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七話・燃える月夜
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「ぐううっ……」
刀が黒い龍のように変形した紫藤誠のペンドラゴンは朱蓮を締め上げている。だが、紫藤は全く満足していない顔だ。
「穏やかな悲鳴だ。もっと壮大なオーケストラのような悲鳴を聞きたいね。このペンドラゴンに相応しい音をね」
「そもそも何だその刀は? 変形するのか?」
「そうさ。このペンドラゴンは剣にも鞭にもなる。これも洋怪から買った品物さ。使用者の意思で変形して、便利だよ!」
「ぐあああっ!」
一気に締め上げた紫藤は朱蓮をいたぶる。
「どうしたんだ朱蓮? 早く昔の君に戻れ。身体から流れる血が、君を紅く染め上げてくれる。侍の士道など捨てて弱肉強食の血溜まりに戻れ。真っ赤な瞳で全てを斬れ」
「侍の心得一つ。武士は未来に向けて進むべし。過去を受け入れて、先に進めよ。お天道様は明日が来るから沈むんだぜ」
「過去は受け入れても、全ては認められない。僕様は太陽でさえも転覆させたいんだよ」
「お前はジパングの何を壊したい? 国か人間か洋怪かモンスターか? この世の何を壊すつもりだ?」
震える手を紫藤は口元にかざし、何かを握り潰すように力を込めて話す。
「士農工商の世を潰す。農民、工業人、商人が世界の経済を回しているのに、何故それらは人から尊敬されない!? 士である侍など、何もせずに金だけ得てる愚物だ! そんなおかしい世は壊さないとならない!」
「また人洋戦争のような文明開化が起こる前の人と洋怪の戦争がしたいのか! あの血溜まりは人と洋怪を結びつけたが、犠牲は多かった……お互い分かり合えないな」
お互いの感情は平行線のまま、交わり合う事は無い。眼帯の無い右の青い瞳を輝かせる紫藤は両手を広げ言う。
「でもジパングを潰す為に朱蓮には昔に戻ってもらうよ。昔の君ならジパングを平気で潰せるからね。僕様は僕様の主張を押し通してジパングの神になる」
「まだそんな駄々をこねてんのか。もう人間と洋怪は平和だ。そして人間世界のモンスターは暴走しない。恨み辛みじゃ、世界よりも自分が壊れるぞ」
「壊れているのは世界の常識だ! 君はモンスターをわかってなさ過ぎる。だから全身の骨を砕いてあげるよ。教育の一環だ!」
キレた紫藤はペンドラゴンの鞭を最大にして締め上げた。同時に、自分のアゴにアッパーをくらった。左肩を抑える朱蓮はもうペンドラゴンの締め上げから抜け出していた。アゴへのダメージから立ち直る紫藤は何故抜け出たのかを察する。
「まさか肩を外して、無理矢理作った隙間を利用して脱出するとは……」
「肩は外しても戻せるからな。痛ぇーけど。ほら戻った」
ペンドラゴンを構えた紫藤は朱蓮の雰囲気には惑わされない。ただ、目の前の男の強さを求めていた。
「最後の通告だ朱蓮。また仲間として弱肉強食の血溜まりに来い」
「俺は文無しの朱蓮だ。金の溜まり場に行きたいねぇ」
「死に場所を与えてやるんだ。男にとってこれほどの花束は無いだろう?」
「血の花なんざ、臭くていらねーよ。それに俺は花よりダンゴだ」
「……君は侍になってから腑抜けてはいるが、やはり死を感じると昔の力が戻るようだ。仲間にならないなら、チェックメイトと行こうか。同じ肉を食って生き残り、強くなった仲間ともお別れだ」
「あぁ、お前はここで死ぬ」
瞳の色が紅くなる朱蓮は刀を構えた。お互い、次で決着をつけるつもりである。
刀が黒い龍のように変形した紫藤誠のペンドラゴンは朱蓮を締め上げている。だが、紫藤は全く満足していない顔だ。
「穏やかな悲鳴だ。もっと壮大なオーケストラのような悲鳴を聞きたいね。このペンドラゴンに相応しい音をね」
「そもそも何だその刀は? 変形するのか?」
「そうさ。このペンドラゴンは剣にも鞭にもなる。これも洋怪から買った品物さ。使用者の意思で変形して、便利だよ!」
「ぐあああっ!」
一気に締め上げた紫藤は朱蓮をいたぶる。
「どうしたんだ朱蓮? 早く昔の君に戻れ。身体から流れる血が、君を紅く染め上げてくれる。侍の士道など捨てて弱肉強食の血溜まりに戻れ。真っ赤な瞳で全てを斬れ」
「侍の心得一つ。武士は未来に向けて進むべし。過去を受け入れて、先に進めよ。お天道様は明日が来るから沈むんだぜ」
「過去は受け入れても、全ては認められない。僕様は太陽でさえも転覆させたいんだよ」
「お前はジパングの何を壊したい? 国か人間か洋怪かモンスターか? この世の何を壊すつもりだ?」
震える手を紫藤は口元にかざし、何かを握り潰すように力を込めて話す。
「士農工商の世を潰す。農民、工業人、商人が世界の経済を回しているのに、何故それらは人から尊敬されない!? 士である侍など、何もせずに金だけ得てる愚物だ! そんなおかしい世は壊さないとならない!」
「また人洋戦争のような文明開化が起こる前の人と洋怪の戦争がしたいのか! あの血溜まりは人と洋怪を結びつけたが、犠牲は多かった……お互い分かり合えないな」
お互いの感情は平行線のまま、交わり合う事は無い。眼帯の無い右の青い瞳を輝かせる紫藤は両手を広げ言う。
「でもジパングを潰す為に朱蓮には昔に戻ってもらうよ。昔の君ならジパングを平気で潰せるからね。僕様は僕様の主張を押し通してジパングの神になる」
「まだそんな駄々をこねてんのか。もう人間と洋怪は平和だ。そして人間世界のモンスターは暴走しない。恨み辛みじゃ、世界よりも自分が壊れるぞ」
「壊れているのは世界の常識だ! 君はモンスターをわかってなさ過ぎる。だから全身の骨を砕いてあげるよ。教育の一環だ!」
キレた紫藤はペンドラゴンの鞭を最大にして締め上げた。同時に、自分のアゴにアッパーをくらった。左肩を抑える朱蓮はもうペンドラゴンの締め上げから抜け出していた。アゴへのダメージから立ち直る紫藤は何故抜け出たのかを察する。
「まさか肩を外して、無理矢理作った隙間を利用して脱出するとは……」
「肩は外しても戻せるからな。痛ぇーけど。ほら戻った」
ペンドラゴンを構えた紫藤は朱蓮の雰囲気には惑わされない。ただ、目の前の男の強さを求めていた。
「最後の通告だ朱蓮。また仲間として弱肉強食の血溜まりに来い」
「俺は文無しの朱蓮だ。金の溜まり場に行きたいねぇ」
「死に場所を与えてやるんだ。男にとってこれほどの花束は無いだろう?」
「血の花なんざ、臭くていらねーよ。それに俺は花よりダンゴだ」
「……君は侍になってから腑抜けてはいるが、やはり死を感じると昔の力が戻るようだ。仲間にならないなら、チェックメイトと行こうか。同じ肉を食って生き残り、強くなった仲間ともお別れだ」
「あぁ、お前はここで死ぬ」
瞳の色が紅くなる朱蓮は刀を構えた。お互い、次で決着をつけるつもりである。
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