息つく間もなく見ています

井村つた

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②霊感がない 後編

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 この話は、Tさんから聞いた話を再構成しています。

 さてお話の続きですが、それから数年後Tさんは無事、定時制高校を卒業し、大学に進学したそうです。定時制高校には4年通っていたので、大学の同級生がほとんど年下だったそうですが、友達もたくさん出来て、楽しい大学生活を送っていたそうです。

 2回生の6月、車で東京に遊びに行かないと提案がありTさん含めて4人で東京に出かける事になりました。計画は無謀で、金曜日の講義が終わった後に学校の近所に止めてある車で東京に向かい、1泊3日で月曜日の朝に帰って来て、また講義を受けるというものでした。今考えると明らかにしんどい計画でしたが、大学生特有の勢いもあり、みんなのりのりでその東京旅行を実行する事になったそうです。

 金曜日の5限目が18時に終わり、それから4人で駐車場まで歩いて行きいざ出発です。Tさんが住んでいる地域(関西)から東京までは車で約7時間、4人のうち免許を持っているのはのTさん含めて3人だったので、2時間交代で運転していったそうです。軽自動車で車の中が狭く、しんどい旅路だったそうですが、当時のTさん達にはそんな事は関係ありません。途中のパーキングエリアでアイスや焼きそばを食べたり、のんびりと長い旅路を進んだそうです。テーションがみんな高く1人も寝ないで、土曜日の朝6時頃に大都会東京に着いたそうです。

 4人はうち2人は家族旅行で東京に来た事があったそうですが、このように友達と観光に来るのは4人共初めてで、Tさんともう1人は東京自体が初めてだったそうです。田舎者が東京に出てくると最初に向かうのは東京タワーです。東京タワーの近くの駐車場に車を停めたそうなのですが、駐車場代が関西の10倍の値段で大変驚いたのを覚えているとTさんは言っていました。東京タワーの展望台に登ったり、皇居の周りを散策したり、楽しい東京観光をしたそうです。夕食はもんじゃ焼きを食べたのですが、そこまで美味しいものではなかったそうです。

 泊まる所を探していると温泉も入れて宿泊もできる大江戸温泉という施設に行ったそうです。今では普通ですが、お店から貸し出される腕輪についているバーコードを見せるとそれで決済されて、後払い出来るシステムがあったので、東京はすごいなあと思ったそうです。みんなでお風呂に入った後、ビールを飲みながら、明日はどこに行くという作戦会議をしていると1人が「秋葉原」に行ってみたいと言いました。当時はAKBが社会現象になっている時代でしたので、1回行ってみようという事になりました。24時間以上寝ていない4人は、リクライニングシートがずらっと並ぶ部屋で4人並んで、23時前には寝てしまったそうです。
 
 翌朝、6時過ぎに起きて、みんなでお風呂に入って秋葉原に出発です。秋葉原の駐車場代も関西の5倍ぐらいしたそうです。車を停めて、秋葉原散策を始めると。「武〇商店」なるお店を見つけて、みんなで大笑いしたそうです。「ドラクエかよ」「何を武装するんだよ」と言いながら、お店に行くと本当に刀などの武器が売っており、驚いたそうです。
   
 AKBの劇場に行くと、抽選に当たると劇場に入れるチケットが買えるそうで、4人全員が当たる事はなさそうなのとそれほど興味もなかったので、AKB観戦は止めたそうです。同じビルの「ドン・キホーテ」を見ると、「萌え~」と書かれた靴下が売っていたので、秋葉原に来た記念に買ったそうです。
 AKBを見ようと思っていたのですが、チケットが買えなかったので、秋葉原をのんびり歩いて見てまわったそうです。メイド喫茶に行こうという事になり、行ったそうです。店員さんがため口で接客し、コーヒーなどの飲み物を雑に勢いよく置く店だったそうで、東京にはこんな店もあるのなと思ったそうです。後日調べると、ツンデレ喫茶というコンセプトで、そういう雑な対応が普通のお店だったそうです。
 メイド喫茶を出て、電気街を散策していると「電池つかみ取り放題300円」と書かれた謎の看板があり、「電池つかみ取りってなんだよ」などと笑いながら、みんなで楽しく歩いてたそうです。
 
 ある道に入ったその時です。Tさんの体に覚えがある感覚が来ました。そうです。あのエレベーターで体験した結界の中に閉じ込められる感覚です。あの時はエレベーターという密室だったのですが、今回は屋外です。さらに前の時よりも空気の層が厚いというか重たい感じがして、暑さによる汗ではなく、冷や汗のような変な汗が出てきたそうです。
 先を歩く3人に追いつけなくなり、膝に手をあてて下を向く状態になってしまったそうです。汗も止まりません。引き返してきてくれた3人が「大丈夫?」「顔色悪いで」「休憩する?」などと声をかけてくれたのですが、どんどん空気が重たくなっていったそうです。体調が悪いのではありません。この場所の空気が悪いのです。「ごめん。ちょっと車戻らへん?」とTさんが言うと。Tさんの顔を見た3人も同意してくれて、車を停めた駐車場に歩いていったそうです。駅前の大きな広場に出た瞬間、その重たい空気が発散されたそうです。「大丈夫になった、戻ろう」とも言い出せずに車に乗り込むと、1人が「もうそろそろ帰ろうか」と言いました。Tさんが体調不良と思っているので、気を使ってくれたのだと思います。Tさんは「大丈夫やで。次どこ行く」みたいな事言ったそうなのですが、Tさん以外の2人も帰ろうみたいな感じの事を言って、まだ12時前でしたが帰路につく事になりました。

 帰路の途中、休憩によったパーキングエリアの食堂でみんなで焼き鳥を食べている時です。とんでもない映像がテレビに映し出せれました。「秋葉原で通行人を次々刺す」正確な文言ではありませんが、このような報道がされていたそうです。さっきまで居た秋葉原で、とんでもない事件が起こっていました。この事件の詳細には触れませんが、多くの死傷者が出た事件です。

 4人は「さっきまでおったのに」「危なかったなあ」「巻き込まれる所やった」などと興奮して話していたそうです。そうこうしながら、無事、関西に帰って来ました。月曜日の朝に帰ってくる予定だったのですが、Tさんが体調不良とおもわれてしまったために早く帰ったので、日曜日の20時頃に着いたそうです。主要駅まで送ってもらい、それぞれ家に帰りました。

 家に帰ったTさんは、テレビを付けると先ほどの事件が報道されていました。男が警察に拘束される場面が映し出されていました。Tさんはゾッとしたそうです。その場所は見覚えがあり、お昼に空気が重たくなった場所のもう目と鼻の先だったそうです。後日談ですが、一緒に東京に行った1人が、あの事件のニュースを見て「なあ、あの場所ってT君が体調おかしくなった場所だよね?何か感じたの?」と聞いてきたそうですが、はぐらかしたそうです。当然ですよね、「結界が」とか「空気が」とか言うと変な奴に思われたら困るので、そのような対応をしたそうです。

 これでTさんの話はおしまいです。当然に全部が偶然かもしれません。Tさん曰く「空気が重たくなる場所」「結界みたいに感じる場所」これを察知したら、すぐに逃げた方が良いと思うとの事です。霊感が全くないと自称するTさん「こういう感覚を霊感というか虫の知らせというか分からないが、何かがおかしいと感じたらすぐに立ち去れ」との事でした。

 最初のマンションももしかしたら、何か事件や事故があったのかと調べようとTさんは思ったのですが、全くどのマンションかを思い出せない。との事だったので、調べられずにいます。ちなみにTさんの人生でもう1か所、同じような結界のようなものを感じた場所があるそうです。それは大阪城のとある一角でそこも同じように結界が張られている感じ、空気が重くなる感じがするそうです。正確に場所も言ってくれたのですが、ご迷惑がかかるかもしれませんので、伏せます。大阪城に行った人は、探してみてください。

 悪い気というか邪気というか分かりません。霊感がないと思っているあなたも「ゾクッ」としたり「ズッシリ」とした空気を感じた場合は、何かの力が働いているかもしれません。迷信だ、そんなものはないと思いながらでも、安全のために、その場をすぐに立ち去ってください。霊感がない人は1人もいない。というお話でした。

霊感がない おしまい。

 














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