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5話
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かくして俺と実晴は恋人同士となった。なったのだが。
「あー、また負けちゃった。手強いねここのボスは」
バイオリンによって奏でられる悲壮感ただよう音楽、黒字に浮かび上がるゲームオーバーの文字。
あれから一週間が経過したが、俺たちのやっていることといえばお互いの部屋を行き来し、いっしょにゲームをするか各々漫画を読むか、はたまた学校であったことを駄弁るかで恋人らしさのこの字も見当たらない。というより、付き合う前とまったく状況が変わっていない。
いい加減見飽きた画面からメニューに戻ってゲームを終了する。
「あれ、やめるの?」
「……また今度でいい」
「そう? じゃあ漫画読む? 莉温が新しいの棚に入れてたと思うけど」
「それもいい」
莉温とは中学三年生の実晴の妹のことで、自分の本棚に入り切らなくなった漫画を度々実晴の部屋に置いていくのだ。
実晴は特に気に障った様子もなく、俺からコントローラーを回収し、テレビ下の引き出しを開けて自分で使っていたものといっしょに仕舞う。
別にゲームや漫画が悪いわけではない。どんな時間であれ、友人でも、恋人でも、同じ時間を共有して過ごせるのはすばらしいことである。しかし、友人と恋人では過ごし方に違いがあってもいいのではないだろうか。具体的にどう違うのかと問われれば答えに窮するのだが。……肩身を寄せ合うとか、見つめ合うとか?
想像してみたものの、腕から肩にかけてむずむずとした感覚が走り、慌てて頭を振った。怪訝な表情を浮かべてこちらをうかがう実晴から、熱を持った頬を隠すように立てた膝に顔をうずめる。
望んでも手に入れられないとあきらめていたものを、ポンと目の前に投げられたような状況だった。何をしていいかわからない。実晴は俺のことが好きだと思う。でなければ十年以上もつるんでいない。けれど、その好きは俺と同じ好きではない。実晴はどういう意図で俺と付き合おうと思ったのか。
俺は自らを抱きしめるように膝を抱え、天井についた照明の白く強い光から逃れるように目を閉じた。
走り込みをする運動部の掛け声、吹奏楽部のものであろう金管楽器の高く伸びる音色、生徒がめいめいに活動するのを尻目に足を動かす。日直の仕事にあたっていたため、教室から引き上げるのが遅くなってしまった。次に来る電車の時刻を気にしながら、誰もいない廊下を足早に進んで昇降口へとたどり着く。
キィと音を立てる四角い扉に手をかけ、スニーカーに手を伸ばしたところで側に誰かが立つ気配がした。俺が邪魔になって靴を取れないのだろうと思い、さっさと退散するべく今度こそスニーカーを手にすると、上の段に華奢な手のひらが叩きつけられる。軽い金属の音がバンッと昇降口に響き渡った。
おそるおそる顔を上げ、左に首を回す。
「ちょっと顔を貸してくれるかな?」
そこにいたのは、可愛らしく小首をかしげて貼り付けたような笑みを浮かべる一島さんだった。
中央にあるのは八人が座れる長テーブル。その周りを囲むように丸テーブルが置かれ、壁際に沿うようにカウンターテーブルが設置されている。昼間は行列を成す入口付近の券売機前も、放課後の食堂では人々から忘れ去られたかのように閑散としていた。
丸テーブルには自動販売機で買ったであろうペットボトルやアイスを片手に話しこむ女子生徒が二人、廊下が見えるカウンターテーブルにはテキストを広げる男子生徒が一人。
俺たちはその反対側、一番奥の前が壁しか見えないカウンターテーブルの端に二人並んで座っていた。もちろん角に追いやられているのが俺で、一島さんはその隣に正面から俺を見据える形で座っている。
一島さんは謎の笑みを浮かべたまま反応がない。かといって、俺から話し始められる空気ではなかった。楽しくおしゃべりをする生徒たちの声がやけに大きく聞こえる。
たらりと汗がこめかみをつたうのを感じ、居心地悪く身じろぐ。
一島日波さん。一年、二年と同じクラスだが、特別仲がいいなんてことはない。強いて言えば実晴も同じクラスだった一年のとき、実晴と俺が行動をともにすることが多いという理由で多少の交流があったくらいである。なにせ一島さんは実晴の恋人第一号なので。
一島さんがふーっと息を吐いた。カールした髪が揺れ、眉間にグッと力が入る。次の瞬間、一島さんは椅子をガタつかせながら身を乗り出してきた。
「……はるくんって今付き合ってる人いるの!?」
そのあまりの勢いに椅子から少しずり落ちてしまった。普段の花が咲くようなたたずまいはなりをひそめている。
そして、ドッドッドッ……と心臓が変な鼓動を刻み始める。付き合っている人――おそらく俺がこれに当てはまるのだが、本人の許可なく宣言していいものなのか、何より俺は本当に実晴と付き合っていると言えるのかまったく自信が持てず、とっさに言葉をつむぐ。
「い、いない、と思うが……」
「いない!?……いないのに振られたってこと……!?」
嘘……とつぶやき口元を手で覆う一島さん。思わず視線をそらすが、少なくとも一島さんが告白した時点では実晴に恋人はいなかったので、嘘はついていない……と思いたい。
彼女は多分知ってると思うけど……と前置きをして先日実晴に告白して玉砕したことを語った。事前に恋人がいないかを入念に調査し挑んだということも教えてくれる。
来るもの拒まず、去るもの追わずの精神で、誰かと付き合い別れを繰り返してきた実晴は、恋人がいない期間を狙って告白すれば必ず成功する……なんて言われていた。
「……ん? なんで俺がそのことを知っていると?」
「四六時中いっしょにいるくらい仲良いんだからどうせ漏れてるかなーって」
一島さんにジト目で見られてたまらず目をそらす。弁解しようか迷っているうちに一島さんは続ける。
「実は振られたのに納得できなくて、もう一度聞きに行ったんだよね。なんでダメなのって。そしたらさー、王子スマイルで『付き合ってる人がいるから』って」
「そっ……!」
まずい。すでに本人に聞いていたのか。幸い俺だとは言っていないみたいだし、ここはなんとかごまかして……
「でも亜食くんが言うなら間違いないか。本当に恋人がいるなら私に告白された時点でそう言うだろうし」
「はは……」
謎に俺の実晴に関する情報を信用しているらしい一島さんは、そう納得すると前のめりになっていた姿勢を正し、テーブルへと向きなおった。乾いた笑いをこぼす顔が引きつっていないことを祈る。
「ということは、付き合っている人がいるっていうのは体よく断るための方便だったわけか。……恋人がいないとわかったのはよかったけど、ちょっとショック……」
後ろでガシャンと音がした。勉強していた男子生徒が筆箱を盛大にひっくり返してしまったようだ。散らばったシャーペンや蛍光ペンをあわてて拾い集めている。
俺は一週間前の実晴を思い出していた。
『もういいかなって』
なぜ一島さんの告白を断ったのか尋ねた俺に、実晴は気だるさをただよわせながらそう答えた。
……方便か。あながち間違いではないのかもしれない。何気ない応酬の最中に告白まがいのことをして、それが受け入れられてしまった。だが、なんてことはない。彼女がいることに疲れた実晴は、俺と付き合っているふりをすることで告白をかわせると考えたのだろう。俺が軽い冗談のつもりで付き合うかなんて言ったのを、理解しての行動だったというわけだ。
自分の右手を左手でぎゅっと包み込むように握った彼女は、再び俺の方へと体を向ける。
「……私、もう一度はるくんと付き合いたい……好きになってもらいたいんだ。亜食くん、協力してくれないかな」
天井に埋め込まれた電球の、オレンジがかったやさしい明かりがやけにまぶしく感じて目を細める。 恋している人が輝いて見えるというけれど、まさに今の一島さんみたいなことをいうんだろうなんて、ぼんやりと頭の隅で考えた。
不誠実だ。一応でも実晴と付き合っている立場で、彼女の相談を受けるなんて。
それでも、自分の恋心にまっすぐ向き合いそれを叶えるために努力している彼女は、俺より純粋で勇敢でよほど実晴のことを思っているのだから、きっと悪いようにはならないだろう。それならば。
「……協力する」
いつの間にかおしゃべりを終えていた女子生徒たちは、荷物をまとめて自販機横のごみ箱へ歩いていく。
ペットボトルが生徒の手から離れる。空になったペットボトルはカポンッという音を立てると、ごみ箱の奥へと吸いこまれていった。
「あー、また負けちゃった。手強いねここのボスは」
バイオリンによって奏でられる悲壮感ただよう音楽、黒字に浮かび上がるゲームオーバーの文字。
あれから一週間が経過したが、俺たちのやっていることといえばお互いの部屋を行き来し、いっしょにゲームをするか各々漫画を読むか、はたまた学校であったことを駄弁るかで恋人らしさのこの字も見当たらない。というより、付き合う前とまったく状況が変わっていない。
いい加減見飽きた画面からメニューに戻ってゲームを終了する。
「あれ、やめるの?」
「……また今度でいい」
「そう? じゃあ漫画読む? 莉温が新しいの棚に入れてたと思うけど」
「それもいい」
莉温とは中学三年生の実晴の妹のことで、自分の本棚に入り切らなくなった漫画を度々実晴の部屋に置いていくのだ。
実晴は特に気に障った様子もなく、俺からコントローラーを回収し、テレビ下の引き出しを開けて自分で使っていたものといっしょに仕舞う。
別にゲームや漫画が悪いわけではない。どんな時間であれ、友人でも、恋人でも、同じ時間を共有して過ごせるのはすばらしいことである。しかし、友人と恋人では過ごし方に違いがあってもいいのではないだろうか。具体的にどう違うのかと問われれば答えに窮するのだが。……肩身を寄せ合うとか、見つめ合うとか?
想像してみたものの、腕から肩にかけてむずむずとした感覚が走り、慌てて頭を振った。怪訝な表情を浮かべてこちらをうかがう実晴から、熱を持った頬を隠すように立てた膝に顔をうずめる。
望んでも手に入れられないとあきらめていたものを、ポンと目の前に投げられたような状況だった。何をしていいかわからない。実晴は俺のことが好きだと思う。でなければ十年以上もつるんでいない。けれど、その好きは俺と同じ好きではない。実晴はどういう意図で俺と付き合おうと思ったのか。
俺は自らを抱きしめるように膝を抱え、天井についた照明の白く強い光から逃れるように目を閉じた。
走り込みをする運動部の掛け声、吹奏楽部のものであろう金管楽器の高く伸びる音色、生徒がめいめいに活動するのを尻目に足を動かす。日直の仕事にあたっていたため、教室から引き上げるのが遅くなってしまった。次に来る電車の時刻を気にしながら、誰もいない廊下を足早に進んで昇降口へとたどり着く。
キィと音を立てる四角い扉に手をかけ、スニーカーに手を伸ばしたところで側に誰かが立つ気配がした。俺が邪魔になって靴を取れないのだろうと思い、さっさと退散するべく今度こそスニーカーを手にすると、上の段に華奢な手のひらが叩きつけられる。軽い金属の音がバンッと昇降口に響き渡った。
おそるおそる顔を上げ、左に首を回す。
「ちょっと顔を貸してくれるかな?」
そこにいたのは、可愛らしく小首をかしげて貼り付けたような笑みを浮かべる一島さんだった。
中央にあるのは八人が座れる長テーブル。その周りを囲むように丸テーブルが置かれ、壁際に沿うようにカウンターテーブルが設置されている。昼間は行列を成す入口付近の券売機前も、放課後の食堂では人々から忘れ去られたかのように閑散としていた。
丸テーブルには自動販売機で買ったであろうペットボトルやアイスを片手に話しこむ女子生徒が二人、廊下が見えるカウンターテーブルにはテキストを広げる男子生徒が一人。
俺たちはその反対側、一番奥の前が壁しか見えないカウンターテーブルの端に二人並んで座っていた。もちろん角に追いやられているのが俺で、一島さんはその隣に正面から俺を見据える形で座っている。
一島さんは謎の笑みを浮かべたまま反応がない。かといって、俺から話し始められる空気ではなかった。楽しくおしゃべりをする生徒たちの声がやけに大きく聞こえる。
たらりと汗がこめかみをつたうのを感じ、居心地悪く身じろぐ。
一島日波さん。一年、二年と同じクラスだが、特別仲がいいなんてことはない。強いて言えば実晴も同じクラスだった一年のとき、実晴と俺が行動をともにすることが多いという理由で多少の交流があったくらいである。なにせ一島さんは実晴の恋人第一号なので。
一島さんがふーっと息を吐いた。カールした髪が揺れ、眉間にグッと力が入る。次の瞬間、一島さんは椅子をガタつかせながら身を乗り出してきた。
「……はるくんって今付き合ってる人いるの!?」
そのあまりの勢いに椅子から少しずり落ちてしまった。普段の花が咲くようなたたずまいはなりをひそめている。
そして、ドッドッドッ……と心臓が変な鼓動を刻み始める。付き合っている人――おそらく俺がこれに当てはまるのだが、本人の許可なく宣言していいものなのか、何より俺は本当に実晴と付き合っていると言えるのかまったく自信が持てず、とっさに言葉をつむぐ。
「い、いない、と思うが……」
「いない!?……いないのに振られたってこと……!?」
嘘……とつぶやき口元を手で覆う一島さん。思わず視線をそらすが、少なくとも一島さんが告白した時点では実晴に恋人はいなかったので、嘘はついていない……と思いたい。
彼女は多分知ってると思うけど……と前置きをして先日実晴に告白して玉砕したことを語った。事前に恋人がいないかを入念に調査し挑んだということも教えてくれる。
来るもの拒まず、去るもの追わずの精神で、誰かと付き合い別れを繰り返してきた実晴は、恋人がいない期間を狙って告白すれば必ず成功する……なんて言われていた。
「……ん? なんで俺がそのことを知っていると?」
「四六時中いっしょにいるくらい仲良いんだからどうせ漏れてるかなーって」
一島さんにジト目で見られてたまらず目をそらす。弁解しようか迷っているうちに一島さんは続ける。
「実は振られたのに納得できなくて、もう一度聞きに行ったんだよね。なんでダメなのって。そしたらさー、王子スマイルで『付き合ってる人がいるから』って」
「そっ……!」
まずい。すでに本人に聞いていたのか。幸い俺だとは言っていないみたいだし、ここはなんとかごまかして……
「でも亜食くんが言うなら間違いないか。本当に恋人がいるなら私に告白された時点でそう言うだろうし」
「はは……」
謎に俺の実晴に関する情報を信用しているらしい一島さんは、そう納得すると前のめりになっていた姿勢を正し、テーブルへと向きなおった。乾いた笑いをこぼす顔が引きつっていないことを祈る。
「ということは、付き合っている人がいるっていうのは体よく断るための方便だったわけか。……恋人がいないとわかったのはよかったけど、ちょっとショック……」
後ろでガシャンと音がした。勉強していた男子生徒が筆箱を盛大にひっくり返してしまったようだ。散らばったシャーペンや蛍光ペンをあわてて拾い集めている。
俺は一週間前の実晴を思い出していた。
『もういいかなって』
なぜ一島さんの告白を断ったのか尋ねた俺に、実晴は気だるさをただよわせながらそう答えた。
……方便か。あながち間違いではないのかもしれない。何気ない応酬の最中に告白まがいのことをして、それが受け入れられてしまった。だが、なんてことはない。彼女がいることに疲れた実晴は、俺と付き合っているふりをすることで告白をかわせると考えたのだろう。俺が軽い冗談のつもりで付き合うかなんて言ったのを、理解しての行動だったというわけだ。
自分の右手を左手でぎゅっと包み込むように握った彼女は、再び俺の方へと体を向ける。
「……私、もう一度はるくんと付き合いたい……好きになってもらいたいんだ。亜食くん、協力してくれないかな」
天井に埋め込まれた電球の、オレンジがかったやさしい明かりがやけにまぶしく感じて目を細める。 恋している人が輝いて見えるというけれど、まさに今の一島さんみたいなことをいうんだろうなんて、ぼんやりと頭の隅で考えた。
不誠実だ。一応でも実晴と付き合っている立場で、彼女の相談を受けるなんて。
それでも、自分の恋心にまっすぐ向き合いそれを叶えるために努力している彼女は、俺より純粋で勇敢でよほど実晴のことを思っているのだから、きっと悪いようにはならないだろう。それならば。
「……協力する」
いつの間にかおしゃべりを終えていた女子生徒たちは、荷物をまとめて自販機横のごみ箱へ歩いていく。
ペットボトルが生徒の手から離れる。空になったペットボトルはカポンッという音を立てると、ごみ箱の奥へと吸いこまれていった。
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