異世界に落ちた俺は

琥太朗

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異世界に落ちる

迷い人

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俺、金井直人25歳。
何処にでもいるようなウダツの上がらない男。
とある会社のサラリーマンをやっている。成績は中の下。営業課にいるが仕事もやっと取れる位で周りから見たら落ちこぼれだ。

今日も係長に成績の悪さを指摘され、今月は3本取って来ないとクビと言われた。元々営業は向かない俺。出来れば体を動かす方や、商いが性に合っている。その程で入社したのだが、あいにくそちらは先に埋まってしまい、先ず営業課に配属して、空きが出たらそちらに廻すと言う課長の言葉を信じて入社したが一向に声がかからない。

やり甲斐を感じられず、かと言って転職も考えたが拾ってくれる所も無さそうなんだ。
こうやって金曜日の夜を待ち続けるのが日課のようになってしまった。

立ち飲み屋でビールとちょっとしたツマミをアテに晩酌をし、帰路に着く。アパートの階段を登ろうとした瞬間、足元に穴が空き、転落した。
(えっ?えー!何?)
深い!何この浮遊感は?
凄く落ちてるんですけど?まるでスカイダイビング?

ドターン!!
地面に激突! はい御臨終・・・さらば俺の人生・・・・
ん?
土煙が舞い上がり、周りが見えない。
何ともない?何処も痛い所は・・・無い。

起き上がり、手、足、首を曲げたり伸ばしたり。何ともない。ただ、俺は2、3m位のすり鉢状の凹みに居る。

その淵に人が現れた。白髪の老人だ。

「おーい!大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。」
「何でまた、空から降って来たんだ?」
「えっ?空からですか?俺が?」
「そうだよ、凄い音がして、ここにドーンと落ちてきたんでびっくりしてるんだ。」

良く見ると話かけてくれた人の耳が長い。スポック君?

「君はドアーフ族なのかね?私達はエルフ族なんだが。」
「日本人ですけど?」
「ニホンジン?それは何処の種族だね?」

「えー、知らないの?」
「さっぱりわからん。」
「ここ日本ですよね?」
「ここはエルフ族の村だが?」

何なに?それって御伽噺?ファンタジーの世界じゃない?異世界召喚ですか~?

「見た感じ、貴方様は異国から来られた方かと思われるが・・・」
「さっぱりわからないのですが、私は家に帰ろうとして足元に穴が空いて落ちまして、ここにいるんですが。」
「ふむ、もしかしたら、異世界からの迷い人かもしれんなぁ、普通なら異世界からの人間は王国の高等魔術師数名の召喚の儀式により、導かれる者じゃから・・」
「俺は召喚されたのではなく・・・」
「そちらの世界とこちらの世界の何らかの歪みか何かで穴が空いて・・・」
「自分はその穴に落ちた・・・」
「その通り!」
「じゃあ元に戻るには?」
「多分なんじゃが、この辺りを治めておる領主に会い、神のご加護を授かれば、帰らせてくれるかもしれんな。」
そのエルフは私のステータスなるものを見てくれた。
「魔力は1、体力130、他は無しか。戦闘レベルは1、鑑定も1、ふむ、アイテムボックスはあるな。」
「それは?」
「色々な物を詰め込んでおける物じゃ、必要な時に名前を唱えると出て来る、便利じゃぞ。」

生き物以外は入るそうだ、便利そうだな。
俺はエルフ族のその方に道を聞き、礼を言って領主さんが居る所へ行く事にした。そこまでは20km位らしい。道中は魔物が出るそうなので、ひと振りの剣をくれた。お礼に何かないかとカバンの中にボールペンがあったので渡すと大層喜んでくれた。

そのアイテムボックスに試しにカバンを入れて見る。手をかざして
「アイテムボックス!」
と言うと入っているリストが出てくるからそこにカバンを当てると収納されるようだ。

俺は剣を持ち、山道を歩く。
途中、小さな魔物に出くわすが、然程強くはない。剣を振り回して偶然に当たった魔物はシュルシュルと蒸発するように消えてしまい、後には宝石の様な物が残る。あのエルフが言っていた魔石と言う奴らしい。町に持って行けば高く買ってくれたり物物交換をしてくれるとのことだ。
ウサギみたいのや、一反木綿の様な奴は案外簡単だったが、イノシシみたいのは手こずった。何とか倒せたが俺も少し傷を負った。

(そう言えば、鑑定スキルがあったな、それで薬草が手に入れば・・・)

どうやって良いのかわからないけど、マンガやアニメでやっている様に草地に向かって手をかざして、
「鑑定!」

・・・・何も起こらない・・・

「じゃあ、傷を治せる薬草!」

草の所々が明るく光る。

行って見ると

「ヒール草」

と名前がある。
よしよし、これを摂ってと。

どうしたら良いのかなぁ、先ずは草を揉んで傷口に充ててみる。
暖かくなり、傷が塞がった。
ほほう、いいもんだなぁ~。
このヒール草を少し多めに採取してアイテムボックスに入れておく。

そうこうしてるうちに森を抜けて町が見えた。




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