬢として他国王子との婚約を破断する役目にしたのよ」
「スズカは「自由」になりたいだけでしょ。でも私も悪役令嬢らしく、婚約破棄させるわよ。ガールズラブ展開の呪いは勘弁だし! そういえばスズカは私と同じ誕生日なの?」
「私とアヤカは一日違いなの。私の方がお姉さん。成人式の誕生日は終わってるから、他国の王子は私との婚約をする為に続々と集まって来るから油断禁物ね」
そんな話をしてから、スズカは今日来た目的を告げたの。
「クエストクラスには従者が必要なの。連絡や不在時の取り次ぎなどの雑用。だから早めに従者を探すのよ」
「ぽよ? 従者か……誰にしよう?」
従者と言われても、私の知り合いは基本的に成人式を迎えたばかりの人間が多いし、イージージョブでは話にならない。最低限、ノーマルクラスの人間を……と言ってもみんな年上だから誰にすればいいか困る。
「考えても従者と決められる人間はいないよ。これはバクーフ側が決めてくれないの?」
「自分の従者は自分で決めるのがルール。だからそこはバクーフ側も手は出せないわよ」
「ぬぬ……困った参った。どうしようか……」
「とりあえず散歩でもしましょうか? 森の空気でも吸えば気分転換にもなるでしょう」
「そうね。あ! 森と言えば、森の奥にニートのニートさんがいたね。金髪イケメンの!」
「金髪イケメン? 好きなの?」
「いや! 勇者様に少し似てたから気になっただけ。そう、浮気ダメ絶対!」
そういえば森にはニートさんがいるなという事を思い出してスズカに説明した。やけに冷たい目でスズカが見てるけど、おちょくったりしないのが意外だった。冷静な声で聞いて来る。
「従者はその金髪イケメンのニートでいいのね?」
「ぼよ? 違う! ニートさんは従者にしない。ニートさんはスローライフが好きなニートだから。従者とかしてくれないよ」
「でもイケメンの方がいいんでしょ?」
「そう……ね。イケメンの方がいいよ。従者はいつも一緒にいるパートナーだし。でも、私の事を考えてくれる人ならイケメンじゃなくてもいいわ」
「そう? でもそのニートはやめておいた方がいいわ。前職がニートってバレたら、クエストクラスの名に傷が付くからね」
「じゃあ、ニートさんに会ってみる? 森の奥に住んでるから遠くないよ?」
「いいわよ……そんなニートに会った所で……今のあの人じゃ……」
やけに行きたくないオーラを出してるスズカの顔が儚い系美少女だったから、私は意地悪したくなったの。
「いいから、いいから。ニートさんはニートだけどいい人だよ。私の友達だし。スズカにも会わせておきたいわ。支度してレッツゴー!」
「な、何で私まで……せめて髪を整えないと……」
何か金髪イケメンに会うからか、スズカもあたふたしてるわね。スズカも従者はイケメンがいいのかな?
とりあえず二人でバクーフ森の奥に向かって見るかな。
今朝作った、バタードングリとリンゴを焼いたバタードングリンゴアップルパイを持って、私とスズカはニートさんの小屋に向かったの。
その静かなバクーフ森を歩く道中でスズカは、
「森の中を歩いて平気なの? この辺は一応弱いけどモンスター出るわよ? 勝てるけど倒すのも面倒」
「それは大丈夫。この辺のモンスターは全部ビビらしといたから襲って来ないよ。モンスターは強者に従順だからね」
「貴女、意外に厳しい面があるのね」
「だって悪役令嬢だし」
その得意気な私の顔が気に入らないようだから、悪役令嬢としてもっと破滅的な絶望感を与える必要があるかな?
「悪役令嬢の名の下に、火炎の龍はその身を捧げよ! マグマ……ドラグーン!」
天空に向かって高位火炎魔法・マグマドラグーンを放つ。ズブオオオオッ! と空中に放たれたマグマの龍が空を暴れ回り、天空にある雲も消失した。絶好調、絶好調。
「これで完全にこの周囲からモンスターが消えたわ。この魔力なら魔王軍が来ても負ける気がしない。魔王が復活しても勇者様の役に立てるわ。ほら、天が焦げてる焦げてる。フフフ」
「これがクエストクラスの本当の魔力。化け物……いえ素晴らしい。私もこの力があれば……」
「え?」
「何でも無いわよ。行くわよ」
そうして、私とスズカはバクーフ森の奥にあるニートさんの小屋に辿り着きました。近くには野菜畑もあり、異世界全土で存在してる野菜畑のようです。私とスズカは小屋の玄関の前に立ちました。
0
あなたにおすすめの小説
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる
千環
恋愛
第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。
なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を助けようとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
※他サイト様にも掲載中です
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?
六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」
前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。
ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを!
その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。
「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」
「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」
(…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?)
自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。
あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか!
絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。
それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。
「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」
氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。
冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。
「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」
その日から私の運命は激変!
「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」
皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!?
その頃、王宮では――。
「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」
「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」
などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。
悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる