主観の良し悪しでなく正解か不正解かで判断される平等な異世界に人間偏差値25の僕が飛ばされて

一章

理路整然①

「目を覚まされましたね……よかった……」
「…………」
　彼は開口一番そう告げた。自分でやっておいてなんと白々しいことかと皮肉に満ちた邪念も浮かんだが──、
「あの……ちょっとだけいいですか？　それと、大変申し訳ございませんが、他のみなさんは席を外していただけますか？」
「…………」「……分かりました」
　良くも悪くもその優しさが先へと続ける潤滑油となった。タイムリミットということも相俟って雰囲気を察したか、向こうもまた神妙な面持ちである──２人きりになってからはよりいっそうそれが顕著なものとなった。
「私にどんなご用ですか──なんて、今のあんたにゃあ訊くまでもねぇな」