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本編
第二十四章:白百合のグラフィティ、あるいは路地裏の秘密のレッスン
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放課後のチャイムが鳴ると、私は校門を出て一番近くの公衆トイレに駆け込む。
校章の刺繍が入った清楚なブレザーとプリーツスカートを脱ぎ捨て、バッグの底から取り出すのは、蛍光色のタンクトップとダボダボのスウェットパンツ、そしてジャラジャラとした安物のシルバーアクセサリーだ。
鏡に映るのは、ミッション系のお嬢様学校に通う「深月(みづき)レイラ」ではなく、路地裏のダンサー「レイ」だ。
私が向かうのは、繁華街の裏手にある高架下の広場。
壁一面に極彩色のグラフィティが描かれ、ラジカセからは重低音の効いたヒップホップが大音量で流れている。
そこには、学校も年齢も職業もバラバラな仲間たちが集まっていた。
プロを目指すわけじゃない。ただ、身体を動かして、汗をかいて、本来の自分を解放できるこの場所が、私にとってのかけがえのない居場所だった。
***
そんなある日、私の元に意外な訪問者が現れた。
クラスでも一番小柄で、いつも図書室の隅で本を読んでいるような目立たない子――篠原(しのはら)チカだ。
「あの……レイラさん。私、変わりたいんです」
彼女は震える声でそう言った。
最初は驚いたけれど、その瞳の真剣さに絆され、私は彼女の「師匠」を引き受けることにした。
まずはファッションからだ。
私が貸した、ヘソ出しのショート丈パーカーとショートパンツ。
チカは真っ赤になりながら、「こ、こんなにお腹出すの、恥ずかしいです……」とモジモジしていた。
その姿があまりにも小動物みたいで可愛くて、私はついつい世話を焼いてしまった。
ダンスのステップを一から教え、一緒に汗を流す日々。
チカは不器用だけど一生懸命で、少しずつだけど確実に「ストリート」の空気に馴染んでいった。
でも、それと同時に――私は気付き始めていた。
練習の合間、私たちが勝手に「女子更衣室」として使っている路地裏のさらに奥まった一角で、チカが私を見る目が変化していることに。
私がTシャツを脱いで着替える時、彼女の視線が私の背中や胸元にじっと張り付いている。
その視線には、憧れだけじゃない、もっと湿度のある「熱」が含まれていた。
普通なら引くかもしれない。でも私は、嫌悪感どころか、胸の奥がドキドキと高鳴るのを感じていた。
***
そして、その日はやってきた。
週末の夜。他の仲間たちは飲み物を買いに行き、女子エリアには私とチカの二人きり。
遠くから漏れてくるビートの音が、二人の心臓の鼓動と重なる。
「……レイラさん。汗、すごいですね」
チカがタオルを持って近づいてくる。
私は壁にもたれて、息を整えながら笑った。
「うん、今日は飛ばしすぎたかな。……ありがと、チカ」
タオルを受け取ろうとした瞬間、チカの手が私の手首を掴んだ。
普段の「はわわ~」とした雰囲気からは想像できないほど、強い力で。
「え……?」
「……ずっと、触りたかったんです」
チカの瞳が、薄暗い路地裏で妖しく光った。
彼女は私を壁に押し付けると、躊躇なく唇を奪ってきた。
ンチュッ……♥
「んぐっ!? チ、チカっ!?」
「静かに……。みんなに聞こえちゃいますよ?」
耳元で囁かれる声は低く、そして艶っぽかった。
チカの手が、私のタンクトップの中に滑り込んでくる。
ひんやりとした指先が、汗ばんだ肌を這う。その温度差に、背筋がゾクリと震えた。
「レイラさんの身体……しなやかで、柔らかくて……見てるだけで、濡れちゃってました……♥」
「そ、そんな目で見てたの……っ? むっつりスケベ……っ♥」
「ふふ、そうですよ。……レイラさんも、期待してたくせに」
図星だった。
チカの指が、私のスポーツブラをずらし、露わになった胸の先端をピンポイントで弄り始める。
コリッ、クチュ……♥
「ああっ、んぁっ!♥ そこっ、いじらないでっ、声出ちゃうっ……!」
「声、出していいですよ。音楽でかき消されますから」
チカは私のスウェットパンツの紐を解き、強引に中に手を入れてきた。
ストリートの片隅。コンクリートの壁。
シチュエーションの背徳感が、快楽を何倍にも増幅させる。
「ひゃうっ!?♥ いきなりっ、指っ、入ってっ……!」
「ここですね? ダンスしてる時、いつも擦れて気持ちよさそうにしてた場所」
ズチュッ、ズポポポッ……!♥
チカの指使いは、初心者のダンスとは大違いで、驚くほどリズミカルで的確だった。
Gスポットを激しく擦り上げられ、私は足に力が入らなくなる。
「あぎっ、あひぃっ!♥ チカっ、上手っ、なんでっ、こんなにっ……!?」
「ずっとイメトレしてましたから。……レイラさんで、イく練習♥」
なんてことだ。この小動物系女子、中身はとんだ肉食獣だった。
私は完全に主導権を奪われ、彼女の指先一つで踊らされていた。
「いくっ! レイラさん、イッちゃって! 私の指で、めちゃくちゃになってッ!♥」
「ああっ、ダメっ、もう無理っ! イくっ、イくゥゥゥッ!!♥♥」
ビクンッ!! ビクビクッ!!♥
私はチカの肩にしがみつき、路地裏の闇の中で盛大に絶頂した。
膝から崩れ落ちる私を、チカは満足げに受け止めてくれた。
***
しばらくして、仲間たちが戻ってきた。
私たちは慌てて服を整えたけれど、空気感までは隠せなかったらしい。
「おーい、二人とも遅いぞー……って、レイラ、顔真っ赤じゃんw」
「なんか、すごい声聞こえなかった? 『イくぅっ!』みたいなw」
「てか、レイラが受けなんだ? 意外~♥」
仲間たちの容赦ないツッコミに、私は顔から火が出そうだった。
穴があったら入りたい。今すぐグラフィティの一部になって消えたい。
でも、隣にいるチカは、意外なほど堂々としていた。
「えへへ。レイラさん、すっごく可愛かったです♥」
そう言って、私の腕にギュッと抱きつき、みんなに見せつけるようにイチャイチャアピールを始めたのだ。
その顔は、もう「はわわ」な小動物じゃなく、獲物を手に入れた勝者の顔だった。
「……はぁ。もう、勝てそうにないな、私」
私は観念して、チカの肩に頭を預けた。
路地裏のグラフィティ。ヒップホップのビート。
そして、白百合のように可憐で、誰よりも獰猛な私の恋人。
このカオスで愛おしい世界から、私はもう抜け出せそうになかった。
(第二十四章 完)
校章の刺繍が入った清楚なブレザーとプリーツスカートを脱ぎ捨て、バッグの底から取り出すのは、蛍光色のタンクトップとダボダボのスウェットパンツ、そしてジャラジャラとした安物のシルバーアクセサリーだ。
鏡に映るのは、ミッション系のお嬢様学校に通う「深月(みづき)レイラ」ではなく、路地裏のダンサー「レイ」だ。
私が向かうのは、繁華街の裏手にある高架下の広場。
壁一面に極彩色のグラフィティが描かれ、ラジカセからは重低音の効いたヒップホップが大音量で流れている。
そこには、学校も年齢も職業もバラバラな仲間たちが集まっていた。
プロを目指すわけじゃない。ただ、身体を動かして、汗をかいて、本来の自分を解放できるこの場所が、私にとってのかけがえのない居場所だった。
***
そんなある日、私の元に意外な訪問者が現れた。
クラスでも一番小柄で、いつも図書室の隅で本を読んでいるような目立たない子――篠原(しのはら)チカだ。
「あの……レイラさん。私、変わりたいんです」
彼女は震える声でそう言った。
最初は驚いたけれど、その瞳の真剣さに絆され、私は彼女の「師匠」を引き受けることにした。
まずはファッションからだ。
私が貸した、ヘソ出しのショート丈パーカーとショートパンツ。
チカは真っ赤になりながら、「こ、こんなにお腹出すの、恥ずかしいです……」とモジモジしていた。
その姿があまりにも小動物みたいで可愛くて、私はついつい世話を焼いてしまった。
ダンスのステップを一から教え、一緒に汗を流す日々。
チカは不器用だけど一生懸命で、少しずつだけど確実に「ストリート」の空気に馴染んでいった。
でも、それと同時に――私は気付き始めていた。
練習の合間、私たちが勝手に「女子更衣室」として使っている路地裏のさらに奥まった一角で、チカが私を見る目が変化していることに。
私がTシャツを脱いで着替える時、彼女の視線が私の背中や胸元にじっと張り付いている。
その視線には、憧れだけじゃない、もっと湿度のある「熱」が含まれていた。
普通なら引くかもしれない。でも私は、嫌悪感どころか、胸の奥がドキドキと高鳴るのを感じていた。
***
そして、その日はやってきた。
週末の夜。他の仲間たちは飲み物を買いに行き、女子エリアには私とチカの二人きり。
遠くから漏れてくるビートの音が、二人の心臓の鼓動と重なる。
「……レイラさん。汗、すごいですね」
チカがタオルを持って近づいてくる。
私は壁にもたれて、息を整えながら笑った。
「うん、今日は飛ばしすぎたかな。……ありがと、チカ」
タオルを受け取ろうとした瞬間、チカの手が私の手首を掴んだ。
普段の「はわわ~」とした雰囲気からは想像できないほど、強い力で。
「え……?」
「……ずっと、触りたかったんです」
チカの瞳が、薄暗い路地裏で妖しく光った。
彼女は私を壁に押し付けると、躊躇なく唇を奪ってきた。
ンチュッ……♥
「んぐっ!? チ、チカっ!?」
「静かに……。みんなに聞こえちゃいますよ?」
耳元で囁かれる声は低く、そして艶っぽかった。
チカの手が、私のタンクトップの中に滑り込んでくる。
ひんやりとした指先が、汗ばんだ肌を這う。その温度差に、背筋がゾクリと震えた。
「レイラさんの身体……しなやかで、柔らかくて……見てるだけで、濡れちゃってました……♥」
「そ、そんな目で見てたの……っ? むっつりスケベ……っ♥」
「ふふ、そうですよ。……レイラさんも、期待してたくせに」
図星だった。
チカの指が、私のスポーツブラをずらし、露わになった胸の先端をピンポイントで弄り始める。
コリッ、クチュ……♥
「ああっ、んぁっ!♥ そこっ、いじらないでっ、声出ちゃうっ……!」
「声、出していいですよ。音楽でかき消されますから」
チカは私のスウェットパンツの紐を解き、強引に中に手を入れてきた。
ストリートの片隅。コンクリートの壁。
シチュエーションの背徳感が、快楽を何倍にも増幅させる。
「ひゃうっ!?♥ いきなりっ、指っ、入ってっ……!」
「ここですね? ダンスしてる時、いつも擦れて気持ちよさそうにしてた場所」
ズチュッ、ズポポポッ……!♥
チカの指使いは、初心者のダンスとは大違いで、驚くほどリズミカルで的確だった。
Gスポットを激しく擦り上げられ、私は足に力が入らなくなる。
「あぎっ、あひぃっ!♥ チカっ、上手っ、なんでっ、こんなにっ……!?」
「ずっとイメトレしてましたから。……レイラさんで、イく練習♥」
なんてことだ。この小動物系女子、中身はとんだ肉食獣だった。
私は完全に主導権を奪われ、彼女の指先一つで踊らされていた。
「いくっ! レイラさん、イッちゃって! 私の指で、めちゃくちゃになってッ!♥」
「ああっ、ダメっ、もう無理っ! イくっ、イくゥゥゥッ!!♥♥」
ビクンッ!! ビクビクッ!!♥
私はチカの肩にしがみつき、路地裏の闇の中で盛大に絶頂した。
膝から崩れ落ちる私を、チカは満足げに受け止めてくれた。
***
しばらくして、仲間たちが戻ってきた。
私たちは慌てて服を整えたけれど、空気感までは隠せなかったらしい。
「おーい、二人とも遅いぞー……って、レイラ、顔真っ赤じゃんw」
「なんか、すごい声聞こえなかった? 『イくぅっ!』みたいなw」
「てか、レイラが受けなんだ? 意外~♥」
仲間たちの容赦ないツッコミに、私は顔から火が出そうだった。
穴があったら入りたい。今すぐグラフィティの一部になって消えたい。
でも、隣にいるチカは、意外なほど堂々としていた。
「えへへ。レイラさん、すっごく可愛かったです♥」
そう言って、私の腕にギュッと抱きつき、みんなに見せつけるようにイチャイチャアピールを始めたのだ。
その顔は、もう「はわわ」な小動物じゃなく、獲物を手に入れた勝者の顔だった。
「……はぁ。もう、勝てそうにないな、私」
私は観念して、チカの肩に頭を預けた。
路地裏のグラフィティ。ヒップホップのビート。
そして、白百合のように可憐で、誰よりも獰猛な私の恋人。
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